2016年9月27日火曜日

バットマン月間を締めくくる“強カワ”な女子大生!
『バットガール:バーンサイド』登場


読者の皆様、こんにちは! 「アメコミ魂」ライターの乙間です。

本日は発売を明日に控えた『バットガール:バーンサイド』を紹介します。先日のBATMAN DAYを主軸に、今月はバットマン関連誌を4週連続で刊行しました。その最終週を飾るのが単独誌初邦訳の本書です。対象店舗さんではバットマンキャンペーンも実施中ですので、詳細は下記の過去記事をご覧ください。

●アメコミ魂の過去記事●
BATMAN DAYって何? 日本初4週連続バットマン刊行!さらに禅プールの『デッドプール Vol7:アクシス』発売!
“悪カワ”ハーレイ・クインの誕生譚を描いた不朽の名作『バットマン:マッドラブ 完全版』、三度目の登場!

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今回の「アメコミ魂」は趣向を変えて、本書の翻訳を担当した中沢俊介氏にお話をうかがいながら、本書の魅力を探っていこうと思います。では、参りましょう!


●30分一本勝負の6000字インタビュー!
私と中沢さんが神保町から水道橋方面に向かうと、東京ドームに近い水道橋駅周辺は、お揃いのTシャツを着たコンサート帰りの若者たちで溢れかえっていました。この熱気に溶け込むことのできない私たちは踵を返し、取材をするのに相応しい静かな店を探したのですが……習慣というのは怖いもので、結局、ビジネスマンたちの笑い声が響くいつもの賑やかな焼き鳥屋へと入っていきました。カウンターに席を並べ、レコーダー代わりのスマホをそっと出し、私はインタビューを始めようとしました……。

中沢(周囲がガヤガヤしているので)これ、聞き取れるんですか?

乙間大丈夫ですって(笑)。意外にクリアに録れるんです。では、始めましょう。『バットガール:バーンサイド』の発売目前ではありますが、まずは本書を翻訳し終えた感想をいただければと。

中沢主人公が女子大生のバーバラ・ゴードンで、登場人物も若い女性が多かったので、彼女たちの口調には気を使いました。しかもよく喋る(笑)。1話目とかけっこうなテキスト量でしたよ。特にオープニングの1ページ目【写真下】なんかコミックなのにこのセリフの多さって、という感じでした。読者に設定を伝えるために、文章で説明しなければならないのはわかりますが、それでもこの量はそこそこヘビーでした(笑)。セリフの多さでいうならば、『ブラックパンサー』に収録してある60年代の「ファンタスティック・フォー」に匹敵するくらいでしたね。
乙間確かに。最近のアメコミのなかでは、セリフが多いほうですよね。若い女性たちが主人公といえば、スーパーヒーローものではありませんが、中沢さんの好きなダニエル・クロウズの『ゴーストワールド』も主人公が十代の女性でしたね。

中沢あの作品も作家は男性で、翻訳者も男性だったんですよ。この『バットガール:バーンサイド』のライターも二人とも男性なんです。なので、若い女性の物語だからといって、必ずしも女性が訳さなくとも問題ないかと(笑)。

乙間本書は、SNSで人気者になってしまったバットガールという内容もあって、SNS上での若者の会話表現などを訳すのも大変だったのではないでしょうか? どの国でも、若者の言葉には時流がありますから。

中沢そうですね。ソーシャルメディア上での言葉遣いや略語なども頻出していたので、他のアメコミとは違った感覚で訳しました。海外のネットスラングをどのように日本語の表現に落とし込むか、どう翻訳するかに時間を割きました。

乙間アルゴリズムとかプログラミング用語も頻出していましたね。

中沢プログラミング用語もそのまま訳しては意味が通じないので、プログラミング自体の仕組みなども確認してから日本語に置きかえました。

乙間以前より、中沢さんはこの作品の翻訳を担当したいと言っていましたが、何か特別な理由があったのですか?

中沢自分がバットガールと同じ靴を履いていたから……ですかね(笑)。ドクターマーチンの黄色いブーツ。バットガールのコスチュームがそうなんですよ【写真下】。そこに親しみを感じたというのが理由の一つかもしれません。
乙間ああ、中沢さんがたまに履いてくるあの靴ですね(笑)。この作品は、2014年から2015年に刊行されたコミックブックをまとめたもので、比較的最近の作品ですが、発売当初から注目していたんですか?

中沢発売当初からネットでも話題になっていたので、チェックはしていました。女装キャラ(正体は本書でチェックしてください!)など、物語の本筋とは関係ないところでコミック関連の海外サイトで取り上げられていましたからね。作画担当のバブズ・ターは、ウェブに上げていたイラストやアートで注目された人なので、本書についてもネット界隈で特に話題となり、日本では知りえない盛り上がりみたいなものが当時はあったかと思います。本書の間に挿入されている「シークレット・オリジン」の冒頭のイラスト【写真下】では、“バットガールがロボットに!?”というふうにネットでは騒がれていましたし、そういった意味では、最近のDC作品のなかでは話題の一作だったかと思います。
乙間間に挿入されていた「シークレット・オリジン」ですが、違和感なく前後の物語に溶け込んでいましたね。

中沢逆にコミックブック単体で読んだ人のほうが「はて?」と思ったかもしれませんね。「シークレット・オリジン」という短編をTPB(合本)に収録する際に、こういう繋げ方もあるんだなと感心しました。

乙間本書はセリフの多さも印象的でしたが、コマ割りもけっこう細かかった印象を持ちましたが、その点についてはいかがでしょうか?

中沢そうですね。特に最初のほうはギュウギュウに詰めている感じがしました。でも、回が重なるにつれ、レイアウトを描いていたキャメロンと作画のバブズのコラボが徐々に熟れてきて、そういう成長の度合いも確認することができて面白かったですね。ちなみに、本書の巻末には、キャメロン・スチュアートが描いたラフやレイアウトが収録されているのですが【写真下】、アーティストのバブズ・ターは忠実にそのレイアウトに従って描いているんです。見ていただければわかるのですが、そのキャメロンのレイアウト自体が完成品に近いクオリティなんです。キャメロン自身が描いたほうが早いんじゃないかというくらいの(笑)。彼がレイアウトを切っていたので、最初の物語でセリフが多いのは、キャメロンが深く関わっていたからだと思います。キャメロン・スチュアートは元々はアーティストで、ShoPro Booksだと『バットマン&ロビン』『バットマン:インコーポレイテッド』で彼のアートが見れます。
乙間キャメロン・スチュアート直々だなんて、バブズ・ターはまさに“バブ・スター”、DCコミックスの期待の星なんでしょうね。

中沢確かに(笑)。ひと通り読んでみると、DCコミックスが彼女にすごく期待しているんだなと伝わってきます。コミックをまだちゃんと描いたこともない新人に、キャメロン・スチュアートというベテランがあんな丁寧なレイアウトを描いてフォローしているのを見るとその期待度がわかるような気がします。しかも、この作品のなかだけで見ても、彼女はどんどん上手くなっている。アメコミには珍しいぐらい、作家の成長度合いがわかる作品ですね。日本のマンガでもあるじゃないですか、最初と最後のほうではタッチが違ってくる、みたいな。そんな感じがしましたね。

乙間中沢さんの印象に残ったシーンはどこですか?

中沢日本のアニメっぽいキャラが出てきた第2話【写真下】が印象的でした。おそらく80年代あたりの日本アニメの受け入れられ方を意識して作ったのかなと思いました。
乙間中沢さんの好みが手に取るようにわかりますよ(笑)。中沢さん自身が友だちに本書を薦めるとしたら、ズバリどこを強く推しますか?

中沢自分は翻訳者なんですが、やっぱりアートですかね(笑)。頭脳明晰のバーバラが頭のなかで推理していることをビジュアル化したシーン【写真下】も新鮮でした。本書はアメコミのいちばん新しいトレンドを伝える作品のひとつだと感じています。最近は女性の作家さん、特に女性のアーティストが活躍しているので、そのなかでも有望株の女性アーティストで、伸び盛りの成長がありありと読める作品ですので、ぜひそこを楽しんでいただければと。単純にアートが可愛らしいですしね。
乙間確かに。この可愛らしいアートで邦訳出版を決めたといっても過言ではないですからね。本書はアメコミの予備知識がなくても比較的読みやすいですよね?

中沢はい。バットガールは誕生してから55年も続いているキャラクターで、「バットガール」誌が創刊されてからも16年経っていることを考えると、いわゆる予備知識はいらないかもしれません。

乙間バットガールも歴史を紐解くと、ちょっと複雑ですからね。元祖バットガールは「BAT-GIRL」表記で1961年に初登場し、正体はベティ・ケインという女性でした。彼女より5年前に初登場を飾ったキャシー・ケイン(現ケイト・ケイン)扮するバットウーマンの姪という設定で、彼女のサイドキック的な立場で……衣裳もバットマンというよりロビンのようでした。バーバラ・ゴードン版バットガールとしての初登場は1967年で、以降は負傷したバーバラがオラクルになったり、二代目や三代目のバットガールが出てきたり、四代目ロビンのステファニー・ブラウンもバットガールになったりしてましたから。でも、2011年のニュー52でバーバラがバットガールとして戻ってくるあたりからは、割とすっきりとした物語になり、この2016年版の本書ではさらに読みやすくなったと思います。

中沢そうですね。

乙間本書を気に入った読者にお薦めする次の作品はなんだと思いますか?

中沢『ゴッサム・アカデミー』とか『グレイソン』とかでしょうか。ライターのベッキー・クルーナンにせよトム・キングせよ、彼らは、DCコミックスが贈るヤング・ジェネレーションの作家たちだと思うので、そのへんを味わってほしいですよね。



乙間ここからは、中沢さんの翻訳作業についてお聞かせください。本書を訳すのに何週間費やしましたか?

中沢本文だけで2週間です。けっこう余裕のない2週間でしたけど(笑)。先程もお話したように、今回はセリフも多く、ネットスラングやプログラミング用語を調べる時間が必要だったので、意外と時間がなかったですね。

乙間本書に限らず、中沢さんがコミックを翻訳するときは、どのように進めていくのか教えてください。

中沢たとえ過去に翻訳を依頼された作品を読んでいたとしても、まず一度は素読みをします。次に、調べなければならないキャラクターの一人称や口調、特徴的なセリフなどを挙げて、映像作品や過去作品等でそれらをチェックします。そうやって全体の雰囲気を把握してから、翻訳を開始します。たとえば『スター・トレック/グリーン・ランタン』などのように、これから訳そうとしている作品がアニメや映画などの映像作品などと関連している場合は、それらに慣れ親しんでいる読者も多いので必ず映像は確認するようにしています。ひと通り訳し上げたら、次は推敲です。推敲は最低二回します。一回目は字面を見て引っかかるところを修正して、二回目は原文との照合を行います。また、自分は翻訳原稿をプリントアウトして推敲するように心がけています。モニター上で見るのと紙で見るのとでは、また違った感覚で推敲できるからです。納品後は、出てきたゲラを校正したら、一つの仕事が終わります。

乙間中沢さんは翻訳しているときに、キャラクターになりきってセリフを声に出して確認したり、口調の確認をすることはありますか?

中沢う~ん……ハッキリと声に出すことはありませんが、ブツブツとつぶやくことはあります。マンガのセリフは、完全な口語、つまり、自分たちが普段話している言葉とはちょっと違うんじゃないかなと思っています。たとえば、マンガに出てくる老人が「~じゃ」などと語尾につける場合がありますが、現実の老人はそのように話すことは滅多にありませんよね。女性においても、実際の会話では「~よ」「~ね」「~わ」など語尾につけて話すことは少ないはずです。ですが、マンガにそのような登場人物が出てくるときは、少なからず記号的な言葉を入れたほうが読み手にとってはわかりやすいのではないかと考えています。少女マンガにおいても、女性の作家さんが女性キャラクターに記号的な言葉遣いを使っていることもありますからね。もちろん、文章として自然な会話にするのを心がけるのは当然ですし、やりすぎるのも不自然になると思いますので、その点は注意しています。

乙間バーバラのバブズとか、ロバートのボブとかの人名の短縮形や愛称はどうのように対処していますか? たまに短縮形や愛称が誰のことを指しているのかわからなくなってしまうときがあるので……。

中沢ロバートもそうですが、ステファニーもステフやステフィーと何通りも短縮形がある人名もありますよね。作品のなかで呼び名を統一しようと思っていた時期もありましたが、基本は原文にある呼び名を踏襲しつつ、あまりにも短縮形や愛称が頻出するキャラクターの場合は数を調整しています。呼び名は呼んでいる相手との関係性もわかるので、基本は原文どおりに訳しています。いまちょうど『フラッシュ』の第3巻を訳しているのですが、そこでも「レッド」という呼称が出てきます。まあ、これは「赤い」から「レッド」なので、誰のことを指しているかわかりやすいのですが、わかりにくい場合は、たとえばルビを使うなどして、訳文の中で説明的なワンクッションを置くようにしています。

乙間解説を書く上で心がけていることはありますか?

中沢ユニバース内の出来事が前提となっている内容であれば、それを最優先で解説しようと思っています。キャラクターの概要に関しては、用語解説ではなく、解説のところであらかじめ補足していこうと心がけています。

乙間中沢さんは、少女マンガの編集者という経歴もあり、ShoPro Booksでも3年近く邦訳アメコミの編集者として働いていました。今後は、ShoPro Books編集部を離れ(笑)、翻訳業/ライター業に専念されるとのことですが、編集と翻訳ではどちらが楽しかったですか?

中沢いまは翻訳ですね。自分ではない作中の人物になりきって、彼らの言葉をクリエイトしていくのがいまは本当に楽しいですね。

乙間これからもアメコミの翻訳だけをやっていきたいのですか?

中沢できれば翻訳者としての幅は広げていきたいと思っています。サブカル関係の書籍翻訳とかにも挑戦したいですね。

乙間字幕翻訳に興味はありますか?

中沢そこはまた勉強しないといけませんから……字幕翻訳のルールもありますしね。

乙間これからはどのような作品を手がけていきたいですか?

中沢う~ん……この『バットガール:バーンサイド』もそうですが、スーパーヒーローものでも新しい世代の作家が育っているので、そのような作家を紹介していければいいなと。

乙間中沢さんはオルタナ系コミックが好みだと思うのですが、DCやマーベルのオン・ゴーイングも追いかけていますか?

中沢頑張って追いかけていますよ(笑)。 DCやマーベル作品は、映画でいうとブロックバスター映画を観ているような面白さがありますね。また、いまとなってはオルタナとかメジャーとかあまり関係ない感じになっていますからね。『エセックス・カントリー』や『スウィート・トゥース』の著者であるジェフ・レミアなどもそうですが、いわゆるオルタナっぽい作風の作家がDCやマーベルでも普通に描いていますから。そういう意味では、自分たちが考えているオルタナという垣根はないのかなと思います。

乙間いま注目しているコミックはありますか?

中沢最近読んでいちばん面白かったのは、『スコット・ピルグリム』のブライアン・リー・オマリーがライターを務めている『SNOTGIRL』(イメージ・コミックス)です。あとは、『キングダム・カム』のマーク・ウェイド脚本、 『サーガ』のフィオナ・ステイプルズ作画の新しい『アーチー』(アーチー・コミックス)ですかね。

乙間これまた中沢さんが好きそうな作品だ(笑)。

中沢確かに。仕事関係なく、一読者としてお金を払って読もうとすると、やはり偏りは出てきますよ(笑)。

乙間ミラー・ワールドの作品を多く手がけていると思いますが、『キングスマン:ザ・シークレット・サービス』『スーパークルックス』『スペリアー』『ネメシス』などのマーク・ミラー脚本の作品は翻訳していてどうでしたか?

中沢マーク・ミラーの脚本は本当に訳していて気持ちよかったです。言葉の歯切れもいいですし、キャッチーなセリフも多いですしね。モヤモヤがスカッとするような感じで楽しかったです。

乙間いままで翻訳するのに手子摺った作品はありましたか?

中沢文章自体は難解ではないのですが、いざ訳してみると色々と壁にぶち当たったのがニール・ゲイマンの『バイオレント・ケース』ですかね……。

乙間ああ、なんとなくわかります(笑)。逆に、ノリに乗って仕上げた作品はありますか?

中沢翻訳を仕上げたスピードでいうとテキスト量とかも関わってくるのでなんともいえませんが(笑)、ダニエル・クロウズの『ウイルソン』は訳していてとても面白かったです。個人的に好きな作家でもありますし、1ページ完結で構成され、ちゃんとフリとオチがあって、気は使いつつも楽しかったですね。

乙間『ウイルソン』は自分も拝読しました。確かにオシャレで面白い作品でした。では、今後のご活躍を期待しています。今日はありがとうございました。

中沢ありがとうございました。

乙間ちなみに今日のギャラはここの食事代ということで……。

中沢……別にいいですよ。

乙間二軒目はご馳走してもらいますので……。

中沢それじゃあ、割り勘と変わらないじゃないですか!(笑)

……インタビューを終えた後も、取り留めのない話は深夜まで続きました。



今週は以上になります。来週は「アトランティスの王“アクアマン”始動! ところで、アクアマンってどんなヒーローなの?」というテーマで、アメコミ初心者目線でアクアマンを紹介したいと思います。

では、また来週火曜日の正午に。

(文責:乙間萌生)


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2016年9月20日火曜日

“悪カワ”ハーレイ・クインの誕生譚を描いた名作
『バットマン:マッドラブ 完全版』再々誕


読者の皆様、こんにちは! 「アメコミ魂」ライターの乙間です。

バットマン月間も第3週目となりました! 「アメコミ魂」読者の皆様は、もう購入者特典のオリジナルグッズはゲットしてくれましたよね? まだの方は先週の記事「BATMAN DAYって何?~」をもう一度読んで確認してくださいね。ここ最近発売した作品については、先々週の記事「スーサイド・スクワッド~」を読んでください!

●アメコミ魂の過去記事●
BATMAN DAYって何? 日本初4週連続バットマン刊行!さらに禅プールの『デッドプール Vol7:アクシス』発売!
スーサイド・スクワッドにパシリム、デップーにタートルズ 7月後半~9月前半の新刊情報を一挙紹介!


さて、今週は、明日発売の『バットマン:マッドラブ 完全版』を紹介します。映画「スーサイド・スクワッド」でも大活躍のハーレイ・クインがコミック初登場となった記念すべき作品です。“コミック初登場”と表現したのは、ハーレイ・クインは、アニメ「バットマン」から生まれたキャラクターだからです(アニメ初登場はシリーズ第7話「ジョーカーの陰謀」。さらに、この「マッドラブ」の物語もシリーズ最終話でアニメ化されています)。

また、映画でマーゴット・ロビーが演じるハーレイの衣装は、ニュー52のハーレイ・クインがベースになっていると思いますが、ニュー52が始まる前は、ハーレイ・クインといったら、この赤と黒のスーツがお決まりでした。映画でも一瞬、この衣装が出てくるのですが、原作ファンにとっては嬉しい場面でしたね。確か劇中でハーレイが差している傘の色も赤と黒だったような……。
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プロデューサー兼脚本家のポール・ディニと超一流のアニメーターであるブルース・ティムの二人が手がけた、この「バットマン・アドベンチャーズ:マッドラブ」は、1994年に発表され、アメリカの権威ある漫画賞であるアイズナー賞も受賞した作品です。コミックファンなら誰でも知っている名作で、小社では過去2回、収録内容を変えて邦訳版を出版しています。

2000年12月に『バットマン:マッドラブ』(写真左)として初邦訳。本編の「バットマン・アドベンチャーズ:マッドラブ」のほかに、「バットマン・アドベンチャーズ:ホリデイ・スペシャル」が収録され、ブルース・ティムやアニメ「バットマン」の声を担当した玄田哲章氏、アニメ「バットマン」に携わったアニメ監督の増田敏彦氏のインタビュー、さらにエピソードガイドも収録されています。定価:本体1,800円+税で発売されました。

2011年3月には、すでに絶版となった『バットマン:マッドラブ』を復刊すべく、ジャイブさんで刊行され、こちらも絶版となっていた『バットマン:ハーレイ&アイビー』と合本し、新たに『バットマン:マッドラブ/ハーレイ&アイビー』(写真中央)として蘇りました。定価:本体2,200円+税で発売されました。

そして、三度目の刊行となるのが本書(写真右)です。

後述しますが、今回は本編の「バットマン・アドベンチャーズ:マッドラブ」に特化した内容となっております。本編のほかに、ブルース・ティムによる「バットマン・アドベンチャーズ:マッドラブ」のオリジナル・レイアウト(下絵)とオリジナル・カラー・ガイド(色指定稿)がそれぞれ全ページ分収録されています。さらに未発表のアートも収録され、まさに完全版といってもいい内容となっています。

また、本編のカラーリングも過去の2作品と微妙に違うので、すでに過去作品をお持ちの方でもその違いを楽しめるかと思います。今回は、「マッドラブ」の復刊/再刊を求める読者のために企画したものなので、定価:1,600円+税での発売を決めました。

ちなみに、日本語版の表紙もそれぞれ変えて刊行しましたが、初回の表紙は、本編から画を抜き出してデザインした日本独自カバーに。2作目の表紙は、「バットマン:ハーレイ&アイビー」3号のカバーアートを使用。そして今回の表紙は、1992年に発売したオリジナル版のカバーアートを使用しました(底本である原書版と同じアートです)。


今回は「完全版」ということで、収録作品のほかに、旧版との違いをもう少し詳しく紹介したいと思います。


●旧版との違い《その1》:擬声語(オノマトペ)も日本語に
「UNNNGGH!」「BAM!」「POW!」などフキダシ内の台詞にある擬声語は、不自然でない範囲で日本語に置き換えました。下の写真でいうところの左ページにある1コマ目の「バシッ!」や2コマ目の「ドカッ!」などです。ただし、「HA HA HA HA HA!」は、ジョーカーの特徴を現している笑い声なので、原文のままにしております。、また、劇中にある描き文字の擬声語は原文どおりにしてあります。アメコミの雰囲気を崩さない範囲で、読みやすさを重視したつくりにしております。




●旧版との違い《その2》:オリジナル・レイアウトを収録
先にも述べましたが、本書にはオリジナル・レイアウト(下絵)とオリジナル・カラー・ガイド(色指定稿)がそれぞれ全ページ分収録されております。下の写真は、オリジナル・レイアウトです。画を描いている人にとってはとても勉強になる素材かと思いますし、本書ができるまでの工程を楽しめる付録の一つだと思います。







ブルース・ティムによる「あとがき」にも記されているのですが、下の写真の3コマ目は、もう少しセクシーな画だったのですが、編集者の求めに応じて、実は描きなおされていました。そのオリジナルの画がこのオリジナル・レイアウトに収録されているので、ぜひ本書で「幻の3コマ目」を確認してください!


●旧版との違い《その3》:オリジナル・カラー・ガイドを収録
オリジナル・カラー・ガイドには、本書のカラリストのリック・テイラーやその他スタッフに向けたブルース・ティムによる直筆のコメントが添えられています。どのような指示が出されているのか、とても興味深いですよね。なかには、この段階で作画のミスを発見し、修正の指示を出している場面もあり、現場感満載のカラー・ガイドを堪能してください。もちろん、コメントの訳は、本編の翻訳を担当した秋友克也氏に訳してもらっていますので、英語が得意でない方も問題ありませんよ!


さて、いかがでしたでしょうか?

旧版をお待ちの読者諸氏も本書を読みたくなったのではないでしょうか?

本書は、ハーレイ・クインのオリジンを描いた作品ですが、意地らしくも愛らしいジョーカーへの情愛が描かれており、読んだ人は必ずやハーレイ・クインのファンになってしまうはずです。

また、本作を復刊し、価格帯も比較的安価に抑えたのも、この作品を今以上に多くのアメコミファンの皆様に読んでいただきたいという気持ちからです。

作品としては、アメコミ初心者にもばっちりな内容ですし、価格も多少安ければ、お友達にもおすすめしやすいかと……ぜひお友達にすすめていただき、皆をハーレイの虜にさせてください!


今週は以上になります。


来週は、バットマン月間を締めくくる『バットガール:バーンサイド』を紹介しつつ、本書の翻訳を担当した中沢俊介氏とともにその魅力を探っていきたいと思います。中沢氏が本作を訳したかった意外な理由など、ざっくばらんなトークをお楽しみください!

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では、また来週火曜日の正午に。

(文責:乙間萌生)


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2016年9月13日火曜日

BATMAN DAYって何? 日本初4週連続バットマン刊行!
さらに禅プールも発売!


読者の皆様、こんにちは! 「アメコミ魂」ライターの乙間です。

今週のアメコミ魂は、今週末に迫った「BATMAN DAY」と、それに関するShoProBooksのバットマン関連コミックの展開についてお知らせします。さらに『バットマン:エンドゲーム』と同時発売の『デッドプール Vol.7:アクシス』も合わせて紹介します。

正直、映画「スーサイド・スクワッド」も先日公開したばかりなので、原作シリーズの『スーサイド・スクワッド:悪虐の狂宴』『スーサイド・スクワッド:バジリスク・ライジング』も盛り上げていきたいのですが、本日の記事はBATMAN DAYにフォーカスしたいと思います。「スーサイド・スクワッド」をはじめとした、ここ最近の新刊情報についてご覧になりたい方は、先週の記事を参考にしてください。

●アメコミ魂の過去記事●
スーサイド・スクワッドにパシリム、デップーにタートルズ 7月後半~9月前半の新刊情報を一挙紹介!


◆BATMAN DAYとは?
1939年に誕生したバットマンの75周年をお祝いするため、2014年に初めて導入されたBATMAN DAYは、今年で3回目となります。毎年、世界各国のコミックショップや書店で、コミックブックを無料配布したり、サイン会を行ったりとお祭りのようにバットマンを盛り上げています。

2014年は7月23日、2015年は9月26日、そして今年は9月17日がBATMAN DAYになります(毎年、日にちは違うんですよね)。2014年当時は、日本で唯一、秋葉原のブリスターコミックスさんがBATMAN DAYに賛同し、キャンペーンを行っていました。

ShoPro Booksでは、昨年BATMAN DAY用の販促用ポストカードと、DCコミックス社提供のバッジを用意し、一部の書店さんにご賛同いただき、BATMAN DAYを盛り上げました。今年は、日本でも昨年以上の展開で盛り上げてまいります!


◆ShoPro BooksによるBATMAN DAY 2016の展開
日本では、4週連続バットマン関連コミックを刊行し、2016年9月17日(土)のBATMAN DAYを軸に、2016年9月6日(火)から9月30日(金)までの間、「バットマン」キャンペーンを行います。購入者特典については、対象書店さんのみで扱っており、期間内でも特典がなくなり次第、終了となりますのでご注意ください。対象書店さんについてはコチラをご参照ください。

なんと! DCコミックス社の公式サイトに、BATMAN DAYにご賛同していただいた、日本を含む全世界のコミックショップ/書店さんのMAPが出来上がっています。詳細はコチラへ。

①日本初! バットマン関連コミック4週連続刊行!
数年前までは考えられなかったことですが、毎週バットマン関連コミックが読めるという、日本初の試みに挑戦しました。 とにかくBATMAN DAY 2016を盛り上げるため、この4週連続刊行という企画を考えました。ラインナップについては、もうすでにご存知の方も多いかと思いますが、今一度おさらいしたいと思います。

9月7日発売
『レッドフード&アウトローズ(THE NEW 52!)
第1週目は、女性ファンにも人気の高いレッドフード作品。レッドフード、アーセナル、スターファイヤー、心に傷を負った3人のヒーローの間に絆が生まれ、レッドフード&アウトローズは結集した。しかしその絆は、世界を救えるほど強いものといえるのか……。
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9月14日発売
『バットマン:エンドゲーム(THE NEW 52!)
第2週は、BATMAN DAY目前での刊行という最高のタイミングで発売する「エンドゲーム」。バットファミリーを崩壊寸前まで追いやった物語『喪われた絆』は始まりでしかなかった……長年にわたる因縁の死闘、ついに決着か!? 関連エピソードを網羅した日本独自編集で完全版として登場!

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9月21日発売
『バットマン:マッドラブ 完全版』
第3週は、復刊の声を多くいただいた「マッドラブ」。殺人鬼ジョーカーに恋するキュートで健気な小悪魔ハーレイ・クインを描いた不朽の名作「マッドラブ」が帰ってきた! 「マッドラブ」本編に「下書き」と「カラー指定稿」を加えた、「マッドラブ」の裏側まで知ることができるまさに完全版です。詳細は来週のアメコミ魂でお知らせします。
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9月28日発売
『バットガール:バーンサイド』
最終週は、単独誌初邦訳のバットガール。ゴッサムきってのオシャレスポットに移住した女子大生のバーバラ・ゴードン。バットガールがソーシャルメディアのスターになるのだが……大学生活とヒーロー活動の両立はできるのか? 大胆なイメージチェンジが話題を集めた人気シリーズ、日本上陸! 詳細は再来週のアメコミ魂にて。
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②『4週連続「バットマン」関連コミック刊行記念』の購入特典として、各新刊に応じた4種類の「オリジナル3ヶ月カレンダー」をプレゼント!
上記で紹介した4作品を購入した方に、それぞれのキャラクターカレンダーをプレゼント。レッドフードは、2016年10月~12月のカレンダーを。エンドゲームは2017年1月~3月、マッドラブは2017年4月~6月、そして、バットガールは2017年7月~9月のカレンダーとなり、4種類揃えると1年間使えるようになります。ぜひ集めてくださいね!

カレンダーは下記の写真ような組立式ですが、どなたでも簡単に組み立てることができます!


③小社刊行の「バットマン」関連コミックの購入特典として、「BTMAN DAY オリジナル・ステッカー」をプレゼント!(1冊につき1枚、小社刊行の「バットマン」全タイトルが対象)
昨年のBATMAN DAYでは、BATMAN DAYロゴを入れたポストカードを作成しましたが、今回はロゴそのままのステッカーを作成しました。携帯に貼ってもよし、PCに貼ってもよし、学生さんならノートに貼ってもいいかもしれませんね!


④「バットマン・シリーズ・カタログ2016」を無料配布!
来週より2016年版のShoPro Books海外コミックスカタログを各書店さんで配布する予定ですが、その前に、BATMAN DAYに合わせて、バットマン関連コミックのみを掲載したカタログをつくりました。こちらはすでに配布中ですので、バットマンファンは絶対ゲットしてくださいね!


⑤抽選で壽屋製バットマンフィギュアをプレゼント!
最後に紹介するのは「BATMAN DAY 2016 プレゼントキャンペーン」。下記の写真のとおり、対象書籍4冊をご購入の方に抽選で10名様にコトブキヤさん製のバットマンフィギュアをプレゼントいたします。帯には応募券(三角券)がありますので、捨てないでくださいね!

今年のBATMAN DAYに関する小社の展開は以上になります。来年は、どんなBATMAN DAYになるのか楽しみにしていてくださいね。また、ツイッターをやっている人はぜひ「#BatmanDay」で検索してみてください。各国の盛り上がりも確認できると思います!


◆銃も刀も捨て、禅に目覚めた俺ちゃん“禅プール”登場!
映画「スーサイド・スクワッド」とBATMAN DAYで盛り上がる最中、デッドプールも変わらず盛り上がっております! なんと今月の新刊は、あの灰色の衣装を纏ったデッドプール“禅プール”の登場号です。大団円間近の第7巻は、善と悪が〈反転〉する「アクシス」事件のクロスオーバー作品で、御多分に洩れずデッドプールも善に〈反転〉し、禅に目覚めます(笑)。第5巻の結婚エピソードに次ぐ人気作ですので、ぜひ注目ください!

9月14日発売
『デッドプール Vol.7:アクシス』
殺しをやめたデッドプール。でも口数は変わらない……。禅に目覚めたデッドプールは、〈反転〉した本物のX-MENの襲撃から、北朝鮮版の偽X-MENを守りきることができるのか?
Ⓒ 2016 MARVEL

今週は以上になります。次回の「アメコミ魂」は、三度目の復刊となる『バットマン:マッドラブ 完全版』をご紹介します。

では、また来週火曜日の正午に。

(文責:乙間萌生)


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2016年9月6日火曜日

スースクにパシリム、デップーにタートルズ……
ここ3ヶ月の新刊を一挙紹介!


読者の皆様、お久しぶりです! 「アメコミ魂」ライターの乙間です。

約1ヶ月半ぶりの投稿となります。「アメコミ魂」は少し長い夏休みをいただきましたが、その間も、小社では多くの邦訳アメコミを発売しました。今回は、お休みをいただいた期間に刊行された新刊情報をまとめてご紹介したいと思います。ここ最近の邦訳ラッシュは目を見張る勢いですが、それゆえに「え? もう出てたの?」と気づかないうちにすでに刊行されていたなんてことはよくありますよね。今回の記事を見て、読もうと思っていた作品に気づいていただければ幸いです。また、この期間に発売された作品は、映画に絡んだものも多いので、トレーラーなどの公式映像のリンクを貼りました。あわせてご覧ください。

では、明日発売の注目作からご紹介します。

◆レッドフード&アウトローズ、明日発売!◆

レッドフード&アウトローズ

TM & ⓒ 2016 DC Comics. All Rights Reserved.
二代目ロビンことジェイソン・トッド扮するレッドフード、グリーンアローの元相棒アーセナル、そしてタマラン星の王女スターファイヤー……心に傷を負っていた3人のヒーローの間に絆が生まれ、レッドフード&アウトローズは結集した。しかし、その絆は、世界を救えるほど強いものといえるのか……。レッドフードを訓練した神秘組織オール・カーストと、邪悪な古代種族“無銘者”の間で戦争が勃発し、3人が巻き込まれてしまう。レッドフード&アウトローズは戦う意味もわからぬままに、ゾンビと化した戦士僧、改造手術を受けた異星人排斥主義者、そして不死の暗殺者と戦うことになるのだが……。

ライターのスコット・ロブデルが綴るレッドフードとアーセナルの軽妙な会話。そして、ケネス・ロカフォートが描く妖艶なスターファイヤー。日本の読者からの支持も高かった本誌がようやく刊行されることになりました!個人的にはアートがイチオシですので、ぜひご堪能ください。

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◆8月24日発売、邦訳アメコミ3作品◆

スーサイド・スクワッド:バジリスク・ライジング

TM & ⓒ 2016 DC Comics. All Rights Reserved.
タスクフォースX――またの名はスーサイド・スクワッド。それは、減刑と引き換えに集められたスーパーヴィランたちの特殊部隊。彼らの素性を知る者は誰もいない……。彼らは、ゴッサムでの任務で大きな痛手を負ってしまった。そんな折に、チーム誕生の当初から隠されていた恐るべき秘密が明らかとなる。……チーム内に裏切り者がいたのだ。アマンダ・ウォラーの暗殺とスーサイド・スクワッドの存在を暴露するため、ウォラーと敵対する秘密結社バジリスクの首領レギュラスが訓練したスパイがチーム内に送り込まれていた。ハーレイ・クインはジョーカーのために仲間を裏切り、複数の人格の間を揺れ動いている。裏切り者はハーレイなのか? それとも、自殺願望を抱くデッドショットなのか? スーサイド・スクワッドは正体不明のスパイを抱えたまま、レザレクションマンことミッチ・シェリーを捕獲する任務に送り出される。この任務の目的が、レギュラス率いるバジリスクを殲滅させようとするウォラーの計略であることをスーサイド・スクワッドの面々は知る由もなかった……。

本書は、第1巻スーサイド・スクワッド:悪虐の狂宴に続く、第2巻にあたります。物語もググッと深くなっていき、これからの展開が楽しみな作品です。9月10日公開の映画が話題になっておりますが、映画を観る前に原作コミックシリーズを読んでおくと、設定や背景を把握することができて、映画がいっそう楽しめるはずです。事前情報なしで先入観を持たずに映画を観たい人は、映画を観た後にはぜひ原作コミックを読んでみてください。新たな発見があるはずです。ちなみに、映画はマーベルしか観たことがない、DCコミックスは初めてという方は、下記の映像を観ておくといいかと思います!

▲映画『スーサイド・スクワッド』キャラクター特別映像(公式)

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パシフィック・リム:ドリフト

© 2016 Legendary Comics, LLC. All Rights Reserved.
映画『パシフィック・リム』の感動ふたたび――イェーガーの前に立ちふさがる新たなKAIJU……壮大な戦いは終わらない! 『パシフィック・ リム』の監督ギレルモ・デル・トロと原案・脚本を担当したトラビス・ビーチャムが書き下ろした前日譚コミックパシフィック・リム:イヤーゼロに続き、完全新作の本書でもイェーガーとKAIJUの胸躍る戦いが描かれている。続編が待ちきれない全国の“パシリム”ファンに贈る至高の物語。本作の主役となるのは、映画では充分に語られることのなかった第一世代のイェーガー“タシット・ローニン”と、パイロットであるジェソップ夫妻。他にもスタッカー・ペントコストやコヨーテ・タンゴ、そして初お目見えとなるイェーガーやKAIJUも続々と登場する。伝説のイェーガー“タシット・ローニン”の、世界の存亡をかけた戦いが、いま始まる!

“パシリム”と聞いただけで、「タララ~ラララ~♪」と、あのテーマ曲がすぐ脳内再生してしまうあなたは、絶対に本書を読まなければならない(笑)。本書の巻末付録もなかなか充実しているので、ファンにとっては嬉しいかぎりなのですが、伝説の『パシフィック・リム:ビジュアルガイド』が再版されれば最高なんですけどね……(汗)。

▲映画『パシフィック・リム』予告(公式)

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・『パシフィック・リム:イヤーゼロ』を語る

キャプテン・アメリカ:ホワイト

ⓒ 2016 MARVEL
ジェフ・ローブ&ティム・セイルのアイズナー賞コンビによって鮮やかかつ痛切に描かれる、マーベルを代表するヒーローたちの、愛と喪失と悼みの物語! スティーブ・ロジャースにとって、己が時代から切り離された男として生きる最大の苦しみは、親友を失った男として生きることだった。亡くなった相棒のことを嘆くスティーブ・ロジャースは、二人の友情がかつてない試練を浴びたある夜の出来事を思い返していた。海の底から険しい頂きまで、ハウリング・コマンドー部隊と共に命がけの行軍を行った夜のことを。それは、炎と煙と雪に覆われ、恐るべき敵と驚くべき味方とが姿を見せた戦いだった。そしてその旅路の果てには、レッドスカルが待ちかまえていた。彼こそ、キャップたち全員が立ち向かうすべての悪を象徴する、残虐にして恐るべき敵であった……。

本作は、スパイダーマン:ブルーデアデビル:イエローに続く、カラーシリーズ第3弾です。このシリーズは、今は亡き人に想いを馳せ、回想シーンで物語が進むのが特徴です。バッキーはのちにウィンター・ソルジャーとして復活しますが、最愛の友を失った当時のスティーブの気持ちを考えると切なくてたまりませんね……。読者のレビューも好評ですので、ぜひご一読を。

▲映画『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』本編プレビュー映像(公式)

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◆8月10日発売、邦訳アメコミ3作品◆

デッドプール Vol.6:オリジナル・シン

ⓒ 2016 MARVEL
デッドプールの娘が生きていた――“結婚”の次は“父親”になる!? デッドプールの“過去”に関する手がかりを追うプレストン捜査官は、衝撃的な事実を発見する。デッドプールの娘が生きていたのだ……しかし、その娘はあるテロリストに命を狙われていた。父親であるデッドプールはといえば、吸血鬼との戦いに忙殺されている。デッドプールは吸血鬼の邪悪な牙を逃れて、娘を守りきることができるのか? そもそも、この娘はどこから来たのか? ヒーローの過去が明かされたミステリアスなクロスオーバー作品“オリジナル・シン”の外伝、早くも邦訳決定! さらに、グリム&グリッティな90年代を描いたエピソードでは、デッドプールの暗い過去におけるもっとも暗い秘密が明らかにされる……。

あっという間に、シリーズ第6巻となりました。本シリーズは第8巻が最終巻となりますので、本書を含めてあと3巻しかないと思うと、なんだか寂しいですね……なんて、思っていたら映画『デッドプール』のBD/DVD発売がもうすぐじゃないですかッ! 詳しくは↓

 ▲『デッドプール』9.7先行デジタル配信/10.5ブルーレイ&DVDリリース(公式)
  
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ガーディアンズ:チームアップ

ⓒ 2016 MARVEL
宇宙最凶チーム“ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー”とスーパーヒーローたちがチームアップ! アベンジャーズ、X-MEN、ロナン……スーパーヒーローたちとガーディアンズ・オブ・ギャラクシーがどう競演するのか?――アベンジャーズと宇宙の危機に立ち向かったあとは、巨大な宇宙的パワーを巡ってX-MENと共にクリー人との戦いに身を投じ、ロナンと戦いに挑む! そして宇宙の賞金稼ぎであるガモーラは地球に降り立ち、標的のシーハルクと大激突! その間にロケット・ラクーンは動物ヒーローだけで結成されたチーム、ペット・アベンジャーズとタッグを組み、動物ヴィランと対決を果たす! かわいくて癒される動物ヒーローが大活躍のペット・アベンジャーズのミニエピソードも同時収録!

2016年版のShoPro Booksカタログ(図書目録)がそろそろ出来上がる頃ですが、このカタログのキャラクターを描いていただいているグリヒル先生の作品が本書には収録されています。とっても可愛いのでぜひチェックしてくださいね。

▲映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』本編プレビュー映像(公式)

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ミュータント タートルズ 4

© 2016 Viacom International Inc. All Rights Reserved. Nickelodeon, Teenage Mutant Ninja Turtles, and all related titles, logos and characters are trademarks of Viacom International Inc. © 2016 Viacom Overseas Holdings C.V. All Rights Reserved. Teenage Mutant Ninja Turtles, and all related titles, logos and characters are trademarks of Viacom Overseas Holdings C.V. Based on characters created by Peter Laird and Kevin Eastman.
いよいよ明らかになるクランゲ将軍の正体と野望……。一方、街には新たなミュータントが現れ、タートルズが大ピンチに!? 大ヒット公開中の映画『ミュータント・ニンジャ・タートルズ:影<シャドウズ>』では、ビーバップ&ロックステディ、クランゲといった有名キャラも登場して昨年以上の盛り上がりをみせている。コミック最新刊でも、クランゲ将軍の秘密がいよいよ明らかに。一方でフット軍団のシュレッダーも、一度は敗北を喫したタートルズに対して策略をめぐらす。さらに、街では新手の凶暴なミュータントが暴れだした! タートルズの4人はピンチを切り抜けられるのか!?

小社が扱っているタートルズの邦訳コミックは、本作で6作目。あと2作品の刊行が予定されています。タートルズの原作は、実はアメコミなんです。映画をキッカケにタートルズを知った人は、ぜひ原作コミックシリーズにも触れてみてください!

 ▲映画『ミュータント・ニンジャ・タートルズ:影<シャドウズ>』インターナショナルトレーラー(公式)

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◆7月27日発売、邦訳アメコミ◆

トリニティ バットマン/スーパーマン/ワンダーウーマン

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 闇の騎士、鋼鉄の男、アマゾンの王女……地球を守るために、DCコミックスを代表する永遠不滅の三大ヒーローが集結! バットマンの宿敵ラーズ・アル・グールが、スーパーマンのクローン、ビザロを仲間に引き入れたとき、バットマンはスーパーマンとワンダーウーマンを招集。今まさに迫った地球規模の危機を回避するため、伝説的な同盟がここに誕生する! アイズナー賞を受賞した作家マット・ワグナーの代表作、ここに堂々の邦訳化!

DCを代表する三大ヒーローの初邂逅を描いた読み切り作ですので、映画でワンダーウーマンに注目した人や、これからDCコミックス・デビューしようと思っている人にはうってつけの作品です。すでに発売されている『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』とあわせて、本書を読んでみてはいかがでしょうか?

▲映画『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』特別映像(公式)

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・「バットマンVS.スーパーマン」特集第一弾!
・「バットマンVS.スーパーマン」特集第二弾!



夏休み明けの勢いで、1万字ほどの「アメコミ魂」の原稿を書き上げていたのですが、実は昨日、ちょっとした手違いでデータを消去してしまい……本日の午前中に慌てて原稿を書き直していたという何とも情けない私ですが、今後ともよろしくお願いいたします。

さて、次回のアメコミ魂は、注目の「BATMAN DAY」とそれに合わせて発売する小社作品をご紹介したいと思います。

では、また来週火曜日の正午に。

(文責:乙間萌生)


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