2019年11月16日土曜日

『オールスター・バットマン』全3巻を一挙紹介!



「アメコミ魂」の読者のみなさま、こんにちは!

来週はいよいよ東京コミコン2019が幕張メッセで開催されます(11月22日〔金〕~23日〔日〕)。我々ShoPro Booksは、今年も物販ブースを出展し、本体価格でご提供する予定です(消費税10%OFF)。また、購入者特典として、非売品のポストカードやポスターなどもご用意しておりますので、当日はぜひ我々のブースにお立ち寄りください。


先日、@ShoProComicsのTwitterアカウントにて「復刊もしくは新装版を刊行するならば『バットマン:笑う男』『バットマン:ラバーズ&マッドメン』『バットマン:アーカム・アサイラム』のどれを希望しますか?」という内容のアンケートを取らさせていただきました。結果、1000人以上のみなさまにご協力いただき、編集部一同心より感謝しております。また、別の投稿では「入手困難な邦訳コミックスの復刊希望や続刊を希望する邦訳コミックス」についてのご意見も伺いました。

実は、邦訳アメコミにおいて、少部数印刷の可能性を模索しており、上記のような質問をさせていただきました。商売の話をしてもつまらないと思いますが、制作現場では「少部数なら重版がかけられる」「もう少し需要があれば続刊が出せる」などの状況に直面することは多々あります。

作り手である我々でも採算を度外視して出し続けたいという思いは常にあります。ただ、それをやり過ぎると出版できるものもできなくなってしまいます。それでも読者さんの期待には応えたい。以前から、どうすれば読者さんの復刊希望や続刊希望を叶えられるだろうか考えていました。解決策の一つにデジタルコミックが挙げられます。これは我々単独で好き勝手にできるものではなく、権利者との調整が必要なので今すぐに、とまではいきません。とはいえ、近い将来には実現すると思います。また、大手米コミックス出版社以外のタイトルやバンド・デシネなどではすでに検討していますので、近いうちに何かのアナウンスができるかもしれません。

デジタル以外の解決策として挙げられるのが、少部数印刷です。オンデマンド印刷ともデジタル印刷ともいわれます。このような印刷方法は昔からありましたが、当時はあまり品質がよくなく、特にオールカラーのアメコミには不向きでした。ですが、最近では印刷機の性能も上がり、品質面もコスト面も改善されてきています。これならばすぐにでも少部数印刷に着手できるのではないか、そう感じました。現時点では、皆様のご意見を頂戴したうえで、復刊もしくは新装版のタイトルを厳選しようと進めています。来年の春までには数タイトル刊行したいと思っております。


さて、今日は前置きが長くなり失礼しました。我々もアメコミ読者のみなさまに喜んでいただけるよう、試行錯誤し、日々挑戦してまいりますので、引き続きご声援のほどよろしくお願いいたします。



▐ 第1巻は、トゥーフェイスとのデスロード!

▲オールスター・バットマン:ワースト・エネミー

本シリーズ全3巻の第1巻にあたる『オールスター・バットマン:ワースト・エネミー』は、日本では2017年10月に発売、アメリカでは2017年4月に発売した単行本です。

本作については、「アメコミ魂」の過去の記事でも紹介していますので、こちらもご覧ください。

この第1巻は、ニュー52シリーズの『バットマン』や『バットマン・メタル』シリーズを手掛け、現在では現行シリーズの『ジャスティス・リーグ』を手掛けている人気実力はライターのスコット・スナイダーと、アメコミ読者のみなさまならご存知の超有名アーティスト、ジョン・ロミータJr.の作品です。いちアメコミファンとしては嬉しい競演ですよね。

本作は、2016年5月より開始したDCユニバース・リバース シリーズのタイトルの一つとして発売されました。リバースシリーズはすでに終わっていますが、大成功したニュー52以来の新シリーズでしたので、大きな期待を持って読んでいたことを今でも覚えています。

次巻以降、様々な豪華アーティストが参加するのですが、第1巻では本編はすべてロミータJr.が画を描いているので、彼のアートをたっぷり堪能できます。

このオールスター・バットマン誌は、リバースシリーズにおけるバットマンのもう一つの冒険譚として十分楽しめる作品です。また、第2巻のオビの裏面にあるコピーに「これはバットマンの物語ではない。ヴィランの物語だ!」とありますが、まさに数多くのヴィランが第1巻からも登場します。

本書では、ゴッサムシティから飛び出し、トゥーフェイスを護送するという死の旅路が描かれているのですが、有名ヴィランからマイナーヴィランまで、さらには一般人までもがバットマンの行く手を阻みます。原題の日本語訳である「最悪の敵」を交わして、バットマンたちは目的地にたどり着けるのか……ぜひ本編にてご確認ください。



▐ 第2巻は、アメリカ各地で3人のヴィランとの死闘!


▲オールスター・バットマン:エンド・オブ・アース

第2巻の『オールスター・バットマン:エンド・オブ・アース』は、日本では2018年8月に発売、アメリカでは2017年9月に発売した単行本です。

本作については、「アメコミ魂」の過去の記事でも紹介していますので、こちらもご覧ください。

リーフ発売当時に巻末連載されていた「呪われた輪」の前編は第1巻に収録、後編は第2巻に収録していますが、それを除けば、このオールスター・バットマン誌は全3巻が続き物というわけではないく、一巻一巻独立した物語になっています。ですので、登場するヴィランや参加アーティストでどの巻を購入するか検討していただいてもいいかもしれません。もちろん、このシリーズの世界観を味わうためには全3巻通して読んだほうがベターだと思いますが……。

さて、アーティストといえば、この第2巻も『バットマン:ブラックミラー』のジョックとフランチェスコ・フランカビラ、さらには『バットマン:ヨーロッパ』のジュゼッペ・カムンコリなどが参加しており、豪華な顔触れです。登場するヴィランは、ミスター・フリーズ、ポイズン・アイビー、マッドハッターとバットマンファンならお馴染みのヴィランが登場します(巻末収録の「呪われた輪」にはリドリーが登場)。

原題の日本語訳は「終末への道」。タイトルが意味するものとは? 最後まで見逃せませんので、気になる方はぜひご参加ください!



 第3巻は、盟友アルフレッドとの物語


▲オールスター・バットマン:ファースト・アライ

本シリーズ最終巻になる第3巻『オールスター・バットマン:ファースト・アライ』は、日本では2019年5月に発売、アメリカでは2018年9月に発売した単行本です。

原書ファンの方から見ると少し違和感があったかもしれませんが、日本語版では第3巻の表紙にあるロゴの色をオレンジにしました(原書はマゼンダ系)。シリーズとして統一感を持たせるため、またリバース版バットマン誌と差別化するためでした。制作した当初は私も原書に見慣れているので違和感があったのですが、慣れでしょうか、今では不思議と馴染んできました。

さて、シリーズ最終巻となる本書の主役はウェイン家の執事アルフレッド・ペニーワースです。本書の原題の日本語訳は「盟友」。固い絆で結ばれているブルース・ウェイン(バットマン)とアルフレッドの物語はどのエピソードを読んでも泣けてきます。また、父子の物語も絡んでくるので、今回の物語も最終章で感動してしまいました。ライターは同じくスコット・スナイダーで、今回のアーティストは『アメリカン・バンパイア』のラファエル・アルバカーキ。アルバカーキの独特な風合いと、場面によって使い分ける寒色と暖色のトーンが物語をいっそう引き立てています。

先述したとおり、本シリーズは単独でも十分に楽しめます。個人的にはこの第3巻と第1巻が好みです。最近は邦訳バットマンもかなりの点数が出ているので、読みたい作品を厳選する中で、本シリーズは避けていたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。改めて読みなおしてみると、それぞれが個性的でなかなかの良書でした。このブログを読んで気になったタイトルがあればぜひ手に取ってみてください!


それでは、今日はこの辺で失礼いたします。

来週の「アメコミ魂」の更新は11月19日(火)19時~20時頃を予定しております。引き続きよろしくお願いいたします!

(文責:乙間萌生)
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