2016年11月22日火曜日

新刊『レッドフード:ロスト・デイズ』を楽しむための
担当編集が教える併読本ガイド


「アメコミ魂」をご覧の皆さま、こんにちは。『レッドフード:ロスト・デイズ』担当の山口です。

今回の記事は、7ヶ月ぶりに私が担当いたします!
(色々ありましたが、帰ってまいりました! ちなみに7ヶ月前は山口侘助名義でしたが……気になる方は下記の記事をご覧ください)

●「アメコミ魂」過去記事●
▶山口大介、初寄稿
デップー、今度は最凶のシンビオート・カーネイジと激突!

▶山口大介、最終登板
ファン必携! スヌーピーが3Dに生まれ変わるまでの軌跡
▶筆名・山口侘助にリニューアル
続々と映像化されるDCヒーローたちをドドンとご紹介!
▶山口侘助、突然の戦力外通告(笑)
DC学園ドラマ『ゴッサム・アカデミー』&学園映画特集


さて、バットファミリーのなかでも一、二を争う人気キャラクター、レッドフードことジェイソン・トッドが今回の主役です。

そもそも、二代目ロビンとしてバットマンのサイドキックを務めていた彼が、なぜ冷酷な自警団員(ヴィジランテ)へと変貌したのか――その秘められたエピソードが語られるのが、先週16日に発売された『レッドフード:ロスト・デイズ』です。

『レッドフード:ロスト・デイズ』
ジャド・ウィニック[作]
パブロ・ライモンディ、ジェレミー・ホーン[画]
定価:2,100円+税
◆好評発売中!◆

本書はミニシリーズ『レッドフード:ロスト・デイズ』#1-6をまとめたTPB(単行本)の邦訳版で、『バットマン:アンダー・ザ・レッドフード』の外伝(前日譚)に位置づけられる作品です。

ジョーカーに殺害されたと思われていたジェイソンが、タリア・アル・グールに保護されるところからストーリーは始まります。タリアの導きとラザラス・ピットの力によって活力を取り戻したジェイソンですが、彼は以前とはまったく違う人物となっていました。彼は復讐の鬼と化していたのです。

第一の標的はジョーカー。そして第二の標的はバットマン。彼にとって、自分を殺したジョーカーが生き続けていること、そしてその後も犠牲者が生まれていることが許せませんでした。その原因を作ったバットマンは、彼にとってみれば共犯者なのです。

復讐を果たすため、ジェイソンは自分に足りないものを補う修行の旅に出ます。バットマンの指導を受けたジェイソンに足りないもの、それは人を殺める技術。彼は裏社会の悪党たちに弟子入りし、彼らの技術を盗みながら粛正していきます。壮絶な旅路の果てに、彼は真紅の覆面(レッドフード)を被る決意をするのですが――詳しい内容は、是非、本書をお手に取ってお確かめください。



さて、先ほども軽く触れましたが、本書はバットマン史上に残る悲劇『バットマン:デス・イン・ザ・ファミリー』『バットマン:アンダー・ザ・レッドフード』の間をつなぐ重要エピソードです。他のヒーロー・コミックと比較してハードボイルドなストーリーは、もちろん単体で読んでも楽しめます。しかし、より深く楽しむには、この2冊と併せて読みたいところ。ということで、改めてポイントをおさらいしましょう。

まずは、『バットマン:デス・イン・ザ・ファミリー』から。

ここで描かれるのは、ジェイソン・トッドの死、そして、後に三代目ロビンとなるティム・ドレイクの活躍です。ジョーカーによって非業の死を遂げたジェイソン。この出来事は、『レッドフード:ロスト・デイズ』でも言及されています。ジェイソン・トッドが、復讐鬼レッドフードへと変貌した最大の動機が描かれるという点で、『レッドフード:ロスト・デイズ』を深く理解して楽しむためには必読の1冊といえるでしょう。
『バットマン:デス・イン・ザ・ファミリー』
ジム・スターリン、マーブ・ウルフマン[作]
ジム・アパロ[画]
定価:2,600円+税
◆好評発売中!◆
続けてもう1冊。『バットマン:アンダー・ザ・レッドフード』では、ゴッサムにバットマンとは正反対の正義を行使する自警団員レッドフードが現れたことで引き起こされる混乱が描かれます。ここまで触れてきた通り、その正体はジェイソン・トッド。元サイドキックの変わり果てた姿にバットマンは苦悩します。
『バットマン:アンダー・ザ・レッドフード』
ジャド・ウィニック[画]
ポール・リー、シェーン・デイビス他[画]
定価:3,200円+税
◆好評発売中!◆
『バットマン:デス・イン・ザ・ファミリー』『レッドフード:ロスト・デイズ』『バットマン:アンダー・ザ・レッドフード』と一連の流れで読むと、バットマンの世界観を語る上で外すことが出来ない重要キャラクター、レッドフードを深く理解できるハズです。

ちなみに『レッドフード:ロスト・デイズ』では、『バットマン:ハッシュ 完全版』につながる伏線も張られていますので、こちらを併読するのも一興かもしれません。
『バットマン:ハッシュ 完全版』
ジェフ・ローブ[作]
ジム・リー[画]
定価:3,600円+税
◆好評発売中!◆
と、ここまで、『レッドフード:ロスト・デイズ』と、同書を楽しむために併せて読みたい作品をご紹介してきましたが、小社からはレッドフード関連作をもう1タイトル刊行しております。今年9月発売の『レッドフード&アウトローズ(THE NEW 52!)』です。

『レッドフード&アウトローズ(THE NEW 52!)』
スコット・ロブデル[作]
ケネス・ロカフォート[画]
定価:本体2,200円+税
◆好評発売中!◆
本書はDCコミックスの一大リランチ「ニュー52!」に合わせて創刊された月刊誌『レッドフード&アウトローズ(THE NEW 52!)』#1-7をまとめたTPBを翻訳した作品になります。

自警活動の最中、事故に巻き込まれとある島に流れ着いたジェイソン。彼を介抱してくれたのは美しいタマラン星人(本書ではタマラン人と表記)の女性でした。スターファイヤーと名乗るその宇宙人と意気投合したジェイソンは新たな任務を見つけます。それはグリーンアローの元サイドキック、アーセナルを救出すること。

中東の某国に捕らえられたアーセナルを救出した後、彼らはヒーローチーム(?)「アウトローズ」を結成します。その名の通り、己の信念を貫き通すためなら法をも犯す無法者(アウトロー)チームの誕生です。

時を同じくして、邪悪な古代種族“無銘者(アンタイトルド)”と、ジェイソンを鍛え上げた神秘組織オール・カーストの間で戦争が勃発。ジェイソンらアウトローズは、その争いに否応もなく巻き込まれていきます。

本書の最大の見所は、美麗な筆致で描かれる激しいアクション。さらに、真紅の覆面(レッドフード)の裏に秘められたジェイソンの想いが明かされるエピソードも描かれ、読まれた方はきっとレッドフードのファンになるハズです。

ちなみに個人的には、レッドフードはDCコミックスのなかでハーレイ・クインと並んで映画向きのキャラクターだなと思っております。

一時期、映画『ジョン・ウィック』の監督コンビ、チャド・スタエルスキとデイビット・リーチがメガホンを執って映画化されるという噂が流れたことがありましたが、最近は音沙汰もありません。さじ加減を間違えたら古くさく見えてしまいそうな00年代風アクションを、見事に現代的にブラッシュアップした2人が演出するレッドフード……う~ん、見てみたいですね。

そういえば『ジョン・ウィック』は、作中に登場するテロップや、殺し屋たちのコミュニティをはじめとする独特の設定など、コミックからの影響を強く感じさせたことを思い出します。そう考えると、ますます「レッドフード映画化」の妄想が止まりません。ぜひ、DCエクステンデッド・ユニバースで『バットマン:アンダー・ザ・レッドフード』を映画化して、そこからスピンオフという流れでレッドフードの単独映画を制作してもらいたい、というのが私個人の切なる願いでございます。

……すみません。個人的な願望が暴走し始めてきたので、本日はこの辺で筆を置きたいと思います。

では皆さま、また来週お会いしましょう!(次回は新メンバーの鈴木絢子が担当します)



(文責:山口大介)


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