2015年4月20日月曜日

闇の騎士と鋼鉄の男!

「アメコミ魂」読者のみなさま、こんばんは!

『バットマン/スーパーマン:クロスワールド』
グレッグ・パック[作]
ジェイ・リー[画]
定価:本体2,000円+税
●4月22日頃発売●
今月は新刊タイトルが3冊ありますが、その中から今回ご紹介するタイトルは『バットマン/スーパーマン:クロスワールド』です!

アメコミファンでなくとも、一度は耳にしたことのある二大ヒーローバットマンスーパーマンが共演する本作ですが、それぞれのキャラクター設定やバックグラウンドといった詳細が分からなくても、DCコミックスの最新シリーズである“ニュー52”の第1巻ということもあり、そのあたりは比較的読みやすく、初心者にも入りやすい内容になっているかと思います。

それでは、ストーリーのあらすじをご紹介いたします。

二大スーパーヒーローであるバットマンとスーパーマン……本書は二人が出会う以前の物語である。『ジャスティス・リーグ:誕生』で初めてスーパーヒーローチームを結成し、ダークサイドと一戦を交えたずっと前の物語。バットマンは経験が浅く、スーパーマンは空の飛び方すら知らない、そんな時代である。だが、これはプライム・アース(現行世界/ニュー52)でのことだった……。

謎の女神によって、“ニュー52”のバットマンとスーパーマンは別次元に転送されてしまった。そこは奇妙な並行世界だった。一見、元の世界と変わらないように見えるが、この世界にはとてつもない危険をはらんでいたのだ……。互いの存在すら知らなかった地球最高のヒーローである二人は、初めて手を組むことになる。

しかし、現行世界に戻るためには、別世界の自分たち――つまり“アース2”のバットマンとスーパーマンとも協力しなくてはならなかったのだ……! “二つの世界”が交差するとき、いったい何が起こるのか!?

このように、現行世界のほかに並行世界が存在しており、そこにもバットマンスーパーマンが存在するということなのですがこのマルチバース(多元宇宙)というコンセプトは、DCユニバースにおいてとても重要な要素となってきます。

本書はストーリーテーマとして、マルチバースを描いていることからも、その概要を理解するという点でも分かりやすく今後のDCユニバースを読み進めていくうえで適しているのではないでしょうか。

そのマルチバースについて、キャラクター紹介も交えながら簡単に触れてみたいと思います。

“プライム・アース”
いわゆる、現行世界でメインの物語が展開するユニバースを指します。
本書では、下記のキャラクターたちがプライム・アースとして登場しています。

・バットマン/ブルース・ウェイン
闇の騎士。格闘および戦術の達人。

・スーパーマン/クラーク・ケント
鋼鉄の男。常人を超えるスーパーパワーの持ち主。

・キャットウーマン/セリーナ・カイル
猫の姿をした怪盗。敵か味方か立場は不明。

“アース2”
プライム・アースとは別に存在する並行世界であり、ここから上記のバットマンスーパーマン、キャットウーマンに加えて以下のキャラクターたちがいます。

・ワンダーウーマン/ダイアナ
アマゾン族の生き残り。怪力、知力、飛行能力を授けられた。

・ロイス・レーン
クラーク・ケントの妻で、超一流のジャーナリスト。

タイトルにある、バットマンスーパーマンだけでなく、それぞれの作品に関連したキャットウーマンやロイス・レーンも登場していますね。

これらマルチバースに関する詳しい内容は本書の別紙解説において翻訳をご担当いただいた、中沢氏がその起源・歴史をDCユニバースのもう一つの重要な要素である、“ニューゴッズ”と合わせて、概要をまとめていただいています。そちらも一読いただければより一層、理解が深まると思います。

そして、本書で初登場となるケイヨというキャラクターがいます。

別名をカオス・ブリンガーと呼ぶ彼女は、マルチバース間を自由自在に行き来することができる能力を持ち、ある目的を遂行するために現行世界と並行世界にわたり、ストーリーの鍵を握っています。

往年のキャラクターの活躍はもちろん、このケイヨにも注目してみてください。

メインストーリーのあとに収録されている、DCユニバース最強のヴィランであるダークサイドの“ニュー52”版誕生秘話である「特別編:ダークサイド――神化」にも登場しています!

著者は、ライターを担当したのがグレッグ・パックで2003年のインディペンデント映画『ロボット・ストーリーズ』で数多の映画賞を受賞して注目を集めました。

2000年代後半には、マーベル・コミックスでハルクなどの脚本を担当し、高い評価を得ており、本作でも、マルチバースや過去の回想シーンなど、とてもスケールの大きい展開に驚かされました。

また、アーティストはスティーブン・キングの長編小説をコミック化したことでも知られるジェイ・リーが中心となって担当しています。

他のアメコミとはまた違った、繊細な描写はある意味強いインパクトを受けました。
巻末には、『バットマン/スーパーマン』制作の裏側が収録されており彼らのコメントや、ジェイ・リーのペンシル画を堪能できます!

メインの物語が展開するプライム・アース、そして2013年に刊行した『バットマン:アースワン』『スーパーマン:アースワン』で描かれているのがアース1ですが、本書ではいよいよ、アース2の存在が判明しました。

今後のDCユニバースの展開においても、重要なポジションとなっている『バットマン/スーパーマン:クロスワールド』は4月22日頃発売予定です。

ぜひ、お手に取っていただき地球最高のヒーローである、二人の活躍をお楽しみください!

それではまた次回に。


(文責:渡辺直経)