2016年3月21日月曜日

「バットマンVS.スーパーマン」特集第一弾!

「アメコミ魂」をご覧の皆さま、こんにちは!

いよいよ今週金曜日、DCエクステンデッド・ユニバース最大の注目映画『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』が公開されます! それに先駆けてShoPro Booksでは、去る316日に『バットマン VS. スーパーマン:ベストバウト』を刊行しました。
バットマン VS. スーパーマン: ベストバウト
ジョン・バーン他[作]
アレックス・ロス、ジム・リー他[画]
定価:本体980円+税
◆好評発売中!◆
本書は、長い歴史の中で繰り広げられてきたバットマンとスーパーマンの激突のハイライトを収録した短編集です。古くは1986年に刊行された作品から、アレックス・ロスの未邦訳の短編、のちのジャスティス・リーグ結成に至る対決を描いた2011年のエピソードまで、選りすぐりのエピソードが収録されています。

バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』の予習として、またはサブテキストとして優れた作品であり、アメコミの入門書としてもオススメしたい一冊です。

本書の刊行を記念して「アメコミ魂」では、2週にわたってこの2大ヒーローを特集したいと思います。ちなみに本特集では、翻訳家・中沢俊介さんから大きなご協力をいただきました。ありがとうございました。


【特集①】
『バットマン VS. スーパーマン:ベストバウト』
収録作品解説

①「約束 Trust」 PAGE 004
チップ・キッド[作] アレックス・ロス[画]
収録単行本『Mythology: The DC Comics Art of Alex Ross』(Random House刊、未邦訳)

作画を手がけたアレックス・ロスはDCの『キングダム・カム』、マーベルの『マーベルズ』(どちらも小社刊)といった作品でコミック界に衝撃を与えた、ペイントアートの巨匠だ。いまではカバーアーティストとしての活動がメインになって、上記2作品と『DCスーパーヒーローズ』(小社刊)以外では、なかなかコミック本編の作画をまとまって見る機会もない。本作は2003年発売の、彼のDCコミックスでの仕事を総括した画集のために描きおろされた短編で、日本初紹介となる。脚本を手がけたチップ・キッドは、村上春樹作品の米国版も手掛ける世界的な装丁家。熱心なコミックファンでもあり、2008年に桑田次郎版バットマンを『Bat-Manga!』として紹介した。


②「ゴッサムシティの一夜 One Night in Gotham City」 PAGE 013
ジョン・バーン[作・画]
収録単行本『Superman: The Man of Steel Vol. 1』(DC Comics刊、未邦訳)
※かつて小社刊『スーパーマン/バットマン』1~3に収録されたが、現在絶版。

DCコミックスは1985年から1986年にかけて行われた創立50周年記念イベント『クライシス・オン・インフィニット・アース』(以下『クライシス』)で、それまでの世界観をいったんリセットし、新たな設定で再出発した。そしてスーパーマンの新しいオリジンを定義するために、ここに収録された『マン・オブ・スティール』が刊行された。担当したのはマーベルの『X-MEN』のブレイクを支えた、当時のトップ作家ジョン・バーンである。本エピソードは全6号のシリーズの第3号で、『クライシス』後の時間軸におけるスーパーマンとバットマンの初対面を描いている。スーパーマンに肺活量の限界があったり、バットモービルの形状が普通の車両だったりするのも、仕切り直しによる設定調整のためだ。シリーズとしては、ここに至るまでにスーパーマンの出生やロイス・レーンとの出会いが描かれ、この後レックス・ルーサーやビザロと対峙することになる。


③「どっちが勝つ? Who Would Win?」 PAGE 036
ジョー&ジャック・ケリー[作] エド・ベニス[画]
収録単行本『Superman/Batman Volume 12: Sorcerer Kings』(未邦訳)

このエピソードの初出誌『スーパーマン/バットマン』は2003年に創刊された。かつて二大ヒーローの共演を売りものにしていた雑誌『ワールズ・ファイネスト』の現代版といった趣で、立ち上げから2年ほどジェフ・ローブが固定ライターだったが、その後さまざまな作家が入れ替わり担当し、2011年まで続いた。コミックの歴史的に、スーパーマンとバットマンが初めて力を合わせて戦ったのは1952年の『スーパーマン』#76である。その記念すべきエピソードも、本シリーズの増刊『スーパーマン/バットマン・アニュアル』#1で語り直されていて、そちらを担当したのが、本エピソードのライターの一人であるジョー・ケリーだった。雑誌としての『スーパーマン/バットマン』は、2013年に『バットマン/スーパーマン』としてリニューアルされた。


④「対決 The Battle」 PAGE 052
ジェフ・ローブ[作] ジム・リー[画]
収録単行本『バットマン:ハッシュ 完全版(小社刊、定価:本体3,600円+税)

当時『バットマン:ロング・ハロウィーン』や『スーパーマン・フォー・オールシーズン』などの名作で注目を集めていたライターのジェフ・ローブと、久しぶりの月刊誌担当となったスーパースター級アーティストのジム・リーが組んだ、ハリウッドのブロックバスター映画的な娯楽大作こそ『バットマン:ハッシュ』だ。始まりはキラークロックの誘拐事件だった。そして彼の身代金を奪うキャットウーマンが現れ、何か違和感を覚えるバットマン。手掛かりを握るポイズン・アイビーを追ってメトロポリスに向かうが、そこで現れたのは、彼女に操られたスーパーマンだった……というのが本エピソードに至るあらすじである。PAGE 062で言及されるトミー・エリオットとは、ブルース・ウェインの幼なじみの外科医で、物語の序盤で重傷を負った彼を救い、命の恩人となった人物。


⑤『ジャスティス・リーグ:誕生』第2章 Justice League Part2 PAGE 075
ジェフ・ジョーンズ[作] ジム・リー[画]
収録単行本『ャスティス・リーグ:誕生(THE NEW 52!)(小社刊、定価:本体2,000円+税)

2011年に、DCコミックスは『クライシス』以来となる大規模な世界観のリセットを敢行した。そうして始まったのが“ニュー52”であり、真っ先に創刊された雑誌が『ジャスティス・リーグ』だった。本エピソードは第2号の中盤までの抜粋であり、新しいユニバースにおけるスーパーマンとバットマンの初対面が描かれている。ニュー52では“スーパーヒーロー”という存在が世界に現れるようになって、まだ間もない。第1号はゴッサムシティに出現した地球外生物を追うバットマンで幕を開ける。そこに現れたのがグリーンランタン。お互いに不信感を抱きながらも一緒に追跡を続けると、怪生物は謎の箱と“ダークサイド”という言葉を残して自爆してしまう。異星人であるスーパーマンとの関係を探ろうとメトロポリスに向かう二人。だがスーパーマンもすでに別の怪生物と一戦交えた後だった。そして彼も二人に疑いの目を向け、戦いが始まる……。


まず、「バットマン VS. スーパーマン:ベストバウト」を読んでから、小社既刊の作品を手に取るというのも、アメコミへの入り口にちょうどいいかもしれませんね。さて次はバットマンとスーパーマンの2人の戦いの歴史をShoPro Booksの既刊作品で振り返りたいと思います。




【特集②】
ShoPro Books作品で振り返る
“バットマン VS. スーパーマン” 

アメコミ史上に残るBvSの名勝負!
フランク・ミラー[作] クラウス・ジャンセン、リン・ヴァーリィ[画]
定価:本体3,800円+税

ゴッサムシティからバットマンが消えて10年。55歳のブルース・ウェインは、己の魂の呼びかけに突き動かされて復活を決意する。だが、東西冷戦期の混迷のなか、バットマンの復活はさまざまな波紋を投げかける……。名作『バットマン:ダークナイト・リターンズ』と続編『バットマン:ダークナイト・ストライクス・アゲイン』をまとめた決定版。なんといっても見どころは『ダークナイト・リターンズ』における、二人の対決だろう。アーマーをまとったバットマンが命を賭けてスーパーマンに挑む戦いは、全アメコミファン必見!


極寒の地での、死力を尽くした闘争!
マーク・ミラー[作] デイブ・ジョンソン/キリアン・プランケット[画]
定価:本体1,900円+税

パラレルワールドを舞台にした本作では、スーパーマンの乗った宇宙船はソ連の集団農場に墜落する。そして彼は労働者の代表として同志スターリン、社会主義、そしてワルシャワ条約の拡大のために終わりなき戦いを続けるのだ。驚くべき“もしも”の世界を描き切った、異色の傑作! この驚愕のDCユニバースでは、おなじみのキャラクターたちが思いも寄らぬ変化を遂げて登場する。もちろんバットマンもそんな一人。悲劇を抱えて生きる彼と、ロシアの英雄となったスーパーマンの運命がぶつかる凄惨な対決は、忘れられないものだ。


アース0×アース2!?
グレッグ・パック[作] ジェイ・リー他[画]
定価:本体2,000円+税

二つのユニバースで違う人生を歩んでいた二大ヒーローが交錯する! さらに、次元を超えて勢力を伸ばす恐るべきヴィランの影も……。DCコミックスの特徴である並行世界“マルチバース”を理解するのにうってつけの1冊。


スーパーヒーローたちの黄昏!
マーク・ウェイド[作] アレックス・ロス[画]
定価:本体3,400円+税

スーパーマンの引退した近未来の世界……そこは新世代の超人類が放埓に力をふるう混沌の地と化していた。数多くの見どころがある名作だが、スーパーマンとバットマンの信念の違いと、それを越える友情は感動を与えてくれる。


スーパーマンinゴッサム!
ボブ・ゲイル他[作] アレックス・マリーヴ他 [画]
定価:本体4,200円+税

本作に収録されている短編『訪問者』をぜひお読みいただきたい。震災で荒廃したゴッサムシティをスーパーマンが訪れるエピソードは、なぜスーパーマンとバットマンの両方がDCユニバースに必要かを教えてくれるだろう。


『バットマン VS. スーパーマン:ベストバウト』をきっかけに、上記であげた作品に触れれば、よりDCユニバースへの理解が深まるに違いありません。さて、ご存じのとおり、DCユニバースのキャラクターは、バットマン、スーパーマンだけではありません。そこで最後にShoPro BooksのDCユニバース既刊作品のご紹介です。


【特集③】
ShoPro Books作品で広がる“DCユニバース”

◆◆DCユニバース――ジャスティスの世界◆◆

重要キャラの誕生譚を一気読み!
グレッグ・パック他[作] リー・ウィークス他[画]
定価:本体1,200円+税

スーパーマン、バットマンをはじめとするジャスティス・リーグの主要メンバーはもちろん、ハーレイ・クイン、スーパーガール、さらにコンスタンティンまで! 映像化などでこれから話題になりそうなキャラクターたちの、コミックにおける最新オリジンが手軽に読める日本独自の編集版。初心者の方はまずここから、すでにご存じの方もぜひ再確認を。


真紅のスピードスター!
フランシス・マナプル[作・画] ブライアン・ブッチェラート[作・彩色]
定価:本体2,000円+税

セントラルシティの科学捜査官バリー・アレンはある夜、稲妻と化学薬品を浴び、世界最速の男になった。“スピードフォース”と呼ばれる異次元からエネルギーを得た彼は、正義の味方フラッシュとして世界を守る。フランシス・マナプルによる華麗なアートに注目!


エメラルドの射手!
アンディ・ディグル[作] ジョック[画]
定価:本体2,200円+税

軽薄な億万長者のオリバー・クイーンは、ある日裏切られ、絶海の孤島に置き去りにされた。過酷なサバイバル生活で何かが目覚めた彼を待つ、運命を変える決定的な事件とは? 近年注目度が急上昇しているグリーンアローのオリジンを、スタイリッシュなアートで描く。



◆◆DCユニバース――ヴィランの魅力◆◆


全員極悪の自殺部隊!
アダム・グラス[作] フェデリコ・ダロッチオ他[画]
定価:本体2,000円+税

スーサイド・スクワッド――それは刑期の短縮と引き換えに、政府の極秘任務に参加させられたスーパーヴィランの特殊部隊である。選ばれたのはデッドショット、ハーレイ・クインをはじめとする6人。そして彼らの最初の敵は……6万人の生体兵器だった! 命の価値はゼロ。倫理観もゼロ。暴力と死は日常茶飯事。仲間すら信用できない彼らを待つ運命は?


キュートでクレイジーな最凶ヒロイン!
アマンダ・コナー&ジミー・パルミオッティ[作] チャド・ハーディン他[画]
定価:本体2,200円+税

とあるビルを相続し、ブルックリンでの生活を満喫していたハーレイ・クイン。だが、その首に賞金がかけられていると知った殺し屋たちが、彼女を放っておくはずもなかった……。スーサイド・スクワッドの一員でもある人気キャラの魅力をたっぷり味わえる1冊!


vs悪の頂上決戦!
ジェフ・ジョーンズ[作] デイビッド・フィンチ[画]
定価:本体2,400円+税

善悪が逆転した並行世界からやってきた悪の組織クライム・シンジケート。世界への侵攻を開始した彼らは、その圧倒的な力によって服役中の犯罪者たちを解き放った。誰もがヒーローの到来を祈る絶望的な状況だが、彼らは姿を現さない。その時立ち上がったのは……!?


最後に、DCユニバースのヒーローの最新刊をご紹介して、今回はお開きにしたいと思います。

フラッシュ:ローグズの逆襲(THE NEW 52!)
フランシス・マナプル他[作]
マーカス・トゥ他[画]
定価:本体2,000円+税
◆好評発売中!◆

本書『フラッシュ:ローグズの逆襲(THE NEW 52!)』では、フラッシュのライバルであるスーパーヴィランチーム「ローグズ」が登場。セントラルシティを巻き込む壮絶なバトルをぜひお楽しみください。

それでは今回はこの辺で。また来週お会いしましょう! 


(協力:中沢俊介/文責:山口侘助)