2018年6月26日火曜日

マーベル1キュートな生き物、デッドプール・ザ・ダック爆誕!

アメコミ魂をご覧の皆さま、こんにちは!
今日ご紹介するコミックは、巷で「何これ、超かわいい♥」と評判の『デッドプール・ザ・ダック』です。

いまやマーベルきっての人気者「デッドプール」と、マーベル1悩み多き「ハワード・ザ・ダック」のクロスオーバー作品(?)といえば、旦那さん、こりゃ見逃すわけにはいきませんぜ。

スチュアート・ムーア[作]
ヤコポ・カマーニ[画]
定価:本体2,000円+税
●2018年06月20日頃発売●

この作品は、アメリカで2017年1月から3月にかけて発売されたコミックの邦訳版で、作家はスチュアート・ムーア(作)とヤコポ・カマーニ(画)のコンビとなってます。

スチュアート・ムーアは、1996年にDCコミックス/バーティゴの編集者としてアイズナー賞を受賞し、作家としても『シビル・ウォー』の小説版を執筆するなど幅広く活躍する作家さんです。
一方のヤコポ・カパーニといえば、小社刊『ホークアイvs.デッドプール』の作画を担当していたのでお馴染みの読者さんもいらっしゃることでしょう。

物語の設定としては、2016年にはじまった「オールニュー・オールディファレント」シリーズ真っただ中で、デッドプールがアベンジャーズの一員となり、またスパイダーマンとも人気デュオを形成、さらには自分のチーム「マークス・フォー・マネー」を切り盛りして…と大活躍している頃のお話です。

そんな引っ張りだこのデップーさんが、片やハワードと合体してたなんて、いつの間に!?という感じです。

おっと、思わず口を滑らせてしまいましたが、そう、本書最大の見どころは、デッドプールとハワード・ザ・ダックが合体♥しちゃうことなんです。

合体といっても、違うことを想像した方はごめんさない。そっちじゃないんです。
…といっても、カバー表紙を見れば、誤解しないですね^^;
はい、文字通り二人の肉体が一つになっちゃうんです。

さあ、一体全体なんでそんなことになってしまったのか、見てみましょう。


ハワードさん、マジ半端ないっす


お話は、デッドプールがシールド・エージェントのメアリー捜査官から「とある名の知れた異星人」の捕獲を頼まれるところからスタートします。

メアリー捜査官は本書が初登場の人物ですが、それもそのはず、これまでシールドの受付担当で現場に縁がなかったからだそうです。
見た目もキャラもごくごくフツーですが、本書で彼女はなかなか良い味を出してるので要注目です。

さてページをめくると場面は一転、ハードボイルドな風貌の割にシニカルでペシミスティックなアヒル、ハワード・ザ・ダックの登場です。

「この世界のどんづまりで、俺は何やってんだ」と、世の男性が共感しそうな渋いセリフとともに登場するハワード・ザ・ダックは、この物語のもう一人の主人公です。

…はい、確かに彼は主人公…のはずです。

ですが、「どこに行こうと自分は脇役にすぎないんじゃないか」「だったら主役は誰だ」と、やたら自分が主人公かどうかに拘ります。この拘りは何でしょう?

続けて、「映画に出ても、興行収入や批評家受けがバッチリな奴なんて、…嫌いだ」と意味深なセリフ。

そうです、ハワード・ザ・ダックといえば、"映画史上最大の失敗作"と名高い(?)1986年映画『ハワード・ザ・ダック/暗黒魔王の陰謀』に触れないわけにはいかないでしょう。

あのSWシリーズやインディ・ジョーンズを手掛けたジョージ・ルーカス監督が製作総指揮をとったにも関わらず、最低の映画を選ぶゴールデンラズベリー賞(ラジー賞)で最低作品賞・最低脚本賞・最低視覚効果賞・最低新人俳優賞(アヒルの着ぐるみを着て奮闘した6人の諸君)の4部門を見事受賞。当時、世の話題をかっさらた映画の主人公が、我らがハワード・ザ・ダックなんです。

…副題含めたタイトルだけ見てもB級映画感が「半端ないって!」て感じがします。
(検索エンジン対策で、流行語を入れてみました。)

お客さんのレビューを見ても、「ちゃちい特撮、ぬいぐるみ丸出しのダックの作り」「この主人公、可愛くない、むしろキモい」と散々な評判だったみたいです。

ハワードのガールフレンド、ビバリー・スウィッツラーの友人フィル役を演じたティム・ロビンスは、試写の最中に「嫌な汗が出てきた」と語ったほどだそうです。ハワード、まじ半端ないって!

ちなみに、一見不名誉な"ラジー賞4部門受賞"ですが、この賞自体が一種のユーモアで、本当につまらない映画だけじゃなく、出来は素晴らしいがマニアックすぎて一般受けしない作品に与えられることもあるそうです。
例えば、第1回最低主演男優賞を受賞したニール・ダイアモンドは同じ作品(『ジャズ・シンガー』)でラジー賞とゴールデングローブ賞を同時受賞したりしています。

さて、『ハワード・ザ・ダック/暗黒魔王の陰謀』はどっちなんでしょう?

そして、そんなハワード・ザ・ダックを、映画『デッドプール』シリーズが世界中で大ヒットしているデッドプールと共演させるなんて、マーベルもドSですね^^;


まだまだあるぞ、ハワードの痛いエピソード


そんな不憫なハワードですが、さらに詳しく見てみると、物語の中でも外でもトラブルに巻き込まれ、同情せずにはいられないキャラクターなことが分かってきます。

彼の初出は1973年にホラー雑誌『フィアー』#19で、沼地の怪人マンシングを主人公とした物語の「脇役」として登場しました。別の次元から人間の世界にやってきて、早くも次の号で足を滑らせて虚無の彼方に落ちていった……とホントどうでもいいぞんざいな扱われ方ですね、ありがとうございます。

現実世界でも、ディズニー社から「なんかドナルド・ダックにソックリじゃね?」と訴えられたりもしてます。「いやいや、アヒルのキャラ全部がドナルド・ダックに似てるって言われても…」と思ったのですが、1976年刊行の『ハワード・ザ・ダック』#1のカバーイラストを見たら、「そっくり…」と思わずつぶやきました。
ハワードさん、パネェっす…

All Marvel characters and the distinctive likeness(es) thereof are Trademarks & Copyright © 1976 Marvel Characters, Inc. ALL RIGHTS RESERVED.

さらに同時期、キャラクター考案に関わった作家のスティーブ・ガーバーとマーベルの間でハワードの著作権帰属をめぐって裁判になり、最終的にはマーベルに著作権が帰属するということで落ち着きました。

物語の中では、「ハワード=アヒル」ということで"丸焼きにされる"キャラになっていて、今年1月に発売された『デッドプール:トゥー・スーン?』(小社刊)では、夫デッドプールを励まそうとアヒル料理をふるまうためシクラーに丸焼きにされそうになったり、さらに『デッドプール/パニシャー・キルズ・マーベルユニバース』ではデッドプールに丸焼きにされちゃいます。

他にもアメリカ政府によるスーパーヒーロー活動を規制するシビル・ウォーでは、ハワードは超人登録法に従うことを選びますが、いざ登録しようとしたら、ヒーロー(超人)として認識されていなかったというまさかの残念なオチに直面します。

ちなみに、ハワードの主な能力はカンフーならぬクワック・フーを嗜むことです。その実力は、ハワードよりはるかに大きい相手にも対等に渡り合えるほど強いそう。

さらに多少の魔術も使え、かつてドクター・ストレンジからいくつかの呪文を教わり、さらに本格的なトレーニングの申し出も受けたことがありますが、断ったそうです。


楽しい掛け合いとキュートなキャラのオンパレード


……と、知れば知るほど興味深いハワード・ザ・ダックのキャラクターですが、『デッドプール・ザ・ダック』の紹介から大分話が逸れてしまいましたね、失礼しました。

どこまで話しましたっけ?
「とある名の知れた異星人」を捕まえるって話ですね。

その「名の知れた異星人」とは、ロケット・ラクーンです。

ロケット・ラクーンが「ラビーズ」と呼ばれる宇宙狂犬病にかかってしまい、暴れていたんです。

そして、ハワードの近くでデッドプールがロケット・ラクーンに噛まれたことで、冒頭紹介したデップーとハワードの「合体」が生じたのでした。

このように肉体はかわいく合体しましたが、その肉体に入った精神はデッドプールのものです。ハワードは守護霊獣として常にデッドプール・ザ・ダックの肩のあたりにいて、デッドプール・ザ・ダックの中にいるデッドプール(…ややこしい…)と可笑しな掛け合いを繰り広げます。

一つの体をめぐる、攻撃的でいい加減なデップーと悲観論者のハワードの会話の掛け合いが、本書を楽しむ一番のポイントでしょう。

さらにこの二人に絡むように、個性豊かで楽しいキャラたちが続々登場してきます。
冒頭紹介したメアリー捜査官をはじめ、マーベル・ユニバースでちょいちょい出てくる悪徳企業ロクソン社のバソルト警備長、掃除人ヤコフ、そしてもちろんロケット・ラクーン。

そして最後に黒幕として登場するヴィランが、本書をさらに楽しくキュートなものにしてくれてます。
その正体は、本書を手にしたときの楽しみとして取っておきましょう。

一つだけ予備知識としてご紹介しておくと、このヴィランはハワード・ザ・ダック最大の宿敵で、かなり惚れっぽい性格です。先ほど紹介したハワードのガールフレンドのビバリー・スウィッツラーに一目惚れして、無理やり結婚させた過去もあります。

そんな彼の行動と憎めない性格、その個性的な風貌にひっかけたデッドプール・ザ・ダックの駄洒落を楽しんでいただけたら、本書を紹介した私としても本望でございます。

以上、今週のアメコミ魂はこの辺りで。来週またお会いしましょう。

(文責:小出)

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2018年6月19日火曜日

シリーズ最高傑作『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』本日発売

アメコミ魂をご覧の皆さま、こんにちは!
今月29日にいよいよりSWスピン・オフ作品第2弾『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』が公開になります。

アメリカでは当初期待されていたほどの興行収入をあげられていないなどのネガティブな情報も入ってきていましたが、先週行われたジャパン・プレミアム&レッドカーペットに参加した人のTweetを見てると、「不安を吹き飛ばす内容だった」とかなり絶賛されているようなので安心しました。

個人的には、オールデン・エアエンライクがどんなハン・ソロを演じるのか、「ゲーム・オブ・スローンズ」でドラゴンの母・デナーリスを演じたエミリア・クラークの役回り、そして「結末がビックリらしい」と誰かが言っていたので、その辺りに注目して観たいと思います。

さて、ハン・ソロが待ち遠しいスター・ウォーズですが、SWスピン・オフ第1弾作品にして、いまだファンの間でSW史上最高傑作の呼び声が高いのが『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』です。

そんなローグ・ワンの待望のコミックがいよいよ発売されます!

ジョディ・ハウザー他[作]
エミリオ・レイソー他[画]
定価:本体2,200円+税
●2018年06月20日頃発売●


本日のアメコミ魂では、ローグ・ワンの人気の秘密を改めて考察するとともに、コミック版ならではの見どころをお伝えしたいと思います。


映画ローグ・ワンの魅力


「シリーズ最高傑作」「泣けるスター・ウォーズ」

映画が公開されたとき多くのファンが大絶賛しましたが、なぜあれほどまでにローグ・ワンは多くの人の気持ちを打ったのでしょうか。

SW作品にしてはそこまで派手なスペースバトルがあるわけでもなく、またジェダイとシスの超人的なバトルシーンもありません。

個人的にはローグ・ワンは2017年映画「ダンケルク」に近い、とても淡々とした印象を持ってます。

ルーカスフィルム・ストーリー部門のキリ・ハート氏も、「ローグ・ワンの最初のプロットを見たとき、第二次世界大戦にとても近い雰囲気を感じた」とインタビューで語っています。

二つの映画に共通する要素は何でしょうか。

それは"リアリティ"だと私は思います。

さらにその"リアリティ"の中身は、2つあると思います。

一つは、活躍するのが我々と同じ"普通の人間"であるということです。

確かに、我々一般人にない特殊能力を持ったスーパーヒーロー(ジェダイもそうです)の活躍は見ていてスカッとします。

しかし、人の心を打つのは「普通の人間が英雄的な行動をとったとき」だと思います。
普通の人が何かを犠牲にして頑張る、そこに人は尊さを感じ、感動するのではないでしょうか。

"リアリティ"の二つ目は、「反乱同盟軍はただ"善"ではなく、帝国軍もただ"悪"ではない」という点です。

ローグ・ワンで、ジンを騙して彼女の父であるゲイレン・アーソを殺すのは同盟軍の戦闘機です。
また、ヤヴィン4でローグ・ワンを結成する際にキャシアン・アンドーが語ったように、彼ら同盟軍情報将校達は、スパイ、破壊工作、暗殺など、反乱同盟軍のために数々の汚い仕事に手を染めてきました。

反乱同盟軍といえばレイア姫の持つ高潔なイメージが強いですが、その裏では数々の醜い現実があるのです。

一方帝国軍といえば、皇帝やダース・ベイダー、ターキン総督が持つ冷酷で非人間的な印象が強いです。
しかし本作で描かれた帝国軍兵士は、帝国に反旗を翻したゲイレン・アーソやボディー・ルックはもちろんのこと、帝国のためにデス・スター開発に邁進するオーソン・クレニックも、極めて人間くさい人物として描かれています。

善悪二元論で線引きできるほど世界は単純じゃない。
そんな"リアリティ"が、ローグ・ワンに人が共感する理由だと思います。


映画の魅力を見事に再現したコミック


このような映画の魅力は、コミックでも存分に発揮されてます。

例えば、主人公のジンが同盟軍最高司令部モン・モスマからソウ・ゲレロとの仲介役を頼まれるシーンで、父親が帝国の兵器開発をしていることについてどう思うか尋ねられた際、ジンは「政治的なことなんて考える余裕はなかった」と答えます。

また、ジンの同じ考え方が分かるシーンとして、ソウ・ゲレロから「帝国の旗が銀河全域にはためいてもいいのか?」と聞かれて「旗を見なければいいのよ」とにべもなく答える場面があります。

他のSWシリーズの主人公だったら、ルークにしても、アナキンにしても、レイにしても皆、自分の正義や主義主張を明確に持っていますが、ジンは政治的主張に無頓着です。

しかし、現実の私達の世界を見れば、むしろこちらの方が普通ではないでしょうか。

また、"普通の人"ということでいえば、バリバリの反乱軍情報将校であるキャシアン・アンドーですら同じです。

イードゥーでジンの父親であるゲイレン・アーソを殺そうとしたことをジンに詰られた際に、「いつどこで何をするか、誰もが自分で決められるわけじゃない」と反論します。

他のSWシリーズ、否それに留まらず多くの映画やコミックスやテレビドラマなど全般的に、登場人物は大抵自分の目的(それが善であれ悪であれ)を明確に持っていて、その目的に向けて行動します。

しかしこれも、私達の現実の世界を見ると、自分の目的を明確に持ってそのために行動する(できる)人の方が少数だと思います。

このようなリアルな人間らしい葛藤を抱えているのは帝国軍の人間も同じです。

デス・スターがジェダを破壊し見事テストに合格した際、開発責任者のオーソン・クレニックは「この成功は私の成功だ!あなたのじゃない!」とターキン総督に叫びます。

クレニック長官は自分の目的のためには大勢の命を何とも思わない冷酷で身勝手な人物です。
しかしそんな彼も見方を変えれば、デス・スター計画の現場責任者として、文字どおり自分の命を削って持てる能力と努力の全てを注ぎ込んできたといっても過言ではありません。

そんな彼だからこそ、その功績をターキン総督に横取りされそうになって思わず声をあげずにいられなかったのでしょう。
そこには善も悪もない、極めて人間らしい感情を持った普通の人間だけがいて、分かり易い"悪の権化"がいるわけではありません。


コミック・オリジナルシーン


このように映画の魅力を損なわず見事に再現しているコミック版ローグ・ワンですが、単なる映画のコピーではありません。

コミック版ならではの魅力としてまず、映画には描かれてない重要ないくつかのシーンがコミックには載っています。

例えば、冒頭、映画ではカットされたゲイレン・アーソがボディー・ルックにメッセージを託すシーンが描かれています。

また、イードゥーでボディー・ルックとK-2SOが帝国の貨物船を盗むため走っているシーンがあります。ここでボディー・ルックはK-2SOに「俺たちは同類だ。二人とも帝国の紋章付きだ。」と、二人のアイデンティティを端的に表現した重要なセリフを、象徴的なカットとともに語ります。

また、このやり取りを受けて、スカリフ上空でK-2SOがボディー・ルックに対し「再プログラムがうまくいってるなら、勇敢に戦えるはず」と励ますセリフは、ボディー・ルックだけでなくK-2SO自身にも当てはまる内容になってます。

他にもオリジナルシーンがいくつもあるので、映画と見比べて見ると面白いでしょう。


コミック版の演出


オリジナルシーン以外にも、コミックでは独自の演出が随所に施されていて、単なる映画アダプテーションを超えたコミック媒体ならではの作品として仕上がっています。

エピソードⅣオープニング・クロール

ローグ・ワンは、『スター・ウォーズ/新たなる希望』のたった数行のオープニング・クロールの文章からインスパイアされたという話は有名です。

コミック版ローグ・ワンでは、レイア姫がディスクを受け取った後、ページをめくると1ページまるまるエピソードⅣのオープニング・クロールが描かれて物語が終わってます。

この映画にはない演出で、ローグ・ワンとエピソードⅣが一続きの物語だと実感できます。


生死の問題

前半、ボーディー・ルックの亡命とデス・スター開発という極秘情報をもたらした内通者(ソウ・ゲレロの部下)をキャシアン・アンドーが殺して逃げる際、キャシアンは「まさに生死の問題だ」とつぶやくシーンがあります。

ここはコミックならではの演出が施されたシーンとなっています。

映画では、「内通者殺害」→「ボーディー・ルックの亡命」という順序になっていましたが、コミックでは「ボーディー・ルックの亡命」→「内通者殺害」と入れ替わってます。確かにこの流れの方が、時系列どおりで分かりやすいです。
また、ページを見返してみると、ボーディー・ルックがソウ・ゲレロの手下に捕まったシーンで、キャシアン・アンドーに情報をもたらした内通者が後ろの方にいることがはっきり確認できます。

また、キャシアンの「まさに生死の問題だ」というセリフは、投降の際ボーディー・ルックがソウ・ゲレロの手下に言った「これは(同盟軍全体の)生きるか死ぬかの問題だ」というセリフと符号させることで、内通者一人の命の問題と、同盟軍全体の命運がかかった問題を天秤にかけてます。

つまり、同盟軍全体のためなら人一人の命など何とも思わない、ということです。

このシーン(内通者を殺してキャシアンが壁を登って逃げるシーン)ですが、映画と違ってコミックでは、上から俯瞰した構図になっていて、手前のキャシアンは暗い影になっていて、光の当たる地上には、内通者とストームトルーパーが倒れている様子が描かれてます。

ここでコミック作家陣のジョディー・ハウザーとエミリオ・レイソーが示そうとした意図は、自分達の全体利益のためなら味方も敵も等しく殺す同盟軍は、決して善だけの存在ではない、という厳然たるリアリティだと思います。


爆撃に巻き込まれるクレニック長官を描いたコマ割り

イードゥーで、同盟軍の爆撃に巻き込まれクレニック長官が倒れるシーンは、同時にゲイレン・アーソが死ぬ場面でもあります。

ここで、爆撃で火の海となっている過酷な現実のシーンと、クレニック長官から見たゲイレン・アーソとの思い出を回想するシーンが、全く同じ長方形のコマ割りで交互に淡々と描かれます。

このシーン、映画ではゲイレン・アーソの死にスポットが当たっていましたが、コミックではむしろクレニックの心情に視線が向けられています。

面白いのは、映画でゲイレン・アーソから見たクレニックという人物は、自己中心的でゲイレン・アーソの人生を狂わせた悪人でしたが、クレニックから見ると、二人は良き同僚で良きビジネスパートナーだと考えていたことがコミックのこのシーンで分かります。

クレニックにとって、過去の二人は大変良好な関係で幸せな時代として映り、一方現在は、同盟軍の爆撃に巻き込まれ、またこの後すぐ報告のためダース・ベイダーのいるムスタファーへ移動しなければならないという慌ただしい身で、息をつく間もない過酷な状況です。

「なぜこんなことになってしまったのか……」
クレニック長官の悔恨、悲しみがひしひしと伝わってくる、そんな演出がこのコマ割りから感じられます。


ダース・ベイダーの登場シーンは"赤"

コミック独自の演出としてページのカラーリングがあります。基本、見開き単位またはページ単位で同系色でまとめることで、ページをぱっと開いた瞬間ごちゃごちゃした印象を与えず、また色彩の持つイメージ(色彩心理)からそのシーンの雰囲気を読者に伝えます。

例えば同じ宇宙船の船内でも、キャシアン・アンドーの船内は茶色を基調としてどこか温かみがあり(P30-31)、一方ページをめくったP32-33のターキン総督とクレニック長官が乗るスター・デストロイヤーの船内は寒色系を基調とした冷たく機械的な印象を読者に与えます。

そんなカラーリング演出が最大に効いているのがダース・ベイダーの登場シーンです。

ご存じの通り本作でダース・ベイダーの登場シーンは2回あります。ムスタファーでクレニック長官の報告を聞くシーンと、同盟軍の船に乗り込みライトセーバーで無双するラストのシーンです。

この両シーン、どちらも"赤"が基調です。

"赤"が持つ色彩イメージに「危険」「緊張」があります。
ダース・ベイダーの登場シーンを赤くすることで、クレニック長官、または同盟軍兵士から見たダース・ベイダーの圧倒的威圧感が表現されています。


ローグ・ワンにつながる重要短編も収録


本書は、本編『ローグ・ワン』とともに、本編につながる重要な前日譚となる『キャシアン&K-2SOスペシャル』の読み切り作品も同時収録されてます。

こちらは、キャシアン・アンドーとK-2SOの出会いを中心に描いており、ページ数も36Pと大変読み応えのある内容となってます。

K-2SOは「思ったことをすぐに口に出す」「悲観的な状況をパーセンテージで正確に言う」という性格が特徴的で、ローグ・ワンで一躍人気を博したドロイドです。
彼がどうしてこんな性格になったのか、本書でその原因の一端が読み解けます。

また本短編は、ローグ・ワンはもとよりSW全体に関わる重要な設定に少し関わってます。

「デス・スター開発の遅れ」というエピソードは、レジェンズ作品ではたびたび語られた題材です。ルーカス・フィルムのディズニー買収後、これらの設定がカノン(正史)でどう扱われるか不明でしたが、本書ローグ・ワンで、クレニック長官がターキン総督に対し「セキュリティ問題がデス・スターの開発を送らせている」ことに言及していることで、その設定がカノンでも生きていることが分かります。

本短編でキャシアンは、帝国のセキュリティ・プロトコルを入手するために辺境のコロニーズに訪れ、最終的に成功します。(※どのように成功したかは本書を読んで確かめてください。)
ここで語られた「セキュリティ・プロトコルの取得」が、「デス・スター開発の遅れ」の一因となり、ローグ・ワン本編で語られる「デス・スター設計図の奪取」につながり、最終的にエピソードⅣへと発展していくのです。

そう考えると、この短編の重要性が分かります。


……以上、見どころ満載の本書は、映画『ローグ・ワン』を観てない人はもちろん、観た人にも改めて読んでいただきたい作品です。
長文になってしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございました!
今週はこの辺りで。来週もまたお会いしましょう。

(文責:小出)

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2018年6月12日火曜日

日本が世界に放つ!『ニンジャバットマン』の魅力

アメコミ魂をご覧の皆さま、こんにちは。
6月に入ってじめじめした天気が続き、気分もすっかり滅入ってしまいますね。
しかしアメコミファンにとっては、6月は『デッドプール2』(6月1日公開)、『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』(6月29日公開)と痛快な映画が続くので、楽しみにしている方も多いでしょう。

ところで皆さん、6月はもう一本、『ニンジャバットマン』(6月15日公開)という痛快アメコミ映画があるのをお忘れじゃあないですか?

実は私、ワーナーの試写にお邪魔して一足先に拝見させていただいたんですが、いやー最高!あなたたちスゴイよ!という出来映えでした。
一流の職人さん達による、細部まで手の込んだ伝統工芸を心ゆくまで堪能させていただいた、そんな気分です。

今日はそんな『ニンジャバットマン』の魅力を、ワーナーさんの情報解禁ポリシーにしたがって、ネタバレなしにご紹介させていただこうと思います。

BATMAN and all related characters and elements © & ™ DC Comics.
© 2018 Warner Bros. Entertainment All rights reserved.


『ニンジャバットマン』企画のなりたち


そもそも『ニンジャバットマン』を製作したワーナーは、ハリウッドスタジオの中でも各国の文化や特性にあった作品を作ることで定評があります。

そんな中、ワーナーグループ(バットマンの版元であるDCコミックスもその傘下です)のプロパティを使って、日本が世界に誇るアニメーションで表現しようということから本作の企画がスタートしました。

そしてDCキャラクターと日本カルチャーをミックスしたときに、どんな組み合わせが世界中のファンを熱狂させる最高の化学反応を引き起こすか検討する中で、"忍者×バットマン"という、今までありそうでなかった目から鱗のコンセプトが生まれたのです。

この前代未聞の企画を成功させるため、キャラクターデザインに『アフロサムライ』の岡崎能士氏、脚本に『天元突破グレンラガン』の劇団☆新幹線の中島かずき氏、そして映像には『ジョジョの奇妙な冒険』OP映像で世界の度肝を抜いた水﨑淳平監督率いる神風動画という、まさに侍ジャパン!ともいうべきクリエイター陣がここに集結したのです。

日本を代表するアニメクリエイター達がバットマンをどう料理するのか?

日本のみならず世界中のバットマンファンが関心を持つところです。
バットマンといえば、クリストファー・ノーラン監督のダークナイト トリロジーをはじめ「暗い」「重い」といったイメージがどうしてもありますが、本作はエンターテイメント方向に思いっきり舵を切った「奇想天外で」「驚きに満ちた」全く新しいバットマン世界となってます。

もしかしたら「こんなのバットマンじゃねぇ」と思う人もいるかもしれませんが、逆にこれまでのバットマンと同じものを作るのであれば、わざわざ日本のアニメクリエイター陣が手掛ける必要はないともいえるでしょう。

ぜひ頭を空っぽにして劇場に足を運んでいただいたら、この夏一番の痛快エンターテイメントを満喫できると思いますよ!


 ヴィラン達が日本の戦国大名に


本作は、2Dタッチの3Dでほぼ作られていて、2Dの味わいと3Dの奥行き感が絶妙にミックスされ、また細部まで描きこまれた映像のクオリティは必見です。特に、温帯湿潤気候の日本らしい複雑な空の色彩と雲の形が美しいなぁと思いました。

しかし個人的には、それより何より本作の一番の魅力は、設定だと思います。

時は戦国、最強の愉快犯<ジョーカー>による歴史改変を阻止するため、<バットマン>はすべての武器を失い、それでもなお立ち向かう――。

ゴッサムシティのヴィランたちが戦国時代の日本にタイムスリップした。
現代テクノロジーから切り離されたバットマンは、戦国大名となって群雄割拠するヴィランたちの歴史改変を阻止できるのか?
日本と世界の歴史を賭け、時空を超えた壮大な戦が幕を開ける!

この設定だけでも「この映画絶対面白い!」と思ってしまいます。

特に、ヴィラン達が日本の戦国大名になる、というアイデアが面白いと思いました。誰が誰になっているのか簡単に見てみましょう!

■ジョーカー=織田信長
"第六天魔王"と呼ばれ安土城天守にいるジョーカーは、天下統一間近の織田信長という設定になってます。"狂気の道化師"であるジョーカーは、南蛮渡来のマントをはおって時に残忍な行動をとった織田信長と共通するところがありますね。

■ペンギン=武田信玄
甲斐領主であり、"はやきこと鳥の如く"wwと本物のペンギン達を部下にして戦うペンギンは、武田信玄です。ペンギンと武田信玄の共通点は「太っている」「大物感」ぐらいしか思いつきませんが……。

■ポイズン・アイビー=上杉謙信
越後の領主ポイズン・アイビーは上杉謙信です。二人の共通点として、実は「上杉謙信女性説」というのがあります。男性を好み、婦人病を患っていたというのが根拠です。毘沙門天という宗教のために戦争する上杉謙信は今でいう「テロリスト」であり、「エコテロリスト」ポイズン・アイビーと似てるといえば似てますね。

■デスストローク=伊達政宗
隻眼のヒットマンであるデスストロークは、同じく隻眼で、大阪夏の陣で騎馬鉄砲隊で活躍した伊達政宗となってます。作中でデスストロークは、伊達政宗の三日月形の前立ての付いた兜を被ってます。

■ゴリラ・グロッド=豊臣秀吉
両方"サル"だからでしょう。
作中でゴリラ・グロッドは、豊臣秀吉と同じ、日輪が放射状に広がる飾りの付いた兜を被ります。

■トゥーフェイス=石田光成or浅井長政
近江領主トゥーフェイスは、「元検事=インテリ」という点でいえば、優秀な官僚で近江・佐和山城主の石田三成、または「二面性」ということでいえば、織田信長を裏切った近江・小谷城主の浅井長政でしょうか。

……他にも○○が虚無僧に扮してたり、バットケイブが○○だったり、バットマン世界が日本の戦国時代にどう放り込まれてるか、注意して見ていただけたら楽しいと思いますよ!


おすすめ!バットマン・コミックス


最後に、『ニンジャバットマン』を見てバットマンに興味を持った人にお薦めしたい邦訳バットマン・コミックスをご紹介します。

『バットマン:ノーマンズ・ランド』

ペンギン、トゥーフェイス、ジョーカーらヴィラン達が群雄割拠して縄張り争いを繰り広げるという設定が面白かった方には、バットマンを代表する一大巨編『バットマン:ノーマンズ・ランド』がお薦めです。

ボブ・ゲイル他[作]
アレックス・マリーブ他[画]
定価:本体4,200円+税
●好評発売中●

1999年の作品で、無法地帯となったゴッサムシティを舞台にヴィラン達、バットマンとその仲間達、元ゴッサム市警が三つ巴となって血で血を洗う抗争を繰り広げる物語となっていて、これを読めばあなたもバットマン博士になれる!と言えるぐらい読み応えのある作品です。

『バットマン:ノーマンズ・ランド』については、先週の「アメコミ魂」でも詳しく取り上げたので良かったらご覧ください。


『バットマン:キリングジョーク完全版

ジョーカーのサイコパスな魅力に惹かれた方は、ジョーカー誕生譚を描いた『バットマン:キリングジョーク』がお薦めです。

アラン・ムーア[作]
ブライアン・ボランド[画]
定価:本体1,800円+税
●好評発売中●

「ジョーカーは最初からジョーカーだったわけではない。」

ジョーカーの「過去」の悲哀を知ると、「現在」の狂気が物悲しく見えたりもします。

作家陣は、『ウォッチメン』や『Vフォー・ヴェンデッタ』などアメコミ界に数々の金字塔を打ち立てた巨匠アラン・ムーアと、イギリスを代表するコミック・アーティストのブライアン・ボランドのコンビで、1988年に発表された本作はバットマンを代表する作品の一つとなってます。


『バットマン:アイ・アム・ゴッサム』

どうせならバットマンの最新シリーズを読みたいという方には、2016年に発表されたDCリバース版バットマンの第1巻『バットマン:アイ・アム・ゴッサム』がお薦めです。

トム・キング、スコット・スナイダー他[作]
デイビッド・フィンチ、マイク・ジャニン他[画]
定価:本体2,300円+税
●好評発売中●

最近制作されたシリーズなので、先の2作品に比べ絵柄が緻密でコマ割りも動きがあり、全体的に今風な画になっていて読みやすいです。

また、バットマンの魅力の一つといえば、ブルース・ウェインが金に物言わせて揃えた最新テクの数々ですが、『ニンジャバットマン』同様、本作でもバットモービル(自動車)、バットポット(バイク)、バットウィング(飛行機)が緻密な絵柄で登場し楽しませてくれます。


……以上、今週の「アメコミ魂」は6/15公開の『ニンジャバットマン』とバットマン関連コミックスについて書かせていただきました。では来週もお会いしましょう!

(文責:小出)

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2018年6月5日火曜日

『バットマン:ノーマンズ・ランド全巻セット』でアメコミの醍醐味を味わおう!


“人は極限状況においてこそ、その真価を試される。平和な日常において、愛や正義や理想を語るのは簡単である。
けれど、日常の仮面が剥がれ落ち非日常へと変貌した時、人はどんな理想を語り、どんな行動をとるのか?

「ノーマンズ・ランド」は人間という存在の本質を我々に問いかけるドラマでもあるのだ。” ~『バットマン:ノーマンズ・ランド3』解説より抜粋(高木 亮)

「アメコミ魂」をご覧の皆さま、こんにちは!
新刊発売のない今週は、いつものアメコミ魂と趣向を変えて、ShoPro Books公式通販で販売している、『バットマン:ノーマンズ・ランド全巻セット』の魅力をまとめた記事(前編)をお届けします。


ところで、ShoPro Booksの通販サイト『ShoPro Books STORE』、皆さまご存じでしょうか?
この通販サイトでは各種アメコミ全巻セットを"ここでしか手に入らない"購入特典付きで販売しておりますが、これまで一番多く売れたセットが『バットマン:ノーマンズ・ランド全巻セット』なんです。
そこで本日はその魅力を深掘りしたいと思います。

(※なお、後編を含む記事全編は、『ShoPro Books STORE』ブログに掲載しております。)

魅力1 総ページ数2000P超!バットマン代表作の一つ


長い歴史を誇るバットマンには、フランク・ミラーの『バットマン: ダークナイト・リターンズ』(1986-87)や『バットマン:イヤーワン』 (1987)、アラン・ムーアの『バットマン:キリングジョーク』(1998)、チャック・ディクソン他の『Batman: Knightfall』(1993)など、名作と呼ばれる作品がいくつかあります。
(※『バットマン: ダークナイト・リターンズ』『バットマン:キリングジョーク』はShoPro Booksから邦訳本が出てますので、機会があればぜひお読みください。)

これ以外にもTHE NEW 52!シリーズなどバットマンには素晴らしいタイトルが数多くあり、正直どれから読んでいいか迷うところですが、グレッグ・ルッカらが手掛けたこの『ノーマンズ・ランド』もバットマン史を語る上で絶対に外せない一大巨編と言えるでしょう。

その概略を簡単に説明すると、『ノーマンズ・ランド』は複数のバットマン関連誌でおこなわれた大型クロスオーバー・イベントで、1999年1月から12月にかけて1年間かけて語られた長大なドラマです。
面白いのは、物語の中の時間軸も1999年の1年間(正確には、ノーマンズ・ランドが始まってから93日目に始まり、1999年12月31日まで)を描いている点ですが、そのほかにも本作はその最初の設定からして読者を惹きつけずにいられない要素が多数あり、思わず「上手いなー」と唸ってしまいます。

……始まりは"クレンチ"という伝染病により数十万のゴッサム市民の命が失われたことでした。続いてマグニチュード7.6の直下型地震が発生し、街は壊滅的被害を受けました。そして最後その息の根を止めたのは、ゴッサムシティに「再建不可能」のレッテルを貼り、ゴッサムとアメリカ本土をつなぐ橋を落とし、物理的にも法律的にもゴッサムをアメリカから切り離したアメリカ政府でした。
そしてライフラインを絶たれた凶悪犯収容施設アーカム・アサイラムで、人道的見地から所長が囚人を街に解き放ったことにより、冒頭述べたような究極の極限状態がゴッサムシティと残った住人に降りかかることとなったのです。

この設定は、名作と名高いクリストファー・ノーラン監督の2012年映画『ダークナイト ライジング』の元ネタになったことから、「本作は読んでないけど、何となく聞いたことあるよ」という方もいらっしゃるでしょう。

そして、無法地帯となったゴッサムをめぐって、アーカムから解放されたヴィランたち、バットマンとその仲間たち、ゴッサム市警の1年に及ぶ熾烈な争いを2000P超にわたって克明に描いたのが『ノーマンズ・ランド』全4巻というわけです。


魅力2 バットマンだけじゃない!主役級の助演キャラクターたち


バットマン作品の魅力は、バットマン以外にも個性豊かで深みのあるキャラクターが多数脇を固めている点にもあります。
ヒーローやサイドキック、ヴィランだけではなく、アルフレッドやゴードン本部長といった普通の人々が主役にもなり得るほど深みのある人物として描かれてます。

これだけ多くの魅力的なキャラクターが出てくる作品は、アメコミの中でもトップクラスなんじゃないでしょうか。

そして『ノーマンズ・ランド』では、そういったバットマンを代表するキャラクターたちがほぼ総出演しており、バットマン大辞典的な書にもなってます。

以下、本書に登場する主要キャラをご紹介します。
彼ら彼女らが極限状態のゴッサムで何を目的に、どのように行動するのか、ぜひ一人一人に注目してみてください。

※太字は、本書またはバットマン史において特に重要と思われるキャラクター。

<バットマンと仲間たち>


バットマン
本名ブルース・ウェイン。ゴッサムシティを守る闇の騎士。

アルフレッド
バットマンの活動を心身ともに支える執事。

ロビン
本名ティム・ドレイク。バットマンの相棒を務める少年。

ナイトウィング
本名ディック・グレイソン。初代ロビン。

アズラエル
聖デュマ騎士団が作り出した聖戦士。『ナイトフォール』事件でブルースが不在の間、バットマンを引き継いでいた。

オラクル
本名バーバラ・ゴードン。ジェームズ・ゴードンの娘。元バットガールで、現在は情報ブローカー。

ハントレス
マフィアのベルティネリ家に生まれたが、両親が殺されたことで、暗黒街の犯罪者達を憎む自警団員。

バットガール
ノーマンズ・ランドに現れた正体不明のヒロイン。

キャットウーマン
本名セリーナ・カイル。怪盗。

レスリー・トンプキンス
慈善クリニックを営む人道主義者の医師。

<ヴィランたち>


◆ペントリロクイスト&スカーフェイス
凶悪な人形を操る、二重人格の腹話術師。

◆スケアクロウ
自ら開発した幻覚ガスを武器に、各個人特有の恐怖症を発症させる。

◆ペンギン
本名オズワルド・コブルポット。ゴッサムシティの暗黒街を牛耳るフィクサー。

◆トゥーフェイス
本名ハービー・デント。顔の左半分が焼け爛れた犯罪者。かつては優秀な地方検事だった。

◇ブラックマスク
ゴッサムの暗黒街を支配するギャングのボスの一人。

◆ポイズン・アイビー
植物性の毒やフェロモンを作り出し、植物を操る環境テロリスト。

◇ニコラス・スクラッチ
カリスマ的な人気を誇るロック・ミュージシャンであり、50万人の信者を抱える新興宗教の教祖。

◇マッドハッタ―
本名ジャービス・テック。『不思議の国のアリス』のキャラクターをモチーフにした悪人で、催眠術の達人。

◇クレイフェイス
泥状の肉体をした怪人。あらゆる形状に姿かたちを変えられる力を持つ。

◇KGビースト
元KGBでロシア最高の暗殺者。バットマンに捕まりそうになった際、自ら左手首を切り落として逃走した。

◇ロックアップ
悪人を逮捕し私設刑務所に投獄する、自称"正義の味方"。

◇ミス・ホワイト
謎の女性。

◇マクシー・ゼウス
ギャングのボスで、カルト教団の教祖。自分をギリシア神話の神ゼウスの化身と信じる誇大妄想狂。

◆ミスター・フリーズ
本名ビクター・フリーズ。低体温を維持する特殊なスーツに身を包み、あらゆるものを凍らせる冷凍銃で戦う。

◆キラークロック
特殊な皮膚病のため爬虫類のような外見をした怪人。

◆べイン
『ナイトフォール』事件でバットマンの背中を折った男。

◇ギアヘッド
全身のほとんどを機械化したサイボーグ。

◇トミー・マングレス
ゴードン本部長に深い恨みを抱く凶悪な殺人鬼。

◇ラットキャッチャ―
ネズミを操ることができる。

◇リンクス
中国系の殺し屋で、霊龍団の元リーダー。

◆ジョーカー
犯罪界の道化王子。

◆ハーレイ・クイン
ジョーカーの相棒。本書は、1999年10月に初登場したハーレイが"二度目"に登場したコミックスである。

◇ツァスツ
人を殺すたびに自分の体に傷をつけるサイコパス殺人鬼。

◇ゴリラ・グロッド
高度な知性を持った類人猿

◇タリア
バットマンの宿敵ラーズ・アル・グールの娘。

◆レックス・ルーサー
世界で最も優秀な頭脳を持ち、最も有名なヴィランのひとり。

<ゴッサム市警(GCPD)>


◆ジェームズ・ゴードン
本部長。

◇サラ・エッセン
ゴードンの妻。

◇ハービー・ブロック
巡査部長。

◆レニー・モントーヤ
巡査。

◆ウィリアム(ビリー)・ペティット
SWATチームの隊長。

◇マッケンジー・"ハードバック"・ボック
刑事。

◇クラレンス・フォーリー
刑事。


……以上、『バットマン:ノーマンズ・ランド全巻セット』の魅力をまとめた記事(前編)をお届けしました。
後編を含む記事全編は、『ShoPro Books STORE』ブログに掲載してますので、こちらもぜひチェックしていただけたら小躍りして喜びます。
(ソチラのブログで初投稿になります!)

今週はこの辺りで!また来週お会いしましょう。

(文責:小出)

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