2020年4月29日水曜日

おうち時間に大ボリュームのアメコミはいかが?


アメコミ魂をご覧の皆さま、こんにちは。

早いものでもう4月が終わろうとしていますね。
今月は家にいる時間が非常に多くなりました。もともとひきこもることに自信はあったのですが、さらに磨きがかかったような気がします。

さて、そんな外に出れない時間が増えたこの頃。普段なかなか読み切れない、読む時間がないなと手を出しにくいアメコミに手を出してみてもいいのでは? ということで本日は、ページ数の多いアメコミを多数ご紹介していきたいと思います!

▐ 規格外の分厚さ! 『バットマン:エターナル』


ShoPro Booksのアメコミで分厚いものといえば、『バットマン:エターナル』は外せません。

▲『バットマン:エターナル<上>』書影
▲『バットマン:エターナル<下>』書影





















そのページ数は上巻600ページ、下巻584ページの計1184ページ! 圧巻のボリュームです。ちなみに最近刊行された『ハーレイ・クイン&バーズ・オブ・プレイ』は144ページ、『ワンダーウーマン:ヒケテイア』は96ページと、比べてみるとなおそのページ数に圧倒されます。

この『バットマン:エターナル』はバットマン生誕75周年を記念して企画された週刊タイトル。75周年という記念の年を祝うだけあり、とても力の入ったタイトルになります。

気になるあらすじはこちら。↓


ゴードン市警本部長が逮捕されたことをきっかけに、ゴッサムの騒乱の日々は始まった。
過失致死の濡れ衣を着せられたゴードンが、ブラックゲート刑務所に拘留され、
彼の意志を引き継いだかに見えたジェイソン・バードは、
バットマンと警察を敵対させ、ゴッサムを戒厳令下におく

バットマンと仲間たちはゴードンの無実を信じ、それを証明しようとするが、その努力は報われず、街とバットファミリーを取り巻く状況は悪化の一途をたどっていった。

当初、バットマンはゴッサムの騒乱の黒幕を
街に戻ってきたカーマイン・"ローマン"・ファルコーネと睨んでいた。

しかしファルコーネは傀儡にすぎず、より大きな計画の一部であることが判明する。
突如現れたハッシュによって、アルフレッドが重体に追い込まれたとき、
バットマンは彼こそがすべての背後で糸を引いていたと確信するが……。


物語の冒頭、ゴッサムシティの崩壊を見ることしかできない囚われのバットマン。

様々な側面からゴッサムシティの姿を描き出しながら、カーマイン、ハッシュ、そして……と真の黒幕は一体誰なのか、息をつかせぬ物語の展開。大ボリュームだけあって、非常に多くのキャラクターたちも登場し、まさに周年記念の"お祭り"といえる作品ではないでしょうか。

また、ライターもスコット・スナイダージェームズ・タイノンⅣなど総勢6名が交代に紡ぎだすという体制。実力派ライターたちがその特色をいかんなく発揮して紡がれる重厚な物語。膨大なページ数も夢中になって読み進めてしまうこと間違いなしの一作です。



▐ 巨匠フランク・ミラーによる「ダークナイト」叙事詩



▲『DARK KNIGHT バットマン:ダークナイト』書影
▲『バットマン/ダークナイト:マスター・レイス』書影


DARK KNIGHT バットマン:ダークナイト』はフランク・ミラーによる名作「ダークナイト・リターンズ」と「ダークナイト・ストライクス・アゲイン」を収録した超豪華版。ページ数はなんと512ページにのぼります。バットマン/ダークナイト:マスター・レイス』はその続編。『ジョーカー』などで有名なブライアン・アザレロまでもが加わった、ダークナイト叙事詩の第三部です。

ゴッサムシティからバットマンが消えて10年55歳のブルース・ウェインは、己の魂の呼びかけに突き動かされて復活を決意します。しかし、東西冷戦期の混迷のなか、バットマンの復活はさまざまな波紋を投げかける……。バットマンの存在はゴッサムシティにとって救世主となるのか、それとも混乱を招く脅威となるのか。この機会にぜひバットマン史上に残る名作を味わってみてはいかがでしょうか。

僕もつい先日『DARK KNIGHT バットマン:ダークナイト』を読み直したのですが、やはり『ダークナイト・リターンズ』のバットマンとスーパーマンの対決は見どころですね。アーマーをまとったバットマンが命を賭けてスーパーマンに挑む戦いは、必見の名シーンなのではないでしょうか。現在編集中のフランク・ミラーによる『スーパーマン:イヤーワン』は、『ダークナイト・リターンズ』と同じ世界の出来事だとされています。そちらでは若きバットマンとスーパーマンの戦いも描かれています。ヒーローになりたての二人と、晩年の二人の対決。ぜひ見比べてみてくださいね。


直撮りですが……『ダークナイト・リターンズ』の二人の戦い

『スーパーマン:イヤーワン』での対峙する二人


▐ アラン・ムーア先生の魔術世界へようこそ! 『プロメテア』


最後にご紹介するのは『プロメテア』三部作になります。

▲『プロメテア』書影
▲『プロメテア2』書影

▲『プロメテア3』書影
『ウォッチメン』『バットマン:キリングジョーク』など数多くの名作を生み出すアラン・ムーアが描く、まさに魔術書といっても差支えのないコミックス。全三冊1000ページを超えるボリュームで、魔術師アラン・ムーアの想像力が爆発します。

この作品はアラン・ムーアが信奉する蛇神グライコンの召喚儀式を通じて得たインスピレーションによって書かれたとのこと。話の内容どころか、生まれた契機から既にワクワクしてしまう恐ろしい作品です。

話のあらすじはこちら↓


18世紀の抒情詩、新聞連載漫画、パルプ雑誌、都市伝説……
歴史上のさまざまな局面に登場し、痕跡を残してきた女神プロメテア。

レポート執筆のためにプロメテアに関する取材をしていた平凡な女子大生ソフィーは、
ひょんなことからプロメテアに変身する能力を得てしまう。
やがて"生ける物語"プロメテアとなったソフィーに、
魔の眷族が次々と襲いかかるが……?

 
プロメテアとして成長していくソフィーの冒険を描く、いわばスーパーヒロインもの。ソフィーが戦いを通じて成長していくのだろう……。間違ってはいませんが、ムーア先生の作品はそんな一筋縄ではいきません。最後まで読めば今までにない体験をすること間違いございません。ぜひこの魔術世界に足を踏み入れて頂きたいです。



▲J・H・ウィリアムズⅢの描くアートは必見です。


▲解説も充実。三冊の解説を読むだけで、魔術の知識が豊富になります!


それでは、今回のアメコミ魂はここまでです。
次回の更新もお楽しみに。


(文責:比嘉)
TM & © 2020 DC Comics. All Rights Reserved.


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2020年4月21日火曜日

強くて個性的で魅力的!女性ヒーロー&ヴィランに注目!【DC編】


アメコミ魂をご覧のみなさま、こんにちは。

最近はいかがお過ごしでしょうか。
我がShoPro編集部も引き続きテレワークが続いており、慣れないテレビ通話や自宅での作業に四苦八苦しております。設備投資を極めすぎて、自宅がどんどん快適になっていきます!(笑)

さてさて、本日のアメコミ魂は『DCの女性ヒーロー&ヴィラン』をテーマに、おうちで楽しめる作品をご紹介したいと思います!

▐ DCキャラクターを代表する有名女性ヒーロー、ワンダーウーマン


DCの女性ヒーローといえばアマゾン族のプリンセス、ワンダーウーマン!

人間離れした身体能力、そしてそれに基づく高い戦闘能力を持つ彼女は、スーパーマンやバットマンも属するヒーロー連合“ジャスティス・リーグ”の一員でもあります。

アメコミを読んだことがない方でも、2017年に公開された映画『ワンダーウーマン』を見た方も多いのでは?(続編『ワンダーウーマン 1984』が今年公開予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため公開が延期に……。残念ですが、楽しみに待ちたいと思います……!)

映画が有名なだけに、知名度が先行してしまいがちなワンダーウーマン。

そんなワンダーウーマンの活躍をイチから読み返してみませんか?

■『ワンダーウーマン:アースワン』



人間界から隔絶された女性だけの楽園で暮らすアマゾンの王女・ダイアナ。好奇心旺盛な彼女は、その閉ざされた生活に満足していなかった。
そんなある日、空軍のパイロットであるスティーブ・トレバーの飛行機が島の海岸に墜落する。掟を破って彼を助け、人間界へ送り届けたダイアナは、彼女の母親・女王アマゾンの逆鱗に触れることとなり……。 その後のストーリーでも重要な役割を担うトレバーとの出会いなど、ワンダーウーマンのオリジンを優美な筆致で描いた傑作。

ワンダーウーマンのオリジンを知るならこちら。
注目したいのはなんといっても美麗なアート。細部まで美しく描かれたアートは必見です!

前作の映画ストーリーとリンクする部分もあるので、続編の公開を待つ間に読んでみてはいかがでしょうか。

■『ワンダーウーマン:ヒケテイア』



自らの故郷「セミッシラ」より外界に出てきたワンダーウーマンは、自分の知る世界とこの世界の違いに慣れ始めたところであった。 そんな彼女の元に、突如ダニエルという女性が助けを求めに現れ、ワンダーウーマンと古代ギリシャの儀式「ヒケテイア」を交わすことになる。 この儀式により、ワンダーウーマンはダニエルを守る使命を帯びることになるが、彼女は殺人の罪を抱えていた……。 
グレッグ・ルッカが紡ぐ、ワンダーウーマンの悲劇が今、幕を開ける……。

こちらは今月4月発売の新刊!
何度もご紹介していますので、楽しみにしてくださっている方も多いのではと思います……!

本国で発売されたのは少し前になりますが、アーティスト、グレッグ・ルッカが手掛けた初めてのワンダーウーマンの物語。何度見ても表紙のインパクトがすごい!
ぜひお手にとってみてください。

※内容についての記事はこちら

▐ キュートなヴィラン、ハーレイ・クイン


映画『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』の公開が記憶に新しい、悪カワなヴィラン、ハーレイ・クイン!

元精神科医であった彼女は、アーカム・アサイラムでジョーカーに接するうちに彼の魅力に取り憑かれ、ヴィランにその身を落としてしまいます。

ハンマーを持ち、持ち前の運動神経を生かして戦う彼女はまさに天真爛漫!
ヴィランなのにどこか憎めない彼女のファンも多いはず!

そんな彼女の魅力を楽しめるコミックはこちら。

■バットマン:マッドラブ 完全版




先日もご紹介したので迷いましたが……ハーレイを語るならこの一冊は外せない……!
内容は詳しく説明している記事がありますので、ぜひそちらをご覧ください。恋するかわいくてキュートなハーレイを楽しめますよ!

※内容についての記事はこちら

■『バットマン:ダーク・プリンス・チャーミング』



かつてバットマンが関係を持った女性に連れられ、彼の家を訪れた少女アリーニ。 宿敵であるジョーカーを彷彿とさせるその少女を、バットマンは娘と認めず追い返してしまう。 しかしその後、少女はジョーカーに誘拐されてしまい… バットマンとアリーニは本当に親子なのか、何故アリーニはジョーカーに似ているのか。 謎の少女、アリーニを中心にバットマンとジョーカーが対決する!

こちらはフランスのバンド・デシネ作家エンリコ・マリーニが描く物語。
主役はバットマンとジョーカーのため、ハーレイ・クインがメインの物語ではありませんが……。エンリコ・マリーニの描くハーレイがとてもかわいいのです。


不機嫌顔のハーレイ。普段の雰囲気とはすこし違いますよね。かわいい。

※『バットマン:ダーク・プリンス・チャーミング』についての紹介はこちら

ハーレイは登場する作品やアーティストの方によってビジュアルがよく変わりますが、みなさんはどのハーレイが好きですか?

ファッションやメイクの違いを楽しむ……。
そういった視点で読んでみるとおもしろいかもしれませんね!

 ■『ハーレイ・クイン:ブレイキング・ガラス(仮)』



20206月発売予定のこちらは、なんと15歳のハーレイが主役!
DCユニバース正史の展開とは異なる設定が見どころの新シリーズです!

※新シリーズについての詳しい記事はこちら

ティーンネイジャーであるハーレイ・クイン(ハーリーン・クインゼル)が、世の不条理と真っ向から向き合い、自分の正義を貫く青春物語!

ジョーカーももちろん登場します!
正史とは異なるふたりの関係が楽しめますよ。 

ハーレイはヴィランとしてカテゴライズされるキャラクターですが、純粋な「悪役」いうよりは、自分の「正義」を貫くキャラクターだなと感じます(やっていることは悪役ですが……)。

大好きなプリンちゃん(ジョーカー)のため。
友達であるポイズン・アイビーのため。
そして何よりも自分のため。

そんなまっすぐでかわいいハーレイの活躍をぜひ楽しんでいただきたいです!

▐ ハーレイとの関係も魅力的。ポイズン・アイビー


クールでセクシーな環境テロリストのポイズン・アイビー。
ハーレイの親友としてもたびたび登場します。

ポイズン・アイビーをメインにしたコミックは少ないですが、そんな彼女の活躍(?)を見ることができる直近のオススメ作品はこちら。

■『バットマン:ブライド・オア・バーグラー?



バットマンとキャットウーマンの婚約が世界を揺るがしてから間もなく。かつて交わした約束を果たして地球を守るため、バットマンはワンダーウーマンとともに別世界で戦うことになる。しかし、そこでは時間の流れが異なり、地球で1時間たつあいだに、何年もの月日が過ぎていく。世界の運命を左右する終わりなき孤独な戦い。

その最中で、バットマンはキャットウーマンへの愛を貫けるのか…。危険な試練はそれだけでは終わらない。ポイズン・アイビーが世界を乗っ取り、バットマンとキャットウーマンだけが世界から孤立してしまう。

ジャスティス・リーグすら彼女の手に落ち、敵として襲い来る中で、二人はアイビーの野望の芽を摘むことができるのか?歴史に残るであろう世紀の婚礼までに、愛し合う二人が乗り越えるべき試練は未だ尽きない…。

こちらはアメコミを代表する有名ライタートム・キングによるバットマンシリーズ。
ポイズン・アイビーは環境テロリストとして、バットマンを追い詰めます。


ミステリアスな印象のポイズン・アイビー。いかにもヴィランという雰囲気です。
どんな手を使ってバットマンと戦うのか……。ぜひコミックで見てください!

■『ヒーローズ・イン・クライシス』



日頃より戦いの世界に生きるヒーロー達の心をケアする施設『サンクチュアリ』。スーパーマン、バットマン、ワンダーウーマンによって設立されたこの施設で殺人事件が起きた。容疑者は皆殺しの現場で唯一生き残った2人、ブースター・ゴールドとハーレイ・クイン。スーパーマン率いるヒーロー達は犯人を見つけることができるのか?

ひとつ前でご紹介した『バットマン:ブライド・オア・バーグラー?』を楽しんだ後は、『ヒーローズ・イン・クライシス』がオススメ!

ハーレイと一緒にヒーローの療養施設「サンクチュアリ」に入所したポイズン・アイビーは、そこで起きた事件に巻き込まれてしまいます。

メインで活躍するのはハーレイですが、ハーレイといえばアイビー、アイビーといえばハーレイというように……(?)切っても切り離せない、親友同士であるふたりの関係性が楽しめます。

▐ 魅力的なキャラクターに注目!


上記でご紹介したキャラクターのほか、さまざまな女性キャラクターが登場するDCコミック。ぜひお気に入りのキャラクターを見つけてみてくださいね!

今週はこのあたりで。
それでは!

(文責:松本)
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2020年4月14日火曜日

『ワンダーウーマン:ヒケテイア』 ヒケテイアってそもそもなんだ?


アメコミ魂をご覧の皆さま、こんにちは。

最近はあまり外出できない日々が続いていますね。
テレワークとなり、家にいながらオンライン会議などもするようになったのですが、この時はなんとなくバーチャルyoutuber感を味わえて楽しい気がしています。「はいどうもー! バーチャルyoutuberの~」って言いたくなりますね。僕だけでしょうか。


さて、今回は来週木曜日に刊行となる『ワンダーウーマン:ヒケテイア』を改めてご紹介できればと思います。

▲『ワンダーウーマン:ヒケテイア』書影

見るたびにすごいアートだなぁと思わされますね……。
この作品は2002年に発表された作品となり、最近の邦訳刊行の中では少し昔のタイトルになります。映画『ワンダーウーマン 1984』の公開にあわせて、ワンダーウーマンの名作を楽しんでいただければと思い、今回刊行を決めたこのタイトル。残念ながら映画公開は延期となってしまいましたが、ワンダーウーマン誌の中でも是非読んで頂きたい、編集部おすすめのタイトルです。

▐ ヒケテイアとは一体何なのか?? 


あらすじに関しては以前の「4月以降のアメコミ刊行ラインナップをご紹介!」にて触れましたが、改めてこちらにも記載します。


自らの故郷「セミッシラ」より外界に出てきたワンダーウーマンは、
自分の知る世界とこの世界の違いに慣れ始めたところであった。
そんな彼女の元に、突如ダニエルという女性が助けを求めに現れ、
ワンダーウーマンと古代ギリシアの儀式「ヒケテイア」を交わすことになる。
この儀式により、ワンダーウーマンはダニエルを守る使命を帯びることになるが、
彼女はとある理由から殺人の罪を抱えていた……。
グレッグ・ルッカが紡ぐ、ワンダーウーマンの悲劇が今、幕を開ける……。




ここで気になるのはタイトルにもなっている「ヒケテイア」という単語。皆さんはご存知でしたでしょうか。僕は初めて目にする単語だったのですが、このヒケテイアというのは、古代ギリシアで実際に行われていたとされる嘆願儀礼のことだそうです。


アメコミ初心者の方は「なぜ古代ギリシア?」と思われる方もいるかもしれません。その理由はワンダーウーマンの生い立ちにあります。彼女はギリシア神話でお馴染みのオリンポスの神々によって生み出されたという経緯があるキャラクターなのです。(ワンダーウーマンとは何者だ?という記事も読んでみて下さいね)。急にヒケテイア? 古代ギリシア??? となった方も、このワンダーウーマンの生い立ちに触れると納得がいくのではないでしょうか。


さて、このヒケテイアは他に取るべき手段を持たない者が、自分より大きな力を持つ者の膝にすがり、あごに触れることで援助や保護を乞うというもの、だそうです。
実際に本書の中で描かれる、ダニエルがワンダーウーマンに行うヒケテイアの儀礼を見てみると、かなり忠実に描かれているのが見て取れるのではないでしょうか。

▲左ページで膝にすがる様子、右ページ1コマ目であごのあたりに手を触れていますね。

そして、この儀礼をおこなった者は嘆願者を守るゼウスの庇護下におかれ、嘆願者に被害を加えるようなことがあれば、神からの報復を受けることになる……というのがヒケテイアです。つまり、この儀礼を受けたワンダーウーマンは何があってもダニエルを守らなくてはいけなくなってしまったのです。この儀礼により、ワンダーウーマンはゴッサムシティで殺人を犯したダニエルを追ってきたバットマンと対立することとなってしまいます。


▲バットマンとワンダーウーマンの争い

そして、庇護者であるワンダーウーマンを監視する神々の影も……。エリニュスと呼ばれるヒケテイアの儀礼をつかさどる3人の女神が、儀礼が果たされるかどうか、ワンダーウーマンと嘆願者の運命を監視しているのです。


▲ワンダーウーマンに警告をするエリニュス

儀礼を守らねばならないワンダーウーマン、犯罪との闘いに身をささげるバットマン、とある理由から殺人を犯したダニエル、そして神々……それぞれの持つ正義が複雑に絡み合い、やがて悲劇的な最後を迎えることになってしまうワンダーウーマンの物語。是非お手に取ってみてくださいね。



それでは、今回のアメコミ魂はここまでです。
次回の更新もお楽しみに。


(文責:比嘉)
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2020年4月7日火曜日

邦訳アメコミってどうやって作るの?アメコミ編集の内容を公開!


アメコミ魂をご覧のみなさま、こんにちは。

毎日さまざまなニュースが飛び交っていますが、いかがお過ごしでしょうか?
私もテレワークになり、おうちで過ごす時間が増えてきました。

ストレスがたまりふさぎ込むことも多い毎日ですが、そんなときこそおうちで楽しめる娯楽が欲しいですよね……!

好きな映画を見たり、ゲームをしたり、音楽を聴いたり、マンガを読んだり……!
ShoProBOOKSで出版しているアメコミが、みなさまの気分を切り替えるための手助けになれば嬉しいです。

さて、本日のアメコミ魂はちょっと趣向を変えたテーマでお届けします!

▐ アメコミってどうやって作るの?


みなさまにお届けしているアメコミ。
どうやって作られているのかご存知でしょうか?

今回は、そんな知られざる(?)アメコミの作り方をご紹介してみます!

【1】タイトル決め

みなさまから頂いたご意見や、本国で盛り上がっているタイトル、社内の意見を取り入れて、邦訳するタイトル、発売日を決めます。
実際原書を手にとって見ることも多いので、編集部には「本棚の底が抜けるんじゃないか……」と思うくらいの原書があります!

▲編集部にある原書の一部。
(ぜひみなさまに本棚をお見せしたいのですが、先日編集部はフロアの引っ越しを行ったため
整理整頓が追いついておらず……断念いたしました……(笑))


【2】翻訳依頼

タイトルが決まったら、刊行計画にそって翻訳者の方に依頼をします。
アメコミに封入している「解説書」も翻訳者の方に執筆していただきます。

【3】原稿チェック&原稿入稿

原稿が届いたら内容をチェックします。
誤字脱字がないか、言い回しは自然かどうか、表記のゆれはないかなど……。

原稿チェックをしたら、本文の指定をして、原稿をデザイナーさんに送ります。
いよいよアメコミが形になります!

※セリフをどのフキダシやコマに当てはめるかデザイナーに指示をすること。

▲こちらが指定の指示を入れた原稿。

原作の雰囲気を大切にするため、キャラクターや場面に合ったフォントを選び、デザイナーさんの意見も取り入れながら決めていきます。

ヴィランのセリフは怖さを出すためどろどろとしたフォントにしたり、
放送音や機械音はガサガサとした雰囲気のフォントにしたり……。

もともとフキダシの大きさがほぼ決まっているアメコミ。限られた文字数で、どうキャラクターの特徴や心情、場の雰囲気を表現するかがポイントです!

【4】初校チェック&デザインチェック

原稿入稿後、初校をチェックします。
文字の指定間違いはないか、誤字脱字がないか、読みづらさはないか……。
読者の目線に立って、原稿をイチから読み直します。

テキストでいただいた原稿が実際マンガになる瞬間は、何度立ち会っても感慨深いものがありますね! 編集をしていてこの瞬間がとても好きだな~と、ひしひしと感じます。

また、原稿と並行して、カバーや帯などをデザイナーさんに依頼します。

「どんな言葉を使えば読者の興味を引けるだろう?」
「内容をわかりやすく伝えるには?」

そんなことを考えつつ、帯や表紙のラフ、テキストを作成します。

【5】入稿&色校チェック

初校とカバー、帯などのデザインが完成したら、いよいよ印刷所に入稿です!

入稿後、印刷所から色校が届くので、デザイナーと一緒に確認します。

※イメージ通りに印刷できているのか確認する印刷物。

▲こちらは2019年に発売した『バットマン:ヨーロッパ』の色校。
(おかげさまで重版も決まり、人気のタイトルとなりました。ありがとうございます!)

ここでテキストを修正したり、デザインを微調整したりして、最終段階に入ります。

【6】校了

色校を印刷に戻し、修正を反映させれば校了です! おつかれさまでした!

※確認を終えて、編集完了とすること。

また、校了までの作業として、配布する特典を決めたり、SNSで告知をしたり……。
みなさまに情報をお届けするための販促についても考えます。


▲こちらは過去に制作した特典やPOPの数々。
店頭でご覧になった方もいらっしゃるのでは?

このような工程を経て、書店に並びます!

▐ 責任はあるけど楽しいアメコミ編集

アメコミの編集は海外ですでに発売されたものを日本のファンの方に届ける、ある種の責任が伴うお仕事です。原書の雰囲気も大切にしつつ、日本のファンの方はどうしたら喜んでいただけるのか? どういったタイトルが好きなのか? そういったことを常日頃考えながら作業に励んでおります。

「こうしてほしい!」「このタイトルを邦訳してほしい!」「こんな特典だと嬉しい!」

そんなご意見や感想などは、どんどんいただけると嬉しいです!
すべてを反映させるのは難しいかもしれませんが、みなさまのお声は目を通しておりますので、ぜひぜひお待ちしております!

それでは次回のアメコミ魂もお楽しみに。
たいへんな日々が続きますが、お体お気をつけてくださいね!

(文責:松本)
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