2016年4月19日火曜日

黒人ヒーロー、ブラックパンサーの魅力

「アメコミ魂」をご覧の皆さま、こんにちは!

マーベル・シネマティック・ユニバース、今年の注目作『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』の公開まで残り10日間になりました!
予告編を見ると、気になるヒーローの姿が見られますね。ネコ科の猛獣を思わせる漆黒のボディスーツを身にまとったこのヒーロー、熱心なアメコミファンの方ならもちろんご存じですよね。そう、ブラックパンサーです。

近年、映画に取り入れられているカリやシラットなどの東南アジアの格闘技と、ネコ科の動物の動きをミックスしたような独特なアクションが特徴的で、本編ではどんな活躍を見せるのか、今から楽しみです。

さて、このブラックパンサー、どういうヒーローかというと、アフリカの秘境にある王国ワカンダの王にして科学者。超科学と超人的な肉体を武器に、王国への脅威に立ち向かいます。

黒人ヒーローですが、キャラクターを生み出したのはスタン・リーとジャック・カービーの白人コンビ。コミックに初登場したのは1966年です。

ファンタスティック・フォー#52に、ファンタスティック・フォーを罠にかける謎の敵として登場します。このときは、FFのメンバーたちを翻弄し、彼らを敗北寸前まで追い詰めました。

日本ではあまりなじみのないブラックパンサーですが、本国アメリカでは、とくに黒人のコミックファンの間で絶大な人気を得ています。 

2005年にスタートした『ブラックパンサー』誌の最初のストーリー・アーク(エピソードのまとまり)である『BLACK PANTHER: WHO IS THE BLACK PANTHER』のカバーには、ジギー・マーリ(※1)とアイス・キューブ(※2)がコメントを寄せています。
(※1)ボブ・マーリーの息子で、レゲエ・ミュージシャン
(※2)ラッパー、俳優。伝説的なヒップホップグループ、N.W.A.の元メンバー

このヒーローが、ブラックカルチャーのなかで強く支持されているということの一つの証明かも知れません。

さて、この度ShoPro Booksでは、この『BLACK PANTHER: WHO IS THE BLACK PANTHER』を『ブラックパンサー:暁の黒豹』として明日420日に発売します。
ブラックパンサー:暁の黒豹
レジナルド・ハドリン[作]
ジョン・ロミータJr.
定価:本体2,600円+税
◆2016年4月20日頃発売◆

本書は、1998年に創刊されたシリーズに続く2番目のシリーズです。1998年版シリーズが、平凡な白人の役人エバレット・ロスの視点から謎めいたアフリカの王を描く複雑な展開でカルト的な評価を受けたことに対して、本作では映像業界で長く活躍してきたレジナルド・ハドリンが脚本を務め、ジョン・ロミータ・Jr.のダイナミックな絵を活かし、キャラクターの成り立ちを盛り込みつつも最後の決戦まで一気に読ませるエンターテインメント色の強い作品になっています。

ハドリンはその後もブラックパンサーの脚本を務め、X-MENのイベント『ハウス・オブ・M』とのタイイン、X-MENとのクロスオーバー、マイノリティ系ヒーローと次々に共演するエピソード、“ブラックパンサーの結婚”と、その後ファンタスティック・フォーへの一時加入や代替わりなども経験しつつ、ハドリン担当期は2000年代後半を駆け抜けました。


今年、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』で映画デビューを飾ったブラックパンサーの単独映画の公開も決まっています。監督には『クリード チャンプを継ぐ男』のライアン・クーグラーを起用し、ブラックパンサー役には『ジェームス・ブラウン~最高の魂(ソウル)を持つ男~』で主演を務めたチャドウィック・ボーズマンが抜擢されました。


今後のマーベル・シネマティック・ユニバースでも重要な役割を果たしていくであろうブラックパンサー、ぜひコミックでその魅力を感じてもらい、映画も楽しんでもらえたらと思います。



さて、今週金曜日(4/22)、筆者がホストを務めるトークイベントが、新宿ネイキッドロフトで開かれます。当ブログでも折に触れて「アメコミと映画」について語ってきましたが(今回もですが……)、改めてトークイベントでアメコミ映画について語り倒そうと思います。2016年の最注目作、〝俺ちゃん〟が活躍するあの映画のこぼれ話なんかも……するかもしれません。

ご観覧を希望の方は以下の詳細から予約してください。

4月22日(金) 18時30分開場/19時開演
【予約】1,800円 【当日】2,300円(飲食別)
山口侘助 presents 「アメコミ魂」出張版!
白熱トークライブ「これからのアメコミ映画の話をしよう」 with 中沢俊介
【出演】山口侘助(ライター) 【ゲスト】中沢俊介(翻訳家)
「アメコミ魂」出張版と題して、アメコミ映画の歴史、前提となる基礎知識を解説した上で、これからのアメコミ映画についてブログ「アメコミ魂」の執筆を担当しているライター・山口侘助とアメコミ翻訳家の中沢俊介が三幕構成で語り尽くします。
《一幕》「アメコミと映画 歴史編」
前期/連続活劇(40~50年代)→中期/スーパーマン、バットマンの映画化、各社が制作したアメコミ映画(70年代後期~90年代)→現在/出版社スタジオのシネマティック・ユニバース展開(マーベル・シネマティック・ユニバース、DCエクステンデッド・ユニバース、その他)の流れを解説。
《二幕》『アメコミと映画 これからのアメコミ映画~シネマティック・ユニバース解説』
より具体的に、今のアメコミ映画のメイン潮流であるマーベル・シネマティック・ユニバース、DCエクステンデッド・ユニバースの、それぞれの特徴、今後の展開などを、予想を交えつつ紹介。
2大潮流から外れる、X-MENやデッドプール、非ヒーロー物(『シンシティ』、『300』など)などの映画作品や、ドラマ作品にも言及します。
《三幕目》「アメコミと映画 手法編」
アメコミを映画で描く際の手法の変化をエポックメイキングな作品をピックアップして紹介。
《終幕》プレゼント抽選会
筆者山口と中沢氏が色々なプレゼントを用意するのでお楽しみに。

それでは今週はこの辺で。また来週お会いしましょう!


(文責:山口侘助)