2017年8月15日火曜日

「DCリバース」ついに始動! DCコミックスの新展開を解説

 アメコミ魂をご覧の皆さま、こんにちは!

 ShoPro Booksでは、これまでDCコミックスの様々な作品を邦訳刊行してまいりました。

 そしてこの夏、現行のDCコミックスの最新シリーズである「DCリバース」の刊行を開始します!

 その口火を切るのが、今月初旬に刊行された、「DCリバース」全作品のイントロダクションとなる『DCユニバース:リバース』です。


DCユニバース:リバース
ジェフ・ジョーンズ[作]
ゲーリー・フランク他[画]
定価:本体1,500円+税
◆好評発売中!◆



 今後のDCコミックス全体に関わる重要タイトルですので、ぜひお手に取っていただきたい作品です。

 ところで、「DCリバース」とはそもそもなんなのか? そこのところがいまいち飲み込めていない方もいらっしゃるかもしれません。ということで今回は、このシリーズの概要をご説明したいと思います。

 皆さんご存知のとおり、DCコミックスはアメリカンコミックを代表する創業1934年の老舗出版社。抱えるキャラクターの数も多く、そのストーリーラインは多岐にわたります。場合によっては矛盾することもあるそれらのストーリーラインを整理するために、同社では「多元宇宙(マルチバース)」という概念によって全作品の世界を構成しています。この多元宇宙は平行世界(パラレルワールド)と理解してもいいでしょう。メインのストーリーラインを中心に、パラレルな世界を行き来するのが、DCユニバースの基本的な世界観です。

 そして、長期連載によって設定が複雑になりすぎた場合には、世界観そのものをリセットして一から再始動することがあります。たとえば1985年の「クライシス」や2011年の「フラッシュポイント」などがそうです。以前にはアース1やアース2といった平行世界がありましたが、それが「クライシス」によって一つのアースに収束されました(2005年の「インフィニット・クライシス」以降は少し時間軸が修正されたため、「ニュー・アース」と呼ばれています)。その後、2011年の「フラッシュポイント」によって世界が大きく改変され、現在の「プライム・アース」へとつながっていきます。そのため、一口に“正史”と言っても、その正史の舞台(アース)そのものが都度変わっています。

 細かいことを言えば「アース1」「アース2」「ニュー・アース」「プライム・アース」に区分することになりますが、1985年の「クライシス」以前の正史世界はアース1、「クライシス」以後はニュー・アース、2011年の「フラッシュポイント」以降の現在はプライム・アースと大枠でとらえていても問題はないでしょう。

 上記のような経緯を経て、DCユニバースは「リバース」と呼ばれる新体制に突入しました。2011年9月のリランチ(NEW 52 !)は従来の設定を大幅に変更した“世界改変”でしたが、今回のリバースは前回のリランチの設定を引き継いだ、いわば“新章突入”といってもいいでしょう(一部設定が変更されている部分もありますが…)。

 このような流れのなか、今回ご紹介する『DCユニバース:リバース』は刊行されました。その気になる中身はというと……


(以下、本書紹介文より引用)↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

ウォリー・ウェスト(三代目フラッシュ)は、彼の先輩にあたるバリー・アレン(二代目フラッシュ)が引き起こした“フラッシュポイント”事件によって、現実の時空間から追放され、次元の狭間に囚われてしまった。虚無の空間を彷徨うウォリー……かつてキッド・フラッシュと名乗り、フラッシュの名を受け継いだ彼だけが、この世界の謎を見ることができる。いったい誰が“失われた10年間”を盗んだのか? ウォリーは地球に戻らなければならない。彼の愛する人たちが避雷針の役目を果たしてくれるはずなのだが、誰に接触を試みても、彼はますます世界から遠ざかり、真の消滅へと近づいていく……全宇宙の運命は、ウォリーの再生にかかっているのだ! 

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 ちなみに本書は、新シリーズの第一弾ということ以外にも見所があります。それは、かの名作『ウォッチメン』との関わりです。刊行から年月が経っても、いまだに熱烈なファンを生み出し続けている同作がどのように関わっているのか、それはここではあえて触れません。ぜひ、お手に取って、ご自身の目でお確かめください。

 さて、ShoPro Booksでは 、「リバース」シリーズの刊行開始に際しまして、今月もう二作品同シリーズの作品を刊行いたします。『スーパーマン:サン・オブ・スーパーマン』と『ワンダーウーマン:ザ・ライズ』です。

 今回はそのうちの『スーパーマン:サン・オブ・スーパーマン』をご紹介したいと思います。

スーパーマン:サン・オブ・スーパーマン
ピーター・J・トマシ[作]
パトリック・グリーソン[作・画]
ダグ・マーンキ他[画]
定価:本体2,300円+税
◆2017年8月23日頃発売◆


以下、あらすじ↓↓↓↓↓↓↓ ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

鋼鉄の男が第二の故郷を守るために命を落とした時、彼の体現する真実と正義は永遠に失われたかと思えた。しかし、それを遠くから見つめるもう一人のスーパーマンがいた。より年齢を重ね、経験と知恵を身につけたスーパーマン。さらに彼は妻のロイス・レーンと、息子のジョナサン・ケントを伴っていた。
とある消え去ったユニバースから逃れてきた彼が、表舞台に現れる。いまは亡きもう一人の自分の名前を継承して、地球で最も偉大なヒーローとして飛び立つために。
だが、この次元にたどり着いたクリプトン星の生き残りは、彼だけではなかった。
“エラディケイター”として知られる人工知能体が、エル家の生存者を追う。彼の目的はクリプトン星人の遺伝情報の保存のみであり、他の生命体に対する考慮は一切ない――たとえそれが、カル=エル――つまりクラーク・ケントの血を継ぐ者であったとしても。
果たしてスーパーマンの息子は、目覚めたばかりの能力を使いこなして、地球人としての自分をまっとうすることができるのか? それとも母なる世界の灰のなかから、新たなクリプトン星人として生まれ変わってしまうのか?

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 本書は「DCリバース」のスタートに際し、2016年6月に刊行された序章的な『スーパーマン:リバース』と、それに続いて9月まで毎月2号のペースで刊行された『スーパーマン』#1-6をまとめた単行本になります。ここで登場するスーパーマンは、ニュー52!で活躍したスーパーマンではなく、「インフィニット・アース」後に登場したスーパーマンです。彼はロイス・レーンと結婚し、息子も生まれていました。なぜ別のアース(次元)にいた彼が、メインのアースに現れたのか? また先代(ニュー52!)のスーパーマンよりも経験豊富な壮年のスーパーマンが、力が覚醒しつつある息子とともにどのような活躍をみせるのか? などなど、こちらの作品も見どころが満載です。



 と、ここまで駆け足でご紹介してきましたが、ShoPro Booksでは今後も「DCリバース」の作品を続々刊行する予定です。ぜひお楽しみにしてください。

 それでは今週はこの辺で。また来週お会いしましょう!

(文責・山口大介) 



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2017年8月8日火曜日

これがワンダーウーマンの「ベリーベスト」!最強美女戦士の名バトルを厳選!

「アメコミ魂」読者のみなさん、こんにちは!

夏まっさかりですね。うだる暑さが続く毎日ですが、編集部は今日もみんなで元気にアメコミを制作しております。

「暑さ」と言えば、それを吹き飛ばすようなワンダーウーマン旋風がいまアメリカからやって来ています。TVで、駅で、書店で・・・。街を歩けばいたるところで映画『ワンダーウーマン』の告知を目にするので、「ワンダーウーマンってだれ?」と言っていたアメコミ初心者でも、もうすでに彼女の名前ぐらいは覚えた方も多いのではないでしょうか。

さて今回ご紹介するのは、先週発売したばかりのワンダーウーマンの新作『ワンダーウーマン:ベストバウト』です。これまでのワンダーウーマン・ファンはもちろん、「ワンダーウーマンって知ったのはほんの最近だよ」、「映画はぜひ見に行きたい!」というワンダーウーマン初心者にこそぜひ読んでいただきたい作品です。

●表紙
『ワンダーウーマン:ベストバウト』
ジョージ・ペレス、ジョン・バーン他[作・画]
定価:本体1,800円+税
●好評発売中●



■初登場は76年前!
そもそもワンダーウーマンがコミックで華々しいデビューを飾ったのは、1941年。もう76年も前のことで、それだけ長く愛されてきたキャラクターであり、アメコミ人気を牽引してきた重要な存在です。

■ワンダーウーマン旋風がやって来た
だからこそ、アメリカ本国では彼女の映画化を「今か今か」と長年待ち望んできたわけで、今年公開されるやいなや大変なヒットとなったのです。
他のアメコミ映画と比較すると、『ドクター・ストレンジ』、『ローガン』、『アイアンマン』、『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』を超えるオープニング成績を達成する熱狂ぶり。
しかも、ジェシカ・チャスティンなどのハリウッド女優やTV番組の女王オプラ・ウィンフリーなど多くのセレブがこぞってコスプレ姿などをSNSにアップ、「I LOVE WONDER WOMAN!」を競って発信しています。

ちなみに映画は、あの『美女と野獣』や『ラ・ラ・ランド』を超えて、2017年ツイートされた映画No.1のようで、それだけ多くの方々が話題にしたようです。
7月11日には映画の大ヒットを受けて、あのマーベルのキャラクターであるデッドプールがワンダーウーマンを祝福するツイートをアップ。両手でハートマークを作ってかわいらしい画像が話題を呼んでいます。

このように、アメリカの人々にとっては、このキャラクターがいかに特別なのか、親しみを覚えているのか、とてもよく分かるエピソードが次々に出てきています。

■どんなヒーローなのか
では、このワンダーウーマンとはいったいどんなヒーローなのか。
ご存知の方も多いと思いますが、いま一度紹介します。

本名はダイアナ。セミッシラ(またはパラダイス島)に住む、女性のみからなる超種族アマゾン族の女王ヒッポリタの娘。外界から閉ざされていた島に住んでいたが、陸軍パイロットのスティーブ・トレバーが不時着したことで、初めてシニカルな現代社会に足を踏み入れることとなる。

特殊能力としては、怪力、飛行能力、格闘術、格闘戦術、俊敏性で、その輪にかかった者に真実を話させる真実の投げ縄、弾丸を跳ね返す腕輪、ブーメランになるティアラを武器として使用する。

■コミックス史上最高のヒロイン
登場から70年以上、様々な雑誌の表紙を飾り、フィギュアが作られ、Tシャツなどファッションにも採用され、これほど広く露出したヒロインは他にいないのではないでしょうか。
美貌と頭脳、腕力を兼ね備えることで、フェミニズムのアイコンとして親しまれてきたことが、その一番の理由かもしれません。

■歴代の名バトルばかり6話を編集
この『ワンダーウーマン:ベストバウト』は、このヒーローをよく知るファンはもちろん、初めての方にも読みやすい「ワンダーウーマン入門編」とも言える一冊です。
内容はタイトルどおり、これまでの彼女の戦い、特に印象的なバトルとされる6つのストーリーを集めた「ベスト」版のおもむき。音楽のベスト版CDと同じく、どこを読んでも彼女のすごさ、魅力が詰め込まれたエピソードに出会えて、面白さ満載なのです。ハズレなし、どこから読んでも分かりやすく、この一冊で6つの味が楽しめるようなお得感のある仕上がりになっています。

戦う相手も神や怪物、ヴィランに心を操られた友人などバラエティに富み、ファイトスタイルも異なれば登場する武器も多彩。作品を手がけるのはエピソードごとにすべて異なるスター作家と呼ばれるアーティストたちで、様々なテイストのワンダーウーマンを楽しむことができるのも魅力です。


では、ここで各エピソードについて、あらすじや死闘を交わす敵、見どころを紹介します。
気になったエピソードからページをめくってもすんなりと読み進められるので、初心者でもまったく構える必要はありません。

●第1話 「集中攻撃」
【あらすじ】
ダイアナは神々から世界征服を企む軍神アレスを止める命を受けて、「男の世界」に旅立つ。
アレスの目的が「第三次世界大戦」を引き起こすことにあると知った彼女は、アレスの娘ハルモニアから入手した護符に導かれて、敵の手に落ちたアメリカのミサイル基地にたどり着く。
【戦う敵】
オリンポスの軍神アレス。ゼウスの息子の一人だが、他の神々を目の敵にしている。
【見どころ】
軍神アレスが放つ沸き立つ炎の中で、苦悶するワンダーウーマン。

●第2話 「密林の夜」
【あらすじ】
ゲートウェイシティに拠点を移したダイアナは博物館で働きながら、いろいろな敵と戦っていた。そんなある日、友人マイク・ショアが失踪したとの知らせを受けて、彼女は捜索を始める。事件の背後に宿敵チーターの存在を感じた彼女は、動物園の跡地へ向かうと…。
【戦う敵】
宿敵チーター。元考古学者だが、植物神によって力と野獣の姿を得る。
【見どころ】
敵の攻撃に対して、あえて無抵抗となり、その思いを受け止めるワンダーウーマン。

●第3話 「石化の魔眼」
【あらすじ】
魔女サーシが妖女メデューサをよみがえらせて、ダイアナのもとに送り込む。大使館職員の息子を石に変えたメデューサにとどめを刺そうとするダイアナだが、メデューサは軍神アレスを召喚して、神の名のもとに正式な決闘を挑む。
【戦う敵】
目を合わせた者を石に変えるメデューサ。ゴルゴーン3姉妹の末妹。
【見どころ】
敵の姿を見て石と化さないで済むように、ワンダーウーマンがとる驚きの行動。

●第4話 「犠牲」
【あらすじ】
ジャスティス・リーグを再建させたマックス・ロード。その魔の手が他のヒーローにおよぶ可能性を恐れたスーパーマンは地球へと向かう。後を追って、ダイアナもマックスがいるとおぼしきスイスへ急行すると…。
【戦う敵】
スーパーマン、マックス・ロード
【見どころ】
地球と宇宙の区別なく繰り広げられる、スーパーマンとの高速かつ大規模なバトル。

●第5話 「邪悪の申し子たち」
【あらすじ】
市民の暴動が起き、混乱状態に陥ったワシントンDC。事件の背後には、不気味な5人の少年の暗躍があった。ダイアナも現場へ駆けつけるが、そこに現れたパワーガールもどこか様子がおかしかった…。
【戦う敵1】
パワーガール。別次元のスーパーマンのいとこで、彼と同様の能力を持つ。
【戦う敵2】
軍神アレスの5人の子どもクロウズ。アレスが魔法によって、アマゾン族の女性に産ませた。
【見どころ】
パワーガールとの美しい女性どうしによる、激しい肉弾戦。

●第6話 「神々の戦い」
【あらすじ】
ダイアナはゼウスの子どもを身ごもったゾラという人間の女性を守ることになる。様々な神がゾラとその子どもを狙うが、最大の敵がファーストボーンだった。ロンドンを陥落させたファーストボーンに対して彼女は完全と立ち向かう。
【戦う敵】
ファーストボーン。ゼウスとヘラの知られざる第一子だが、ゼウスに忌むべき存在として放逐された。
【見どころ】
敵への憎しみのあまり、我を失い、狂気のままに戦うワンダーウーマンの姿。


■何十年も変わらないヒーロー像
個人的には、タイトルがどれもとてもいいなと思うのです。
小説家でも、「題がいい」ということが大作家の証、などとも言われますが、古典文学のような格調高さがあって、展開するストーリーに想像を膨らますことができます。

また、この6編はすべて同年代の作品ではなく、1980年代から2010年代までのそれぞれの年代からピックアップされています。この30年間のワンダーウーマンの歴史であり、その歴戦の集大成とも言える作品に仕上がっています。

だから、よくよく読めば、確かにその時代の社会情勢を感じる作品もあれば、逆に時代が変わってもこのヒーロー像だけは変わらない、とキャラクターのコンセプトに一本筋の通ったところも感じることもでき、キャラクターに込めた作り手の一貫した熱いこだわりが脈々と流れているように思うのです。

■ワンダーウーマンの本当の魅力が見えてくる
ワンダーウーマンを形容する際に多く使われるのは、「美しさ」と「強さ」。確かにそのとおりです。しかし、この6つのエピソードをまとめて読むと、その下に隠れていたもう一つの彼女の魅力が浮かび上がってきます。
それは、やさしさとも言えるし、思いやり、もっと大げさに表現すると「慈悲」とも言えます。それは助ける人物に対してはもちろん、戦っている相手にさえ時にはその感情を持ってぶつかっていくのです。怒りや憎しみ、復讐の心にまかせて相手を打ち負かそうとするだけではないのです。相手の攻撃に対して無抵抗のまま受け続け満身創痍になったり、あるいは涙を流したり、そんな姿はまさにその象徴ではないでしょうか。
これこそが、他の男性キャラクターにはない特徴で、魅力であり、彼女が多くの方から長く愛されてきた理由の一つでしょう。

■驚きの壮絶シーンを見逃さないで
本書で、絶対に見逃さないでほしい1場面、いえ1コマがあります。それは強敵ファーストボーンとの戦いのさなかに起こります。ワンダーウーマンを知っていればいるほど、このシーンはショックです。初見で私ははっと息をのんだほど。彼女のとった行動があまりにも突拍子もなく、そして恐ろしく、でもそれ以外にはないと思えるほど理にかなっています。ですが、読者の多くはやはり納得しつつも強い衝撃を受けてしまうのではないでしょうか。
見てのお楽しみですが、「彼女が、そ、そんなことを…?」という事態なのです。

■今月末には次回作も発売!
このワンダーウーマンについてもっと知っていただきたいとの思いから、23日ごろに新作『ワンダーウーマン:ザ・ライズ』の発売も予定しています。

●表紙
『ワンダーウーマン:ザ・ライズ』
グレッグ・ルッカ[作]

リアム・シャープ[画]
定価:本体2,300円+税


【あらすじ】
ワンダーウーマンに衝撃的な出来事が起こる。アマゾン族の故郷である神秘の島、セミッシラに帰れなくなってしまったのだ。島に帰る方法をただ一人知るのは、凶暴な半獣の女性、チーターだ。宿敵であるチーターと手を組むことで、彼女は再び故郷の地を踏むことができるだろうか…。


今後ますます注目されていくこの史上最高の女性ヒーロー。他のヒーローにはない独特の魅力にぜひ触れてみてください。

それでは、また来週お会いしましょう。

(文責:木川)

2017年8月1日火曜日

DCユニバース、"ニュー52"バットマン完結!そして物語は"リバース-REBIRTH-"へ

「アメコミ魂」をご覧のみなさま、こんにちは!
今日から8月、いよいよ夏本番ですね!毎日暑い日が続きますが、みなさまこの夏のご予定はもう立てられましたか?
夏といえばサーフィン! 私は毎日、部屋の中でネットサーフィンに明け暮れる毎日です。

そこで、今回取り上げる書籍の評判をネットで検索してみたところ、

「○○ちゃん、アマゾンからなんか薄いアメコミが届いたわよー」
「えー、アメコミが薄いわけないじゃん・・・って薄っ!

みたいな、本の薄さに言及されてる書き込みがチラホラ。

本日ご紹介する作品は、そんな薄くて、夏のアウトドアの持ち運びにも便利な『バットマン:エピローグ』です。

スコット・スナイダー他[作]
グレッグ・カプロ他[画]
定価:本体2,000円+税
◆好評発売中◆

本書は120頁と、アメコミにしては確かに薄めですね。
同時期に刊行された小社『バットマン:エターナル<下>(THE NEW 52!)』(584頁)と比べるとその差は歴然!


ですが、小社刊行アメコミの中には、もっと薄い本もあるんです。
ここで、小社アメコミ"薄い本ベスト3"をご紹介します!

1位.『バットマン:キリングジョーク 完全版』(2010年1月刊行)⇒80頁
2位.『バットマン VS. スーパーマン:ベストバウト』(2016年3月刊行)⇒92頁
3位.『デッドプールの兵法入門』(2015年9月刊行)⇒96頁

ちなみに、この三冊とも重版のかかった人気タイトルなんですよ。

薄い本の次は厚い本も気になるのが人情ですので、 "厚い本ベスト3"もご紹介すると、

1位.『バットマン:エターナル<上>(THE NEW 52!)』(2017年1月刊行)⇒600頁
2位.『バットマン:エターナル<下>(THE NEW 52!)』(2017年7月刊行)⇒584頁
3位.『バットマン:ノーマンズ・ランド1』(2014年9月刊行)⇒544頁

となってます。バットマンが見事1・2・3独占!
こうやって見ると、薄い方も厚い方も、1位、2位はバットマン関連本なんですね。

今回ご紹介する『バットマン:エピローグ』は、そんなバットマン関連本の中でも、ニュー52最終章を飾るエピローグ本ということで、絶対に見逃せない重要タイトルとなってます。


『バットマン:エピローグ』の紹介


本書は全部で4つの短編を収録してます。

最初のエピソードは、『フューチャーズ・エンド:未来への遺産』です。


舞台は5年後の世界。5年後にしては、随分と傷つきボロボロになったブルース・ウェインが、"ある実験"をしています。実験の目的は、バットマンが永遠に存在して活動を続けること…。しかしそのためには、"ある物"が足りません。それを入手するためにバットマンは、痛み止めと興奮剤で40分間の活動時間を得て、目指す目的地への侵入を試みる、というストーリーです。
"エピローグ"の第1話にふさわしい、人生の終幕を感じさせるエピソードとなってます。


二つ目のエピソードは、『過去にむしばまれた館』です。


現在より少し前、『バットマン:スーパーへヴィ』から『バットマン:ブルーム』にかけての頃のエピソードで、ブルース・ウェインがまだ記憶を取り戻す前の頃を描いた作品です。
『バットマン:エターナル』でブルース・ウェインは財産を失い、彼の屋敷は精神科病院アーカム・アサイラムの移転先にされてしまったのですが、本話の中でジェリ・パワーズは、屋敷をブルースのために取り戻し、アーカム・アサイラムの囚人を他所に移送します。そして、最後に残った最も危険な三人の囚人を移送する…という話です。


三つ目のエピソードは、『ゴッサムは』です。


本書収録の他のエピソードは外伝ですが、この『ゴッサムは』は、ニュー52の本編です。つまり『梟の法廷』から続くニュー52版バットマンのまさにフィナーレを飾るエピソードになります。

ところでみなさま、『梟の法廷』の冒頭のシーン、覚えていらっしゃいますか?

――土曜日の『ゴッサム・ガゼット』紙には"ゴッサムは"という小さなコラムが掲載されている。無作為に選ばれた市民が"ゴッサムは…"の続きを3単語以内で完成させるという企画コラムだ。――

というナレーションから、全ての物語は始まりました。

そこでは、

「ゴッサムはクソ」
「ゴッサムは呪われている」
「ゴッサムは殺人的」


など、ネガティブなワードのオンパレードでした。

しかし、ニュー52版バットマンの変遷の後、12巻後の本書でそのアンサーはどう変わったのでしょうか…?

「担当を任された当時、送られてくる答えはどれも暗く、絶望的だった。」
「でも最近…とくにここ数年、答えがどんどん明るくなってるんだ。」

ゴッサム・ガゼット紙の担当記者はこう語ります。

ここ数年といえば、まさに『梟の法廷』以降です。
ニュー52シリーズを通したバットマンの戦い――秘密結社「梟の法廷」と暗殺者「タロン」、宿敵ジョーカー、そして「ミスター・ブルーム」との死闘。過酷な戦いの末にバットマンとゴッサム市民が何を成し遂げたのかが分かります。

そして本エピソードの最後のページ、未明のゴッサムをバックに語られる短いナレーションが、全てを物語ります。
その内容は、みなさまご自身の目で、ぜひ本書を手にとってご確認ください。



本書最後のエピソードは、『リスト』です。


この話も、本書巻末を飾るにふさわしい、象徴的なエピソードとなってます。

ほんの22ページと短いエピソードの中で、ブルース・ウェインの全てが語られているといっても過言ではありません。
ブルースの両親が殺された2週間後から物語は始まり、ブルース失踪中の日本、カナダ、ユーゴスラビアでの修行の日々、そして現在を舞台とした戦いが、一冊のリストを軸に語られます。
『ゴッサムは』がニュー52シリーズの総括なら、この『リスト』は、ブルース・ウェインの人生の総括といえます。


以上、駆け足で『バットマン:エピローグ』をご紹介しました。
薄い本なのでブログも短めということで、今週はこの辺で失礼したいと思います…













…と思ったら、
「今回はバットマンだけだと短いので、ハーレイ・クインも取り上げてもらっていいですか?」
と、まさかの追加指令!?

ということで、急きょ、こちらもニュー52シリーズ最終巻となる『ハーレイ・クイン:ブラック・ホワイト&レッド』もご紹介します。


『ハーレイ・クイン:ブラック・ホワイト&レッド』の紹介

アマンダ・コナ―、ジミー・パルミオッティ[作]
チャド・ハーディン他[画]
定価:本体2,100円+税
◆好評発売中◆

といいつつ、実は私まだハーレイをちゃんと読んだことがなくて…
で、慌てて『ハーレイ・クイン:ホット・イン・ザ・シティ』から読み始めたところ、


何これ、超面白いじゃーん!!


この「アメコミ魂」のこの記事この記事とか読んでいて、「なんか楽しげだなー」とは思ってましたが、ここまで面白いとは(゚∇゚ ;)

オオオオオッッッ

すっかりハーレイの虜になりました。
彼女の魅力は、陽気なユーモア、元気ハツラツな性格、少女のような健康美に尽きます。(肌は青白いですが…)
日本のアニメで例えるなら、『ルパン三世』の峯不二子のようなセクシーさではなく、『アンパンマン』のドキュンちゃんのようなキュートさとでも言うんでしょうか。

その割に、軽はずみにハンマーで男の頭をカチ割っちゃう的な凶暴&サイコパスな一面もあるんですが、ハーレイなら猟奇的殺人シーンもなぜか明るく爽やかな気分にさせてくれます。
言葉遊びやユーモアあふれるセリフまわし、ナレーションも楽しいですしね。

本書の原書サブタイトル『BLACK, WHITE, AND RED ALL OVER』もひねりが効いてます。
日本語で書くと「黒くて白くて"レッド"なモノ、なーんだ?」というなぞなぞになります。
それって何か分かりますか?






答えはこの下に。↓↓








もうちょい下です。↓↓↓









「新聞」です。

英語で「レッド=赤」と、「レッド=read=読まれる」をかけた言葉遊びになってるんです。
英語圏では古典的な言葉遊びだそうです。
でも、それを本書のタイトルにもってきてるということは、さらにひねって、「ハーレイ・クイン」を指してるんだと思います。
なぜなら、ハーレイは、青白い肌(ホワイト)に赤(レッド)と青っぽい黒(ブラック)の髪の色ですから。
その証拠に、本書の第1話『新しい日、新しい敵』(↓)のハーレイの髪の青い部分は、青というより黒になってますし、表紙(↑)のハーレイも、黒と白と赤です。

『新しい日、新しい敵』のハーレイ・クイン

本書の内容ですが、ハーレイに惚れたおっさん(=レッドツール)が、ハーレイの気を引こうと大枚はたき、観覧車デートして、教会でサプライズ結婚式をあげ、そして最後、夜の海でいいムードになります。
…というとなんか普通の恋愛ストーリーですが、もちろんハーレイの恋愛が普通の恋愛になるわけありません。
デート(?)の最中、レッドツールもハーレイも周囲の人間を殺しまくり!! 歪んだ愛のカタチですね

そんなドタバタが読んでて楽しいんですが、残りあと1ページまで読み進めてハタと「あれ、これってニュー52の最終巻だよな」と気づいて、不安になるのが一切フィナーレ感がない事です。
最初から最後までフィナーレ感満載だった『バットマン:エピローグ』と大違い。。


…と思ったら、最後のページの、最後のコマの、ハーレイの最後のセリフ↓で、


『…最終号だからのんびりしましょ。新しい事件は来月のお楽しみ』

このとってつけたような雑なフィナーレ感ww。

最後までハーレイらしい終わり方でした。

追伸:
読み返したら、最後から2ページ目の最後のコマで、わざとらしくさりげなく、なんとリバースへのつなぎもしてました!


『再生(リバース)の光景を上から見ましょ』

そして、この腕を伸ばしたポーズはどこかで見覚えが・・・
(↓下の書店ポスターにもあるリバース・キービジュアルをご参照ください・笑)

芸が細かいのか雑なのか…最後まで楽しませてくれる、ハーレイ・クイーン最高DETH!


リバース(-REBIRTH-)の紹介


せっかくハーレイがリバースにも言及してくれたので、最後にリバースの紹介を少ししたいと思います。

私なんかより詳しくご存じの方も多いと思いますが、DCユニバースは2011年の「フラッシュポイント」によって世界が大きく改変され、2011年9月以降"ニュー52"シリーズとして展開されてきました。
そして2016年6月、それまでのニュー52の世界観を引き継ぎながら"新章突入"したのが"リバース -REBIRTH-"です。

リバース書店ポスター

小社からも、以下のようにリバースシリーズ続々刊行予定となってます。

【8月2日頃】
『DCユニバース:リバース』

【8月23日頃】
『ワンダーウーマン:ザ・ライズ 』
『スーパーマン:サン・オブ・スーパーマン』

【9月6日頃】
・『ジャスティス・リーグ:エクスティンクション・マシン (仮)』
・『ハーレイ・クイン:ダイ・ラフィン (仮)』
・『バットマン:アイ・アム・ゴッサム (仮)』

【10月3日頃】
・『スーサイド・スクワッド:ザ・ブラック・ヴォールト(仮)』
・『オールスター・バットマン:ワースト・エネミー(仮)』

【11月7日頃】
・『バットマン:アイ・アム・スーサイド(仮)』

【11月14日頃】
・ジャスティス・リーグ:アウトブレイク(仮)』

最初の6タイトルについては、購入特典として『原書カバーイラストICカードステッカー』をプレゼントします! 詳しくはこちらのページをご覧ください。


リバースシリーズ、乞うご期待!!

今週のアメコミ魂はこの辺りで締めさせて頂きたいと思います。
来週取り上げる作品は、8月25日公開映画が話題の『ワンダーウーマン:ベストバウト』ですので、映画の予習にぜひチェックしてください。お楽しみにーー!!
(文責・小出)


▼おもしろい記事がありましたら、ぜひ皆様のSNS等でご紹介してください。ただし、画像の無断転載はご遠慮ください。


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2017年7月25日火曜日

この夏にオススメ! デッドプール&スパイダーマン2作品

「アメコミ魂」をご覧のみなさま、こんにちは!
関東も梅雨が明け、エアコンなしでは耐え難い日々が続いていますね。
今回ご紹介するのはそんな夏にぴったりのさわやかなストーリー……ではなく、暑苦しさに定評のあるデッドプールの単独タイトルです。


デッドプール:バック・イン・ブラック
カレン・バン[作]
サルバ・エスピン[画]
定価:本体1,800円+税
◆好評発売中◆

裏表紙はこんな感じです。↓↓↓



この不気味な迫力! 実写だったら完全にホラーとして分類されますよね、これは。
内容もなかなかのスプラッタ描写があるので、そういった意味でも夏にふさわしい1冊といえます。

カレン・バンとサルバ・エスピンのタッグで描かれるデッドプール――ときいて、ピンとくる方はさすがです。
この二人が手がけた『デッドプール vs. カーネイジ』も、『デッドプール:バック・イン・ブラック』同様にエイリアン共生体が悪行の限りを尽くす作品。まだ読んでいないという方は、この機にぜひぜひご一読ください! ヴェノムなどエイリアン共生体についても体系的な知識が身につきます(?)し、どちらか一冊を知っていればもう一冊もすんなり読めるのでオススメです。やたらと赤いカバーを目印に探してください。


デッドプール vs. カーネイジ
カレン・バン[作]
サルバ・エスピン[画]
定価:本体1,800円+税
◆好評発売中◆


さて、物語が始まるのは、1984年のクロスオーバー・イベント『シークレット・ウォーズ』のあと、スパイダーマンがエイリアン共生体と決別してから。さらにその後、エイリアン共生体は自分を捨てたスパイダーマンを襲います。その襲撃はあえなく失敗に終わり、共生体は教会に身を潜めるのですが……。
多くの方は、このあとにエディ・ブロックがやってきてエイリアン共生体の宿主となり、ヴェノムが爆誕するというストーリーをご存じでしょう。しかしその前に、実は共生体とデッドプールの知られざる邂逅があったのだ――というのが、本書のあらすじです。


デッドプール:バック・イン・ブラック』本編より


物語冒頭の共生体さんは、なんだかヒューマン。お菓子をくれるお掃除のおじさんと仲良くなっていたりして、まるで路地裏の子猫ちゃんのようです。この人間くさい振る舞いは、宿主だったピーター・パーカーの影響を受けたためだろうと推測されるのですが……ということは、新たな宿主であるデッドプールの影響を受けるとどう変化してしまうのか……なんとなく想像がつきますね。


デッドプール:バック・イン・ブラック』本編より


ハイ、ご想像のとおり。顔つきも極悪具合もエグイです。
雑食ぶりもすさまじく、作中でいろんなものを食べてみせてくれますので、その辺りもお楽しみに。

また、30年以上前のシリーズをもとにしている『デッドプール:バック・イン・ブラック』には、それを思わせる遊び心がいろいろ隠されています。


デッドプール:バック・イン・ブラック』本編より


欄外にもたくさんの豆知識とジョークが詰め込まれているのですが、何度も書かれているのはこの「広告の後に続く」というフレーズ。往年のリーフでは、本編の間に広告ページが差し込まれる際、「Continued After Next Page(次ページ広告の後に続く)」という当然のひとことが欄外に記載されていたそうです。これはその決まり文句を再現した演出だとのことで、当時を知るファンはきっと懐かしい気持ちになるのでしょうね。

とにかく何度でも読み込める、厚さに対して情報量の多いオトクな一冊です。スパイダーマンやクレイヴンのほか、最後には意外な人物も登場するので、結末まで気を抜かずにお楽しみください!



そしてもうひとつご紹介するのは、こちらもデッドプールが登場するビッグタイトル!
スパイダーマン/デッドプール:プロローグ』です。
スパイダーマンは8月に主演映画の公開が決まっており、弊社のコミック刊行も続く超大物かつ旬なヒーローのひとり。こちらもぜひこの夏に読んでおきたい一冊です。


スパイダーマン/デッドプール:プロローグ
ジョー・ケリー他[作]
アーロン・クダー他[画]
定価:本体2,400円+税
◆好評発売中◆


おしゃべり上手なスパイダーマンとデッドプール、待望のチームアップ!
待望の競演がついに始まる――まずはその前に、彼ら凸凹コンビの過去のブロマンスを読んでおこう! というのが本作のコンセプト。泣く子も黙るふたりのスターによる、これまでの未邦訳共演作をぎゅっとまとめた一冊です。
底本となっている『Spider-Man/Deadpool Vol. 0: Don't Call It A Team-Up』に収録されている『DEADPOOL(2008)#19-21』と『DEADPOOL(2012)#10』は、弊社からすでに『デッドプール:モンキー・ビジネス』および『デッドプールVol.2:ソウル・ハンター』として刊行されているので、気になる方はこちらをチェックしてください。


デッドプール:モンキー・ビジネス
ダニエル・ウェイ[作]
カルロ・バルベリー他[画]
定価:本体1,800円+税
◆好評発売中◆


デッドプールVol.2:ソウル・ハンター
ジェリー・ダガン、ブライアン・ポゼーン[作]
スコット・コブリッシュ他[画]
定価:本体1,800円+税
◆好評発売中◆


どちらも大人気作なので、熱心な読者の多くはすでに2冊ともお持ちのことと存じます。でも大丈夫! 『スパイダーマン/デッドプール:プロローグ』を購入しても重複するお話はありませんので、どうぞ安心してお求めください。
本作はケーブルやウィーゼルなど、さまざまなキャラクターが登場するのも楽しみな点ですが、邦訳が待たれていた『デッドプール・アニュアル』#2が収録されているのも大きなポイント。


スパイダーマン/デッドプール:プロローグ』本編より

ずっとスパイダーマンのスーツを着てみたかったデッドプール。夢が叶ってよろこぶさまはとってもかわいらしいのですが、デッドプールが着たあとのスーツを着ると思うと、やっぱりなんていうか、なぜなのかはうまく言えないですけど、わりとすごく嫌ですよね。


スパイダーマン/デッドプール:プロローグ』本編より

↑↑↑実際、スパイディもこう言っていますし……

そのほか、ピーター・パーカーの学生時代にデッドプールがタイムスリップしたり、日本人俳優も出演したあのハリウッド映画よろしく、夢の階層をふたりで下りていったり、“ママ・ジョーク”で対決したりします。ちなみにママ・ジョーク(=Yo mama)とは、日本でいうところの「お前の母ちゃんデベソ」的な、お母さんの悪口にオリジナリティを持たせて対決するもののこと。いい年をした世界的ヒーローが真剣にこれをやりますので、ぜひご覧ください。

全編にわたって、スパイダーマンへのデッドプールの歪んだ愛情と、スパイディのいいやつぶりがうかがえます。読了したあかつきには、これまで以上にふたりを好きになってしまうこと間違いなし!

ふたりの活躍する過去作品を集めた本作は、このシリーズにとってまさに“プロローグ”。『スパイダーマン/デッドプール:プロローグ』にも携わったジョー・ケリーをライターに迎えた『スパイダーマン/デッドプール vol.1(仮)』では、いよいよ彼らの新たなストーリーが描かれます。


『スパイダーマン/デッドプール vol.1(仮)』
ジョー・ケリー[作]
エド・マクギネス[画]
◆9月20日頃発売予定◆


というわけで、近く刊行予定の『スパイダーマン/デッドプール vol.1(仮)』もお楽しみに!

次回は『バットマン:エピローグ』と『ハーレイ・クイン:ブラック・ホワイト&レッド』について熱く語ります。どちらもついに最終巻をリリースした人気シリーズですので、こちらも要チェックですよ。
それではごきげんよう。 来週の更新もお楽しみに!


(文責・鈴木絢子)



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2017年7月17日月曜日

「バットマン:エターナル」ついに完結! (※プレゼント情報あります)

 アメコミ魂をご覧の皆さま、こんにちは!

 今年1月に刊行された『バットマン:エターナル<上>』。邦訳化を待ち望む声が大きかったビッグタイトルということもあって、600頁におよぶ大ボリュームにもかかわらず、多くの読者の方々から好評の声を聞くことができました。

 そして、続く完結編となる『バットマン:エターナル<下>』が、いよいよ今週から店頭に並びます!

バットマン:エターナル<下>
スコット・スナイダー、ジェームズ・タイノンⅣ他[作]
ジェイソン・ファボック、ダスティン・グエン他[画]
定価:本体5,500円+税
◆2017年7月19日頃発売◆




 ジム・ゴードン逮捕から端を発した様々な事件、その背後に潜む陰謀など、前巻で張り巡らされた伏線が結末へ向かって収斂されていきます。


 下巻を読む前に、前巻までのあらすじをおさらいしましょう。

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 ゴードン市警本部長が逮捕されたことをきっかけに、ゴッサムの騒乱の日々は始まった。過失致死の濡れ衣を着せられたゴードンが、ブラックゲート刑務所に拘留され、彼の意志を引き継いだかに見えたジェイソン・バードは、バットマンと警察を敵対させ、ゴッサムを戒厳令下におく。バットマンと仲間たちはゴードンの無実を信じ、それを証明しようとするがその努力は報われず、街とバットファミリーを取り巻く状況は悪化の一途をたどっていった。
 そのなか、ナロウズを中心に子供達はナノマシンによる奇病に倒れていく。その原因を探るため、レッドロビンとハーパー・ロウは東京へと向かうが、収穫はなかった。時を同じくして、自分の父親が三流ヴィラン、クルーマスターとしった少女ステファニー・ブラウンに莫大な賞金がかけられ、彼女はスポイラーと名乗り逃亡生活を余儀なくされる。キャットウーマンは生き別れの父親レックス・カラブレーゼと再会し、街に秩序を取り戻すために彼が築いた犯罪帝国を継承することを求められる。一方でバットマンは、アルフレッドの娘、ジュリア・ペニーワースと出会う。
 当初、バットマンはゴッサムの騒乱の黒幕をカーマイン・"ローマン"・ファルコーネと睨んでいた。しかしファルコーネは傀儡にすぎず、より大きな計画の一部であることが判明する。突如現れたハッシュによって、アルフレッドが重体に追い込まれたとき、バットマンは彼こそがすべての背後で糸を引いていたと確信するが……。

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 前巻に引き続き、本書は2014年10月から2015年4月にかけて刊行された「バットマン:エターナル」誌28号から52号を一冊にまとめたものです。アメリカでは単行本全3巻で刊行されましたが、邦訳版では上下巻に編集し直して刊行。下巻にあたる本書は原書2巻の後半と原書3巻を収録したものになります。また、原書2巻に収録されていた「アーカム・マナー」誌と「キャットウーマン」誌のプレビュー(予告編)も収録しました。ちなみにこちらの2タイトルの刊行予定はございません(すみません!)。

 前巻でバットマンと仲間たちは、解決のために奔走を続けたものの、事件の全貌は明らかになりませんでした。そのさなか、ウェイン邸でアルフレッドがハッシュに襲撃され意識不明に陥いるという衝撃の展開がありました。彼こそが黒幕かと思われましたが、事件は意外な展開となります……が、それは是非、本書をお手に取ってお確かめください。
 「バットマン:エターナル」シリーズでは、クライム、テクノロジー、そしてオカルトといったゴッサムシティの様々な側面を紹介しつつ、週刊というハイペースで街を揺るがす難事件が続発。刊行のたびに、真の黒幕を予想する声が読者たちのあいだでわき起こりました。

 これだけ大きなスケールで展開される作品に取り組むにあたり、製作側はライターだけでもスコット・スナイダーをはじめとして6人体制が敷かれました。全体のストーリーがまず用意され、個別のエピソードをライターが交代で書く体制で制作され、それぞれのエピソードにはライターならではの特色が出ています。


ジェームズ・タイノンⅣは、レッドロビンやブルーバードといった
キャラクターが活躍するエピソードを担当。バットマンを中心に
据えつつ、瑞々しい若者ヒーロー像を創出しました。




 コリガンとバットウィングのアーカム調査を通じて、
超自然、オカルト的な恐怖を描き出したレイ・フォークス。




 大ボリュームならではのダイナミックな展開が本シリーズの魅力ですが、担当ごとに変わる作品の味わいに注目しながら何度も読み返せば、その都度、新たな発見があるかもしれません。なんせ本書は584ページ。上巻と合わせると1184ページという大書です。ぜひ何度も読み直してもらいたい……というより読み直して、この作品の魅力を深く味わってもらいたいです。

 さて、前巻では、読者プレゼントとして「バッツギビング」の大判ポスターをご用意したところご好評をいただきました。ということで、本書でも読者プレゼントをご用意しました。その気になる内容は……


「バットマン:エターナル」全52話のカバーアートのポストカードセットです! 


 本書に同封されているアンケートハガキに必要事項をご記入のうえ、ご返信ください。抽選で50名様にプレゼントいたします!




 ストーリーを盛り上げたこんなアートや…
ジェイソン・ファボックによる物語の
展開を示唆する印象的な1枚。


 あんなアート……
本書上下巻のカバー表4に採用したアート。
2巻そろえると一枚の絵になります。
こちらも描いたのはジェイソン・ファボック。

 全部セットにしてお届けいたします!


 この機会でないと、きっと手に入らないレアアイテムですので、ぜひふるってご応募ください!

 
 それでは今週はこの辺で。また来週お会いしましょう!


(文責・山口大介)


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2017年7月11日火曜日

今度の舞台は、なんと日本! 我らのウルヴァリンがこの地で大暴れ!


「アメコミ魂」読者のみなさん、こんにちは!


梅雨はいつ明けるのでしょうか。毎日ジメジメ…。蒸し暑くて、もうすでに夏バテ気味なんて方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな方々に今週も、暑いことなんか忘れさせてくれる熱~いアメコミの最新情報をお届けしていきます!

アメコミファンにはうれしいことに、現在、映画『ローガン』がヒット中。これはすでに年老い、ミュータントの能力もなくなりつつある一人の男としてのウルヴァリンの物語です。この映画の影響もあってか、5月に弊社から刊行した『ウルヴァリン:シーズンワン』も好評をいただいております。こちらは、彼がヒーローになる前のオリジンを描いたストーリーで、ウルヴァリン入門書として読めるおすすめの一冊です。

さて今回ご紹介するのは、このウルヴァリンの新作『ウルヴァリン:バック・イン・ジャパン』です。これまでのアメコミファンはもちろん、「X-MENは映画でしか知らない」、「映画『ローガン』で彼のファンになった!」という新しいファンにはぜひ読んでいただきたい作品です。


『ウルヴァリン:バック・イン・ジャパン』
ジェイソン・アーロン[作]
アダム・キューバート他[画]
定価:本体2,000円+税
●好評発売中●


■ウルヴァリンという男の魅力

なぜなら、この作品は「ウルヴァリン」という一人の男としての魅力が最高濃度でギュッと詰まった内容に仕上がっているからです。だから、「ウルヴァリンに興味なんかもったこともない!」という方でも大丈夫。幅広い読者に読みやすく、熱くて、時にはセンチメンタルにもなる緩急のついた人間ドラマにスッと没頭できると思うのです。

ウルヴァリンはX-MENの中でも特に知名度も人気も高いキャラクターですが、はたしてそれはなぜなのか。過去の多くの作品を振り返ってみると浮かび上がるのは、彼の魅力は決してミュータントとしての強さだけではないということです。

過去に起こった多くの悲劇や彼が犯した罪の数々、あるいは忘れられない後悔を背負ってしまった人間の苦悩。普通なら、もう「再起できません…」と心が折れ、へたれ込んでしまうプロフィールがあるのです。しかし、そんな状況を受け入れ、なんとか乗り越えていく強さを持ったキャラクター造形にこそ、読者は惹かれてきたのではないでしょうか。

そして逆を言えば、マーベルは長い時間をかけて、この一人の男について実に多彩なストーリーを展開してきた、ということなのです。ひとつのキャラクターを一途に、大切に。そんな作り手の姿勢を思えば、この最新作もいっそう味わい深いものとなってきます。
それでは、ここで本書のあらすじを紹介します。


■本書のあらすじ
謎の男が忍者集団ハンドとヤクザとの抗争をあおり、日本の闇社会の支配権を握ろうと画策していた。
さらに彼は、ウルヴァリンの宿敵であるセイバートゥースらを仲間にしたうえ、シルバーサムライ(銀色の鎧をまとった侍の格好をしたミュータント)の若き息子を引き入れるため、その恋人アミコを誘拐する。

しかし、それが彼らの誤算の始まりだった。なんと、アミコはウルヴァリンが引き取り、かわいがっている養女だったのだ…。

これを読んで「ん?」って「全然内容がわからないよ」となった方もいるかと思います。そうちょっと分かりにくいかも。

そこで本書の魅力を紹介する前に、この作品にまつわるいくつかのキーワードについてふれておきますので、少しだけお付き合いください。
この作品には描かれてはいないけれど、その背景を知れば、ウルヴァリンの心情をより深く理解でき、ひとつのセリフ、ひとつのコマに込められた意味や作者の意図を掴む一助となるかもしれません。


■ウルヴァリン単独誌の集大成として
この作品は2012年に刊行された『ウルヴァリン』♯300~304号をまとめたもので、300号を超えるウルヴァリン単独誌の集大成ともいえる作品なのです。

ウルヴァリンの単独誌のスタートは1982年でなんと35年も前。数多くのコミックキャラクターの中でもひとつのチームの、しかもそのスピンオフ・キャラクターとしてこれだけの作品を出したのは、ウルヴァリンだけではないでしょうか。

本書では過去にウルヴァリン作品を手がけてきた代表的なアーティストたちが勢ぞろいでアートを担当しています。そのため、ウルヴァリン一人とって見ても、まったく作風が異なっているので、どんなタッチになっているのか、いろいろなウルヴァリンに出会えることを楽しみにしてください。


■日本はウルヴァリンの第二のルーツだった
本書のタイトルには「バック・イン・ジャパン」と付いていて、日本に「GO」ではなく、「BACK」となっていることに、「あれ?」と思った方もいるのではないでしょうか。
私も初めは、アメコミヒーローのウルヴァリンが過去に日本となんらかの関係があったの?と不思議でしたが、実はそのつながり、ずいぶんと前からあったのです。

カナダ生まれの彼と日本との関係が描かれるようになったのは、1979年に刊行された作品で、生涯の恋人・矢志田マリコに出会ったことがきっかけ。その後、ウルヴァリンと日本との結びつきがいろいろな作品で明らかになっていきます。
青年期に侍について書かれた本に出会ったり、船乗りとなって過ごしていた時期にはたびたび日本を訪れていたり。1940年代には兵士として日本に渡っていて、広島でも戦時下を過ごしています。

マリコに一目ぼれしたウルヴァリンですが、彼女の父親・矢志田信玄は表と裏社会の両方で権力拡大をねらう名家の主。彼は本書にも出てくるユキオという女暗殺者に娘を見張らせるのですが、彼女もまたローガンを愛し彼の相棒ともなり、養女であるアミコの世話までするようになったのです。

本書は、そのユキオやアミコを巻き込んでのストーリーとして展開していきます。
本書は、あらすじにもあるとおり、ハンドという忍者とヤクザとの抗争が背景となっています。海外で日本の代名詞ともなっているこの両者を全面に出している点で、「もうジャパニーズテイスト全開ですよ」のサインと受け取ってください。

もちろん日本人からすると、違和感ありまくりでツッコミどころは満載。忍者は「忍びの者」という影の存在ではなく、これでもかと分かりやすく敵の前に現れてくるし、ヤクザは飛行機からパラシュートを付けてパンツ一丁で降りてきてはアメリカの特殊部隊なみの派手な攻撃を繰り出してくるのです。

でもこれは作り手のサービス精神。読者をこれでもかと楽しませようとする姿勢のあらわれだと感じるのです。眉をひそめたりするのは簡単です。パン一のヤクザなんて空から降りてくるわけないし、ふんどし姿のヤクザがフルフェイスをかぶり、バイクにまたがったまま刀を振り回すなんてこともないけれど、肌全面には細かくびっしりと刺青が描き込まれているのです。そのための裸なのです。リアリティは追求されていません。ですが、どんな絵柄がそこでは描かれているのか。それはぜひ読んで確かめてください。こんな楽しみ方をできるのもコミックならではでしょう。


■細かく描き込まれたアクションシーン
本書の大きな見どころは間違いなくアクションシーンです。ウルヴァリンにセイバートゥース、無数の忍者とヤクザのバトル。ひとコマの中で隅から隅までびっしりと人が配されている様は、ルネサンス期の宗教絵画を見ているようで迫力満点です。そこでは、コマせましと刀と刀がぶつかり、腕がふっ飛び、頭部が転がり、鮮血が舞っているのです。こういったシーンこそ早く読み進めるのではなく、一つひとつのコマをアートとしてじっくりと眺めていただきたい! アメコミがもっともっと楽しめます。

特に、冒頭の5ページはセリフ少なく語られる中、静寂と騒乱の対比がなされ、「さぁ、来るぞ!」という確かな予感のもと、ウルヴァリンの爆発的な強靭さが圧倒的な迫力で描かれています。本書の中でも傑出したシーンではないでしょうか。この数ページにふれるだけでも本作品の価値はあります。

「こんなウルヴァリンが見たかった!」というファンの潜在的な欲求に応え、かつ期待をはるかに上回る仕上がりになっていると思います。


■父親としてのウルヴァリン
本書が他作品と大きく異なるのは、少女の父親としてのウルヴァリンが描かれていることです。彼が養女アミコと修羅場を共にし、一緒になって戦うという場面が何度か出てきます。

そこではウルヴァリンは、いつものように自由に戦うことはできないのです。娘を気にして自分の防御はおろそかになるし、娘への攻撃を彼は自らを犠牲にすることで防いだり。いつものウルヴァリン100%にはなりにくく、いつも以上にダメージを受けてしまう。その姿は満身創痍で決して格好いいものではありません。

しかし、それこそがウルヴァリンのまぎれもない本性。その姿は、男性の目から見てもグッと来るものがあります。そこまでして守るものが彼にはあるのです。

終盤、アミコに「もう行っちゃうの?」と悲しげに言われた彼が無言で見せる表情。それがどんなものなのか。このひとコマにウルヴァリンのキャラクターが凝縮して表現されていると言っても過言ではないでしょう。

この作品はミュータントとしての強さ、特殊性を誇示するだけではありません。というより、それはほんのごくわずか。あくまで一人の人間として強くあろうとする男の姿こそが、読む人の胸を打つ物語となっています。
本当のウルヴァリン、そして新たなウルヴァリンの一面にふれてみたい方に、強くおすすめする一冊です。

それでは、また来週お会いしましょう。

(文責:木川)


2017年7月4日火曜日

大団円へと向かうニュー52バットマン、『バットマン:ブルーム』でクライマックスを迎える!


「アメコミ魂」をご覧のみなさま、こんにちは!
梅雨真っ只中。毎日雨でうんざりしちゃいますね。そこで今日は雨の日に読むのにぴったりなアメコミをご紹介します。
6月21日に刊行されたばかりのバットマンの新作『バットマン:ブルーム』です!

スコット・スナイダー他[作]
グレッグ・カプロ他[画]
定価:本体2,500円+税
◆好評発売中◆


なんで雨だとバットマンなのかって?
バットマンといえばゴッサムシティ、ゴッサムシティといえば雨ですよ!
「ゴッサムは暮らしやすい街じゃない。危険だらけで雨も多い」とは、『ゼロイヤー陰謀の街』100ページでのブルース・ウェインのセリフです。

暗い気分のときは暗い曲を聴くと元気が出る。心理学でいう「同質の原理」です。
アメリカの精神科医アルトシューラーが提唱した理論だそうです。

雨の日には、雨の多いゴッサムを舞台としたバットマンを読んで気分爽快になりましょう!

ところで6月最終週の東京の天気は、月=雨、火=曇り水=雨、木=曇り、金=雨、土=雨となってます。
「これはさすがにうんざりするなー、もっとひどい天気の場所はないのか」と思って世界の天気を調べてみたら、下には下がいました!


なんと29日連続雨マーク!
どうですか、日本はココよりマシだと思うと、ちょっと元気が出ませんか?
これを心理学では「下方比較の法則」といいます。
落ち込んだときは、積極的に下方比較をすることで気持ちが回復しやすくなるのは、科学的にも証明された真理だそうです。

さあ、気分も大分晴れやかになってきましたね!
え、ならない?
そんな陰気な考え方を見せられたら、余計暗い気持ちになってきた?

・・失礼しました。
では気を取り直して、改めて爽快な『バットマン:ブルーム』の世界に入っていきましょう!!

「The New 52!」バットマンシリーズの中での『バットマン:ブルーム』の位置づけ


本作は、2013年1月から小社から刊行してきたニュー52バットマンの12巻目です。
そして、次号『バットマン:エピローグ』でニュー52バットマンはついに終幕を迎えます。
そして、いよいよ今年の8月から新しいシリーズ『REBIRTH(リバース)』が始まるわけですが、リバースの話は今回は一旦置かせていただきます。

よく読者からアメコミは「難しい」と言われます。それは話の時系列やエピソードがあっちこっちに行って混乱しやすいからだと思います。また特にニュー52バットマンは刊行点数も多くストーリーの流れを全て把握するのが一苦労です。
かくいう私もニュー52バットマンを読んでいて、話の流れを掴めず混乱しました。
そこで、ここでニュー52バットマンを分かりやすく整理してみたいと思います。


まずは単純に、刊行順に並べると以下のようになります。

(1)『バットマン:梟の法廷 (THE NEW 52!)』 2013年1月刊行

(2)『バットマン:梟の街 (THE NEW 52!)』 2013年7月刊行

(3)『バットマン:梟の夜 (THE NEW 52!)』 2013年8月刊行

(4)『バットマン:喪われた絆 (THE NEW 52!)』 2014年7月刊行

(5)『ジョーカー:喪われた絆(上) (THE NEW 52!)』 2014年8月刊行

(6)『ジョーカー:喪われた絆(下) (THE NEW 52!)』 2014年9月刊行

(7)『バットマン:ゼロイヤー 陰謀の街 (THE NEW 52!)』 2015年3月刊行

(8)『バットマン:ゼロイヤー 暗黒の街 (THE NEW 52!)』 2015年6月刊行

(9)『バットマン:真夜中の事件簿 (THE NEW 52!)』 2016年2月刊行

(10)『バットマン:エンドゲーム (THE NEW 52!)』 2016年9月刊行

(11)『バットマン:スーパーヘヴィ』 2017年5月刊行

(12)『バットマン:ブルーム』 2017年6月刊行

(13)『バットマン:エピローグ』 2017年7月刊行


足かけ5年に渡って積み上げた刊行点数は総勢13巻!圧倒されますね~。
これを分かりやすく整理してみましょう。
まず、全13巻のうち、(3)(5)(6)は外伝になります。ですのでこの3冊はメインストーリーから外れます。
また、(9)(13)は短編集になります。メインストーリーである原書『バットマン』に属するエピソード群ではありますが、読み切り短編を集めたものなので、こちらも最悪読まなくても話は理解できます。

次に、残った8冊を物語の時系列に並べ替えると、

(7)『バットマン:ゼロイヤー 陰謀の街 (THE NEW 52!)』

(8)『バットマン:ゼロイヤー 暗黒の街 (THE NEW 52!)』

(1)『バットマン:梟の法廷 (THE NEW 52!)』

(2)『バットマン:梟の街 (THE NEW 52!)』

(4)『バットマン:喪われた絆 (THE NEW 52!)』

(10)『バットマン:エンドゲーム (THE NEW 52!)』

(11)『バットマン:スーパーヘヴィ』

(12)『バットマン:ブルーム』

という順番になります。

つまり(7)(8)は、『ゼロイヤー』という名のとおり、ブルース・ウェインがバットマンになる以前から始まる物語であり、実は時系列的にはシリーズの一番最初にくる話なんです。ですので、ニュー52バットマンは(7)から読んだ方が分かりやすい、と個人的には思ってます。

また、各巻の関係性を見ると、

(7)(8)は『ゼロイヤー』の上下巻、(1)(2)は『梟(ふくろう)』シリーズの上下巻、(4)(10)はそれぞれ独立した巻、(11)(12)は『スーパーヘヴィ』上下巻という関係になってます。ですので、(1)(2)(7)(8)(11)(12)は、両巻をセットで読む方が楽しめます。


つぎに、各巻での主人公ブルース・ウェインの年齢を時系列に当てはめてみると、以下のようになります。


(7)=25歳
…(7)と(8)はひとつながりのストーリーなので。

(8)=25歳
…228ページでアルフレッドがブルースに向かって「あなたは若い。まだ25歳です。」というセリフがある。

(1)=31歳
…(7)の解説書1ページ「本書は現在より6年前の出来事を描いている」との記述から分かる。

(2)=31歳
…(1)と(2)はひとつがなりのストーリーなので。

(4)=31歳または32歳
…64ページのジョーカーの「今の王(バットマンのこと)を見ろ!フクロウすら退治できないじゃないか」とのセリフから、(4)は(2)より後の話であることが分かる。

(10)=32歳
…129ページでブルース・ウェインが「お前はどこにでもいる32歳なんかじゃないんだ」と独り言をいうシーンがある。

(11)=32歳
…8ページのナレーションで「ジョーカーがおぞましいエンドゲームウィルスをまいて以来、2ヶ月が経ちました」との記述から(10)から間もない時期だと分かる。

(12)=32歳
…(11)と(12)はひとつながりのストーリーなので。

以上の予備知識を持ってニュー52バットマンシリーズを読んでいただけると、大分理解しやすくなると思います。

『スーパーへヴィ』から読んでほしい。


さて、以上を前提に『ブルーム』を見てみると、『ブルーム』は実は『スーパーへヴィ』の下巻という位置づけになってます。
ですので、『ブルーム』を100%楽しむためには、ここはやはり『スーパーへヴィ』から読んでほしいところです。

え、そんなに何冊も買えない?
分かります。スーパーへヴィは2,200円、ブルームにいたっては2,500円もします。
ですが、その前に『スーパーへヴィ』を読んで届いた読者ハガキを見てから決めても、遅くはありません。


まずは京都市在住30代女性のハガキをご紹介します。

「時系列の順に邦訳が続いているので読みやすく、次巻ブルームの期待が高まります。”普通”のブルース・ウェインをいつまで見守れるか楽しみにしてます」

――ありがとうございます。『ブルーム』も期待を裏切らない内容になってますよ!ただ残念ながら”普通”のブルース・ウェインを見れる時間はそんなに長くないかもしれません。


続いては東京都の50代女性からのお便りです。

「最近読み始めたので今は買いたいものばかりで財布が苦しいですが、刊行予定を見るとうれしくなります。絶版になっているのも読みたいです。」

――こうやって新しいアメコミファンが仲間に加わっていただけるのは嬉しい限りです!財布が苦しいのは・・・分かります、すいません。。
でも小社は『DCキャラクターズ:オリジン』(1,200円+税)、『バットマン VS. スーパーマン:ベストバウト』(980円+税)など、採算度外視で初心者が手にとりやすい価格に抑えて出してる本もあります。
でもやっぱり高いですよね・・・


続いては大阪府の20代男性です。

「バットマンがゴードンでも頑張ってるので、たくさんのバッツファンに読んでほしい。」

――頑張ってるゴードン本部長は、読んでて「がんばれー」って気持ちになりますよね!『ブルーム』でも、取材ヘリに衝突しそうになったり、天井を突き破って落下したりしながらミスター・ブルーム相手に奮闘する姿は必見です!
なお、この方のご愛読メディアは「小プロ公式サイト」ですって!ありがとう~


・・・いかがですか?『スーパーへヴィ』も気になってきますね!
ゴードン本部長のバットマンとしての活躍や、青い高機能最新型バットスーツのカッコよさなど見どころ満載ですので、買ってもきっと後悔しません。

『ブルーム』の見どころ


さて前置きが大分長くなりましたが、そろそろ本コラムの本題である『ブルーム』の紹介に入りたいと思います。

まずは粗筋のご紹介から。

▼BLOOM
ジョーカーとの決死の戦いのあと、記憶を失ったブルース・ウェインは、かつてない幸福のなかで過ごしていた。美しい女性の傍らで、ゴッサムの愛すべき子供たちを支援する活動に従事していたのだ。しかし、時折もう一つの人生が脳裏をよぎる。暴力と暗黒に覆われながらも、市民から称えられていた過去の自分の姿が――。今、〝バットマン〟がブルースを呼ぶ声が聞こえる。果たして彼は、過去の姿を取り戻すのか? 愛する女性と築き上げた、完璧な、そして幸福な現在の人生を捨ててまで。
▲BLOOM

まず掛け値なしにいえますが、本書はストーリーが分かりやすく面白いです。ストーリーの中で、主要登場人物たちが翻弄され、葛藤し、そして活躍します。
本書の主人公はブルース・ウェインですが、アルフレッド・ペニーワース、ジム・ゴードン、ジュリー・マディソン、デューク・トーマスといった人物たちも、物語の中で苦渋の決断を下し、象徴的な活躍をします。

ですが、個人的に一番気になったのは、本書のヴィラン「ミスター・ブルーム」の不気味さです。
お花のマスクに網タイツの手足という微笑ましい見た目とは裏腹に、手足の指先が鋭く伸びて犠牲者を一突きで殺し、あげくに5階建てビルを超える高さに伸びた後、背中から生えてきた木の枝に自分が殺した死体をぶら下げるという悪趣味さ。

ミスター・ブルーム

ニュー52バットマンに登場するヴィランの中でもその不気味さは、自ら開発した血清で骨を異常成長させた『ゼロイヤー』のドクター・デスと双璧をなします。

ドクター・デス

ブルームの体が伸びる点を捉えて、新本部長のマギー・ソーヤーは12ページで「ストレッチ・アームストロング」と称しています。
1970年代にハズブロから発売されたオモチャのゴム人形で体が4倍に伸びて元に戻るそうです。

出典:http://ameblo.jp/monjastaff/entry-11911280579.html

ミスター・ブルームは、とてもこんなかわいいキャラではありません。

ちなみに編集小ネタですが、『ブルーム』のカバー帯が黄色いのはミスター・ブルームの顔のお花をイメージしました。(帯の背表紙側をよく見ると、お花がいっぱい描いてあります。)


次に私が注目したのは、『スーパーへヴィ』から続く高機能新型バットスーツのカッコよさです。

もはやスーツと称する域を超えていて、バットロボと言いたいところです。
思い起こせば、ニュー52でロボット型バットスーツが登場したのは、第2巻「梟の街」からでした。コチラです↓


これはこれで味がありましたが、かなりプリミティブなデザインでした。
次にロボット型が登場したのは第10巻『エンドゲーム』のコチラです↓


大分今っぽい、複雑でクールなデザインになってます。
そして第11巻『スーパーへヴィ』で一気に洗練されたカッコいいデザインになりました。


個人的に映画化を期待するぐらいカッコいいなーと思ってます。
そして、本巻『ブルーム』では大量のロボット型バットスーツがイッキに登場します↓



エ●ァンゲリオンを彷彿とさせる、こんなんも登場しちゃいます↓



バットマンが操縦するコイツは、最後にミスター・ブルームを思いっきりぶん殴ります↓



・・・ですが、バッツファンの我々にとって残念な出来事もあります。
そのカッコいい新型バットスーツ達が、揃いも揃ってミスター・ブルームにハッキングされちゃうことです。
マギー・ソーヤー本部長が乗るバットスーツさえもハッキングされて市民を攻撃しだす始末です。



おーい!しっかりしろー!と心の中で舌打ちせずにはいられません。
でも、これは単なるシステムのバグなんでしょうか?
新型バットスーツの開発とミスター・ブルームの誕生が、もし同じ根っこでつながっていたら・・・

おっと、以上は私の推測ですが、これ以上話すとネタバレになる危険もあります。

この後の展開から、ニュー52バットマンを通して、バットマンの意味を問いかけ、掘り下げてきたライターのスコット・スナイダーが出した一つの答えが読み取れます。
それは、「バットマンとはゴッサムに住むあなたたちだ」ということです。つまり一人のスーパーヒーローが街を救うわけではないということです。
それは『ゼロイヤー陰謀の街』100ページのブルース・ウェインの演説の底流に流れる価値観と同じです。



スコット・スナイダーは見事にニュー52バットマンを大団円へと導き、そして物語はいよいよフィナーレを迎えます。
『バットマン:エピローグ』です。

『バットマン:エピローグ』書店ポスター

『バットマン:エピローグ』の紹介は、8月に再び私が担当する予定です。
今週はここらで筆を置きたいと思います。最後までお読みいただきありがとうございました。
それではまた。
来週の更新もお楽しみに!

(文責・小出)


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