2016年2月29日月曜日

ちょっとアメコミ以外の海外コミックのお話を……

「アメコミ魂」をご覧の皆さま、こんにちは!

“アメコミ”を冠に謳っている当ブログですが、今回はちょっと目先を変えて海外コミック全般のお話をしてみたいと思います。アメコミと並ぶ海外コミックの一大ジャンルというと、ベルギー、フランスを中心とした地域の「バンド・デシネ」(BD)が、まず挙げられます。

ベルギー出身の作家エルジュの『タンタンの冒険』が古典的作品としてつとに名高く、2011年にはスティーブン・スピルバーグの手によって3DCGアニメとして映画化されました。他にもエンキ・ビラルメビウスといった作家たちは、世界的に影響を与えています。とくにメビウスは、大友克洋に多大な影響を与えていることもあり、ここ日本においても高い知名度を誇っています。

ShoPro Booksでも、鬼才映画監督アレハンドロ・ホドロフスキー&フアン・ヒメネスのSF大作メタ・バロンの一族(上)メタ・バロンの一族(下)、フランソワ・スクイテンのラ・ドゥース、バンド・デシネ界でも指折りのカルト作家フィリップ・デュリュイエのローン・スローン、2012年に文化庁メディア芸術祭のマンガ部門で大賞を受賞した『闇の国々』など複数のタイトルを刊行しています。

闇の国々
ブノワ・ペータース[作]
フランソワ・スクイテン[画]
定価:4,000円+税
絶賛発売中
脚本、作画、彩色などの分業システムが確立しているアメコミに対して、バンド・デシネは強い作家性が大きな特徴といえます。日本の漫画のように、作家がアシスタントを雇って背景の作画などを分業するシステムとも違い、すべての工程を作家1人でこなすことも少なくありません。そのため、1つの作品を描き上げるのに数年かかることもざら。フランスでは「9番目の芸術」とも呼ばれ、美術批評の対象にもなっています。

日本やアメリカでは日常的な娯楽として価格も手に取りやすく設定されているコミックですが、フランス、ベルギーでは上記のような事情から、プレゼントとしての需要も高い一種の豪華本として扱われています。

さてここまでは、ヨーロッパを代表するコミック文化バンド・デシネを紹介してきました。一方、アジアのコミック事情はどうでしょうか?

やはりというべきか、日本の漫画文化の影響が大きく、例えばタイでは出版されるコミックの8割ほどが、日本の単行本がローカライズされて出版されているようです。
その中で、コミック文化が成熟し始めているのが、おとなり韓国です。現地ではコミックは「マヌァ」と呼ばれて親しまれています。

元々は日本の漫画の影響を受けて始まった韓国の「マヌァ」ですが、映画などと同様に国策として文化事業を促進する政策の後押しを受けて、高い芸術性を持った作家が世に出ています。
その流れの中から、日本で活躍するBoichi(代表作『サンケンロック』少年画報社刊)や、フリードローイングで細密な絵を描く独特な手法で世界的に評価を得ているキム・ジョン・ギといった作家が生まれています。

このように世界に目を向けると、それぞれの地域で豊かなコミック文化が育まれていることがわかります。 さて、ここでお話をガラリと変えて恐縮ですが、日本で、アメコミをはじめ海外のコミックを楽しむ文化に貢献した人物といえば誰でしょう? そう、皆さんご存じの小野耕世さんです。ShoPro Booksの刊行物では、ウィンザー・マッケイの『リトル・ニモ 1905-1914』の翻訳を手がけられたことでもおなじみですね。
リトル・ニモ 1905-1914
ウィンザー・マッケイ[著]
定価:6,000円+税
◆好評発売中!◆
 
そんな小野さんの講演会が、4月9日に開かれます。以下、詳細を記載します。  
ヨーロッパ・コミックスの冒険 ~出会いから現在までを語る~ 
フランス語圏で発行されるバンド・デシネ(BD)を始め、世界のマンガ文化圏の一角を担うヨーロッパ・コミックスについて、海外コミック研究の第一人者である小野耕世氏が、1950年代の出会いから歴史的な流れ、親交を得た作者たちとのエピソードと作品について、縦横無尽に語ります。 
【日時】2016年4月9日(土)14:00~16:00(13:30開場) 
【会場】日比谷図書文化館 4階スタジオプラス(小ホール) 
【参加費】1,000円 ※定員60名(事前申込順・定員に達し次第締め切りとなります) 
【申込方法】 電話(03‐3502‐3340)、Eメール(college@hibiyal.jp)、来館(1階受付)いずれかにて、
①講座名(または講演会名)、②お名前(よみがな)、③電話番号をご連絡ください。 

海外コミックの翻訳・研究の第一人者、小野さんのお話をうかがえる貴重な機会ですので、アメコミ・ファン、海外コミックファンだけでなく漫画を読まれる方々は、ぜひお越しください。

  それでは、今週はこの辺で。また来週お会いしましょう!


(文責・山口侘助)