2014年7月21日月曜日

『喪われた絆』前夜祭! 『バットマン:笑う男』再読

みなさん、こんにちは!

ニュー52バットマン『喪われた絆』三部作、刊行スタートまでいよいよ1週間ほどに迫りました!

というわけで今回は、これを読めば『バットマン:喪われた絆』をより楽しめること請け合い、という1冊をご紹介したいと思います。その作品とは……『バットマン:笑う男』

▲『バットマン:笑う男』
エド・ブルベイカー[作]
ダグ・マーンキ、パトリック・ジーカー[画]
定価:1,900円+税
●好評発売中●
ジョーカー関連のコミックとしては、『キリング・ジョーク完全版』『ジョーカー』も小社から発売されています。たしかに、ご存じアラン・ムーアの手がけた永遠の名作である前者や、リー・ベルメホの驚異のアートが堪能できる後者は、必読コミックです。しかし、『笑う男』も、『喪われた絆』の刊行が迫ったいまこそお読みいただきたい、オススメの1冊なのです!

『バットマン:笑う男』は、2005に読み切りの豪華版増刊誌としてアメリカで発売されました。当時のDCコミックスは、バットマン初期の活躍を、フランク・ミラーによる『バットマン:イヤーワン』の時間軸の延長線上で語り直そうとしていたのですが、その第1弾が『笑う男』だったのです。

本作のテーマは“ジョーカーとの初対決”。バットマンが個人名義の雑誌をついに獲得した、1940の記念すべき『バットマン』第1号の物語の“リ・イマジネーション”となっています(ちなみに、未邦訳ですが、本作以降も同じコンセプトで、ヒューゴ・ストレンジとの初手合わせを描いた『バットマン・アンド・ザ・モンスター・メン』、吸血鬼モンクと遭遇する『バットマン・アンド・ザ・マッド・モンク』が発売されています)

▲『バットマン:
喪われた絆(THE NEW 52!)』

スコット・スナイダー[作]
グレッグ・カプロ他[画]
定価:2,000円+税
●7月29日発売予定●
まだバットマンを“宿敵”としては認識していなかった頃のジョーカー、そして、ジョーカーほど常軌を逸した犯罪者とは初めて出会ったバットマン……両者の初々しい(?)戦いぶりがスリリングに描かれます。もちろん、これはニュー52が始まる前の作品です。しかし、今回読み返してみて、“これがあったから『喪われた絆』のあの場面が……”と思わず感慨にふけってしまいました。きっと先に読んでおけば、両者のお互いに対するただならぬ思いを、より深く理解できるのではないかなと思います。

ニュー52バットマンのほうでは、彼のオリジンを語り直した1年にわたるストーリーライン『バットマン:ゼロ・イヤー』が最近完結しましたが、『喪われた絆』を楽しむにあたって、『バットマン:笑う男』はまだまだ有効な1冊です!

さて、『バットマン:笑う男』70ページ弱の中編だったため、単行本化にあたってもう一つエピソードが追加収録されました。それが『笑う男』の2年ほど前に、『ディテクティブコミックス』で連載された『ウッドキラー』。じつは、こちらのエピソードも隠れた逸品なのです。

登場するのはバットマンと、初代グリーンランタン(アラン・スコット)! 何を隠そう、初代グリーンランタンは、バットマン以前にゴッサムシティを守っていた(ということになっている)スーパーヒーローなのです。当初は一介の鉄道技師だったアラン・スコットですが、やがてゴッサムシティのとあるテレビ局の副社長になり、いまやヒーロー稼業からも引退し、悠々自適の生活を送っています。そんなある日、初代グリーンランタンの過去につながる殺人事件が起きて……といった場面から物語は始まります。

考えたものをなんでも具現化できる魔法の指輪を操り、投げ縄スプレー缶を出現させて敵と戦い、街には彼を称える銅像が建てられている……そんなゴールデンエイジのおおらかさを漂わせた往年のスーパーヒーローと、現役のビジランテの対比はなんとも言えない味わい深さがあります。さらに、このエピソードの最後には、ちょっとした二段オチがあるのですが、そこに『バットマン:ハッシュ』“ある場面”とのつながりを感じて思わずニヤリ。こうやって人はアメコミにハマっていくのかもしれませんね。ツボを押さえた心憎い物語となっています。

本書に収録された二つの物語のライターはエド・ブルベイカー。もともとノワール系のオリジナル・コミックを得意とし、2000年頃からバットマン系列誌を担当して広く知られるようになります(同世代の作家としてはブライアン・マイケル・ベンディスなど)。やがてマーベル・コミックスに仕事の軸足を移すようになった彼が手がけたのがキャプテン・アメリカ! 8年にわたった担当期間のあいだに、バッキーの復活スティーブ・ロジャースの暗殺と復活など、大いに話題を提供し、高い評価を得ました(ブルベイカーによるキャプテン・アメリカは、かつても小社からも『キャプテン・アメリカ:ウィンター・ソルジャー』が発売されていました)。ちなみに、今年公開された映画『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』でも、彼はカメオ出演しています。
▲『キャプテン・アメリカ:ウィンター・ソルジャー』
2000年代後半のマーベルの顔となったブルベイカーは、他にも『デアデビル』『アンキャニー・X-MENなどを担当しつつ、さらに2006年にある雑誌を立ち上げます。1970年代に考案されたB級ヒーローを見事に再生させた『イモータル・アイアンフィスト』もまた高い評価を受けたのですが、そこで彼の共作者を務めてメインストリームに進出したライターが、やがて“マーベル・ナウ!”で最高の作品!と絶賛されるコミックを立ち上げることになるのです。そのライターこそマット・フラクション、コミックは『ホークアイ』。小社より8月発売予定です!

▲『ホークアイ:
マイライフ・アズ・ア・ウェポン』

マット・フラクション[作]
デイビッド・アジャ他[画]
●8月発売予定●
ではでは、今日はこのへんで。

(文責:中沢俊介)