2013年7月1日月曜日

『マーベルズ』と旧版『マーヴルズ』の違いを詳細解説

こんにちは。

今回は読者の皆さまから質問の多い、7月24日頃発売のアメコミ『マーベルズ』について説明させていただきます。
なぜ質問が多いのかというと、本書は約15年前の1998年に小社から刊行した『マーヴルズ』という作品の改訂再販本だからです。つまり、当時『マーヴルズ』を購入された方からの「内容はどこが同じで、どこが違うのか?」というご質問が主になります。
それにお答えする前に、まずは『マーベルズ』という本そのものについてご紹介させていただきます。


【マーベルズとは?】

原書:『MARVELS』(1994年発売)
ライター:カート・ビュシーク
アーティスト:アレックス・ロス

















タイトルの『MARVELS』とは、「驚嘆すべき者達」のこと。
つまり、普通の人間を遥かに超えた力を持つ、超人類達のことを指します。
作中には、“アベンジャーズ”や“X-MEN”、“ファンタスティック・フォー”や“スパイダーマン”といったスーパーヒーローたちが続々と登場します。敵役のヴィランにも、ギャラクタスやグリーン・ゴブリンなどの超大物が登場します。
そして、そんな本書の主人公を勤めるのが、あの“フィル・シェルダン”です!
……などと言っても、本書を御存じない方は知りませんよね。
彼は、カメラマンを目指す普通の市民であり、特別な力は何もありません。だからといって『キック・アス』のように身体にむち打って悪と戦うわけでもありません。本当に普通の市民。一般人なのです。
作品は、この一般人であるフィルが、カメラマンという仕事を通して「マーベルズ=驚嘆すべき者達」の姿を見つめていくことで描かれていきます。
彼の感情はとてもリアルに、「もし我々の世界に、超人類達がいたらどうなるのか?」という状況を伝えてくれます。

そして、そのただでさえリアルな物語を、アレックス・ロスのアートが芸術の位置へと高めました。
3歳から絵を描き始めたというアレックス・ロスは、アメコミ業界を代表する稀代の絵師です。
その作風はあまりにも写実的であり、想像の世界に生きていたはずのキャラクター達が、まるでここに実在するかのようにリアルなのです。
すごいのは、そのクオリティがすべてのコマで保たれていること。ロスの作品は1コマ1コマが芸術だと言っても、過言ではないでしょう。
本書にもその制作過程が記されていますが、1枚の絵を描くためにモデルにポーズを取らせ、時にはコスチュームを着せて写真を撮り、服のシワや光の当たり方を確認して絵を描きおこすという超人的な労力から、この芸術が生み出されているのです。
もし、アレックス・ロスの作品を見たことがない方がいらっしゃれば、ぜひ本書をお手に取ってください。絶対に驚きますよ!

そうして生まれた本書は、本国では発売時よりけた外れの人気を博し、大ヒット作品となり、批評家にも絶賛され、権威ある賞のアイズナー賞とハーベイ賞をそれぞれ3部門受賞するという偉業を達成しました。
そのあたりは、『マーベルズ』に収録する「スコット・マクラウドによる寄稿」に詳しく、そして面白おかしく書いてあります。(スコット・マクラウドはカート・ビュシークの中学時代からの友人であり、小規模出版社で活躍するコミック・アーティスト)

そんなスゴイ作品なのですが、本書は詳しい前知識なしでも純粋に楽しめる「アメコミ初心者大歓迎」の作品です!
アメコミに詳しくない方、マーベル作品に詳しくない方でも安心してお読みください。

[本書のあらすじ]
太平洋戦争前夜、野望に燃えた若者達がいた。カメラマンを目指すフィル・シェルダンもその一人だ。しかし、突如現れはじめた超人類達の存在が、彼の人生に大きな影響を及ぼしていく。その人智を超えた力に驚愕し、脅威と戦う姿に熱狂し、やがて人類を脅かす可能性に戦慄する……。我々を遥かに超えた力を持つ存在“マーベルズ”は、人類に何をもたらすのか!?




【『マーベルズ』と『マーヴルズ』の違い】
それでは本題に移ります。

・なぜタイトルが違うのか?
これも時々質問をいただくので、お答えします。
出版社名でありブランド名でもあるMARVELの日本語表記が関わっているのですが、
『マーヴルズ』が発売された当時には「マーヴル」が正式とされていました。
現在は「マーベル」が正式な日本語表記となりましたので、
本書のタイトルも『マーベルズ』に変更しました。
(※「マーヴル」表記が使われているジャンルもありますので、個別の状況によるようですが)



・それぞれの内容は?
現在の基準に合わせて、
全般的に翻訳やデザインの見直しを行いましたが、
コミック本編は基本的に同じです。
ただし、本書『マーベルズ』は、2010年に米国で発売されたTPBを底本としているため、
旧版の『マーヴルズ』とは一部コンテンツが異なります。
具体的な違いは下記のとおりです。

―――――――――――――――――――――
『マーヴルズ』
1998年2月刊行
216ページ
本体価格:2,286円(税込:2,400円)

コミック本編
スタン・リーのまえがき
カート・ビュシークのコメンタリー
アレックス・ロスのコメンタリー
ジョン・ロミータ(Sr.)のコメンタリー
アレックス・ロスによる作画プロセスの解説
謝辞
―――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――
『マーベルズ』
2013年7月24日頃刊行
248ページ
本体価格:2,300円(税込:2,415円)

コミック本編
スタン・リーのまえがき
・イラスト、試し描き、スケッチ(32ページ分) ←追加
・スコット・マクラウドによる寄稿 ←追加
アレックス・ロスによる作画プロセスの解説
謝辞

※掲載が無くなったページ
[カート・ビュシークのコメンタリー]
[アレックス・ロスのコメンタリー]
[ジョン・ロミータ(Sr.)のコメンタリー]
―――――――――――――――――――――

上記のように
『マーヴルズ』の時から、『マーベルズ』は32ページ増加しました。
旧版であった3人の作家のコメンタリーが未収録なのは残念ですが、
その分、アレックス・ロスによる旧版に未収録の「イラスト、試し描き、スケッチ」が32ページ分も追加されているのが本書の売りといえるでしょう。
それらのは、どれも「さすが、アレックス・ロス!」と感嘆するクオリティであることは間違いありません。ほんの一部ですが原書を撮影した写真を掲載しますので、購入の参考にしていただけると幸いです。



『マーベルズ・ヒーローズ・ポスター』
皆さまご存じのマーベルを代表するヒーロー達が集合! ロスのアートがあまりに荘厳です。













『マーベルズ・ヴィランズ・ポスター』
こちらもマーベルを代表するヴィラン(悪役)達が集結。ド迫力!













『ブラック・ウィドウとグウェン・ステイシーのカラースケッチ』
映画「アベンジャーズ」等で人気のブラック・ウィドウと、映画「アメイジング・スパイダーマン」のヒロインのグウェン・ステイシー。
美しい2人は、本書の物語にどう関わってくるのでしょうか?








『マーベルズ ポスター』
これは単なるアルファベットのロゴではありません。よくみると、様々なキャラクター達が絵画のように描かれた、とんでもない代物なのです!












【その他のアレックス・ロス作品】
さて、いかがでしたか?
『マーベルズ』の発売まで1か月を切りました。ぜひ楽しみにお待ちいただけますと幸いです。
でも、「待ちきれない!!」という方のために、現在発売中のアレックス・ロス作品をご紹介して、今回の締めとさせていただきます。
最後にこれだけは言わせてください! 
「アレックス・ロス作品に外れなし!!」



『キングダム・カム 愛蔵版』
マーク・ウェイド[作]
アレックス・ロス [画]
3,400円+税

ある意味、本書『マーベルズ』と対をなす、DCコミックスの名作中の名作! ヒーローが不在となった近未来の世界を描く、エルスワールド(異世界)作品です。新世代の超人類達のせいで混沌としてしまった世界に秩序を取り戻すため、復帰を決意するスーパーマンだが……。
バットマン、ワンダーウーマンなど、オールスターが総登場!






『DCスーパーヒーローズ』
ポール・ディニ[作]
アレックス・ロス[画]
3,200円+税


DCコミックスの人気キャラクター達のオリジンストーリーが収録されているので、「アメコミ入門書」としてもぴったり! 幻のコミック『バットマン:ウォー・オン・クライム』等を収録した他、アレックス・ロスの制作舞台裏が垣間見れるアート集と解説も掲載!!






(文責:佐藤学)