2018年6月19日火曜日

シリーズ最高傑作『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』本日発売

アメコミ魂をご覧の皆さま、こんにちは!
今月29日にいよいよりSWスピン・オフ作品第2弾『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』が公開になります。

アメリカでは当初期待されていたほどの興行収入をあげられていないなどのネガティブな情報も入ってきていましたが、先週行われたジャパン・プレミアム&レッドカーペットに参加した人のTweetを見てると、「不安を吹き飛ばす内容だった」とかなり絶賛されているようなので安心しました。

個人的には、オールデン・エアエンライクがどんなハン・ソロを演じるのか、「ゲーム・オブ・スローンズ」でドラゴンの母・デナーリスを演じたエミリア・クラークの役回り、そして「結末がビックリらしい」と誰かが言っていたので、その辺りに注目して観たいと思います。

さて、ハン・ソロが待ち遠しいスター・ウォーズですが、SWスピン・オフ第1弾作品にして、いまだファンの間でSW史上最高傑作の呼び声が高いのが『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』です。

そんなローグ・ワンの待望のコミックがいよいよ発売されます!

ジョディ・ハウザー他[作]
エミリオ・レイソー他[画]
定価:本体2,200円+税
●2018年06月20日頃発売●


本日のアメコミ魂では、ローグ・ワンの人気の秘密を改めて考察するとともに、コミック版ならではの見どころをお伝えしたいと思います。


映画ローグ・ワンの魅力


「シリーズ最高傑作」「泣けるスター・ウォーズ」

映画が公開されたとき多くのファンが大絶賛しましたが、なぜあれほどまでにローグ・ワンは多くの人の気持ちを打ったのでしょうか。

SW作品にしてはそこまで派手なスペースバトルがあるわけでもなく、またジェダイとシスの超人的なバトルシーンもありません。

個人的にはローグ・ワンは2017年映画「ダンケルク」に近い、とても淡々とした印象を持ってます。

ルーカスフィルム・ストーリー部門のキリ・ハート氏も、「ローグ・ワンの最初のプロットを見たとき、第二次世界大戦にとても近い雰囲気を感じた」とインタビューで語っています。

二つの映画に共通する要素は何でしょうか。

それは"リアリティ"だと私は思います。

さらにその"リアリティ"の中身は、2つあると思います。

一つは、活躍するのが我々と同じ"普通の人間"であるということです。

確かに、我々一般人にない特殊能力を持ったスーパーヒーロー(ジェダイもそうです)の活躍は見ていてスカッとします。

しかし、人の心を打つのは「普通の人間が英雄的な行動をとったとき」だと思います。
普通の人が何かを犠牲にして頑張る、そこに人は尊さを感じ、感動するのではないでしょうか。

"リアリティ"の二つ目は、「反乱同盟軍はただ"善"ではなく、帝国軍もただ"悪"ではない」という点です。

ローグ・ワンで、ジンを騙して彼女の父であるゲイレン・アーソを殺すのは同盟軍の戦闘機です。
また、ヤヴィン4でローグ・ワンを結成する際にキャシアン・アンドーが語ったように、彼ら同盟軍情報将校達は、スパイ、破壊工作、暗殺など、反乱同盟軍のために数々の汚い仕事に手を染めてきました。

反乱同盟軍といえばレイア姫の持つ高潔なイメージが強いですが、その裏では数々の醜い現実があるのです。

一方帝国軍といえば、皇帝やダース・ベイダー、ターキン総督が持つ冷酷で非人間的な印象が強いです。
しかし本作で描かれた帝国軍兵士は、帝国に反旗を翻したゲイレン・アーソやボディー・ルックはもちろんのこと、帝国のためにデス・スター開発に邁進するオーソン・クレニックも、極めて人間くさい人物として描かれています。

善悪二元論で線引きできるほど世界は単純じゃない。
そんな"リアリティ"が、ローグ・ワンに人が共感する理由だと思います。


映画の魅力を見事に再現したコミック


このような映画の魅力は、コミックでも存分に発揮されてます。

例えば、主人公のジンが同盟軍最高司令部モン・モスマからソウ・ゲレロとの仲介役を頼まれるシーンで、父親が帝国の兵器開発をしていることについてどう思うか尋ねられた際、ジンは「政治的なことなんて考える余裕はなかった」と答えます。

また、ジンの同じ考え方が分かるシーンとして、ソウ・ゲレロから「帝国の旗が銀河全域にはためいてもいいのか?」と聞かれて「旗を見なければいいのよ」とにべもなく答える場面があります。

他のSWシリーズの主人公だったら、ルークにしても、アナキンにしても、レイにしても皆、自分の正義や主義主張を明確に持っていますが、ジンは政治的主張に無頓着です。

しかし、現実の私達の世界を見れば、むしろこちらの方が普通ではないでしょうか。

また、"普通の人"ということでいえば、バリバリの反乱軍情報将校であるキャシアン・アンドーですら同じです。

イードゥーでジンの父親であるゲイレン・アーソを殺そうとしたことをジンに詰られた際に、「いつどこで何をするか、誰もが自分で決められるわけじゃない」と反論します。

他のSWシリーズ、否それに留まらず多くの映画やコミックスやテレビドラマなど全般的に、登場人物は大抵自分の目的(それが善であれ悪であれ)を明確に持っていて、その目的に向けて行動します。

しかしこれも、私達の現実の世界を見ると、自分の目的を明確に持ってそのために行動する(できる)人の方が少数だと思います。

このようなリアルな人間らしい葛藤を抱えているのは帝国軍の人間も同じです。

デス・スターがジェダを破壊し見事テストに合格した際、開発責任者のオーソン・クレニックは「この成功は私の成功だ!あなたのじゃない!」とターキン総督に叫びます。

クレニック長官は自分の目的のためには大勢の命を何とも思わない冷酷で身勝手な人物です。
しかしそんな彼も見方を変えれば、デス・スター計画の現場責任者として、文字どおり自分の命を削って持てる能力と努力の全てを注ぎ込んできたといっても過言ではありません。

そんな彼だからこそ、その功績をターキン総督に横取りされそうになって思わず声をあげずにいられなかったのでしょう。
そこには善も悪もない、極めて人間らしい感情を持った普通の人間だけがいて、分かり易い"悪の権化"がいるわけではありません。


コミック・オリジナルシーン


このように映画の魅力を損なわず見事に再現しているコミック版ローグ・ワンですが、単なる映画のコピーではありません。

コミック版ならではの魅力としてまず、映画には描かれてない重要ないくつかのシーンがコミックには載っています。

例えば、冒頭、映画ではカットされたゲイレン・アーソがボディー・ルックにメッセージを託すシーンが描かれています。

また、イードゥーでボディー・ルックとK-2SOが帝国の貨物船を盗むため走っているシーンがあります。ここでボディー・ルックはK-2SOに「俺たちは同類だ。二人とも帝国の紋章付きだ。」と、二人のアイデンティティを端的に表現した重要なセリフを、象徴的なカットとともに語ります。

また、このやり取りを受けて、スカリフ上空でK-2SOがボディー・ルックに対し「再プログラムがうまくいってるなら、勇敢に戦えるはず」と励ますセリフは、ボディー・ルックだけでなくK-2SO自身にも当てはまる内容になってます。

他にもオリジナルシーンがいくつもあるので、映画と見比べて見ると面白いでしょう。


コミック版の演出


オリジナルシーン以外にも、コミックでは独自の演出が随所に施されていて、単なる映画アダプテーションを超えたコミック媒体ならではの作品として仕上がっています。

エピソードⅣオープニング・クロール

ローグ・ワンは、『スター・ウォーズ/新たなる希望』のたった数行のオープニング・クロールの文章からインスパイアされたという話は有名です。

コミック版ローグ・ワンでは、レイア姫がディスクを受け取った後、ページをめくると1ページまるまるエピソードⅣのオープニング・クロールが描かれて物語が終わってます。

この映画にはない演出で、ローグ・ワンとエピソードⅣが一続きの物語だと実感できます。


生死の問題

前半、ボーディー・ルックの亡命とデス・スター開発という極秘情報をもたらした内通者(ソウ・ゲレロの部下)をキャシアン・アンドーが殺して逃げる際、キャシアンは「まさに生死の問題だ」とつぶやくシーンがあります。

ここはコミックならではの演出が施されたシーンとなっています。

映画では、「内通者殺害」→「ボーディー・ルックの亡命」という順序になっていましたが、コミックでは「ボーディー・ルックの亡命」→「内通者殺害」と入れ替わってます。確かにこの流れの方が、時系列どおりで分かりやすいです。
また、ページを見返してみると、ボーディー・ルックがソウ・ゲレロの手下に捕まったシーンで、キャシアン・アンドーに情報をもたらした内通者が後ろの方にいることがはっきり確認できます。

また、キャシアンの「まさに生死の問題だ」というセリフは、投降の際ボーディー・ルックがソウ・ゲレロの手下に言った「これは(同盟軍全体の)生きるか死ぬかの問題だ」というセリフと符号させることで、内通者一人の命の問題と、同盟軍全体の命運がかかった問題を天秤にかけてます。

つまり、同盟軍全体のためなら人一人の命など何とも思わない、ということです。

このシーン(内通者を殺してキャシアンが壁を登って逃げるシーン)ですが、映画と違ってコミックでは、上から俯瞰した構図になっていて、手前のキャシアンは暗い影になっていて、光の当たる地上には、内通者とストームトルーパーが倒れている様子が描かれてます。

ここでコミック作家陣のジョディー・ハウザーとエミリオ・レイソーが示そうとした意図は、自分達の全体利益のためなら味方も敵も等しく殺す同盟軍は、決して善だけの存在ではない、という厳然たるリアリティだと思います。


爆撃に巻き込まれるクレニック長官を描いたコマ割り

イードゥーで、同盟軍の爆撃に巻き込まれクレニック長官が倒れるシーンは、同時にゲイレン・アーソが死ぬ場面でもあります。

ここで、爆撃で火の海となっている過酷な現実のシーンと、クレニック長官から見たゲイレン・アーソとの思い出を回想するシーンが、全く同じ長方形のコマ割りで交互に淡々と描かれます。

このシーン、映画ではゲイレン・アーソの死にスポットが当たっていましたが、コミックではむしろクレニックの心情に視線が向けられています。

面白いのは、映画でゲイレン・アーソから見たクレニックという人物は、自己中心的でゲイレン・アーソの人生を狂わせた悪人でしたが、クレニックから見ると、二人は良き同僚で良きビジネスパートナーだと考えていたことがコミックのこのシーンで分かります。

クレニックにとって、過去の二人は大変良好な関係で幸せな時代として映り、一方現在は、同盟軍の爆撃に巻き込まれ、またこの後すぐ報告のためダース・ベイダーのいるムスタファーへ移動しなければならないという慌ただしい身で、息をつく間もない過酷な状況です。

「なぜこんなことになってしまったのか……」
クレニック長官の悔恨、悲しみがひしひしと伝わってくる、そんな演出がこのコマ割りから感じられます。


ダース・ベイダーの登場シーンは"赤"

コミック独自の演出としてページのカラーリングがあります。基本、見開き単位またはページ単位で同系色でまとめることで、ページをぱっと開いた瞬間ごちゃごちゃした印象を与えず、また色彩の持つイメージ(色彩心理)からそのシーンの雰囲気を読者に伝えます。

例えば同じ宇宙船の船内でも、キャシアン・アンドーの船内は茶色を基調としてどこか温かみがあり(P30-31)、一方ページをめくったP32-33のターキン総督とクレニック長官が乗るスター・デストロイヤーの船内は寒色系を基調とした冷たく機械的な印象を読者に与えます。

そんなカラーリング演出が最大に効いているのがダース・ベイダーの登場シーンです。

ご存じの通り本作でダース・ベイダーの登場シーンは2回あります。ムスタファーでクレニック長官の報告を聞くシーンと、同盟軍の船に乗り込みライトセーバーで無双するラストのシーンです。

この両シーン、どちらも"赤"が基調です。

"赤"が持つ色彩イメージに「危険」「緊張」があります。
ダース・ベイダーの登場シーンを赤くすることで、クレニック長官、または同盟軍兵士から見たダース・ベイダーの圧倒的威圧感が表現されています。


ローグ・ワンにつながる重要短編も収録


本書は、本編『ローグ・ワン』とともに、本編につながる重要な前日譚となる『キャシアン&K-2SOスペシャル』の読み切り作品も同時収録されてます。

こちらは、キャシアン・アンドーとK-2SOの出会いを中心に描いており、ページ数も36Pと大変読み応えのある内容となってます。

K-2SOは「思ったことをすぐに口に出す」「悲観的な状況をパーセンテージで正確に言う」という性格が特徴的で、ローグ・ワンで一躍人気を博したドロイドです。
彼がどうしてこんな性格になったのか、本書でその原因の一端が読み解けます。

また本短編は、ローグ・ワンはもとよりSW全体に関わる重要な設定に少し関わってます。

「デス・スター開発の遅れ」というエピソードは、レジェンズ作品ではたびたび語られた題材です。ルーカス・フィルムのディズニー買収後、これらの設定がカノン(正史)でどう扱われるか不明でしたが、本書ローグ・ワンで、クレニック長官がターキン総督に対し「セキュリティ問題がデス・スターの開発を送らせている」ことに言及していることで、その設定がカノンでも生きていることが分かります。

本短編でキャシアンは、帝国のセキュリティ・プロトコルを入手するために辺境のコロニーズに訪れ、最終的に成功します。(※どのように成功したかは本書を読んで確かめてください。)
ここで語られた「セキュリティ・プロトコルの取得」が、「デス・スター開発の遅れ」の一因となり、ローグ・ワン本編で語られる「デス・スター設計図の奪取」につながり、最終的にエピソードⅣへと発展していくのです。

そう考えると、この短編の重要性が分かります。


……以上、見どころ満載の本書は、映画『ローグ・ワン』を観てない人はもちろん、観た人にも改めて読んでいただきたい作品です。
長文になってしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございました!
今週はこの辺りで。来週もまたお会いしましょう。

(文責:小出)

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2018年6月12日火曜日

日本が世界に放つ!『ニンジャバットマン』の魅力

アメコミ魂をご覧の皆さま、こんにちは。
6月に入ってじめじめした天気が続き、気分もすっかり滅入ってしまいますね。
しかしアメコミファンにとっては、6月は『デッドプール2』(6月1日公開)、『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』(6月29日公開)と痛快な映画が続くので、楽しみにしている方も多いでしょう。

ところで皆さん、6月はもう一本、『ニンジャバットマン』(6月15日公開)という痛快アメコミ映画があるのをお忘れじゃあないですか?

実は私、ワーナーの試写にお邪魔して一足先に拝見させていただいたんですが、いやー最高!あなたたちスゴイよ!という出来映えでした。
一流の職人さん達による、細部まで手の込んだ伝統工芸を心ゆくまで堪能させていただいた、そんな気分です。

今日はそんな『ニンジャバットマン』の魅力を、ワーナーさんの情報解禁ポリシーにしたがって、ネタバレなしにご紹介させていただこうと思います。

BATMAN and all related characters and elements © & ™ DC Comics.
© 2018 Warner Bros. Entertainment All rights reserved.


『ニンジャバットマン』企画のなりたち


そもそも『ニンジャバットマン』を製作したワーナーは、ハリウッドスタジオの中でも各国の文化や特性にあった作品を作ることで定評があります。

そんな中、ワーナーグループ(バットマンの版元であるDCコミックスもその傘下です)のプロパティを使って、日本が世界に誇るアニメーションで表現しようということから本作の企画がスタートしました。

そしてDCキャラクターと日本カルチャーをミックスしたときに、どんな組み合わせが世界中のファンを熱狂させる最高の化学反応を引き起こすか検討する中で、"忍者×バットマン"という、今までありそうでなかった目から鱗のコンセプトが生まれたのです。

この前代未聞の企画を成功させるため、キャラクターデザインに『アフロサムライ』の岡崎能士氏、脚本に『天元突破グレンラガン』の劇団☆新幹線の中島かずき氏、そして映像には『ジョジョの奇妙な冒険』OP映像で世界の度肝を抜いた水﨑淳平監督率いる神風動画という、まさに侍ジャパン!ともいうべきクリエイター陣がここに集結したのです。

日本を代表するアニメクリエイター達がバットマンをどう料理するのか?

日本のみならず世界中のバットマンファンが関心を持つところです。
バットマンといえば、クリストファー・ノーラン監督のダークナイト トリロジーをはじめ「暗い」「重い」といったイメージがどうしてもありますが、本作はエンターテイメント方向に思いっきり舵を切った「奇想天外で」「驚きに満ちた」全く新しいバットマン世界となってます。

もしかしたら「こんなのバットマンじゃねぇ」と思う人もいるかもしれませんが、逆にこれまでのバットマンと同じものを作るのであれば、わざわざ日本のアニメクリエイター陣が手掛ける必要はないともいえるでしょう。

ぜひ頭を空っぽにして劇場に足を運んでいただいたら、この夏一番の痛快エンターテイメントを満喫できると思いますよ!


 ヴィラン達が日本の戦国大名に


本作は、2Dタッチの3Dでほぼ作られていて、2Dの味わいと3Dの奥行き感が絶妙にミックスされ、また細部まで描きこまれた映像のクオリティは必見です。特に、温帯湿潤気候の日本らしい複雑な空の色彩と雲の形が美しいなぁと思いました。

しかし個人的には、それより何より本作の一番の魅力は、設定だと思います。

時は戦国、最強の愉快犯<ジョーカー>による歴史改変を阻止するため、<バットマン>はすべての武器を失い、それでもなお立ち向かう――。

ゴッサムシティのヴィランたちが戦国時代の日本にタイムスリップした。
現代テクノロジーから切り離されたバットマンは、戦国大名となって群雄割拠するヴィランたちの歴史改変を阻止できるのか?
日本と世界の歴史を賭け、時空を超えた壮大な戦が幕を開ける!

この設定だけでも「この映画絶対面白い!」と思ってしまいます。

特に、ヴィラン達が日本の戦国大名になる、というアイデアが面白いと思いました。誰が誰になっているのか簡単に見てみましょう!

■ジョーカー=織田信長
"第六天魔王"と呼ばれ安土城天守にいるジョーカーは、天下統一間近の織田信長という設定になってます。"狂気の道化師"であるジョーカーは、南蛮渡来のマントをはおって時に残忍な行動をとった織田信長と共通するところがありますね。

■ペンギン=武田信玄
甲斐領主であり、"はやきこと鳥の如く"wwと本物のペンギン達を部下にして戦うペンギンは、武田信玄です。ペンギンと武田信玄の共通点は「太っている」「大物感」ぐらいしか思いつきませんが……。

■ポイズン・アイビー=上杉謙信
越後の領主ポイズン・アイビーは上杉謙信です。二人の共通点として、実は「上杉謙信女性説」というのがあります。男性を好み、婦人病を患っていたというのが根拠です。毘沙門天という宗教のために戦争する上杉謙信は今でいう「テロリスト」であり、「エコテロリスト」ポイズン・アイビーと似てるといえば似てますね。

■デスストローク=伊達政宗
隻眼のヒットマンであるデスストロークは、同じく隻眼で、大阪夏の陣で騎馬鉄砲隊で活躍した伊達政宗となってます。作中でデスストロークは、伊達政宗の三日月形の前立ての付いた兜を被ってます。

■ゴリラ・グロッド=豊臣秀吉
両方"サル"だからでしょう。
作中でゴリラ・グロッドは、豊臣秀吉と同じ、日輪が放射状に広がる飾りの付いた兜を被ります。

■トゥーフェイス=石田光成or浅井長政
近江領主トゥーフェイスは、「元検事=インテリ」という点でいえば、優秀な官僚で近江・佐和山城主の石田三成、または「二面性」ということでいえば、織田信長を裏切った近江・小谷城主の浅井長政でしょうか。

……他にも○○が虚無僧に扮してたり、バットケイブが○○だったり、バットマン世界が日本の戦国時代にどう放り込まれてるか、注意して見ていただけたら楽しいと思いますよ!


おすすめ!バットマン・コミックス


最後に、『ニンジャバットマン』を見てバットマンに興味を持った人にお薦めしたい邦訳バットマン・コミックスをご紹介します。

『バットマン:ノーマンズ・ランド』

ペンギン、トゥーフェイス、ジョーカーらヴィラン達が群雄割拠して縄張り争いを繰り広げるという設定が面白かった方には、バットマンを代表する一大巨編『バットマン:ノーマンズ・ランド』がお薦めです。

ボブ・ゲイル他[作]
アレックス・マリーブ他[画]
定価:本体4,200円+税
●好評発売中●

1999年の作品で、無法地帯となったゴッサムシティを舞台にヴィラン達、バットマンとその仲間達、元ゴッサム市警が三つ巴となって血で血を洗う抗争を繰り広げる物語となっていて、これを読めばあなたもバットマン博士になれる!と言えるぐらい読み応えのある作品です。

『バットマン:ノーマンズ・ランド』については、先週の「アメコミ魂」でも詳しく取り上げたので良かったらご覧ください。


『バットマン:キリングジョーク完全版

ジョーカーのサイコパスな魅力に惹かれた方は、ジョーカー誕生譚を描いた『バットマン:キリングジョーク』がお薦めです。

アラン・ムーア[作]
ブライアン・ボランド[画]
定価:本体1,800円+税
●好評発売中●

「ジョーカーは最初からジョーカーだったわけではない。」

ジョーカーの「過去」の悲哀を知ると、「現在」の狂気が物悲しく見えたりもします。

作家陣は、『ウォッチメン』や『Vフォー・ヴェンデッタ』などアメコミ界に数々の金字塔を打ち立てた巨匠アラン・ムーアと、イギリスを代表するコミック・アーティストのブライアン・ボランドのコンビで、1988年に発表された本作はバットマンを代表する作品の一つとなってます。


『バットマン:アイ・アム・ゴッサム』

どうせならバットマンの最新シリーズを読みたいという方には、2016年に発表されたDCリバース版バットマンの第1巻『バットマン:アイ・アム・ゴッサム』がお薦めです。

トム・キング、スコット・スナイダー他[作]
デイビッド・フィンチ、マイク・ジャニン他[画]
定価:本体2,300円+税
●好評発売中●

最近制作されたシリーズなので、先の2作品に比べ絵柄が緻密でコマ割りも動きがあり、全体的に今風な画になっていて読みやすいです。

また、バットマンの魅力の一つといえば、ブルース・ウェインが金に物言わせて揃えた最新テクの数々ですが、『ニンジャバットマン』同様、本作でもバットモービル(自動車)、バットポット(バイク)、バットウィング(飛行機)が緻密な絵柄で登場し楽しませてくれます。


……以上、今週の「アメコミ魂」は6/15公開の『ニンジャバットマン』とバットマン関連コミックスについて書かせていただきました。では来週もお会いしましょう!

(文責:小出)

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2018年6月5日火曜日

『バットマン:ノーマンズ・ランド全巻セット』でアメコミの醍醐味を味わおう!


“人は極限状況においてこそ、その真価を試される。平和な日常において、愛や正義や理想を語るのは簡単である。
けれど、日常の仮面が剥がれ落ち非日常へと変貌した時、人はどんな理想を語り、どんな行動をとるのか?

「ノーマンズ・ランド」は人間という存在の本質を我々に問いかけるドラマでもあるのだ。” ~『バットマン:ノーマンズ・ランド3』解説より抜粋(高木 亮)

「アメコミ魂」をご覧の皆さま、こんにちは!
新刊発売のない今週は、いつものアメコミ魂と趣向を変えて、ShoPro Books公式通販で販売している、『バットマン:ノーマンズ・ランド全巻セット』の魅力をまとめた記事(前編)をお届けします。


ところで、ShoPro Booksの通販サイト『ShoPro Books STORE』、皆さまご存じでしょうか?
この通販サイトでは各種アメコミ全巻セットを"ここでしか手に入らない"購入特典付きで販売しておりますが、これまで一番多く売れたセットが『バットマン:ノーマンズ・ランド全巻セット』なんです。
そこで本日はその魅力を深掘りしたいと思います。

(※なお、後編を含む記事全編は、『ShoPro Books STORE』ブログに掲載しております。)

魅力1 総ページ数2000P超!バットマン代表作の一つ


長い歴史を誇るバットマンには、フランク・ミラーの『バットマン: ダークナイト・リターンズ』(1986-87)や『バットマン:イヤーワン』 (1987)、アラン・ムーアの『バットマン:キリングジョーク』(1998)、チャック・ディクソン他の『Batman: Knightfall』(1993)など、名作と呼ばれる作品がいくつかあります。
(※『バットマン: ダークナイト・リターンズ』『バットマン:キリングジョーク』はShoPro Booksから邦訳本が出てますので、機会があればぜひお読みください。)

これ以外にもTHE NEW 52!シリーズなどバットマンには素晴らしいタイトルが数多くあり、正直どれから読んでいいか迷うところですが、グレッグ・ルッカらが手掛けたこの『ノーマンズ・ランド』もバットマン史を語る上で絶対に外せない一大巨編と言えるでしょう。

その概略を簡単に説明すると、『ノーマンズ・ランド』は複数のバットマン関連誌でおこなわれた大型クロスオーバー・イベントで、1999年1月から12月にかけて1年間かけて語られた長大なドラマです。
面白いのは、物語の中の時間軸も1999年の1年間(正確には、ノーマンズ・ランドが始まってから93日目に始まり、1999年12月31日まで)を描いている点ですが、そのほかにも本作はその最初の設定からして読者を惹きつけずにいられない要素が多数あり、思わず「上手いなー」と唸ってしまいます。

……始まりは"クレンチ"という伝染病により数十万のゴッサム市民の命が失われたことでした。続いてマグニチュード7.6の直下型地震が発生し、街は壊滅的被害を受けました。そして最後その息の根を止めたのは、ゴッサムシティに「再建不可能」のレッテルを貼り、ゴッサムとアメリカ本土をつなぐ橋を落とし、物理的にも法律的にもゴッサムをアメリカから切り離したアメリカ政府でした。
そしてライフラインを絶たれた凶悪犯収容施設アーカム・アサイラムで、人道的見地から所長が囚人を街に解き放ったことにより、冒頭述べたような究極の極限状態がゴッサムシティと残った住人に降りかかることとなったのです。

この設定は、名作と名高いクリストファー・ノーラン監督の2012年映画『ダークナイト ライジング』の元ネタになったことから、「本作は読んでないけど、何となく聞いたことあるよ」という方もいらっしゃるでしょう。

そして、無法地帯となったゴッサムをめぐって、アーカムから解放されたヴィランたち、バットマンとその仲間たち、ゴッサム市警の1年に及ぶ熾烈な争いを2000P超にわたって克明に描いたのが『ノーマンズ・ランド』全4巻というわけです。


魅力2 バットマンだけじゃない!主役級の助演キャラクターたち


バットマン作品の魅力は、バットマン以外にも個性豊かで深みのあるキャラクターが多数脇を固めている点にもあります。
ヒーローやサイドキック、ヴィランだけではなく、アルフレッドやゴードン本部長といった普通の人々が主役にもなり得るほど深みのある人物として描かれてます。

これだけ多くの魅力的なキャラクターが出てくる作品は、アメコミの中でもトップクラスなんじゃないでしょうか。

そして『ノーマンズ・ランド』では、そういったバットマンを代表するキャラクターたちがほぼ総出演しており、バットマン大辞典的な書にもなってます。

以下、本書に登場する主要キャラをご紹介します。
彼ら彼女らが極限状態のゴッサムで何を目的に、どのように行動するのか、ぜひ一人一人に注目してみてください。

※太字は、本書またはバットマン史において特に重要と思われるキャラクター。

<バットマンと仲間たち>


バットマン
本名ブルース・ウェイン。ゴッサムシティを守る闇の騎士。

アルフレッド
バットマンの活動を心身ともに支える執事。

ロビン
本名ティム・ドレイク。バットマンの相棒を務める少年。

ナイトウィング
本名ディック・グレイソン。初代ロビン。

アズラエル
聖デュマ騎士団が作り出した聖戦士。『ナイトフォール』事件でブルースが不在の間、バットマンを引き継いでいた。

オラクル
本名バーバラ・ゴードン。ジェームズ・ゴードンの娘。元バットガールで、現在は情報ブローカー。

ハントレス
マフィアのベルティネリ家に生まれたが、両親が殺されたことで、暗黒街の犯罪者達を憎む自警団員。

バットガール
ノーマンズ・ランドに現れた正体不明のヒロイン。

キャットウーマン
本名セリーナ・カイル。怪盗。

レスリー・トンプキンス
慈善クリニックを営む人道主義者の医師。

<ヴィランたち>


◆ペントリロクイスト&スカーフェイス
凶悪な人形を操る、二重人格の腹話術師。

◆スケアクロウ
自ら開発した幻覚ガスを武器に、各個人特有の恐怖症を発症させる。

◆ペンギン
本名オズワルド・コブルポット。ゴッサムシティの暗黒街を牛耳るフィクサー。

◆トゥーフェイス
本名ハービー・デント。顔の左半分が焼け爛れた犯罪者。かつては優秀な地方検事だった。

◇ブラックマスク
ゴッサムの暗黒街を支配するギャングのボスの一人。

◆ポイズン・アイビー
植物性の毒やフェロモンを作り出し、植物を操る環境テロリスト。

◇ニコラス・スクラッチ
カリスマ的な人気を誇るロック・ミュージシャンであり、50万人の信者を抱える新興宗教の教祖。

◇マッドハッタ―
本名ジャービス・テック。『不思議の国のアリス』のキャラクターをモチーフにした悪人で、催眠術の達人。

◇クレイフェイス
泥状の肉体をした怪人。あらゆる形状に姿かたちを変えられる力を持つ。

◇KGビースト
元KGBでロシア最高の暗殺者。バットマンに捕まりそうになった際、自ら左手首を切り落として逃走した。

◇ロックアップ
悪人を逮捕し私設刑務所に投獄する、自称"正義の味方"。

◇ミス・ホワイト
謎の女性。

◇マクシー・ゼウス
ギャングのボスで、カルト教団の教祖。自分をギリシア神話の神ゼウスの化身と信じる誇大妄想狂。

◆ミスター・フリーズ
本名ビクター・フリーズ。低体温を維持する特殊なスーツに身を包み、あらゆるものを凍らせる冷凍銃で戦う。

◆キラークロック
特殊な皮膚病のため爬虫類のような外見をした怪人。

◆べイン
『ナイトフォール』事件でバットマンの背中を折った男。

◇ギアヘッド
全身のほとんどを機械化したサイボーグ。

◇トミー・マングレス
ゴードン本部長に深い恨みを抱く凶悪な殺人鬼。

◇ラットキャッチャ―
ネズミを操ることができる。

◇リンクス
中国系の殺し屋で、霊龍団の元リーダー。

◆ジョーカー
犯罪界の道化王子。

◆ハーレイ・クイン
ジョーカーの相棒。本書は、1999年10月に初登場したハーレイが"二度目"に登場したコミックスである。

◇ツァスツ
人を殺すたびに自分の体に傷をつけるサイコパス殺人鬼。

◇ゴリラ・グロッド
高度な知性を持った類人猿

◇タリア
バットマンの宿敵ラーズ・アル・グールの娘。

◆レックス・ルーサー
世界で最も優秀な頭脳を持ち、最も有名なヴィランのひとり。

<ゴッサム市警(GCPD)>


◆ジェームズ・ゴードン
本部長。

◇サラ・エッセン
ゴードンの妻。

◇ハービー・ブロック
巡査部長。

◆レニー・モントーヤ
巡査。

◆ウィリアム(ビリー)・ペティット
SWATチームの隊長。

◇マッケンジー・"ハードバック"・ボック
刑事。

◇クラレンス・フォーリー
刑事。


……以上、『バットマン:ノーマンズ・ランド全巻セット』の魅力をまとめた記事(前編)をお届けしました。
後編を含む記事全編は、『ShoPro Books STORE』ブログに掲載してますので、こちらもぜひチェックしていただけたら小躍りして喜びます。
(ソチラのブログで初投稿になります!)

今週はこの辺りで!また来週お会いしましょう。

(文責:小出)

▼お気に入りの記事がありましたら、ぜひ皆様のSNS等でご紹介してください。ただし、画像の無断転載はご遠慮ください。

▼ご意見・ご感想・ご指摘・邦訳希望・翻訳者希望・持ち込み企画などは、本ブログの下段にある「メッセージを送る」を押していただき、指定の送信フォームからお送りください(携帯からはウェブバージョンにてご対応ください)。

2018年5月29日火曜日

『デッドプール2』映画公開!最新コミックもみんなで見てね♥


★☆☆☆☆
Oh My God! このコミックはかなり酷いよ。なんたって、1章まるまるスペイン語で書かれてるんだぜ!(スペイン語かどうかすら分かんないけどね…)マジでどうなってんだ!まぁ、第4の壁を壊したり、全体的には面白かったけどね。

★★☆☆☆
デッドプールは最高だけどこのコミックは最低だ。なぜってスペイン語で書かれてるんだ!俺はコミックを読むときに座って翻訳しながら読みたくなんてないんだよ。もし英語圏でコミックを売るなら英語のコミックを作るべきだ。登場人物がスペイン語を話すって設定なら、昔スタン・リーがやったみたいにアポストロフィーを使えばいいだけだろ!

~米国版Amazonレビューから抜粋

……「アメコミ魂」をご覧の皆さま、こんにちは!
いきなりAmazonレビューから入りましたが、今日ご紹介する『デッドプール:エンド・オブ・エラー』は、本国アメリカで出版された当初ファンの間で物議を醸した一冊です。

何が物議を醸したかというと、レビューにあるとおり、1章まるまるスペイン語で書かれていたからです。「読めねーよ!」ってわけです。

でもご安心ください。ShoPro Books邦訳版は、全ページ日本語で書かれてます!

( ̄^ ̄)ドヤッ!

ジェリー・ダガン他[作]
スコット・コブリッシュ他[画]
定価:本体2,100円+税
言語:日本語
●好評発売中●


それよりっ!

本日デッドプールを紹介するなら、まず触れるべきはAmazonレビューじゃなくて、6月1日公開映画『デッドプール2』ですね。


映画『デッドプール2』


いよいよ今週金曜日6月1日に、映画『デッドプール2』が全国ロードショーとなります。
2016年に公開された前作は、全米で20世紀フォックス史上最高のオープニング成績を達成し、日本でも興収20億円という特大ヒットとなり、デップー旋風が世界中に吹き荒れました。

あれから早2年。ついに続編が見れるんです!
といいつつ実は私、一足先に5月21日に完成披露試写会で見てきました。



いやー、面白い!めっちゃ面白かった!

よく映画の続編は1作目より興収が下がると言われますが、デップー2は明らかにパワーアップしてます。これは1作目以上のヒットが期待できるんじゃないでしょうか。

(*以下、ポスターやトレーラーで公開されている情報を除き、ネタバレなしにトークを進めます。)

『デッドプール2』のテーマは、本映画キャッチコピーが「もう、ぼっちじゃない♥」とあるように、「ファミリー」「仲間」です。

"1"では、デッドプールは自らの目的のためだけに戦っていて、コロッサスにX-MENに勧誘されても二つ返事で断っていました。

しかし"2"でデッドプールは自らリクルートした最強チーム「Xフォース」を結成します。この「Xフォース」メンバー中心に、魅力的なキャラクターが映画に多数登場します!

前作で人気を博したネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッドやコロッサス、おとぼけタクシー運転手ドーピンダーのほか、"ラッキーガール"ドミノ、日本人俳優の忽那汐里演じるユキオ、ただのおっさんピーターなど、デッドプールは多くの仲間(チーム)とともに活躍します。

前作ではデッドプール単体で十分世界中のファンを魅了しましたが、チームになってその魅力は何倍にもパワーアップしてます。

チームの魅力は、完璧でないメンバー同士が補完し合って一つの目的に向かうときに生まれるパワーと、それを見た人に与える感動だと思います。
仮にメンバーが5人だとしたら、力を合わせて5人分以上の力を発揮できるのがチームの素晴らしい点ですよね。


最新コミックス・シリーズ「ワールド・グレイテスト」


実は今日ご紹介するデッドプール最新コミックス・シリーズ「ワールド・グレイテスト」でも、一つの大きなテーマが、映画同様「仲間」となってます。

前シリーズ「マーベル・ナウ」では、基本的にデッドプールというキャラクター単体に焦点が当たっていたように思います。
彼のバックボーンや人間性を掘り起こすことでキャラクターに深みを持たせ、さらに彼の秘められた家族や過去などにスポットを当て、シリーズ全体通してデッドプール個人の魅力を次々と発見して見せることでファンを惹きつけていたように思います。

しかし、今や世界一のヒーローとなったデッドプールは、一匹狼のアンチヒーローというステレオタイプに収まらなくなっており、新シリーズ「ワールド・グレイテスト」では、「マークス・フォー・マネー」という彼自身のヒーローチームを持つこととなりました。


マークス・フォー・マネー


ここでマークス・フォー・マネーを簡単にご紹介します。

作家のジェリー・ダガンによって2015年に生み出されたマークス・フォー・マネーは、マーベル「シークレット・ウォーズ」イベントの8か月後、「オールニュー・オールディファレント」にて、デッドプールが結成した新しいチーム「ヒーローズ・フォー・ハイヤー」として登場しました。
しかし、同名ヒーローチームの商標を侵害しているとして、マット・マードック(デアデビル)とルーク・ケイジによって法的手段に訴えられ、デッドプールはチーム名を「マークス・フォー・マネー」に改名しました。
(意味はほぼ一緒ですね)

メンバーは以下のとおりです。

◇マサクレ

本名不詳。もともとはメキシコの神父だったが、デッドプールに感化されて、マサクレ(スペイン語で"虐殺"の意味)という名の私刑人として悪と戦うようになった。初登場は本書掲載の『デッドプール』#3.1(2016年2月)。
※この話が、冒頭のAmazonレビューで散々に叩かれていた"全編スペイン語"話です。

◇ソロ

本名ジェームズ・ボーン。テロと戦う一匹狼の傭兵。体内に埋め込んだ装置により瞬間移動ができる(制限あり)。初登場は『ウェブ・オブ・スパイダーマン』#19(1986年10月)。

◇スティングレイ

本名ウォルター・ニューウェル。特殊な潜水スーツを着用した海洋学者。初登場は『テイルズ・トゥ・アストニッシュ』#95(1967年9月)。

◇テラー

本名不詳(おそらくシュレック)。ゾンビ系の不死身の怪人。自分の体の一部(たとえば臓器)を他者のそれと交換することで、相手の能力や記憶を手に入れることができる。初登場は『セント・ジョージ』#2(1988年8月)。

◇フールキラー

本名グレゴリー・サリンジャー。愚かな犯罪者を殺すことをライフワークとするサイコ系ビジランテ。初登場は『オメガ・ジ・アンノウン』#9(1977年7月)。

◇スラップスティック

本名スティーブン・ハーモン。ギャグアニメのキャラのような異色ヒーロー。初登場は『スラップスティック』#1(1992年11月)。

……「ワールド・グレイテスト」シリーズ第1巻『デッドプール:ミリオネア・ウィズ・ア・マウス』では、既にチームが組まれた後で、メンバーがどういったキャラなのか特に説明がないままでした。

しかし、本作『エンド・オブ・エラー』(※ちなみに、時代の終わり"The End of an Era"にひっかけた造語。その意味は不明)では、メンバー一人一人のオリジンを紹介し、丹念にそのキャラクターを深掘りしてます。と同時に「マークス・フォー・マネー」の成り立ちも明らかになってます。


『デッドプール:エンド・オブ・エラー』の紹介【ネタバレあり】


マークス・フォー・マネー結成の動機

デッドプールが自らの傭兵チームを結成したわけは、実はソロにあります。
本書『ソロの単独行動』にて、お金に困っていたソロは、世界一有名なデッドプールのふりをして傭兵の仕事にありつきます。しかし図らずもその時の英雄的行動が、さらにデッドプールの名声を高めることとなりました。
そして、デッドプールはそこからヒントを得て、仕事にあぶれた傭兵を集め、彼のコスチュームを着せたフランチャイズ傭兵ビジネスを思いつき、最初の従業員としてソロを雇うこととなりました。
デップーは商才まであるんだね!

スティングレイの裏の顔

前巻『デッドプール:ミリオネア・ウィズ・ア・マウス』でスティングレイは何やらキャプテン・アメリカと怪しい密談をしていました。
本書『水面下の活動』にて、スティンググレイの裏の顔(というか真の顔)と経歴、そして彼がマークス・フォー・マネーに入った動機がそれとなく明らかにされます。

デッドプールに感化されたマサクレ

神父だったマサクレがなぜ傭兵になったのか?
マサクレが神父を務めるメキシコの教会に、ある男が告解(匿名で罪を懺悔すること)にやってきます。
その男が、一人でテロ組織アルティメイタムを虐殺(マサクレ)した話をした後、マサクレは突如何かに気付いて、神父を辞めて傭兵稼業に手を染めることになりました。
(※本書同録の別エピソードで、メキシコに巣食うマフィア一党をマサクレ単独で皆殺しにした初めてのビジランテ活動が語られています。)

告解室に現れた人物はそう、デッドプールですが、彼の懺悔を聞いてマサクレは何を思ったのでしょうか。
折しも、デッドプールと告解室にいるとき、まさにその教会の目の前で、ある悪者がアメリカ人旅行者を襲っていました。つまり、神に祈っているだけでは正義は実現しないと気付いたのでしょう。
悪者を斃したマサクレは最後、その悪者の得物である巨大な出刃包丁を手に去っていくシーンが大変印象的です。

このエピソードは本書の中で個人的に一番好きな話でした。

脚本もさることながら、画の雰囲気が気に入りました。
全頁全体的にオレンジ色っぽい色彩で覆われていて、メキシコの湿気と高温の息苦しさが紙面から伝わってくる感じがして、漫画というよりショートムービーを見た印象でした。(メキシコに行ったことはありませんが……)
ふと思いましたが、色遣いが「わたせせいぞう」っぽかったです。

テラー、スラップスティック、フールキラーの話は端折ります。

……どれも面白かったんですが、先に紹介した3つの方が個人的に面白かったので。

タスクマスター、アイアンフィストも出てくるよ。

……特にタスクマスターは、「スラップスティック」の短編中にがっつり出てきます。フォトグラフィック・リフレクシズ(写真的反射能力)も出てきます。

タスクマスター:「誰かの動きを一度見ただけで再現できるのさ。そして… 愛した女も忘れない」

……えっ、そうでしたっけ?? 皆様、小社刊『タスクマスター:失われた過去』をぜひ見てください!


デッドプール誌本編、2099年未来のデップー

……他にも、これが本来的にデッドプール誌メインのエピソードになりますが、前号、いやもっと前の「マーベル・ナウ」シリーズからのデッドプール誌と、次号『デッドプール:セイバートゥース(仮)』をつなげる、重要な伏線ありまくり(デップーの記憶障害だったり、「奴(セイバートゥース)がガソリンを用意した」というメモだったり……とかとか)の短編や、2099年のデップーのお話も収録されています。

玉手箱をひっくり返したようなバラエティ豊かな本書、書店で見かけたらぜひ手に取っていただけたら嬉しいです!

以上、今週はこの辺りで!また来週お会いしょう。

(文責:小出)


▼お気に入りの記事がありましたら、ぜひ皆様のSNS等でご紹介してください。ただし、画像の無断転載はご遠慮ください。

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2018年5月22日火曜日

大人気『スパイダーマン/デッドプール』シリーズ最新刊にして完結編、本日発売!!

「アメコミ魂」をご覧のみなさま、こんにちは!
本日いよいよ、人気シリーズ『スパイダーマン/デッドプール』の第4弾(vol.3)となる『イッツィ・ビッツィ』が発売されます。

ジョー・ケリー[作]
エド・マクギネス[画]
定価:本体2,100円+税
●2018年5月23日頃発売●

vol.3といいつつ、こちらvol.1『ブロマンス』の続刊になります。
大事なことなのでもう一回いいます。
『イッツィ・ビッツィ』は『ブロマンス』の続刊です!


"スパデプ"シリーズの整理


小社"スパデプ"シリーズはこれまで、vol.0『プロローグ』(2017年7月)、vol.1『ブロマンス』(2017年9月)、vol.2『サイドピース』(2018年2月)と邦訳本を刊行してきましたが、『プロローグ』は過去の共演作を再収録したオムニバス・アンソロジー『サイドピース』は様々な作家陣による読み切り短編集という性格でした。

ですので、続き物のストーリー作品としては『ブロマンス』と『イッツィ・ビッツィ』が一続きに繋がっており、かつ、ジョー・ケリーとエド・マクギネスの作家陣が送る物語としては完結編になります。

ではまずはvol.1『スパイダーマン/デッドプール:ブロマンス』のストーリーを簡単におさらいしましょう。


デッドプールがピーター・パーカーを殺した!?

大好きなスパイディの正体がピーター・パーカーだと知らないデップーが、ピーターが非人道的な人体実験を行っていると誤解し、ピーター・パーカー殺害依頼を受けて彼を殺します(マジで!?)

しかし誤解に気付いたデップーは辺獄に行きピーターを生き返らせます。
そして、事件の黒幕ミステリオと彼を裏で操る新たな強敵、ペイシェント・ゼロの隠れ家をスパイダーマンとともに襲撃しました。

ペイシェント・ゼロは本シリーズ初登場のヴィランで、得意分野は遺伝子操作やDNA接合です。そんな彼が謎の美女にスパイディーとデップーの血液を輸血しているシーンで前巻は終わりました。

あ、それから大事なことを書き忘れましたが、最後から2P目で、デップーが元のイケメン顔に戻りました。
……理由は不明です。

以上を踏まえて、『イッツィ・ビッツィ』の見どころをご紹介していきます。

なお、本ブログでは本書のネタバレを少し含みます。とはいえ本当のクライマックスは伏せますので、まだ本書を買おうか迷ってる方は本ブログをぜひ参考にしてみてください。


アメコミあるある


冒頭、新たなヴィラン・チームが登場します。その名も"ヘイトフル・ヘキサッド"



野性味あふれるというか、動物そのものなヴィランたち!
私にとって初見のキャラです。

しかし、アメコミあるあるですが、本書封入の解説書を見ると、私が知らないだけで実はそれぞれ歴史あるキャラたちだったりします。
フムフム。勉強になります。
この後スパデプ相手にどんな立ち回りを見せるのか、展開に胸膨らみます。

と思ってページをめくると突然「2日前の夜」へ。
アメコミあるあるですね^^;

シクラーとデップーが夫婦喧嘩!どうやら最近のデップーは良い人すぎて、魔女のシクラーからすると物足りないようです。


価値観の相違、すれ違い、離婚の危機!?
前巻でもその気配がありましたが、いよいよ夫婦生活に破たんの兆しが見えます。
二人の結婚生活はどうなってしまうのか!?

……と思ってページをめくると「再び今日」。
アメコミあるあるな、この「付いてこれる奴だけ付いてこい!」的な展開の速さ、私は嫌いではありません。

さて話は戻ってヘイトフル・ヘキサッドとのバトルですが、見た目とは裏腹にスパイディとデップーに一方的にやられるヘイトフル・ヘキサッド……だけじゃなく、突然何者かに惨殺されてしまいます。
……どうやら彼らは、本書初出の超重要キャラの登場を盛り立てるモブキャラにすぎなかったようです。
そう、その真打キャラとは、スパイディとデップーの血を引く彼らの娘(む…娘!?)、"イッツィ・ビッツィ"なんです!


初見参!イッツィ・ビッツィ


このイッツィ・ビッツィ、本書発売前から一部ファンの間で「デップーとスパイディの間に娘ができる!?」と話題になっており、一体どんなキャラなのか、私も楽しみでした。

彼女の姿は本書冒頭の見どころで、アメコミ初心者によるブログと言えどもこれを見せたら「おい、ネタバレいい加減にせいよ!」と怒られそうで躊躇しますが、これを見せないと話がここで終わってしまうので、見せます!

※ネタバレですので、見たくない人はここでスマホのスクロールを止めて、戻るボタンを押してくださいね!


"小さなクモさん(イッツィ・ビッツィ)、雨どいを登っていったよ…"


"雨がふって…"


"…クモさん、流された"


と、歌を口ずさみながら不気味に登場する彼女を風貌は……


コチラ!

















インパクト大!

想像していたのとなんか大分違います。

腕が6本に目が6つは蜘蛛のDNAなんでしょう。
(お父さんより蜘蛛要素が多いのは隔世遺伝?)
カタナ2本をしょっているのはデップー要素ですが、コレ遺伝とは関係ないですよね。
金髪モヒカン、青い肌は誰に似たのでしょうか?

ちなみに全体の風貌も相当グロいですが、赤いマスクの下はもっとグロいです。


ページがカラーだとグロい絵がさらに強調されるのもアメコミあるあるです。

イッツィ・ビッツィは、先ほど『ブロマンス』の粗筋の最後で紹介した謎の美女が変貌した姿です。

▲元の姿はコチラ(下で寝ている女性)

すごい変わりようですね。

ちなみに「イッツィ・ビッツィ」とは元々アメリカの童謡の題名(『ITSY BITSY SPIDER』)で、YOUTUBEで検索したら出てきます。
こんな歌です。



かわいらしい曲ですね。
しかし、本書のイッツィ・ビッツィは似ても似つかぬ雰囲気です。

そしてその戦闘力も見た目に違わず超強い!
スパイダーマンの俊敏性とデッドプールの殺傷能力を併せ持つんですから、そりゃ強いわけです。
二人がまったく歯が立ちません。


「正義」とは?「悪」とは? 深いテーマ性


『スパイダーマン/デッドプール』の魅力って、皆様ぶっちゃけどう感じていらっしゃいますか?
もちろん感じ方は人それぞれですが、私個人的には、対照的な性格の二人が織りなす漫才のようなハチャメチャなノリが、単純に楽しい!てところだと思うんです。

ですが、本書はそれだけじゃない!

ここで本ブログ第二のネタバレ的トークに入りますが、本書中盤辺りから、「正義」とは何か「悪」とは何かという結構深いところをグイグイ攻めて来るんです。

本書で二人はイッツィ・ビッツィという最強の敵に遭遇します。しかも彼女は彼らの血を分けた存在でもあるんです。
いつもみたいに、二人で冗談言い合いながら戦って勝てる相手じゃなく、相手を本気で殺す気で立ち向かわなければとてもじゃないけど勝ち目はありません。

こういうとき、いつもだったらデッドプールが「悪い奴らは皆殺しすればいいじゃん♥」って軽口叩くのに対して、スパイダーマンが「絶対ダメだ!」って止めるはずですよね。

ですが本書では、スパイダーマンの方が「彼女を殺さなければ、罪のない多くの人たちに犠牲が出る、だから僕が殺さなきゃ」と思いつめ、それに対してデッドプールが「スパイディ、おまえはそんな奴じゃない。どんな理由があろうと人を殺すなんて間違えてる!」と説得します。


これってまるで、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』でスーパーヒーローの活動を国際政府組織の監視下に置いて規制しようとする「ソコヴィア協定」に対し、本来人一倍個人主義なトニー・スタークが賛成し、学級長タイプで愛国心旺盛なスティーブン・ロジャースが反対するという反転を見ているようで、"スパデブ"が単に笑えて楽しいだけのコミックスじゃないんだなと居住まいを正す気持ちになりました。


果たして黒幕は?


さらに本書は、『ブロマンス』で暗示された多くの謎・伏線に対し、最後の方で怒とうのごとく回収していきます。
デッドプールとスパイダーマンを深く憎むペイシェント・ゼロの正体は? 憎む理由は?
さらにその裏には、さらなる巨悪の思惑が隠されてるのかもしれません。

"スパデプ"シリーズをvol.3まで読んで思うのは、ジョー・ケリーの見事な脚本によりストーリーも超スゲー!という点です。

「アメコミ魂」の記事でシリーズ作品を紹介するときに、よく「本書は前作を読んでなくても理解できます!」的なことを言うことが多い気がしますが、本書については、「ぜひ、vol.1『ブロマンス』を読んでから本書を見て下さい!」とお伝えしたいです。
……そして、理由は言いませんが、vol.0『プロローグ』も読んだ方がきっと深いカタルシスを味わえることでしょう。


アイアンスパイダースーツ登場!?


最後に個人的に「うおぉっ」と興奮したのが、イッツィ・ビッツィとの最終決戦に挑むスパイダーマンのスーツが超クール・超ハイスペックだった点です。


あたかも『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』でスパイダーマンが身に着けていたアイアンスパイダースーツみたいです。
この最新式スーツをまとったスパイダーマンvs.イッツィ・ビッツィvs.デッドプールの三つ巴バトルシーンは必見です!

なお、ジョー・ケリー&エド・マクギネス版スパデプ完結編にふさわしく最後、感動的なラストシーンもあります。
見どころたくさんの『スパイダーマン/デッドプール:イッツィ・ビッツィ』、2018年イチオシタイトルなんじゃないでしょうか。ではまた来週!
(文責:小出)

……来週は『デッドプール2』映画公開記念に『デッドプール:エンド・オブ・エラー』をご紹介する予定です。こちらもお楽しみに!
 


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2018年5月8日火曜日

13才の男の子、300人の男ども、どっちを読む!?

「アメコミ魂」をご覧のみなさま、こんにちは!
今週ご紹介するタイトルは、ある意味まったく対照的な二冊です。
片や13才の男の子がティーンエージャーになったことをきっかけに新たな扉を開く物語、片や300人の男どもがペルシア軍が攻めてきたことをきっかけに死への扉を開く物語です。
しかしどちらも、信念のために自分を犠牲にして行動する、という点では共通しています。(あと、どちらもスパルタ教育を受けて育った、という点でも)

では、さっそく本の紹介に入っていきましょう。

『ティーン・タイタンズ:ダミアン・ノウズ・ベスト』の紹介


ティーン・タイタンズとは、DCユニバースにおける少年少女のヒーローを集めたチームです。ティーンエージャー版ジャスティス・リーグと考えれば分かりやすいでしょう。
ティーン・タイタンズはカートゥーン・ネットワークで放送中のアニメ版が日本でも根強い人気を誇っていますが、ShoPro Books発行のティーン・タイタンズ・コミックスといえば、そのアニメ版設定を元にした『ティーン・タイタンズ・ゴー』があります。
今回ご紹介する『ティーン・タイタンズ:ダミアン・ノウズ・ベスト』は小社として2冊目のティーン・タイタンズのタイトル誌になります。

ベンジャミン・パーシー[作]
コーイ・ファム他[画]
定価:本体2,300円+税
●2018年5月9日頃発売●

私自身はこれまであまりティーン・タイタンズに詳しくなく、この機会に初めて作品の魅力をじっくり堪能させてもらいました。

本書は2016年5月に新たに幕を開けた"DCリバース版"のティーン・タイタンズです。そのメンバーは、ロビン(ダミアン・ウェイン)ビーストボーイスターファイヤーレイブンキッド・フラッシュの5名となってます。
ここで一人一人詳しく紹介させていただきます。

ロビン(ダミアン・ウェイン)



バットマン(ブルース・ウェイン)の息子。バットマン最大の宿敵の一人であり、リーグ・オブ・アサシンの頭目ラーズ・アル・グールの娘タリアを母親に持ちます。
当初バットマンにその存在を知られず、母とリーグ・オブ・アサシンによってスパルタ式に育てられ、10才にして達人級の格闘術を身に付けました。後に息子の存在を知ったバットマンがタリアの洗脳から解放し、ロビンとしてバットマンの相棒に仕立て上げ現在に至ります。

父と祖父は宿敵同士、自らは暗殺者として育てられ、のち世界一のヒーローのサイドキックになるという数奇な生い立ちのせいか、一見尊大でひねくれた性格の持ち主となってます。

本書「ダミアンの決断 第1章」冒頭で、ダミアンは13才の誕生日を迎えたことから、新生ティーン・タイタンズ結成に向けて動き出します。

ところで、日本でティーンエージャーといえば10才~19才ですが、アメリカでは「~teen」と付く13才~19才がティーンエージャーにあたります。

DCリバース版ロビンことダミアン・ウェインの活躍は、本書以外では、スーパーマンの息子ジョナサン・ケントとの邂逅を描いた『スーパーマン:トライアルズ・オブ・スーパーサン』(2018年2月小社刊)でも堪能できます。二人のチームアップは、2018年8月刊行予定の注目タイトル『スーパーサンズ(仮)』へとつながっていきますので、こちらもぜひご期待ください。

ビーストボーイ



本名ガーフィールド(ガー)・ローガン。幼少の頃、西アフリカでミドリザルに噛まれ特殊なウィルスに感染し、あらゆる動物に変身できる能力を獲得しました。
性格は目立ちたがり屋でお調子者ですが、それは本当は寂しがり屋な性格を隠す仮面なのかもしれません。

DCリバースの前のシリーズ、ニュー52版ティーン・タイタンズにも在籍しており、前チームリーダーであったレッドロビンことティム・ドレイクを死なせてしまったことに自責の念を持っており、今も引きずっています。それもあってか、本書においてダミアンをティーン・タイタンズのリーダーとはなかなか認めません……。

スターファイヤー



本名コリアンダー(コリー)。惑星タマランのプリンセス。紫外線エネルギーを変換することで空を飛ぶことができ、また紫外線の力で破壊光線を発することもできます。世界最強のスーパーヒーローの一人です。

誠実で非常に正義感が強く自律的な性格です。それは、実の姉(ブラックファイヤー)に奴隷にされ拷問され処刑されかけたという幼少期の辛い過去によるものかもしれません。
一時期ナイトウィングやアーセナルと付き合っていたこともあります。

レイブン



別名レイチェル・ロス。異次元の悪魔トライゴンが人間の女性を誘惑して産ませた娘です。異次元アザラスで育ち、父親の闇の力を引き継いだ彼女は強力な魔力や心霊能力、瞬間移動能力、飛行能力を持ち、人の感情を吸収し操ることができます。

彼女は悪魔の娘であることから、いつか自分も父親のようになってしまうのではという恐怖を常に抱え、不安定な感情を抑制しながら生きています。
ビーストボーイと同じく、ニュー52版ティーン・タイタンズのメンバーでもありました。

キッド・フラッシュ



本名ウォリー・ウェスト(Ⅱ)。フラッシュ(バリー・アレン)の友人アイリス・ウェストの甥で、父親ダニエル・ウェストは、ヴィランであるリバース・フラッシュです(その顛末は2017年11月小社刊行の『フラッシュ:邪悪なる閃光(THE NEW 52!)』でご覧いただけます)。

地上最速の少年であり、DCリバース版フラッシュ第1巻『フラッシュ:ライトニング・ストラクス・トゥワイス』(2018年1月小社刊)にて地上最速の男フラッシュのサイドキック、キッド・フラッシュとなりました。


……このように五人五様のスーパーパワーを持つもののまだその力をうまく使いこなせず、暗い過去や複雑な家庭環境を抱え精神的にもまだ未熟なティーンエージャーである彼らが、どのようにチームとしてまとまっていくのか、その成長過程を見守るのも本書の楽しみの一つです。
DCリバース版ティーン・タイタンズの今後の展開にぜひご期待ください。


『300〈スリーハンドレッド〉[新訳版]』の紹介


続いてご紹介する書籍は、2007年大ヒット映画の原作にして、コミック界の鬼才フランク・ミラーの不朽の名作を20年ぶりに新訳リバイバルした『300〈スリーハンドレッド〉[新訳版]』です。

フランク・ミラー[作/画]
リン・バーリイ[彩色]
定価:本体3,000円+税
●2018年5月9日頃発売●

フランク・ミラー

まずは本書の作家、フランク・ミラーについてご紹介します。

1957年アメリカ出身のコミックライター兼アーティストで、そのハードボイルドなストーリーラインと作風で"現代最高のコミックライター"との呼び声も高い作家です。

1980年代に手がけた『デアデビル』『バットマン:ダークナイト・リターンズ』で人気アーティストの仲間入りを果たし、特に後者において、それまで「コミックスは子供のもの」という風潮があった中、単純な善悪二元論でない複雑な背景をもった社会問題やキャラクターを描き切り、大人のコミック読者層を開拓することに成功し、アラン・ムーアの『ウォッチメン』と並んでアメコミ界に革新をもたらしました。
(※『バットマン:ダークナイト・リターンズ』は、続編の『ダークナイト・ストライクス・アゲイン』と同時収録されて『DARK KNIGHT バットマン:ダークナイト』として小社から刊行されてますので、機会があればぜひ手に取ってご覧ください。)

なお、前者の『デアデビル』においては、映像化もされたマーベルの人気キャラクター「エレクトラ」を生み出したりもしてます。

また、フランク・ミラーは既存のスーパーヒーローに頼らない『ローニン』『シン・シティ』といったオリジナル作品も次々と発表してます。
特に『シン・シティ』は2005年にロバート・ロドリゲスとの共同監督で公開された映画が大ヒットし、フランク・ミラーの代表作の一つとなりました。
『シン・シティ』も全4巻が小社から刊行されてますので、フランク・ミラー作品が気になったらぜひ読んでいただきたい作品です。

そんなフランク・ミラーが新たに取り組んだ挑戦が、ノンフィクション・コミックスの創作であり、その題材として選んだのが、本書『300〈スリーハンドレッド〉』で取り上げられた「テルモピュライの戦い」です。

日本の漫画でノンフィクション作品は一ジャンルを築くほど多くの作品がありますが、スーパーヒーロー物中心のアメコミでは作品全体を通して一つの歴史的事件を扱うというのは極めて異例のことでした。

実はフランク・ミラーは幼少の頃見て感銘を受けた映画『スパルタ総攻撃』(1962年)の影響で、「テルモピュライの戦い」のコミック化は長年の夢でもありました。

かねて日本の武士道への傾倒を表明していたフランク・ミラーにとって、この戦いで300人のスパルタ人が見せた「己の信念に命を懸ける生き様」は、彼がコミックスで描くべき格好の題材であり、40才を超えたフランク・ミラーのキャリア総決算となる作品にふさわしいものでした。

このようにして完成し、1998年に発表された『300〈スリーハンドレッド〉』は、リン・バーレイによる彩色とあいまって高い評価を獲得し、翌年のアイズナー賞で「最優秀リミテッドシリーズ」「最優秀ライター/アーティスト」「最優秀カラリスト」の主要3賞を独占しました。また、2007年には劇場版が公開され、コミックの枠を超える認知を獲得したのです。

本書の見どころ

続いて、本書を読んで個人的に気に入り、ぜひ注目していただきたい見どころを紹介します。

まずは、レオニダスの「セリフ」やディリオスの「語り」および全編通して叙述される「ナレーション」です。




一つ一つの言葉が、含蓄に富み重厚で胸に響きます。
これは、古典オペラのような壮厳かつテンポの良い台詞回しを、日本語で分かりやすく表現した訳者の力量によるところも大きいでしょう。

また、もちろん脚色はあるとはいえ、「テルモピュライの戦い」、「スパルタ王レオニダス」、「ペルシア王クセルクセス」、「不死の軍団」など本書に描かれた内容が歴史的な事実であることも、語られる言葉の重みを際立たせます。
(※なお、フランク・ミラーは本書を執筆するにあたり、『歴史』(紀元前440年頃ヘロドトス著)に記されたペルシア戦争の中の、紀元前480年8月に起こった「テルモピュライの戦い」の記述を題材としています。)

ぜひレオニダスのセリフの重みを、じっくり噛み締めながら読んでいただきたいです。


続いての見どころはズバリ「戦闘シーン」です。

ページ一枚一枚、コマ一つ一つの構図に臨場感、躍動感があります。ペルシア軍100万人vsギリシア軍7000人という壮大な合戦シーンを、遠くの兵士、槍一本に至るまで細かくページいっぱいに描き切ってます。
また、リン・バーリイのセピアがかった彩色も作品世界にとてもマッチおり、アイズナー賞「最優秀カラリスト」の称号も頷けます。



フランク・ミラーの骨太な筆致、リン・バーレイの外連味のない彩色、そして読者の視界を覆う大判の横長判型とも相まって否が応でも古代ギリシャの歴史世界に引き込まれます。
いつものアメコミとは少し違った、厳粛な読後感を味わえることでしょう。


……以上、今回のアメコミ魂はこの辺りとさせていただきます。
次回の更新は、『スパイダーマン/デッドプール:イッツィ・ビッツィ』と『デッドプール:エンド・オブ・エラー』が発売される5月22日頃となります。お楽しみに!
(文責:小出)


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2018年4月17日火曜日

インフィニティ―・ウォーを待ちきれない貴方へ! アイアンマン&スパイディ最新刊本日発売!!

アメコミ魂をご覧の皆様、こんにちは。
マーベル・シネマティック・ユニバースが盛り上がってます!先日、『ブラックパンサー』の北米興行収入が『タイタニック』を超え、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』、『アバター』に次ぐ歴代3位となりました。
そして、ブラックパンサーの盛り上がりの余韻を引きずったまま、MCU史上超重要作である『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』が、いよいよ4/27(金)に公開となります。

思い起こせば、全世界の映画ファンを熱狂させるMCUの成功は2008年の『アイアンマン』から始まりました。
天才的頭脳を持ちながら傲慢でプレイボーイで酒好きというヒーローらしからぬ人間臭いトニー・スタークとロバート・ダウニー Jr.を重ね合わせて見た人も多かったことでしょう。

アイアンマンはスーパーパワーのない普通の人間にも関わらず、アベンジャーズの中で主要メンバーであり、日本でも特に人気があります。今回はそんなアイアンマンの単独誌をご紹介したいと思います。


『インビンシブル・アイアンマン:リブート』の紹介


ブライアン・マイケル・ベンディス[作]
デイビッド・マルケス[画]
定価:本体2,100円+税
●4月18日頃発売●

まず本書の位置付けですが、2015年5月に始まった一大イベント「シークレット・ウォーズ」はマーベル・ユニバース全体を再構築するものでした。そして、それを受けて同年10月から始まった新シリーズ「オールニュー・オールディファレント」のアイアンマン誌第1巻が本書になります。

最新型パワードスーツ

新シリーズになって新しくなった点として、まずアイアンマンのパワードスーツが最新型になりました。
トニー・スタークの脳波と連動することで、もはや着用する必要もなく遠隔操作が可能となってます。本書でもこの機能をフル活用した戦闘シーンが度々出てきます。


また、状況に応じてスーツが変形・変色します。

▲暗闇では色が黒に

▲サイバー忍者集団とのバトルでは甲冑型スーツに変形

▲最強の敵との戦闘シーンではハルクバスターっぽく変形。ちなみにハルクバスターは『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』でも登場するらしいので楽しみです。

他に見た目の大きな特徴として、スーツ着脱の際に部品単位で細かく分解されます。


またスーツが透明になり、スーツを着ているように見えなくなる光学迷彩機能もあります。なお、透明化機能は強化外装系スーパーヒーローの間で今流行中だそうです。


さらに、人工知能のフライデーがトニー・スターク好み?にパワーアップしてます。


もはや人工知能とは思えない人間味があり、トニー・スタークとの会話の掛け合いがなかなか面白いです。


‣トニー:「レコーダーらしいな。確認を」
‣フライデー:「テープレコーダーです」
‣トニー:「ボタンを押すと?」
‣フライデー:「再生されます」
‣トニー:「私や沿岸地域に対する危険は?」
‣フライデー:「あったらビックリです」

…本書でぜひフライデーの突っ込みトークにも注目してみてください。

ストーリー紹介

続いてストーリーを少しご紹介します。

舞台は日本の大阪城公園に程近いスターク社ビル。
スリランカ出身の美人生物学者とのデートを楽しむトニー・スタークの元にフライデーから緊急情報が入ります。「マダム・マスクが復帰して、ラトベリアのドクター・ドゥームの城に忍び込んだ」と。

マダム・マスクとは、トニースタークと深い因縁を持つヴィランで、顔に負った傷を隠すために常に仮面を被っています。トニー・スタークと互いに惹かれあった時期もあり、それ以来、トニーの周りにいる女性に度々危害を及ぼそうとする女性です。


一方ドクター・ドゥームは、天才的科学者にして魔術師。ヨーロッパの小国ラトベリアの統治者でもあります。
※ドクター・ドゥームはかなり魅力的なヴィランで、アメリカ魂の別記事(『正反対の力を持つ“二人の天才”によるチームアップ!』)でも紹介してますので、よろしければご覧ください。)

ラトベリアに急遽向かったアイアンマンを待っていたのは、廃墟と化した城とドクター・ドゥームその人でした!そこでドクター・ドゥームは、マダム・マスクの陰謀を阻止するため、アイアンマンに対し協力を要請するのでした……

果たしてアイアンマンとドクター・ドゥームという異色チームアップはマダム・マスクを倒すことができるのか?
この後、ドクター・ストレンジやピーターパーカーの元恋人メリー・ジェーン(さらに第2巻ではスパイダーマンも登場します!)を巻き込んで、どんな展開が待っているでしょうか!?
続きはぜひ本書を手にとってご覧ください。


『スパイディ:アフタースクール・スペシャル』の紹介


続いてご紹介する作品は、こちらもインフィニティ―・ウォーに登場するスパイダーマンの単独誌です。

ロビー・トンプソン[作]
ネイサン・ストックマン他[画]
定価:本体2,100円+税
●4月18日頃発売●

本書も「オールニュー・オールディファレント」シリーズのスパイディ誌第2巻となります。2巻目とはいえ、読み切り短編集の性格が強いので、第1巻の『スパイディ:ファースト・デイ』(小社刊)を読んでなくても楽しめます。

正史世界ではピーター・パーカーは現在20代後半のIT会社社長です。しかしピーター・パーカーといえば映画の高校生のイメージが強いのではないでしょうか?
本書はピーターの高校生時代を新たに現代風に描き直した単行本で、映画の世界観に親和性が高いと言えます。映画でしかスパイダーマンを知らないよ、というファンの方にもオススメです。

本書のチラ見せ

では本書の中身を見てみましょう。
本書は読み切り的なエピソードが6つ収録されていますが、それぞれブラックパンサーやエレクトロ、クレイヴン、キャプテン・アメリカ、スコーピオン、バルチャーなどスパイダーマンと所縁の深いヒーローやヴィラン達と共演してます。
時間があるときに、ぜひ一話一話じっくり読んでいただきたいですが、今回はブラックパンサーとチームアップしたエピソードを簡単に紹介したいと思います。

夜の倉庫で怪しい人影を目撃したスパイダーマンは、倉庫の地下へと続く扉を発見し、降りていくと、、、そこは盗品保管庫となってました。盗まれた品は何かというと、ヴィブラニウム。そう、ワカンダ王国でしか産出しない希少鉱石です。

泥棒を捕まえようとするスパイダーマンに「この街にはクモに似た男がいると聞いたが…」と声をかける黒い人影…ブラックパンサーです! この後ブラックパンサーとスパイダーマンのチームアップが展開されますが、戦いの最中もずっと一人でブツブツ呟くピーターに対しブラックパンサーが突っ込みを入れるという掛け合いがなかなか面白いです。

特に、ピーターに呆れたブラックパンサーが度々、

…アメリカ人め

と頭を抱えるシーンが個人的にツボでした。

ですが、黒幕のクロウを倒したスパイダーマンに対し、ブラックパンサーも最後は認めて「ワカンダに来た時には歓迎するよ」と誘います。
ところでネットで調べたら、ワカンダは地図にはあるけど熱帯雨林のホログラムで儀装されていて、決して辿り着けない場所だそうです。誘われたのはいいけど、スパイダーマンはワカンダに行く事が出来るのでしょうか?
ここで、あの藤岡弘さんがワカンダ王国の秘密に肉薄した貴重な映像をYouTubeで見つけたので、私からスパイダーマンに参考に送りたいと思います!



ワカンダフォーエバー!!


初々しいピーター・パーカー

続いて本書の見所ですが、随所に出てくるピーター・パーカーの若者らしい初々しさです。

本書を通して、ピーターは誤解され、いじめられ、好きな人には振り向いてもらえず、さまざまな悩みを抱えます。
学校ではフラッシュといういじめっ子にいじめられ、スパイダーマンとしての活動でも、デイリー・ビューグル誌のジェイムソン編集長に目の敵にされ、彼の善行も新聞に悪く書かれ、密かに恋しているグウェンが好きな男の子がフラッシュなんじゃないかと疑わしいのです・涙。。

でもそんな中で一人頑張っていたら、キャプテン・アメリカという尊敬できる良き理解者が現れ、フラッシュも勉強を教えてくれたピーターに感謝して、最後はグウェンとホームカミング・パーティーでダンスに誘われ、なんとなんとキスしちゃいます。(///∇//)

私のようなおっさん読者にとって、忘却の彼方の学生時代のほろ苦くも甘酸っぱい思い出を刺激することでしょう。

以上、今回のアメコミ魂はこのあたりでおしまいとさせていただきます。
次回の更新は、新刊『ティーン・タイタンズ:ダミアン・ノウズ・ベスト』『300〈スリーハンドレッド〉[新訳版]』が発売される5月9日頃となります。お楽しみに!
(文責:小出)

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2018年4月3日火曜日

『スター・ウォーズ:ハン・ソロ』『ジャスティス・リーグ VS. スーサイド・スクワッド』明日発売!

アメコミ魂をご覧の皆様、こんにちは!
新年度もはじまり、生活がガラリと変わって期待に胸躍らしている方もいらっしゃることでしょう。
アメコミ界隈も、注目映画の公開が続々と発表されており、期待に胸を膨らませずにいられません。

4/27は、”最強の、終わりへ――”『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』、先日20世紀フォックスから発表されたDP2(だいぶ、パンチ効いている、2本目♥)公開日は6/1、そしてそして、スター・ウォーズ最新作にして、銀河一のアウトローの知られざる若き日々を描いた『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』は、6/29公開となってます!

『スター・ウォーズ:ハン・ソロ』の見どころ


今日ご紹介する書籍は、そんなハン・ソロの、”ソロ”(単独)読み切り作です。

マージョリー・リュウ[作]
マーク・ブルックス[画]
定価:本体1,600円+税
●4月4日頃発売●

ハン・ソロを簡単にご紹介すると、「スター・ウォーズ」シリーズで圧倒的な人気を誇るキャラクターで、ウーキー族チューバッカを相棒に銀河一の高速船ミレニアム・ファルコンを操る密輸業者です。ハン・ソロを演じたハリソン・フォードを一躍人気俳優に押し上げたキャラクターでもあります。

その人気の理由は、フォースを使えない普通の人間にも関わらず、抜群の操縦技術と何物も恐れない度胸で困難を乗り越えていく姿がとにかくカッコいい一方、シャイで傲慢でやたらと人間くさい性格や表情が世界中のファンを虜にしているんだと思います。

6/29公開映画ではオールデン・エアエンライクがハン・ソロを演じていますが、映画トレーラーを見る限り、キャストは違えどハン・ソロの魅力は一緒のようです。



それでは本書の紹介に入っていきましょう。

本書は2016年7月から11月までアメリカでマーベル・コミックスから刊行されたミニシリーズが底本となっており、SW正史(カノン)作品です。

粗筋を簡単にご紹介します。
まず時間軸でいうと、『スター・ウォーズ/新たなる希望(エピソードⅣ)』ヤヴィンの戦いから『スター・ウォーズ/帝国の逆襲(エピソードⅤ)』ホスの戦いまでの三年間のあいだに起こった出来事を本書は描いてます。

ヤヴィンの戦いで反乱同盟軍の勝利に大きく貢献したハン・ソロは、戦いの後、ジャバに返済し終えていなかった借金返済のため密輸業に戻っていたところ、レイア姫とクラッケン将軍の依頼により、反乱同盟軍のスパイを暗殺から救出するため、ドラゴン・ヴォイド・ランと呼ばれる銀河一危険で名誉あるレースに参加することとなりました。


レースの最中、決められた三つの惑星に立ち寄って三人のスパイを回収する手はずになっていたが、次々と想定外の事態に見舞われる中、ハンはレイア姫の依頼よりレースに勝利することに強く惹かれるのでした。

果たしてハンは任務とレースのどちらを優先するのか? 反乱同盟軍の三人のスパイとは誰なのか? スパイ網の中の最重要人物であるマスター・リスト所持者とは? そして、スパイを次々と暗殺している裏切り者の正体は一体!?


物語全体としては、ハン・ソロがチューバッカとともにミレニアム・ファルコンで宇宙を疾走する、という単純明快で爽快なストーリーでありながら、裏では様々な謎と動機が交錯して複数の伏線が同時進行する複雑なストーリーにもなっています。
わずか114Pでありますが、読み応え十分です。


本書の見どころの一つは、実力派クリエイター陣がタッグを組んでいる点です。
作家のマージョリー・リュウは、小説家として『ニューヨーク・タイムズ』でベストセラー出しており、コミック『モンストレス』は2016、2017年アイズナー賞にノミネート、2017年には「ベスト・グラフィック・ストーリー」としてヒューゴー賞を受賞しています。
(※ちなみに、同書のアートを担当したのは日本人アーティストのタケダ・サナ氏です。)

一方アートを担当するマーク・ブルックスも、 『デッドプール』、『スター・ウォーズ』、『アントマン』など様々な作品のカバーアートを手掛ける人気コミックアーティストです。そして本作については、なんとあのジョージ・ルーカスが原画を全て買い取るほど惚れ込んだそうなので、実力とクオリティは折り紙つきということです。

本書ではストーリーの面白さだけでなく、マーク・ブルックスの繊細かつ勢いのある筆致をぜひご堪能ください。
特に、細部まで描きこまれたミレニアム・ファルコンの造形は圧巻です。


最後に特典情報をお知らせします。
本書を対象店舗でご購入頂いた方に、オリジナル原書ステッカーシートをプレゼントしております。


▲手帳に貼ったら、こんな感じです。

これは、マーク・ブルックスのミレニアム・ファルコンがカッコよかったので、どうしてもステッカーが欲しくなり予算オーバーで無理して作らせてもらったものです・笑

1枚のシートに11個のシールが付いてます。
糊面は再剥離可能なミラーコートタック紙を使っているので、貼っても跡がつかずキレイに剥がせます。(※シールの方は爪痕が残っちゃうと思います・汗)

配布店舗はコチラでご確認ください。
※数に限りがございます。万一品切れの場合にはご了承ください。
※お買い上げの方に1部のみお渡し致します。

ぜひ皆さま書店でGETしてください!!

『ジャスティス・リーグ VS. スーサイド・スクワッド』の見どころ


つづいてご紹介するタイトルは、『ジャスティス・リーグ VS. スーサイド・スクワッド』です。

ジョシュア・ウィリアムソン他[作]
ジェイソン・ファボック他[画]
定価:本体3,300円+税
●4月4日頃発売●

まずは粗筋をご紹介します。

▼▼▼ JUSTICE LEAGUE ▼▼▼
情報将校アマンダ・ウォラーによって組織された特殊部隊スーサイド・スクワッド。彼らはアマンダが課す任務を遂行するため、世界中を駆け回っていた。今回の舞台は小さな島国バドニシア。スーサイド・スクワッドは粛々と任務をこなしていたが、中心メンバーである狙撃の名手デッドショットが逃げ場を失ってしまう。彼は身投げを覚悟し、荒廃したビルの上から飛び降りてしまう。だが、そんな彼を救ったのがスーパーマンだった。その場に全員集合していたジャスティス・リーグの面々。正義と不義、両チームは一触即発の状態で対峙するのだが……。
▲▲▲ SUICIDE SQUAD ▲▲▲

本書の見どころは、もちろん映画にもなった人気二大チームが大型クロスオーバー・イベントとして対峙するところでしょう。しかし私が注目したいのは、本書はアメコミ好きがアメコミ沼にハマる要素がギュッと詰まっている点です。

アメコミの魅力その1:ユニバースがつながっている


アメコミの魅力の一つは、各キャラクター誌とそのユニバースが全体としてゆるやかにつながっている事、そして別の雑誌が一つに集結するクロスオーバー・イベントがある事です。

これって日本の漫画に慣れている我々からするとすごいことじゃないですか!? たとえば、ジャンプのワンピースと銀魂の世界観はつながってないし、クロスオーバーすることもないですよね? 各キャラクターの著作権がDCやマーベルといった出版社に帰属しているからこそできることだと思います。

本作は、ジャスィテス・リーグ誌とスーサイド・スクワッド誌の各2.5巻という位置づけとなっていて、どちらの作品を追っている方も違和感なく物語に入っていけます。

※ちなみに、各1巻と2巻も小社から刊行されてますので、チェックしてみてください。
※なお前巻を読んでいなくても、本作はほとんど独立した話で十分楽しめるのでご安心ください。

特にスーサイド・スクワッド誌2巻目『ゴーイング・セイン』には、『ジャスティス・リーグ VS. スーサイド・スクワッド 序章:温かい心』という本作のプレリュード短編が収録されてます。まだ読んでない方は、本作を読んだ後に遡って読むのも面白いと思います。

また、アメコミはユニバースがつながっていることから、クロスオーバーとまではいかなくても、例えばバットマン誌で出てきたエピソードが、ジャスティス・リーグ誌のストーリーにつながってくる、というような事がちょいちょい起こります。

本書でも、『バットマン:アイ・アム・ゴッサム』でバットマンがアマンダ・ウォラーに任務を依頼された件について、バットマンがボソリとつぶやいていたり、

▲本書P21

▲『バットマン:アイ・アム・ゴッサム』P158

ハーレイ・クインがワンダーウーマンと対決したときのハーレイのセリフが『ハーレイ・クイン:リトル・ブラックブック』の出来事を受けてたりします。

▲本書P60

▲『ハーレイ・クイン:リトル・ブラックブック』P41

アメコミを読んでいて、自分が知っているネタが出てくると、「あ、これあの本で読んだ話だ!」「俺もだいぶアメコミに詳しくなってきたぞ。ムフフ」と嬉しくなるのもアメコミあるあるではないでしょうか。

アメコミの魅力その2:自分が知らない新しいキャラがゾクゾクと出てくる


アメコミのもう一つの魅力は、初めて出会う個性豊かなキャラクターたちが次から次に出てくることです。
しかもそのキャラが、実は長い歴史を持っていたりして、それを知るのもアメコミの楽しみの一つです。
本作でも、そんな素敵なキャラクターたちが出てきたので紹介します。

★キラーフロスト★

自分にとっては、前巻の『スーサイド・スクワッド:ゴーイング・セイン』が初見だったんですが、キラーフロストは氷結能力をもった悪女です。ゾクゾクします。本作においてかなり重要な役割を演じます。
このキラーフロスト、実は初出はかなり古く、1978年の『ファイヤーストーム』#3まで遡ります。そして、ニュー52版キラーフロストは本名「ケイトリン・スノー」なんです。

…そう、ケイトリンといえば、米CWの人気ヒーロードラマ『THE FLASH/フラッシュ』に出来てる主要キャラの一人、スターラボ所属の科学者ケイトリン・スノーなんです!
あのケイトリンがこんな姿になっちゃって……涙

実はドラマでも、シーズン3で彼女はキラーフロストの能力を獲得するそうです。
私はドラマはまだシーズン1までしか追えてないのですが、ドラマで彼女を知っている人は、「あのケイトリンが身も凍るヴィランに!?」と驚くことでしょう。

★マックスウェル・ロード★

彼も自分にとって全くの初見だったんですが、本書の中でかなり重要な役割を演じてます。
彼は天才的な頭脳を持った戦略家で、テレパシーによって他社を洗脳することができます。(※その副作用で、鼻血が出るというお茶目な一面もあります・笑
キャラクター設定を見ると、『インヒューマンズ』のマクシマスみたいですね。
歴史的な初登場は、1987年の『ジャスティス・リーグ』#1となってます。

★ロボ★

ほぼ不死身の超回復能力を持った、惑星チャルニア出身の殺し屋。残忍かつ超人的身体能力を持つ一方、約束は必ず守るという義理堅い一面や彼独特の造語でしゃべるというユーモラスな一面もあります。

二面性を持ったキャラというのは大抵魅力的なものですが、彼の超回復能力といい、今やアメコミ界きっての大人気キャラを彷彿とさせ人気に火がつきそうな予感がします。

実は彼は私にとって初見ではなく、『ハーレイ・クイン:リトル・ブラックブック』『スーパーマン:アメリカン・エイリアン』(いずれも小社刊)でもお目にかかってました。
(※リトル・ブラックブックでは、なんとロボはハーレイと塗れ場を演じてます!)

そのときもかなり魅力的なキャラだなぁと気になってましたが、おそらくそういう読者の声が多いからでしょう、なんとなんと! 本書でバットマンはロボをジャスティス・リーグにスカウトしちゃうんです!


ロボはバッツの勧誘を受けるのか受けないのか? …今後の展開が気になります。

以上、とりとめなく作品紹介してきましたが、とにもかくにもDCを代表する二大チームの共演を描いた本書、DCコミックスの魅力が濃縮された豪華内容となってます。
絶対に買って後悔しませんので、お近くの書店で見かけたらぜひ手に取ってみてください!!


第2期ShoPro Books公認ブロガーもご注目ください!


最後になりますが、今日ご紹介した作品は、第2期ShoPro Books公認ブロガーの「SATDANさん」「ドロさん」のお二人にもブログに取り上げていただくことになってます。
SATDANさんはハン・ソロ、ドロさんはジャスティス・リーグの予定です。
こちらもぜひ楽しみにしてください。

 ShoPro Books アメコミ公認ブロガー【第2期】始動!! 


以上、今回のアメコミ魂はこのあたりで。
次回の更新は、新刊『スパイディ:アフタースクール・スペシャル』『インビンシブル・アイアンマン:リブート』が発売される4月18日頃となります。お楽しみに!
(文責:小出)

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