2017年10月24日火曜日

リバース版スーサイド・スクワッド、突撃!



「アメコミ魂」をご覧のみなさま、こんにちは!

今年8月の『DCユニバース:リバース』から始まった邦訳版DCリバース・シリーズですが、待望のリバース版「スーサイド・スクワッド」シリーズの一巻目として、『スーサイド・スクワッド:ブラック・ヴォールト』が今月11日に刊行されました。

ロブ・ウィリアムズ[作]
ジム・リー[画]
定価:本体2,300円+税
●好評発売中●

小社はこれまで、「ワンダーウーマン」「スーパーマン」「バットマン」「ハーレイ・クイン」「ジャスティス・リーグ」とDC人気キャラクターのリバース・シリーズを刊行してきましたが、6番目のシリーズとなるのが、昨年映画も大ヒットした「スーサイド・スクワッド」です。

本国アメリカでは2016年6月にリバース・シリーズが始まりましたが、ファンの評判も高く売上的にも成功を収めているようです。本コラム執筆時のCOMIXOLOGY売上ランキングをみても、DCリバース・シリーズがトップ10に6冊もランクインするなど大変好調となっており、ますます目が離せません。


DCコミックスを代表するアーティスト、ジム・リーが描くスーサイド・スクワッド


本作の特徴は何といっても、ジム・リーが作画を担当していることでしょう。
ジム・リーといえば、DCコミックスの共同発行人にしてアメコミ界を代表するトップ・アーティストの一人です。
個人的にも、グレッグ・カプロと並んで一番好きな絵師さんでもあります。


↑「DCコミック」の伝説的アーティスト! ジム・リー氏の超絶テクニック

彼が作画を担当することをみても、DCが『スーサイド・スクワッド』をいかに重要なタイトルと捉えているかが分かります。
実際彼がレギュラーシリーズ本編の作画を担当するのは、2011-2012年の『ジャスティス・リーグ:誕生』『ジャスティス・リーグ:魔性の旅路』(共に小社刊)、2013-2015年の『スーパーマン:アンチェインド』以来となります。

ところでご存じのように、アメリカのコミック制作工程は日本と違い、下描きはペンシラー(PENCILER)、線画はインカー(INKER)、着色はカラリスト(COLORIST)と分業体制です。
ジム・リーは主にペンシラー担当ですが、本書では、そのジム・リーの手による貴重なペンシル原画が巻末18ページにわたって惜しげもなく掲載されているのも必見です。


この原画を見ると、下描きにありがちな躊躇い線(被写体のフォルムを掴むための仮線)がほぼありません。描き始める前にイメージが頭の中で完璧に出来上がっていて、鉛筆を紙に付けたらイッキに描き上げたからだと思います。
そういえば、だいぶ昔の映画になりますが『アマデウス』(1984年製作)で、主人公の音楽家モーツァルトが、楽譜を書き始めるときに頭の中で完璧に曲が完成している、というシーンがありました。
音楽と絵ではジャンルは違いますが、イメージ力というのは天才に共通した特徴なんでしょうね。


映画『スーサイド・スクワッド』で活躍したあのキャラクター達が登場


本作のもう一つの特徴は、ニュー52シリーズからキャラクターが一部入れ替わり、2016年映画『スーサイド・スクワッド』を強く意識したメンバー構成になったことです。

映画でもダブル主人公的な位置づけだったデッドショットとハーレイ・クイン。

デッドショットは世界トップクラスの射撃の名手です。

ハーレイ・クインは元精神科医で、愛すべきクレイジーな女性。ジョーカーの元恋人。本作ではキュートなお団子ヘアを披露してます。

↑映画でも異彩を放っていた怪力ワニ男のキラー・クロック。今回、彼が乗り物酔いしやすい体質であることが判明します。

↑事ある毎にデッドショットに反目するキャプテン・ブーメランは、特殊なブーメランの達人。冒頭「リバース」のエピソードでは、見事な人非人、外道っぷりを発揮してます。

↑邪悪な古代の魔女に取り憑かれたエンチャントレスは、本書ではスーサイド・スクワッドの一員として戦います。映画と違い、素のときの職業はフリーランスのデザイナーです。(フリーランスのデザイナーがどうして古代の魔女に取り憑かれたのか、気になります…)

↑妖刀を操る日本人女性カタナは、映画同様チームの副指揮官で、彼らの監視役です。カタナのカッコよさは異常です。

↑そして映画と同じく現場でチームを指揮するのは、アマンダの部下でエリート軍人のリック・フラッグ。暴走しがちなメンバーをまとめるお父さん役といったところです。

↑最後に、スーサイド・スクワッドの責任者であるアマンダ・ウォラーは、映画同様に少し肥った女性として描かれてます。


本編「ブラック・ヴォールト」の紹介、そしてRAMONES


本書はまず、失意に引き籠る大佐リック・フラッグの"再生(リバース)"を描く短編「リバース」で幕を開け、続いて全4章からなる本編「ブラック・ヴォールト」になだれ込みます。
本編の内容を簡単にご紹介します。

▼▼▼ THE BLACK VAULT ▼▼▼ 
スーサイド・スクワッドに課せられた今度のミッションは、"ブラック・ヴォールト"と呼ばれる強力な武器を敵の手から奪うこと。
場所はロシアの北極海の一部、ラプテフ海にある深海の極秘刑務所。
タスクフォースXの本部があるベル・レープ刑務所を出た彼らは、常軌を逸した方法でその場所に潜入する。
そこに現れたのが、あのスーパーヒーローと同じ星で生まれた最強のヴィランだった!
しかも、"ロシア版スーサイド・スクワッド"と呼ぶべき最悪なチームまで現れる!?
さすがの"本家"スーサイド・スクワッドも苦戦必至の中、戦いの序盤で貴重な仲間の一人を失うことに…。
▲▲▲ THE BLACK VAULT ▲▲▲

ライターのロブ・ウィリアムズの書くストーリーは予想外の出来事が次々におこり、読者を飽きさせません。
ちなみに各章のサブタイトルは、アメリカのパンク・ロックバンド「ラモーンズ」の曲名からとられています。

第1章「I Wanna Be Sedated」(鎮痛剤を欲する者)は、1978年発表の楽曲です。


第2章「Blitzkrieg Bop」(電光石火の一撃)は、1976年発表。

あ、コレなんか聴いたことあります。ラモーンズのデビュー曲だそうです。

第3章「Bad Brain」(バッド・ブレイン)は、1978年発表。


第4章「Beat on the Brat」(ガキを叩きのめせ)は、1976年発表曲。


本書を読む際のBGMにいかがでしょうか。


デッドショット、ブーメラン、カタナ、ハーレイ・クインの読み切り短編と、豊富なバリアント・カバー集


本書では本編とは別に、「タスクフォースX 人事ファイル」と銘打った興味深い4つの短編集が同時収録されてます。
デッドショットブーメランカタナのタスクフォースX入隊の経緯を描いたオリジン、そしてハーレイ・クインのタスクフォースXでの初任務を描いた読み切り短編です。
これらの短編は、スーサイド・スクワッドを初めて読む読者が、彼らを理解するのに大いに助けになることでしょう。各8ページずつの短編とはいえ大いに読み応えがあります。

また23ページにわたる多彩なバリアント・カバー集もファンにとっては嬉しいところ。
これらのカバーの存在は、やはりシリーズ一巻目ということでDCコミックスが販促に力を入れた結果でしょう。そのほとんどが"リバース"版ハーレイ・クインを題材に描かれたおり、単行本の記念すべき第一巻をまとめるにあたり貴重な素材として再掲載されてます。



ハーレイ・クイン(ニュー52)全巻セット販売


最後に告知を一つ。
スーサイド・スクワッドの人気キャラであるハーレイ・クイン。彼女のニュー52シリーズ単独誌全巻セットを、ここでしか手に入らないオリジナル特典付きで販売します。

⇒販売サイト:ShoPro Books SOTRE

販売開始は10月30日(月)から。
オリジナル特典は、アマンダ・コナー作画のハーレイ・クイン複製原画です。
さらに追加特典として、『ハーレイ・クイン:ブラック・ホワイト&レッド』書店販促用A3ポスター(非売品・折り目なし)を先着20名様にプレゼントします。


スーサイド・スクワッドを読んでハーレイが気になった方、ニュー52シリーズ単独誌もハーレイ・クインの魅力満載の内容となっており、ハーレイをさらに好きになること間違いありません。この機会に限定特典付きセットをお見逃しなく!


今週のアメコミ魂はこの辺りで締めさせて頂きます。最後までお読み頂きありがとうございました。それでは来週またお会いしましょう!

(文責:小出)


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