2017年7月17日月曜日

「バットマン:エターナル」ついに完結! (※プレゼント情報あります)

 アメコミ魂をご覧の皆さま、こんにちは!

 今年1月に刊行された『バットマン:エターナル<上>』。邦訳化を待ち望む声が大きかったビッグタイトルということもあって、600頁におよぶ大ボリュームにもかかわらず、多くの読者の方々から好評の声を聞くことができました。

 そして、続く完結編となる『バットマン:エターナル<下>』が、いよいよ今週から店頭に並びます!

バットマン:エターナル<下>
スコット・スナイダー、ジェームズ・タイノンⅣ他[作]
ジェイソン・ファボック、ダスティン・グエン他[画]
定価:本体5,500円+税
◆2017年7月19日頃発売◆




 ジム・ゴードン逮捕から端を発した様々な事件、その背後に潜む陰謀など、前巻で張り巡らされた伏線が結末へ向かって収斂されていきます。


 下巻を読む前に、前巻までのあらすじをおさらいしましょう。

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 ゴードン市警本部長が逮捕されたことをきっかけに、ゴッサムの騒乱の日々は始まった。過失致死の濡れ衣を着せられたゴードンが、ブラックゲート刑務所に拘留され、彼の意志を引き継いだかに見えたジェイソン・バードは、バットマンと警察を敵対させ、ゴッサムを戒厳令下におく。バットマンと仲間たちはゴードンの無実を信じ、それを証明しようとするがその努力は報われず、街とバットファミリーを取り巻く状況は悪化の一途をたどっていった。
 そのなか、ナロウズを中心に子供達はナノマシンによる奇病に倒れていく。その原因を探るため、レッドロビンとハーパー・ロウは東京へと向かうが、収穫はなかった。時を同じくして、自分の父親が三流ヴィラン、クルーマスターとしった少女ステファニー・ブラウンに莫大な賞金がかけられ、彼女はスポイラーと名乗り逃亡生活を余儀なくされる。キャットウーマンは生き別れの父親レックス・カラブレーゼと再会し、街に秩序を取り戻すために彼が築いた犯罪帝国を継承することを求められる。一方でバットマンは、アルフレッドの娘、ジュリア・ペニーワースと出会う。
 当初、バットマンはゴッサムの騒乱の黒幕をカーマイン・"ローマン"・ファルコーネと睨んでいた。しかしファルコーネは傀儡にすぎず、より大きな計画の一部であることが判明する。突如現れたハッシュによって、アルフレッドが重体に追い込まれたとき、バットマンは彼こそがすべての背後で糸を引いていたと確信するが……。

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 前巻に引き続き、本書は2014年10月から2015年4月にかけて刊行された「バットマン:エターナル」誌28号から52号を一冊にまとめたものです。アメリカでは単行本全3巻で刊行されましたが、邦訳版では上下巻に編集し直して刊行。下巻にあたる本書は原書2巻の後半と原書3巻を収録したものになります。また、原書2巻に収録されていた「アーカム・マナー」誌と「キャットウーマン」誌のプレビュー(予告編)も収録しました。ちなみにこちらの2タイトルの刊行予定はございません(すみません!)。

 前巻でバットマンと仲間たちは、解決のために奔走を続けたものの、事件の全貌は明らかになりませんでした。そのさなか、ウェイン邸でアルフレッドがハッシュに襲撃され意識不明に陥いるという衝撃の展開がありました。彼こそが黒幕かと思われましたが、事件は意外な展開となります……が、それは是非、本書をお手に取ってお確かめください。
 「バットマン:エターナル」シリーズでは、クライム、テクノロジー、そしてオカルトといったゴッサムシティの様々な側面を紹介しつつ、週刊というハイペースで街を揺るがす難事件が続発。刊行のたびに、真の黒幕を予想する声が読者たちのあいだでわき起こりました。

 これだけ大きなスケールで展開される作品に取り組むにあたり、製作側はライターだけでもスコット・スナイダーをはじめとして6人体制が敷かれました。全体のストーリーがまず用意され、個別のエピソードをライターが交代で書く体制で制作され、それぞれのエピソードにはライターならではの特色が出ています。


ジェームズ・タイノンⅣは、レッドロビンやブルーバードといった
キャラクターが活躍するエピソードを担当。バットマンを中心に
据えつつ、瑞々しい若者ヒーロー像を創出しました。




 コリガンとバットウィングのアーカム調査を通じて、
超自然、オカルト的な恐怖を描き出したレイ・フォークス。




 大ボリュームならではのダイナミックな展開が本シリーズの魅力ですが、担当ごとに変わる作品の味わいに注目しながら何度も読み返せば、その都度、新たな発見があるかもしれません。なんせ本書は584ページ。上巻と合わせると1184ページという大書です。ぜひ何度も読み直してもらいたい……というより読み直して、この作品の魅力を深く味わってもらいたいです。

 さて、前巻では、読者プレゼントとして「バッツギビング」の大判ポスターをご用意したところご好評をいただきました。ということで、本書でも読者プレゼントをご用意しました。その気になる内容は……


「バットマン:エターナル」全52話のカバーアートのポストカードセットです! 


 本書に同封されているアンケートハガキに必要事項をご記入のうえ、ご返信ください。抽選で50名様にプレゼントいたします!




 ストーリーを盛り上げたこんなアートや…
ジェイソン・ファボックによる物語の
展開を示唆する印象的な1枚。


 あんなアート……
本書上下巻のカバー表4に採用したアート。
2巻そろえると一枚の絵になります。
こちらも描いたのはジェイソン・ファボック。

 全部セットにしてお届けいたします!


 この機会でないと、きっと手に入らないレアアイテムですので、ぜひふるってご応募ください!

 
 それでは今週はこの辺で。また来週お会いしましょう!


(文責・山口大介)


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2017年7月11日火曜日

今度の舞台は、なんと日本! 我らのウルヴァリンがこの地で大暴れ!


「アメコミ魂」読者のみなさん、こんにちは!


梅雨はいつ明けるのでしょうか。毎日ジメジメ…。蒸し暑くて、もうすでに夏バテ気味なんて方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな方々に今週も、暑いことなんか忘れさせてくれる熱~いアメコミの最新情報をお届けしていきます!

アメコミファンにはうれしいことに、現在、映画『ローガン』がヒット中。これはすでに年老い、ミュータントの能力もなくなりつつある一人の男としてのウルヴァリンの物語です。この映画の影響もあってか、5月に弊社から刊行した『ウルヴァリン:シーズンワン』も好評をいただいております。こちらは、彼がヒーローになる前のオリジンを描いたストーリーで、ウルヴァリン入門書として読めるおすすめの一冊です。

さて今回ご紹介するのは、このウルヴァリンの新作『ウルヴァリン:バック・イン・ジャパン』です。これまでのアメコミファンはもちろん、「X-MENは映画でしか知らない」、「映画『ローガン』で彼のファンになった!」という新しいファンにはぜひ読んでいただきたい作品です。


『ウルヴァリン:バック・イン・ジャパン』
ジェイソン・アーロン[作]
アダム・キューバート他[画]
定価:本体2,000円+税
●好評発売中●


■ウルヴァリンという男の魅力

なぜなら、この作品は「ウルヴァリン」という一人の男としての魅力が最高濃度でギュッと詰まった内容に仕上がっているからです。だから、「ウルヴァリンに興味なんかもったこともない!」という方でも大丈夫。幅広い読者に読みやすく、熱くて、時にはセンチメンタルにもなる緩急のついた人間ドラマにスッと没頭できると思うのです。

ウルヴァリンはX-MENの中でも特に知名度も人気も高いキャラクターですが、はたしてそれはなぜなのか。過去の多くの作品を振り返ってみると浮かび上がるのは、彼の魅力は決してミュータントとしての強さだけではないということです。

過去に起こった多くの悲劇や彼が犯した罪の数々、あるいは忘れられない後悔を背負ってしまった人間の苦悩。普通なら、もう「再起できません…」と心が折れ、へたれ込んでしまうプロフィールがあるのです。しかし、そんな状況を受け入れ、なんとか乗り越えていく強さを持ったキャラクター造形にこそ、読者は惹かれてきたのではないでしょうか。

そして逆を言えば、マーベルは長い時間をかけて、この一人の男について実に多彩なストーリーを展開してきた、ということなのです。ひとつのキャラクターを一途に、大切に。そんな作り手の姿勢を思えば、この最新作もいっそう味わい深いものとなってきます。
それでは、ここで本書のあらすじを紹介します。


■本書のあらすじ
謎の男が忍者集団ハンドとヤクザとの抗争をあおり、日本の闇社会の支配権を握ろうと画策していた。
さらに彼は、ウルヴァリンの宿敵であるセイバートゥースらを仲間にしたうえ、シルバーサムライ(銀色の鎧をまとった侍の格好をしたミュータント)の若き息子を引き入れるため、その恋人アミコを誘拐する。

しかし、それが彼らの誤算の始まりだった。なんと、アミコはウルヴァリンが引き取り、かわいがっている養女だったのだ…。

これを読んで「ん?」って「全然内容がわからないよ」となった方もいるかと思います。そうちょっと分かりにくいかも。

そこで本書の魅力を紹介する前に、この作品にまつわるいくつかのキーワードについてふれておきますので、少しだけお付き合いください。
この作品には描かれてはいないけれど、その背景を知れば、ウルヴァリンの心情をより深く理解でき、ひとつのセリフ、ひとつのコマに込められた意味や作者の意図を掴む一助となるかもしれません。


■ウルヴァリン単独誌の集大成として
この作品は2012年に刊行された『ウルヴァリン』♯300~304号をまとめたもので、300号を超えるウルヴァリン単独誌の集大成ともいえる作品なのです。

ウルヴァリンの単独誌のスタートは1982年でなんと35年も前。数多くのコミックキャラクターの中でもひとつのチームの、しかもそのスピンオフ・キャラクターとしてこれだけの作品を出したのは、ウルヴァリンだけではないでしょうか。

本書では過去にウルヴァリン作品を手がけてきた代表的なアーティストたちが勢ぞろいでアートを担当しています。そのため、ウルヴァリン一人とって見ても、まったく作風が異なっているので、どんなタッチになっているのか、いろいろなウルヴァリンに出会えることを楽しみにしてください。


■日本はウルヴァリンの第二のルーツだった
本書のタイトルには「バック・イン・ジャパン」と付いていて、日本に「GO」ではなく、「BACK」となっていることに、「あれ?」と思った方もいるのではないでしょうか。
私も初めは、アメコミヒーローのウルヴァリンが過去に日本となんらかの関係があったの?と不思議でしたが、実はそのつながり、ずいぶんと前からあったのです。

カナダ生まれの彼と日本との関係が描かれるようになったのは、1979年に刊行された作品で、生涯の恋人・矢志田マリコに出会ったことがきっかけ。その後、ウルヴァリンと日本との結びつきがいろいろな作品で明らかになっていきます。
青年期に侍について書かれた本に出会ったり、船乗りとなって過ごしていた時期にはたびたび日本を訪れていたり。1940年代には兵士として日本に渡っていて、広島でも戦時下を過ごしています。

マリコに一目ぼれしたウルヴァリンですが、彼女の父親・矢志田信玄は表と裏社会の両方で権力拡大をねらう名家の主。彼は本書にも出てくるユキオという女暗殺者に娘を見張らせるのですが、彼女もまたローガンを愛し彼の相棒ともなり、養女であるアミコの世話までするようになったのです。

本書は、そのユキオやアミコを巻き込んでのストーリーとして展開していきます。
本書は、あらすじにもあるとおり、ハンドという忍者とヤクザとの抗争が背景となっています。海外で日本の代名詞ともなっているこの両者を全面に出している点で、「もうジャパニーズテイスト全開ですよ」のサインと受け取ってください。

もちろん日本人からすると、違和感ありまくりでツッコミどころは満載。忍者は「忍びの者」という影の存在ではなく、これでもかと分かりやすく敵の前に現れてくるし、ヤクザは飛行機からパラシュートを付けてパンツ一丁で降りてきてはアメリカの特殊部隊なみの派手な攻撃を繰り出してくるのです。

でもこれは作り手のサービス精神。読者をこれでもかと楽しませようとする姿勢のあらわれだと感じるのです。眉をひそめたりするのは簡単です。パン一のヤクザなんて空から降りてくるわけないし、ふんどし姿のヤクザがフルフェイスをかぶり、バイクにまたがったまま刀を振り回すなんてこともないけれど、肌全面には細かくびっしりと刺青が描き込まれているのです。そのための裸なのです。リアリティは追求されていません。ですが、どんな絵柄がそこでは描かれているのか。それはぜひ読んで確かめてください。こんな楽しみ方をできるのもコミックならではでしょう。


■細かく描き込まれたアクションシーン
本書の大きな見どころは間違いなくアクションシーンです。ウルヴァリンにセイバートゥース、無数の忍者とヤクザのバトル。ひとコマの中で隅から隅までびっしりと人が配されている様は、ルネサンス期の宗教絵画を見ているようで迫力満点です。そこでは、コマせましと刀と刀がぶつかり、腕がふっ飛び、頭部が転がり、鮮血が舞っているのです。こういったシーンこそ早く読み進めるのではなく、一つひとつのコマをアートとしてじっくりと眺めていただきたい! アメコミがもっともっと楽しめます。

特に、冒頭の5ページはセリフ少なく語られる中、静寂と騒乱の対比がなされ、「さぁ、来るぞ!」という確かな予感のもと、ウルヴァリンの爆発的な強靭さが圧倒的な迫力で描かれています。本書の中でも傑出したシーンではないでしょうか。この数ページにふれるだけでも本作品の価値はあります。

「こんなウルヴァリンが見たかった!」というファンの潜在的な欲求に応え、かつ期待をはるかに上回る仕上がりになっていると思います。


■父親としてのウルヴァリン
本書が他作品と大きく異なるのは、少女の父親としてのウルヴァリンが描かれていることです。彼が養女アミコと修羅場を共にし、一緒になって戦うという場面が何度か出てきます。

そこではウルヴァリンは、いつものように自由に戦うことはできないのです。娘を気にして自分の防御はおろそかになるし、娘への攻撃を彼は自らを犠牲にすることで防いだり。いつものウルヴァリン100%にはなりにくく、いつも以上にダメージを受けてしまう。その姿は満身創痍で決して格好いいものではありません。

しかし、それこそがウルヴァリンのまぎれもない本性。その姿は、男性の目から見てもグッと来るものがあります。そこまでして守るものが彼にはあるのです。

終盤、アミコに「もう行っちゃうの?」と悲しげに言われた彼が無言で見せる表情。それがどんなものなのか。このひとコマにウルヴァリンのキャラクターが凝縮して表現されていると言っても過言ではないでしょう。

この作品はミュータントとしての強さ、特殊性を誇示するだけではありません。というより、それはほんのごくわずか。あくまで一人の人間として強くあろうとする男の姿こそが、読む人の胸を打つ物語となっています。
本当のウルヴァリン、そして新たなウルヴァリンの一面にふれてみたい方に、強くおすすめする一冊です。

それでは、また来週お会いしましょう。

(文責:木川)


2017年7月4日火曜日

大団円へと向かうニュー52バットマン、『バットマン:ブルーム』でクライマックスを迎える!


「アメコミ魂」をご覧のみなさま、こんにちは!
梅雨真っ只中。毎日雨でうんざりしちゃいますね。そこで今日は雨の日に読むのにぴったりなアメコミをご紹介します。
6月21日に刊行されたばかりのバットマンの新作『バットマン:ブルーム』です!

スコット・スナイダー他[作]
グレッグ・カプロ他[画]
定価:本体2,500円+税
◆好評発売中◆


なんで雨だとバットマンなのかって?
バットマンといえばゴッサムシティ、ゴッサムシティといえば雨ですよ!
「ゴッサムは暮らしやすい街じゃない。危険だらけで雨も多い」とは、『ゼロイヤー陰謀の街』100ページでのブルース・ウェインのセリフです。

暗い気分のときは暗い曲を聴くと元気が出る。心理学でいう「同質の原理」です。
アメリカの精神科医アルトシューラーが提唱した理論だそうです。

雨の日には、雨の多いゴッサムを舞台としたバットマンを読んで気分爽快になりましょう!

ところで6月最終週の東京の天気は、月=雨、火=曇り水=雨、木=曇り、金=雨、土=雨となってます。
「これはさすがにうんざりするなー、もっとひどい天気の場所はないのか」と思って世界の天気を調べてみたら、下には下がいました!


なんと29日連続雨マーク!
どうですか、日本はココよりマシだと思うと、ちょっと元気が出ませんか?
これを心理学では「下方比較の法則」といいます。
落ち込んだときは、積極的に下方比較をすることで気持ちが回復しやすくなるのは、科学的にも証明された真理だそうです。

さあ、気分も大分晴れやかになってきましたね!
え、ならない?
そんな陰気な考え方を見せられたら、余計暗い気持ちになってきた?

・・失礼しました。
では気を取り直して、改めて爽快な『バットマン:ブルーム』の世界に入っていきましょう!!

「The New 52!」バットマンシリーズの中での『バットマン:ブルーム』の位置づけ


本作は、2013年1月から小社から刊行してきたニュー52バットマンの12巻目です。
そして、次号『バットマン:エピローグ』でニュー52バットマンはついに終幕を迎えます。
そして、いよいよ今年の8月から新しいシリーズ『REBIRTH(リバース)』が始まるわけですが、リバースの話は今回は一旦置かせていただきます。

よく読者からアメコミは「難しい」と言われます。それは話の時系列やエピソードがあっちこっちに行って混乱しやすいからだと思います。また特にニュー52バットマンは刊行点数も多くストーリーの流れを全て把握するのが一苦労です。
かくいう私もニュー52バットマンを読んでいて、話の流れを掴めず混乱しました。
そこで、ここでニュー52バットマンを分かりやすく整理してみたいと思います。


まずは単純に、刊行順に並べると以下のようになります。

(1)『バットマン:梟の法廷 (THE NEW 52!)』 2013年1月刊行

(2)『バットマン:梟の街 (THE NEW 52!)』 2013年7月刊行

(3)『バットマン:梟の夜 (THE NEW 52!)』 2013年8月刊行

(4)『バットマン:喪われた絆 (THE NEW 52!)』 2014年7月刊行

(5)『ジョーカー:喪われた絆(上) (THE NEW 52!)』 2014年8月刊行

(6)『ジョーカー:喪われた絆(下) (THE NEW 52!)』 2014年9月刊行

(7)『バットマン:ゼロイヤー 陰謀の街 (THE NEW 52!)』 2015年3月刊行

(8)『バットマン:ゼロイヤー 暗黒の街 (THE NEW 52!)』 2015年6月刊行

(9)『バットマン:真夜中の事件簿 (THE NEW 52!)』 2016年2月刊行

(10)『バットマン:エンドゲーム (THE NEW 52!)』 2016年9月刊行

(11)『バットマン:スーパーヘヴィ』 2017年5月刊行

(12)『バットマン:ブルーム』 2017年6月刊行

(13)『バットマン:エピローグ』 2017年7月刊行


足かけ5年に渡って積み上げた刊行点数は総勢13巻!圧倒されますね~。
これを分かりやすく整理してみましょう。
まず、全13巻のうち、(3)(5)(6)は外伝になります。ですのでこの3冊はメインストーリーから外れます。
また、(9)(13)は短編集になります。メインストーリーである原書『バットマン』に属するエピソード群ではありますが、読み切り短編を集めたものなので、こちらも最悪読まなくても話は理解できます。

次に、残った8冊を物語の時系列に並べ替えると、

(7)『バットマン:ゼロイヤー 陰謀の街 (THE NEW 52!)』

(8)『バットマン:ゼロイヤー 暗黒の街 (THE NEW 52!)』

(1)『バットマン:梟の法廷 (THE NEW 52!)』

(2)『バットマン:梟の街 (THE NEW 52!)』

(4)『バットマン:喪われた絆 (THE NEW 52!)』

(10)『バットマン:エンドゲーム (THE NEW 52!)』

(11)『バットマン:スーパーヘヴィ』

(12)『バットマン:ブルーム』

という順番になります。

つまり(7)(8)は、『ゼロイヤー』という名のとおり、ブルース・ウェインがバットマンになる以前から始まる物語であり、実は時系列的にはシリーズの一番最初にくる話なんです。ですので、ニュー52バットマンは(7)から読んだ方が分かりやすい、と個人的には思ってます。

また、各巻の関係性を見ると、

(7)(8)は『ゼロイヤー』の上下巻、(1)(2)は『梟(ふくろう)』シリーズの上下巻、(4)(10)はそれぞれ独立した巻、(11)(12)は『スーパーヘヴィ』上下巻という関係になってます。ですので、(1)(2)(7)(8)(11)(12)は、両巻をセットで読む方が楽しめます。


つぎに、各巻での主人公ブルース・ウェインの年齢を時系列に当てはめてみると、以下のようになります。


(7)=25歳
…(7)と(8)はひとつながりのストーリーなので。

(8)=25歳
…228ページでアルフレッドがブルースに向かって「あなたは若い。まだ25歳です。」というセリフがある。

(1)=31歳
…(7)の解説書1ページ「本書は現在より6年前の出来事を描いている」との記述から分かる。

(2)=31歳
…(1)と(2)はひとつがなりのストーリーなので。

(4)=31歳または32歳
…64ページのジョーカーの「今の王(バットマンのこと)を見ろ!フクロウすら退治できないじゃないか」とのセリフから、(4)は(2)より後の話であることが分かる。

(10)=32歳
…129ページでブルース・ウェインが「お前はどこにでもいる32歳なんかじゃないんだ」と独り言をいうシーンがある。

(11)=32歳
…8ページのナレーションで「ジョーカーがおぞましいエンドゲームウィルスをまいて以来、2ヶ月が経ちました」との記述から(10)から間もない時期だと分かる。

(12)=32歳
…(11)と(12)はひとつながりのストーリーなので。

以上の予備知識を持ってニュー52バットマンシリーズを読んでいただけると、大分理解しやすくなると思います。

『スーパーへヴィ』から読んでほしい。


さて、以上を前提に『ブルーム』を見てみると、『ブルーム』は実は『スーパーへヴィ』の下巻という位置づけになってます。
ですので、『ブルーム』を100%楽しむためには、ここはやはり『スーパーへヴィ』から読んでほしいところです。

え、そんなに何冊も買えない?
分かります。スーパーへヴィは2,200円、ブルームにいたっては2,500円もします。
ですが、その前に『スーパーへヴィ』を読んで届いた読者ハガキを見てから決めても、遅くはありません。


まずは京都市在住30代女性のハガキをご紹介します。

「時系列の順に邦訳が続いているので読みやすく、次巻ブルームの期待が高まります。”普通”のブルース・ウェインをいつまで見守れるか楽しみにしてます」

――ありがとうございます。『ブルーム』も期待を裏切らない内容になってますよ!ただ残念ながら”普通”のブルース・ウェインを見れる時間はそんなに長くないかもしれません。


続いては東京都の50代女性からのお便りです。

「最近読み始めたので今は買いたいものばかりで財布が苦しいですが、刊行予定を見るとうれしくなります。絶版になっているのも読みたいです。」

――こうやって新しいアメコミファンが仲間に加わっていただけるのは嬉しい限りです!財布が苦しいのは・・・分かります、すいません。。
でも小社は『DCキャラクターズ:オリジン』(1,200円+税)、『バットマン VS. スーパーマン:ベストバウト』(980円+税)など、採算度外視で初心者が手にとりやすい価格に抑えて出してる本もあります。
でもやっぱり高いですよね・・・


続いては大阪府の20代男性です。

「バットマンがゴードンでも頑張ってるので、たくさんのバッツファンに読んでほしい。」

――頑張ってるゴードン本部長は、読んでて「がんばれー」って気持ちになりますよね!『ブルーム』でも、取材ヘリに衝突しそうになったり、天井を突き破って落下したりしながらミスター・ブルーム相手に奮闘する姿は必見です!
なお、この方のご愛読メディアは「小プロ公式サイト」ですって!ありがとう~


・・・いかがですか?『スーパーへヴィ』も気になってきますね!
ゴードン本部長のバットマンとしての活躍や、青い高機能最新型バットスーツのカッコよさなど見どころ満載ですので、買ってもきっと後悔しません。

『ブルーム』の見どころ


さて前置きが大分長くなりましたが、そろそろ本コラムの本題である『ブルーム』の紹介に入りたいと思います。

まずは粗筋のご紹介から。

▼BLOOM
ジョーカーとの決死の戦いのあと、記憶を失ったブルース・ウェインは、かつてない幸福のなかで過ごしていた。美しい女性の傍らで、ゴッサムの愛すべき子供たちを支援する活動に従事していたのだ。しかし、時折もう一つの人生が脳裏をよぎる。暴力と暗黒に覆われながらも、市民から称えられていた過去の自分の姿が――。今、〝バットマン〟がブルースを呼ぶ声が聞こえる。果たして彼は、過去の姿を取り戻すのか? 愛する女性と築き上げた、完璧な、そして幸福な現在の人生を捨ててまで。
▲BLOOM

まず掛け値なしにいえますが、本書はストーリーが分かりやすく面白いです。ストーリーの中で、主要登場人物たちが翻弄され、葛藤し、そして活躍します。
本書の主人公はブルース・ウェインですが、アルフレッド・ペニーワース、ジム・ゴードン、ジュリー・マディソン、デューク・トーマスといった人物たちも、物語の中で苦渋の決断を下し、象徴的な活躍をします。

ですが、個人的に一番気になったのは、本書のヴィラン「ミスター・ブルーム」の不気味さです。
お花のマスクに網タイツの手足という微笑ましい見た目とは裏腹に、手足の指先が鋭く伸びて犠牲者を一突きで殺し、あげくに5階建てビルを超える高さに伸びた後、背中から生えてきた木の枝に自分が殺した死体をぶら下げるという悪趣味さ。

ミスター・ブルーム

ニュー52バットマンに登場するヴィランの中でもその不気味さは、自ら開発した血清で骨を異常成長させた『ゼロイヤー』のドクター・デスと双璧をなします。

ドクター・デス

ブルームの体が伸びる点を捉えて、新本部長のマギー・ソーヤーは12ページで「ストレッチ・アームストロング」と称しています。
1970年代にハズブロから発売されたオモチャのゴム人形で体が4倍に伸びて元に戻るそうです。

出典:http://ameblo.jp/monjastaff/entry-11911280579.html

ミスター・ブルームは、とてもこんなかわいいキャラではありません。

ちなみに編集小ネタですが、『ブルーム』のカバー帯が黄色いのはミスター・ブルームの顔のお花をイメージしました。(帯の背表紙側をよく見ると、お花がいっぱい描いてあります。)


次に私が注目したのは、『スーパーへヴィ』から続く高機能新型バットスーツのカッコよさです。

もはやスーツと称する域を超えていて、バットロボと言いたいところです。
思い起こせば、ニュー52でロボット型バットスーツが登場したのは、第2巻「梟の街」からでした。コチラです↓


これはこれで味がありましたが、かなりプリミティブなデザインでした。
次にロボット型が登場したのは第10巻『エンドゲーム』のコチラです↓


大分今っぽい、複雑でクールなデザインになってます。
そして第11巻『スーパーへヴィ』で一気に洗練されたカッコいいデザインになりました。


個人的に映画化を期待するぐらいカッコいいなーと思ってます。
そして、本巻『ブルーム』では大量のロボット型バットスーツがイッキに登場します↓



エ●ァンゲリオンを彷彿とさせる、こんなんも登場しちゃいます↓



バットマンが操縦するコイツは、最後にミスター・ブルームを思いっきりぶん殴ります↓



・・・ですが、バッツファンの我々にとって残念な出来事もあります。
そのカッコいい新型バットスーツ達が、揃いも揃ってミスター・ブルームにハッキングされちゃうことです。
マギー・ソーヤー本部長が乗るバットスーツさえもハッキングされて市民を攻撃しだす始末です。



おーい!しっかりしろー!と心の中で舌打ちせずにはいられません。
でも、これは単なるシステムのバグなんでしょうか?
新型バットスーツの開発とミスター・ブルームの誕生が、もし同じ根っこでつながっていたら・・・

おっと、以上は私の推測ですが、これ以上話すとネタバレになる危険もあります。

この後の展開から、ニュー52バットマンを通して、バットマンの意味を問いかけ、掘り下げてきたライターのスコット・スナイダーが出した一つの答えが読み取れます。
それは、「バットマンとはゴッサムに住むあなたたちだ」ということです。つまり一人のスーパーヒーローが街を救うわけではないということです。
それは『ゼロイヤー陰謀の街』100ページのブルース・ウェインの演説の底流に流れる価値観と同じです。



スコット・スナイダーは見事にニュー52バットマンを大団円へと導き、そして物語はいよいよフィナーレを迎えます。
『バットマン:エピローグ』です。

『バットマン:エピローグ』書店ポスター

『バットマン:エピローグ』の紹介は、8月に再び私が担当する予定です。
今週はここらで筆を置きたいと思います。最後までお読みいただきありがとうございました。
それではまた。
来週の更新もお楽しみに!

(文責・小出)


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2017年6月27日火曜日

完結目前の『ハーレイ・クイン』第5弾!
ついに描かれるジョーカーとの直接対決!

「アメコミ魂」をご覧のみなさま、こんにちは!
梅雨真っ只中。はっきりしないお天気が続いていますが、空模様のようにどんよりした気持ちになっていませんか?
そんなときは、はっきりしたキャラクターが活躍するコミックを読んで、少しでもすっきりしてみるのもいいかもしれません。

超・直情径行で、髪の色も左右ではっきりキッパリ。
はっきりしすぎな彼女、ハーレイ・クインの新作などはいかがでしょう。


ハーレイ・クイン:ジョーカーズ・ラスト・ラフ
アマンダ・コナー&ジミー・パルミオッティ[作]
チャド・ハーディン[画]
定価:本体2,100円+税
◆好評発売中◆


ご紹介するのは『ハーレイ・クイン:ジョーカーズ・ラスト・ラフ』。
「The New 52!」シリーズとして『ホット・イン・ザ・シティ』から続くハーレイ・クイン主演作の第5弾です。
バックナンバーは以下のとおり。ストーリーも上から順に進んでいます。


ハーレイ・クイン:ホット・イン・ザ・シティ
シリーズ1作目。シリーズを通してレギュラーとなるキャラクターたちも登場。なぜハーレイが常に金欠なのかなどもわかる、この単独主演作の幕開けとなった一冊です。

ハーレイ・クイン:パワー・アウテイジ
シリーズ2作目。南海の孤島から宇宙、果てはコミコン会場まで、ハーレイがTPOをわきまえず大暴れ! パワーガールとのチームアップも楽しめます。

ハーレイ・クイン:キス・キス・バン・スタブ
シリーズ3作目。親友ポイズン・アイビーの助言もあり、忙しすぎるハーレイはワークライフバランスの改善を図ることに。急募! ハーレイのアシスタント!
こちらのブログでもご紹介しています。

ハーレイ・クイン:コール・トゥ・アームズ
シリーズ4作目。ギャング・オブ・ハーレイズが本格始動します! デッドショットのゲスト出演もあり、ハーレイの忙しさもハチャメチャぶりも最高潮に。
くわしくはこちらの記事をどうぞ。


それでは、最新作、第5弾のあらすじをご紹介しましょう。↓↓↓

ハーレイ率いる花の乙女の自警団、ギャング・オブ・ハーレイズ。彼女たちが市民のために戦っている間に、メイソン・マカベはハーレイがもっとも足を踏み入れたくない場所……アーカム・アサイラムへと移送されてしまう。そしてその恐るべき場所で彼に目をつけたのは、ハーレイと決裂した彼女の“生みの親”。犯罪界の道化王子こと、ジョーカーその人だった。
因縁の二人がついに再会を果たす。真実の愛を語るとき、ハーレイは冗談など言わない!


――そうなのです。
読者の誰もが待ち望んでいた、ハーレイとジョーカーの直接対決がついに描かれるのです!
不慮の事故とはいえ、市長の息子を殺してしまったメイソン。それを恨む市長が、刑務所内でのゴタゴタとして片付けてしまおうと、収監中のメイソンについて暗殺命令を出しました。それを知ったハーレイは、別の安全な刑務所に彼を移すよう、市長に力ワザで要請します。後日、メイソンが移送されると聞き、安心したのも束の間。メイソンの新たな収監場所は、あのアーカム・アサイラムだったのです! ハーレイはいても立ってもいられず、ジョーカーの待ち受ける“かの場所”へ踏み込みますが――。


ごくごく平たく言うと、ハーレイが今カレを救うため、DV気質の元カレの懐に飛び込むことになるという状況。一般的なかよわき女性であれば、涙で語り情にうったえるところでしょうが、拳で語り力にうったえるのがハーレイです。とはいえ、相手はあのジョーカーですから、一筋縄ではいかないのは当然ですね。メイソンはかつてのハーレイのように、ジョーカーの狂気にのみ込まれてしまうのか? そしてまだハーレイに執着を見せるジョーカーに対し、彼女はどう立ち向かうのか? どうなる、ハーレイ!? これが最終巻じゃないなんてどうかしている(?)ぐらい、見逃せない内容になっていますよ!


そのほか、限定配布の特別号に掲載された読み切り『願い事にはご用心(原題:BE CAREFUL WHAT YOU WISH FOR)』も収録されています。
ひょんなことから魔法のランプを手に入れたハーレイが、ランプの精霊にいろいろなお願いごとをするというストーリー。
こちらはジャスティス・リーグの面々が登場したり、ハーレイが出演する過去作品のパロディが描かれていたりと、楽しくて気軽な内容です。
ランプの精霊にハーレイが「ジョーカーをナイスガイにして!」と願うと……。


ハーレイ・クイン:ジョーカーズ・ラスト・ラフ』本編より


このあとどうなるかは、読んでのお楽しみ。
パロディ元は『バットマン:マッドラブ』。このシーンを知っていると、ジョーカーの“ナイスガイ”ぶりがさらにコミカルに感じられるはずです。


バットマン:マッドラブ 完全版
ポール・ディニ[作]
ブルース・ティム[訳]
定価:本体1,600円+税
◆好評発売中◆


そして精霊さん、なぜかワンダーウーマンの歴史にもやたらと詳しい様子です。


ハーレイ・クイン:ジョーカーズ・ラスト・ラフ本編より


1942年登場の初期コスチュームから、「The New 52!」バージョンまで仰せのままに再現できるという自信ぶり。
しかし、さしものジムさんも、リバース版のワンダーウーマンのコスチュームはまだ押さえていないようです。こちらも弊社から刊行予定なのでお楽しみに。


『ワンダーウーマン:ザ・ライズ(仮)』
グレッグ・ルッカ[作]
リアム・シャープ[画]
◆8月23日頃発売予定◆


空回るマジメさが笑いを誘うランプの精霊、ジム・サラビムさん。ハーレイの願い事はなかなかすんなり叶えてもらえないのですが、そこには英語ならではのすれ違いやカン違いがありました。きちんと読んでいくと、思いがけず英語の語彙も増えてしまうというオトクなストーリーです。


ハーレイ・クイン:ジョーカーズ・ラスト・ラフ本編より。
Buckは口語で1ドルを指すが、牡鹿という意味もある


この精霊は、本編の最後に予想外の変身を遂げます。この後も、リバース版の『ハーレイ・クイン』(レギュラー第3シリーズ)に準レギュラーとして登場するジムさん。新たな生き方を手にした彼の、新シリーズでの活躍にも期待です。

繰り返しのお知らせになりますが、この『ハーレイ・クイン』第2シリーズは、このあとも間をおかずに邦訳版の続刊が発売されます。アマンダー・コナー&ジミー・パルミオッティ夫妻と、チャド・ハーディンのタッグで愛されてきた第2シリーズも、残すところいよいよあと1作。この期に及んで(?)とても魅力的な新キャラも登場してしまうので、ぜひ楽しみにしていてくださいね。
新作のリバースについての情報もいろいろと公開され、新しい展開も気になるところではありますが、こちらのシリーズもどうぞ最後までお付き合いください!

それではまた。
来週の更新もお楽しみに!

(文責・鈴木絢子)


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2017年6月20日火曜日

新刊『デスストローク:スーサイド・ラン』:世界最凶の追跡劇!



 アメコミ魂をご覧の皆さま、こんにちは!

 今週ご紹介するのは、6月7日に発売された『デスストローク:スーサイド・ラン』です。




デスストローク:スーサイド・ラン
トニー・S・ダニエル他[作]
タイラー・カークハム他[画]
定価:本体2,100円+税
◆好評発売中!◆



 世界最強の傭兵にして暗殺者、デスストロークことスレイド・ウィルソン。DCコミックスきってのアンチヒーローの最新刊です。

 前巻『デスストローク:ゴッド・キラー』では、なんと神の暗殺をやってのけたスレイド。さすが“世界最強の傭兵”の異名は伊達じゃありません。



デスストローク:ゴッド・キラー
トニー・S・ダニエル他[作]
タイラー・カークハム他[画]
トム・モリー他[彩色]
定価:本体2,100円+税
◆好評発売中!◆


 今回は、そんな彼の過激な追跡劇が繰り広げられます。

 DCユニバースでもトップクラスの戦闘能力を誇る彼の唯一の泣きどころ、それは愛娘ローズと愛息ジェリコ、二人の子供たちでした。自分の命と引き替えにしても構わない存在ローズが行方を消し、追跡劇が始まります。ということで、まずは本作のあらましからご紹介します。

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デスストロークことスレイド・ウィルソン。最強の傭兵にして暗殺者。彼の手にかかれば、どんな標的も逃げることはできない。そんな彼の娘ローズが姿を消した。失踪の鍵を握るのは、スーサイド・スクワッドきっての問題児ハーレイ・クイン。かくしてスレイドは、娘の行方をハーレイから聞き出すため、ベル・レーブ収容所に潜入する。しかしそこで待っていてのは、血に飢えたメタ・ヒューマンやスーパーヴィランたちだった。血で血を洗う追跡劇の果てに、どんな結末が待っているのか!?


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  他のヒーローコミックスとは、ひと味もふた味も違うハードコアでハードボイルドな魅力を持ったデスストローク。前巻、前々巻に続いて本作でも、ひとコマごとに血しぶきが読者に届きそうなバイオレンスアクションが展開されます。ではここからは、その魅力を中面とともに紹介します。



 物語冒頭、ベル・レーブ収容所(※スーサイド・スクワッドの面々が収容されているメタヒューマンやスーパーヴィラン専門の刑務所)への侵入を試みるスレイド。その目的は?







スレイドの目的、それはスーサイド・スクワッド最狂の問題児ハーレイ・クイーン。ローズが行方をくらませた家に残されていた死体、そこにはハーレイからと思しきメッセージが残されていたのでした。








スレイドの侵入によって、ベル・レーブ収容所のセキュリティシステムが破綻。それに乗じて凶悪なメタヒューマンが逃亡します。その名は「スネーク・バイト」。






そこから物語は展開し、レックス・ルーサーの思考をコピーしたAIが搭載されたロボット、レックスボットやビザロと思しきクリプトン人のクローン、さらにはレッドフードとの激闘が繰り広げられます。








ノンストップで展開されるアクションの果てに、デスストロークが目にするものとは……それは本編を読んでお確かめください。


さて、アメコミ初心者にはあまりなじみのないデスストロークですが、これまでドラマ『ARROW/アロー』やゲーム『バットマン:アーカム・ナイト』などに登場し、日本でもフィギュア化されるなど、マニアの間では知られた存在です。今後、DCエクステンデッド・ユニバースの展開次第では、映画への登場も想像に難くないキャラクターですので、今からコミックでチェックしておくことをオススメしいたいと思います。

それでは今週はこの辺で。また来週お会いしましょう!






(文責・山口大介)



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2017年6月13日火曜日

ウルヴァリン、X-MEN加入前の知られざるストーリー


 「アメコミ魂」読者のみなさん、こんにちは!
 
6月に入ってじわじわと暑くなり、ちょっと疲れ気味…という方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな方々に今週も、疲れを忘れさせてくれるアメコミの最新情報をお届けしていきます!
 
アメコミファンにはうれしいことに、現在公開中で第ヒットしている映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』や『ローガン』、また8月に公開予定の『スパイダーマン ホームカミング』など、マーベル作品の映画化が目白押しです。
 
「シーズンワン」シリーズの魅力
映画『ローガン』のウルヴァリンは、すでに年老い、無敵のスーパーパワーを失った生身の人間として描かれていますが、今回ご紹介するタイトル『ウルヴァリン:シーズンワン』はまさにその対極にある物語と言えます。

●表紙
『ウルヴァリン:シーズンワン』
ベン・アッカー&ベン・ブラッカー[作]
サルバ・エスピン[画]
定価:本体2,000円+税
●好評発売中●
 
 

 今ではX-MENの中でも特に高い人気を誇るウルヴァリンですが、彼がX-MENに入る以前の物語、まさしくヒーローになる前の知られざる秘話が明らかになるというストーリーとなっています。
 
 本書のタイトルにあるとおり、「シーズンワン」シリーズは、近年の映画でマーベルヒーローの魅力を知った新しいファンに向けて展開されるストーリーです。本書だけでなく、弊社から『アベンジャーズ:シーズンワン』『ドクター・ストレンジ:シーズンワン』
『X-MEN:シーズンワン』『アントマン:シーズンワン』などを刊行しています。お気に入りのキャラクターのオリジンを知りたい方は、ぜひこれらを読んでみてください。誕生秘話を知ることで、そのキャラクターの個性や能力について深く理解できるようになり、今後の作品についてをもっと楽しむことができるはずです。

この「シーズンワン」というシリーズの特徴は、
おなじみのヒーローたちのオリジンを、現代風のアレンジを加え、わかりやすい読み切りのエピソードにまとめている。また、巻末には試し読み用に最新のコミックが収録され、キャラクターをもっと知りたい人に格好の入門書となっている
(※以上、翻訳者・光岡三ツ子さんによる本書解説から抜粋)


本書の設定は、映画でウルヴァリンのファンとなった方々にもわかりやすい作品にするために、原作をかなりアレンジしたもので、新たなストーリーとして展開しています。

どこから読み始めればよいのか、つい迷ってしまうアメコミですが、上記のようなコンセプトで組み立てられているため、あくまでもわかりやすいストーリー展開と人気キャラクターの初期エピソードで構成されているという点で、アメコミ初心者には特にオススメの一冊といえるのではないでしょうか。

■ウルヴァリンの知られざる過去
 ワイルドなスーパーヒーローというイメージが強いウルヴァリンですが、X-MENに入る前には誰に知られることのない歴史がありました。
ローガン=ウルヴァリンとして知られるこの人物は、カナダ生まれで裕福な家庭の子どもとして育ちました。しかし、怒りにまかせ自分の殺した男が実父だったという衝撃の事実や、子どもの頃からの遊び相手だった女性を誤って刺してしまったこと。さらに、愛した女性を他のミュータントに殺されてしまったことなど、多くの悲劇と苦悩を背負いながら生きてきたのです。
 そんな折に、カナダ政府の人間兵器開発計画「ウェポンX計画」の被験者となり、科学者たちによって骨にアダマンチウムを融合され、現在のウルヴァリンの特徴が形成されます。政府機関から逃げ出したウルヴァリンは、森林に逃げ込みまるで野獣のような暮らしをおくっていたのです。
本書はそんなところから物語が始まります。

【あらすじ】
 カナダの荒野で暮らす男は、自分よりも圧倒的に大きな野獣・ウェンディゴと戦い、重傷を負って倒れていた。カナダ政府の特殊機関に保護され、戦士としての訓練を受けた彼は、おなじみのコスチュームをまといウルヴァリンとなる。ハルクとの初対決や、因縁の敵セイバートゥースとの再会で激しい戦いが繰り広げられていく。はたして、野獣のようなウルヴァリンはX-MENへと続いていく道をどのように切り開いていくのだろうか…。


舞台はカナダの原野。つまり、スパイダーマンやデッドプールのように大都会での戦いが展開されるのではなく、そこに暮らすたくさんの人々を守るようなかっこいいヒーロー的活躍を見せるわけでもありません。終始、泥くさい自然の中で誰に見守られるわけでもなく、ただただ孤独な戦いが繰り広げられるところが、本書の一つの特徴と言えるでしょう。
 
■ウルヴァリンの新たな魅力が全開
そこでは、全編を通じて様々な敵との激しいアクションが展開していきます。ウェンディゴ、ハルク、セイバートゥース、カナダ政府が開発したエクソスーツなど、巨体で超強力な相手とのバトルは、体と体とのぶつかり合いであり、「スタイリッシュ」からは程遠い肉弾戦ともいうべきもので、壮絶を極めます。ウルヴァリンは殴られ、噛まれ、踏まれ、投げられ、血まみれになり、意識朦朧の戦いを強いられ、瀕死の状況に陥るすさまじさ。他作品にはない大きな見どころとなっています。
 
しかし、本書の魅力はこのアクションシーンだけではありません。「ほとんど野獣」のようなウルヴァリンがはたしてどのように変わっていくのか。その過程にもぜひ注目してください。始めは怒りや不安に駆られると、手のつけようのない凶暴さを露にしていたのですが、ある人物との出会いと献身的なサポートにより、彼は次第に自分の獣性をコントロールできるようになり、人間性をなんとか保つように奮闘し始めます。それは敵ではなく、自分との戦いであり、新たな自分を獲得しようともがく姿であり、ヒーローになる前の彼の試練なのです。その試練をどう乗り切るのか。その行動こそが、のちにヒーローとなるウルヴァリンにつながっていくのではないでしょうか。
 
 つまりこの物語は、X-MENとして活躍する前のウルヴァリンの資質が形成される過程であり、この人気ヒーローの原点が刻まれている作品だと言えるのです。
 
また、今やおなじみのウルヴァリンのコスチュームですが、これを初めて着るシーンをぜひお楽しみに。どのような流れで着ることになるのか。人気キャラクター誕生の瞬間に立ち会えるのも、本書の醍醐味です。
 
さらに、巻末に収録されている試し読み用の一話も、本書のお楽しみです。収録作は、ウルヴァリンが若きミュータントたちを育てる学校の校長として活躍する物語。えっ、校長?    
そうなんです。本編との内容にギャップがありすぎますが、ここではヒーローとしての活躍ではなく、若者たちを危険な現場で直接指導する教育者としての姿が描かれ、彼のまた違った側面が見られます。本編で描かれるオリジンストーリーと合わせて、これまたウルヴァリンの知られざる部分が明らかになります。
 
さて、本書でウルヴァリンの新たな魅力にふれることで、「はまってしまった!」、「ウルヴァリンについてもっと読みたい」という読者が出てくるかもしれません。そんな方にぜひおすすめしたいのが、来週刊行する『ウルヴァリン:バック・イン・ジャパン』です。
 
 
●表紙
『ウルヴァリン:バック・イン・ジャパン』
ジェイソン・アーロン[作]
アダム・キューバート他[画]
定価:本体2,000円+税
●好評発売中●
 
 
なんと、ウルヴァリンが日本にやって来て大暴れ、という内容です。日本で待ち受ける敵とは誰なのか。ウルヴァリンの運命はいかに・・・。
 
【あらすじ】
謎の男が忍者集団ハンドとヤクザの抗争をあおり、日本の闇社会の支配権を握ろうと画策する。その謎の男は、セイバートゥースらを仲間にしたうえ、シルバーサムライの若き息子を引き入れるために、その恋人アミコを誘惑する。
しかし、それが彼らの誤算の始まりだった。なんと、アミコはウルヴァリンが引き取り、可愛がっている養女だったのだ・・・。
 
大人気のウルヴァリンから今後も目が離せません。こちらもぜひお楽しみに!
 
それでは、また来週お会いしましょう。
 
(文責:木川)

 

 

2017年6月6日火曜日

『ドクター・ストレンジ & ドクター・ドゥーム』――正反対の力を持つ“二人の天才”によるチームアップ!!

「マーベル展」でドクター・ストレンジが大注目!


六本木ヒルズで開催中の「マーベル展」に行ってきました。
会場に入ると、いきなり巨大アイアンマン像があったり、撮影禁止でお見せできないんですが、貴重な生原稿、キャプテン・アメリカやドクター・ストレンジなどの等身大フィギュア、そして個人的に一番見応えがあったアイアンマンの歴代アイアン・アーマーの展示など、見どころ満載のイベントとなってます。
(※東京では、6月25日まで開催中です。)


ところで話は変わりますが、先日発売した小社刊『マーベル・アベンジャー事典』、皆さま手に取っていただいたでしょうか?
ヒーローチーム「アベンジャーズ」に関わった全てのヒーローを1人1ページずつ紹介する本書は、アメコミ勉強中の私には正直”神”のような本なんです!
ヴィレッジヴァンガードイオンモール日吉津様のTwitterでも、「もうね、少しだけ読みましたけど、すごい!死ぬまで読んでられる物になってます!」と熱いツイートがありました!(ありがとうございます!!)


アラン・カウシル[著]
定価:本体3,000円+税
◆好評発売中◆

この本が面白いのは、ヒーローの能力を6項目に分けて7点満点で数値化していて、ゲームの攻略本みたいで大変分かりやすくなってるところです。例えば、ハルクは、腕力と耐久力は満点の7だけど、非物理攻撃は1(殴る蹴るだけってこと?)。人間であるホークアイ(クリント・バートン)は腕力3、耐久力2だけど、テクニックは7(女性をくどくテクニック?)・・・といった具合です。
そしてドクター・ストレンジも載っていて、腕力・耐久力・テクニックはそれぞれ2・3・3と低めですが、さすが魔術師だからでしょう、非物理攻撃は6、そしてそれ以上にスピードは7と最高点です。


ドクター・ストレンジもアベンジャーズの一員だったんですね!(スイマセン、初心者で・・・)

「マーベル展」でも、アイアンマンやキャプテン・アメリカなどと並んで、ドクター・ストレンジは大々的にフィーチャーされており、ドクター・ストレンジの紹介パネルの前で、カップルが興奮気味に「おぉ、ドクター・ストレンジだ!」とつぶやいてました。
今年映画化されたこともあり、マーベル・ユニバースの中でも大注目のキャラクターなんですね!

展示されてた年表を見て知ったんですが、ドクター・ストレンジの歴史はかなり古く、初出は1963年の「ストレンジ・テイルズ」#110まで遡ります。
もう既にご存じの方も多いとは思いますが、ドクター・ストレンジを簡単にご紹介します。↓↓↓

宇宙最強の魔術師。
かつての彼は優秀な外科医である一方、冷たく傲慢な性格だった。しかし、自動車事故で両腕の神経を損傷して二度とメスを握れなくなってしまった。
治療を求めて東の地の伝説的魔術師エンシェント・ワンに弟子入りし、長く厳しい修行の結果、地球を守る至高の魔術師(ソーサラー・スプリーム)となった。

2017年1月公開映画「ドクター・ストレンジ」で初めて知った人もいると思いますが、ドクター・ストレンジ関連本としては、小社からも既に『ドクター・ストレンジ:シーズンワン』と『ドクター・ストレンジ:プレリュード』の2冊が刊行され絶賛発売中です。そして、3冊目となるのが、今回ご紹介する『ドクター・ストレンジ & ドクター・ドゥーム』です。

『ドクター・ストレンジ & ドクター・ドゥーム』の見どころ


ロジャー・スターン[作]
マイク・ミニョーラ[画]
定価:本体2,200円+税
◆好評発売中◆

3冊目とはいえ、本書は読みきりエピソードなので、前の2冊を読んでなくても問題なく理解できる内容となってます。
(もちろん、前の2冊も読んでいただけたら大変うれしいです^^!)

まずは、本書のあらすじ紹介から。↓↓↓

魔術を操る天才ドクター・ストレンジと、科学を愛する天才ドクター・ドゥーム。相反する力を合わせ、二人は魔王メフィストに挑む!
ファンタスティック・フォーの宿敵でもある天才科学者、ドクター・ドゥーム。彼は母親の魂を地獄から解放するための孤独な戦いに、何度も敗れていた。その戦いに手を貸したのが、天才脳外科医の魔術師、ドクター・ストレンジだった! まったく逆の力を武器にする二人は、魔王メフィストを倒し、母シンシアの魂を救うことができるのか。そしてそのために彼らが払わなければならない犠牲とは、いったいどれほどのものなのか……? 天才ヴィランと天才ヒーローによる、予想外のチームアップ。
◆収録作品:『ドクター・ストレンジ&ドクター・ドゥーム』、『ドクター・ストレンジ』#54、『アストニッシング・テイルズ』#8、『マーベル・ファンフェア』#16&#43


多くのエピソードが収録されて大変お得な1冊となってますが、その中でもメインエピソードの『ドクター・ストレンジ&ドクター・ドゥーム』は、マーベルの「グラフィックノベル・レーベル」として1989年に発表され、その名のとおり、小説のようなストーリー性に優れた作品となってます。

老ジェンギスが大魔術大会を開催する「起」、そこからドゥームの母を救うという主題が与えられる「承」、そして魔王メフィストとの対決のため冥界へ赴く「転」、読者の予想を裏切る戦いの展開とその結末を描いた「結」と、怒涛のごとく一気に78ページを読ませてくれます。私のようなアメコミ初心者には分かりやすくアマチュア・フレンドリーな作品です。

しかし、小説的だからといって、アメコミ最大の魅力であるキャラクターが疎かになっているわけではありません!
むしろ78Pと短い本編の中だけでも、「ドクター・ストレンジ」「ドクター・ドゥーム」「魔王メフィスト」「ドゥームの母シンシア」「老ジェンギス」など、個性豊かで魅力的なキャラクターが目白押しです。

中でも本書で最大の魅力を放っているのが、ドクター・ストレンジではなく、彼とチームアップするドクター・ドゥームだと個人的に思います。



最初、本書はドクター・ストレンジを主人公とした物語なのかなーと思って読み始めたのですが、読み進めるうちにすっかりドクター・ドゥームに感情移入してしまいました。本作でドゥームは、完全に主人公のドクター・ストレンジを食ってます!

魅力あふれるドクター・ドゥーム

ここで簡単にドクター・ドゥームをご紹介します。↓↓↓

科学の天才である一方、魔女である母の血を受け継ぎ、魔術にも秀でている。
並はずれて自尊心が強い一方、傷つき醜い素顔をつねに仮面で覆っている。
東ヨーロッパの小国ラトベリアの独裁者として他国から憎まれる一方、ラトビア国民からは深く愛されている。
ラトビア旧領主から迫害されたロマ民族の生まれで父母をラトビア軍に殺害されたが、自らの科学技術と魔力によりラトビア王位を簒奪した。
世界支配を目論む暴君だが、彼の最大の悲願は魔王メフィストに囚われた母の魂を解放することである。

どうですか!
彼の概略だけでも十分魅力が伝わってきませんか。
本書を読んでいると、彼が何を考え、どう行動するのか、気にせずにいられません。
なぜドクター・ドゥームは読者を魅了してやまないのでしょうか。

それは彼が、矛盾した人物だからだと思います。
独裁者なのに国民に愛され、魔術師の血が流れているのに科学技術を愛し、世界征服を目指しているのに母親一人の魂を救うためならどんな犠牲も厭わない・・・。
その意外性にやられちゃいます。

「普段突っ張っている不良少年が、雨の中で捨て猫を拾う姿をたまたま見て、クラス一の美少女が、その優しさにキュンとなって恋に落ちる・・・」

そんな気分です・笑。
ぜひ皆さんも本書を手にとってドゥームの魅力に触れてください!

全てがつながっている!3つのエピソード

ところで、本書は以下3つの短編で成り立ってます。
(※他にネイモア・ザ・サブマリナーを主人公にした短編2つも収録)

(1)『ドクター・ストレンジ&ドクター・ドゥーム』(ライター:ロジャー・スターン、1989年発表)
(2)『アストニッシング・テイルズ』#8(ライター:ジェリー・コンウェイ、1971年発表)
(3)『ドクター・ストレンジ』#57(ライター:ロジャー・スターン、1983年発表)

実は、この3つの短編は(2)→(3)→(1)の順につながっています。
ライターのロジャー・スターンが、ジェリー・コンウェイが書いた(2)を読んで、ドクター・ドゥームにスポットを当てた(1)を最初に構想したのは1982年です。

「ドクター・ドゥームが本気で母親の魂を救う気があるなら、直接冥界にアタックするはずだ。だが、そのためには科学の力だけでは足りない。最強の魔術師の援助が必要なはずだ。しかし自尊心が高いドゥームがドクター・ストレンジに助力を乞うなど考えられない。そうだ、100年に一度の魔術師の世界大会を開き、優勝者は準優勝者の願いを一つ適えなければならない、というルールを設けよう。それによって、ドクター・ストレンジが地球最高の至高魔術師であるという正式なお墨付きを与えることもできる。」というアイデアを思い付きました。

その伏線として、ロジャー・スターンは自身の作品である、ドクター・ストレンジを主人公とした(3)で、ドクター・ドゥームがドクター・ストレンジに弟子入りしようかと一瞬考える、というシーンをさりげなく入れてます。足かけ6年に及ぶ壮大な伏線です!

このあたりの本作の成り立ちは、本書P144・145に、ロジャー・スターンのインタビュー記事として載っていて、大変読み応えがあります。(1)(2)(3)を読み終えた後に必ず目を通していただきたいです!

・・・本書について語りたい事はまだまだたくさんありますが、いい加減他の仕事もしないと周りに怒られそうなので、今週はこのあたりで。最後までお読みいただきありがとうございました!来週の更新もお楽しみに。

(文責・小出)


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2017年5月30日火曜日

『ハーレイ・クイン』第4弾――ハーレイの仲間、大増員!

「アメコミ魂」をご覧のみなさま、こんにちは!
短い春は早くも終わりに差しかかり、あっという間に初夏の気配ですね。
梅雨に入ってしまうまで、外遊びも楽しい季節ではありますが、
新刊のアメコミも逃さずチェックしてください。

今回ご紹介するのは『ハーレイ・クイン:コール・トゥ・アームズ』。

ハーレイ・クイン:コール・トゥ・アームズ
アマンダ・コナー&ジミー・パルミオッティ[作]
チャド・ハーディン[画]
定価:本体2,300円+税
◆好評発売中◆

「The New 52!」シリーズとして『ホット・イン・ザ・シティ』から続くハーレイ・クイン主演作の第4弾です。
これから手にとってみようという方は、既刊作品を以下の順番でお読みください。


ハーレイ・クイン:ホット・イン・ザ・シティ
シリーズを通してレギュラーとなるキャラクターたちも登場。なぜハーレイが常に金欠なのかなどもわかる、この単独主演作の幕開けとなった一冊です。

ハーレイ・クイン:ホット・イン・ザ・シティ
アマンダ・コナー&ジミー・パルミオッティ[作]
チャド・ハーディン[画]
定価:本体2,200円+税
◆好評発売中◆



ハーレイ・クイン:パワー・アウテイジ
南海の孤島から宇宙、果てはコミコン会場まで、ハーレイがTPOをわきまえず大暴れ! パワーガールとのチームアップも楽しめます。

ハーレイ・クイン:パワー・アウテイジ
アマンダ・コナー&ジミー・パルミオッティ[作]
チャド・ハーディン[画]
定価:本体2,200円+税
◆好評発売中◆


ハーレイ・クイン:キス・キス・バン・スタブ
親友ポイズン・アイビーの助言もあり、忙しすぎるハーレイはワークライフバランスの改善を図ることに。急募! ハーレイのアシスタント!

ハーレイ・クイン:キス・キス・バン・スタブ
アマンダ・コナー&ジミー・パルミオッティ[作]
チャド・ハーディン[画]
定価:本体2,400円+税
◆好評発売中◆



そして最新作『ハーレイ・クイン:コール・トゥ・アームズ』のあらすじはこちら。↓↓↓

ハーレイとギャング・オブ・ハーレイズは、報酬をもらうために活動を開始する。しかし、少々手に余る仕事が舞い込むことも。単なる行方不明者捜索のはずが、“凶暴化した船長と対決する”ハメになるなんて――誰に予想できただろう?
さらにハーレイはハリウッドへ。賞金稼ぎのビジネスにも手を広げた彼女だったが、やがてそれがヒーロー稼業より危険な仕事だと思い知ることになる。なぜなら、ハーレイはデッドショットの標的を横取りしようとしていたのだから……!


本作では、前号の『キス・キス・バン・スタブ』で募集したハーレイの助手集団「ギャング・オブ・ハーレイズ」が本格始動します。彼女たちのおこなう活動は、意外なほどに人の役に立つことばかり。街のコソ泥をやっつけたり、悪徳市長をこらしめたりしています。そのやり方がちょっと過激でメチャクチャで、高確率で流血沙汰になってしまったりするのですが、そこがハーレイらしくて楽しいところですね。


個性豊かな12人のメンバーについてもコードネームが与えられ、詳しく紹介されているので、こちらの小ネタもお楽しみください。

ハーレイ・クイン:コール・トゥ・アームズ』本編より

ここで挙がっているのは、DCのコミックに登場したヒロインたちの名前です。アメコミ好きならみんながわかるものから、どっぷり詳しい方がクスッと笑えるコアなものまで。
たとえば「エラスティ・ガール」は『ジャスティス・リーグ:インジャスティス・リーグ』に登場したドゥーム・パトロールの一員です。身体の大きさを変えられるというインパクトの強さで、ご記憶の方も多いのではないでしょうか。

ジャスティス・リーグ:インジャスティス・リーグ
ジェフ・ジョーンズ[作]
ダグ・マーンキ他[画]
定価:本体2,700円+税
◆好評発売中◆


ほかにも、不朽の名作『ウォッチメン』に登場しているキャラクターの名前もあるのですが、おわかりになるでしょうか?(答えは文末に記載しています!)

ウォッチメン
アラン・ムーア[作]
デイブ・ギボンズ[画]
定価:本体3,400円+税
◆好評発売中◆


毎回いろいろなゲストが登場するのも本シリーズの魅力ですが、今回はスーサイド・スクワッドでハーレイとともに任務をこなす凄腕ガンマン、デッドショットことフロイド・ロートンが出演しています。
自殺部隊では非道なリーダー的存在ですが、素顔は人の子であり人の親であるデッドショット。彼については単独主演作も刊行されています。気になる方はこちらの記事も併せてご覧ください。

スーサイド・スクワッド:デッドショット
ブライアン・ブッチェラート[作]
ビクトル・ボグダノビッチ[画]
定価:本体2,000円+税
◆好評発売中◆


基本的に、本シリーズでのハーレイは弱きを助け強きをくじく勧善懲悪タイプ(あくまでハーレイ目線の善悪ですが)。ジョーカーの恋人として狂気の限りを尽くしていた頃とは違い、現在のハーレイの行動原理になっているのは生活苦だといえるでしょう。本業の精神科医とギャング・オブ・ハーレイズの活動をもってしても、あがないきれない生活費。大所帯のギャングを雇ったことで、負担は増えている気がしますが……。
とかくお金を稼ぐため、高額の報酬に釣られて慣れない仕事を引き受けたハーレイですが、実はその仕事、もともとはデッドショットが依頼を受けたものだったのです。思いがけず、デッドショットと単身対決することになったハーレイの運命やいかに! そしてそもそもの目的、彼女が手にするはずだった報酬の行方も気になるところです。

また、『キス・キス・バン・スタブ』から登場しているハーレイの恋人候補、メイソンとの関係がどう進展していくのかも見逃せません。
前作では思わぬすれ違いが生まれてヤキモキしたものの、無事に誤解をとくことができたハーレイでしたが、今回はさらに深刻な障害がふたりの間に立ちはだかります。市長の息子を殺害したとしてメイソンが逮捕されてしまい、彼に会うことすらままならなくなってしまいました。この先、いったいどうなってしまうのでしょうか。


ハーレイ・クイン:コール・トゥ・アームズ』本編より。
連行されるメイソンと引き離されるハーレイ


親友であるポイズン・アイビーとの仲良しぶりはもちろんのこと、キャットウーマンも加わっての女子旅エピソードも収録されています。
キャットウーマンはバットマンと付き合いの長いキャラクターで、盗みのプロ。今回も女子旅のついでとばかりに、敵対関係にあるヴィラン、ダークウルフの獲物を掠め取ろうとしています。
3人3様の魅力が描かれていますが、とくにハーレイの天真爛漫ぶりがとってもかわいらしいですよ。

すでにお知らせしていますが、このハーレイ・クインシリーズはこのあともスピード感をもって続刊が発売される予定です。普通の幸せ、そしてお金を追求して奮闘するハーレイは、その願いをかなえることができるのか? 完結まで、どうぞ目を離さずにお付き合いください。


忘れるところでした。
前述のクイズ(?)の回答をお知らせしておきましょう。
ギャング・オブ・ハーレイズにディスられてしまった、『ウォッチメン』に登場するヒロインの名前はシルク・スペクター。初代の娘にあたるローリーが二代目を継いでおり、Dr.マンハッタンの恋人でもある重要な役どころですが、ここではひどい言われようでした。


ウォッチメン本編より。
左の女性がシルク・スペクター

きれいですけどね!

それではまた。 来週の更新もお楽しみに!

(文責・鈴木絢子)



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