2017年5月16日火曜日

デッドプール、チームアップ作品の最新作!

「アメコミ魂」読者のみなさん、こんにちは!

長いゴールデンウィークもあっという間に終わり、ちょっとユーウツ・・・なんて方もいらっしゃるのではないでしょうか。いえいえ、お楽しみはこれからです! ということで、そんな落ち込み気分を吹き飛ばすべく、今週もアメコミの最新情報をご紹介していきます。

ゴールデンウィークといえば、私は、いま東京・六本木で開催中の「マーベル展」に行ってきました。連休中とあって大盛況! 日本初のマーベル総合展ということで、いくつかのテーマによる展示で構成され、ライトなアメコミファンから熱狂的ファンまで幅広い方々が楽しめる内容になっていました。個人的に最も興味深かったのは、1930年~60年代の貴重な原画とアートが見られたこと。いま見ても全然古くさくない。というか、何十年たった今でも斬新でクールなその絵づくりに改めて感銘を受けました。

そして、先週末12日(金)には、映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』が公開されました。大ヒット作の第2弾とあって注目されていますが、この個性豊かなキャラクターたちは発売中のコミック『ガーディアンズ:チームアップ2』でも登場していますので、こちらもぜひお楽しみください。

さて、そんなマーベルの中でも最近とくに人気の高いキャラクターが、デッドプール。昨年からいくつものタイトルを刊行していますが、その最新作『デッドプール VS. ガンビット』が発売中です。他のシリーズ作との関連性は低いので、本書からスタートしてもすんなりとストーリーが理解できます。

『デッドプール VS. ガンビット』
ベン・アッカー&ベン・ブラッカー[作]
ダニーロ・ベイルース[画]
定価:本体1,800円+税
●好評発売中●


本作ではタイトルにあるとおり、マーベルファンにお馴染みのデッドプールとガンビットのコンビが活躍します。
デッドプールについては、みなさんの多くにはもはや説明は不要かもしれませんが、ガンビットとあわせて紹介します。

【デッドプール】
本名はウェイド・ウィルソン。傷ついても驚異的な再生能力で復活し、殺人を躊躇しない冷酷な性格の傭兵。初登場は1991年2月月号『ニューミュータンツ』#98で、善悪に偏らないトリックスターのようなキャラクター。

【ガンビット】
本名は、レミー・ルボー。世界的に暗躍する盗賊。トランプなど手にした物体にエネルギーをチャージすることができ、様々なアイテムを爆発させることができる特殊能力を持つ。

ガンビットは優男とあって外見がわりと一般人と変わりなく普通なので、存在感に乏しい、なんて思われがちですが、これがなかなかのクセモノ。
実はX-MENの一人で、最もハンサムな上に口が達者なミュータントなのです。この個性が遺憾なく発揮された時、彼の魅力が爆発することとなります。

彼の初登場は『アンキャニーX-MEN』#266(1990年8月)。90年代はローグの恋人として有名であり、とくに女性読者の間で人気が高かった。魔人アポカリプスやミスター・シニスターの部下となって、X-MENと戦ったこともある。
実写版としては、2009年の映画『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』では、テイラー・キッチュがガンビット役を演じていた。

※以上、翻訳者・高木亮さんによる本書解説から抜粋。


こんな“饒舌な傭兵”と“イケメン盗賊”が繰り広げる本書のあらすじを紹介します。

【あらすじ】
デッドプールとガンビット、実はこの二人、こっそり手を組んで詐欺をはたらいた“共犯者”だった。相容れない性格の二人がしぶしぶ手を結び、乗り出したのはドデカイ詐欺! 
正体不明でつかみどころのない怪しい紳士の雇い主から指令を受けた二人は、中国人の実業家からお宝を盗もうと画策する。こんなのいたって楽勝!の計画のはずが、そうは問屋が卸さない。実業家の思わぬ攻撃に合い、二人の息も合わず、そこにパワーを“かく乱する”能力をもつミュータント・スクランブラーも現れて・・・。はたして最悪の共犯者にして、マーベル最高の詐欺師二人は最高のタッグになれるのか?
 
本作の一番の見どころは、よくしゃべる二人の“迷コンビ”ぶりです。

「裏切られた!」と勝手に思い込んでは、相手への復讐心を燃やして街じゅうを巻き込んでの激しい戦いを繰り広げたかと思えば、共通の敵を倒すために連携プレーを試みたり。はたまた顔を突き合わせれば、お互いを罵り始めて・・・。こんな繰り返しが続いていきます。計画をともに遂行していくコンビとは思えないデコボコぶりが際立っていて、一体どうなることやらと、ハラハラさせられます。
 
本書ナレーションでも、「アクションシーンを期待してる?」。「悪いが、これは詐欺師の話だ。アクションシーンなんかない」とあるとおり、これはちょっと言い過ぎかもしれませんが、セリフの応酬が大きな魅力となっています。

例えば、
デッドプール:「さっきのタックルは痛かったぞ」
ガンビット:「我慢しろ」
ガンビット:「もっと痛くなるぞ」
デッドプール:「やめてくれよ。楽なヤツがいい」

というふうに、いつ終わるともしれない堂々めぐりの会話が続いては、それぞれがボケたりツッコんだりと、まるでベテラン漫才師の丁々発止のやりとりを見ているかのようです。そのスピード感、緊張感はクセになる面白さで、とても新鮮です。

もちろん、この迂回しがちなストーリー展開を支え面白くしているのは、やっぱりデッドプールのクソヒーローぶりで、今回も「オレちゃん」のデッドプール節が健在なのもうれしい限りです。

とは言っても、アクションシーンもきちんと充実しています。

デッドプールとガンビットそれぞれの能力を発揮するシーンはもちろん見せ場としてありますが、日本の少年マンガに登場するような「~拳」なる武術のワザがたっぷりと展開されます。「えっ! これ、アメコミ?」と驚きつつも、「これは痛そう!」と感じさせるアクションの数々はアメコミにはちょっと珍しく、ここが見どころの一つとなっています

このほかにも、『マトリックス』、『ファイトクラブ』、『ダーティ・ダンシング』など熱狂的なファンを持つ映画を意識したシーンやセリフがポンポン飛び出します。加えて、ガンビットとの戦闘中にデッドプールが楽しげにデスティニーズ・チャイルドの『サバイバー』を歌い続ける場面は、彼の趣味が全開。ヒーローの隠された一面を垣間見るようで個人的にツボにはまりました(笑)。こういったいろいろな作品からの引用や批評もデッドプール作品ならではの面白さです。

本書では、個性豊かなキャラクターを擁するマーベル作品をもっと広く知っていただきたい、との編集部の思いから、カンフーヒーローの活躍を描く『イモータル・アイアンフィスト』を13ページ分、試し読みできるよう特典として付いています。こちらもあわせてお楽しみください。

弊社では、デッドプールとのチームアップ作品をこれまでに4冊刊行しています。
この最近作が『デッドプール&ケーブル:スプリット・セカンド』です。





ケーブルというキャラクターについて簡単に紹介しておきます。
本名はネイサン(ネイト)・サマーズ。彼はX-MENのサイクロップスと、X-MENのジーン・グレイのクローンである、マデリーン・プライアーのあいだに生まれるが、アポカリプスによって特殊な病気に感染させられてしまう。
彼はその治療のために未来に送り出され、成長したのちに1991年3月号『ニューミュータンツ』#87でもとの世界に戻り、未来を守るために戦うミュータントとなる。

【あらすじ】
ある男の死によって引き起こされる恐るべき未来を予見したケーブル。ケーブルがその男を守ろうと決意する一方、同じ男を殺すために“ある男”が近づく・・・。デッドプールは果たして相棒なのか!? 活劇と時間旅行のトリックに満ちた大騒動の始まりだ!

そして、来月下旬には、デッドプールとエイリアン共生体との合体を描いた注目作品『デッドプール:バック・イン・ブラック』が発売予定です!

1984年の『マーベル・スーパーヒーローズ・シークレット・ウォーズ』において、デッドプールが遭遇したエイリアン共生体は、スパイダーマンの漆黒のコスチュームとなり、最終的にはヴェノムとなった。ところで、その共生体がエディ・ブロックと出会う前に、実はデッドプールと合体していた! ブラック・コスチュームのスパイダーマンまで現れて、驚きの大事件が起こる。

今後もデッドプール作品から目が離せません。こちらもぜひお楽しみに!

それでは、また来週お会いしましょう。

(文責:木川)