2014年12月22日月曜日

先だし情報! 『ミュータント タートルズ大全』とは!?

みなさんこんにちは。

今夜は冬至。1年で一番、太陽が出ている時間の短い日です。しかも今年は新月と重なる19年に1度の「朔旦冬至」だそうですね。さらにまもなく年の瀬。海外では今週から「クリスマス休暇」としてお休みに入るオフィスが多いようです。

……というのも、ShoPro Books刊行物のアメコミやその他いろんな翻訳書に関して、先週末までに確認&回答をいただいたモノが多かったんです。

そんなクリスマス直前のアメコミ魂は、つい先週まで監修確認をお願いしていたShoPro Books 1月の新刊『ミュータント タートルズ大全』アメ魂読者のみなさんへ最速でご紹介します!

▲『ミュータント タートルズ大全』
アンドリュー・ファラゴ[著]
ピーター・レアード[序文]
定価:本体3,900円+税
●2015年1月28日ごろ発売予定●
知っていますか?『ミュータント タートルズ』
1990年代2007年、そして最新の2014年4月、と日本でもテレビアニメが放送されてきた『ミュータント タートルズ』。映画やオリジナルビデオアニメも発売されており、「タートルズ」を知る方は少なくないでしょう
本書の刊行を発表して以来、タートルズファンの方からの大きな期待を感じています。
それぞれにみなさん思い出の「タートルズ」があるのではないでしょうか。

ただ、何年かごとに放送されたアニメシリーズ映画版どのように関連のあるストーリーだったか、また登場するキャラクターの違い、そして世界観...etc、熱心なファンサイトや様々なWEBページを見ても、タートルズ世界の全容を理解することはなかなかに困難でした。

そんなタートルズ世界を1冊にまとめ上げたのが本書『ミュータント タートルズ大全』。原書は2014年に刊行された『Teenage Mutant Ninja Turtles: The Ultimate Visual History』、その邦訳本です。
著者は、サンフランシスコにある美術館「カートゥーン・アート・ミュージアム」でキュレーターを務めるアンドリュー・ファラゴアニメ・コミックに関する様々な媒体への寄稿や、マーベル・コミックスでライターを務めたりと幅広く活躍しています。本書は氏の並々ならぬ情熱を感じる1冊となっています。

1984年、ニューハンプシャー州ドーバーで起こった奇跡の誕生から始まり、アニメ化や商品の大ヒット、そして映画化、とどんどん広がっていった『ミュータント タートルズ』
各年代の代表的なイラストや、熱狂的なブームを作った立役者たちのインタビューなどふんだんに収録され、単なる歴史解説というだけでなく「タートルズ」について第1級の研究資料といっても差し支えないでしょう


自費出版で始まったタートルズ
『ミュータント タートルズ(原題:Teenage Mutant Ninja Turtles)』1984年5月に、アメリカのイベント「ポーツマス・ミニコン」自費出版されたコミックブックから誕生しました。

原作者は、本書の序文を綴っているピーター・レアードケビン・イーストマン。二人は自分たちのオリジナルコミックを作る過程で「タートルズ」を思いつき、そのストーリーをコミックブックにしたのが始まりです。『ミュータント タートルズ』は、デビュー直後から口コミでその人気に火が点き、直販の自費出版コミックブックながら5万部もの事前注文があったとか。日本とアメリカでは書籍の流通システムが異なるので一概に比較はできませんが、同人誌即売会で発表した創作コミックから始まり、二人で直接制作&販売していたと考えると5万部というその数に驚きます。『バットマン』=DCコミックス、『スパイダーマン』=マーベル、というように「出版社が生み出したキャラクター」の多いアメコミ界では、どこの出版社にも所属しないキャラクターが大成功した例はかなり珍しいようです。

本書ではピーター・レアードケビン・イーストマン出会うまでに遡り、二人が始めたコミックブック作りと、偶然の衝動から生まれた「タートルズ」誕生秘話まで迫ります。


キャラクター人気の隆盛凋落を経て
「カワバンガ!」のセリフも大ヒットしたテレビアニメ、3作が製作された映画も大ヒット、と全世界を一世風靡した『ミュータント タートルズ』でしたが、1990年代後半にはタートルズにとって冬の時代がやってきます。立て直しを図るテレビ番組での試行錯誤、ファンの評価が割れた新しいコミックシリーズ、原作者二人の間の不一致……など、この時期の複雑な出来事も本書では触れられています。決して「いいこと」だけを集めた本ではなく、研究資料と呼びたい理由はココでもあります。

原作者、ピーター・レアードによって2000年代の復活を果たした『ミュータント タートルズ』。現在「タートルズ」の権利はニコロデオンに移っていますが、そこに至るまでの経緯や、IDWから展開されるコミック新シリーズについてもその関係者たちの熱い情熱を読むことができます。


31年目に入るタートルズ、最新映画も見逃すな!
2014年は最新のテレビアニメシリーズ『ミュータント タートルズ』が日本でも放送されました。

さらに2015年2月7日(土)には、最新映画『ミュータント・タートルズ』が公開されます。映画『ミュータント・タートルズ』は、『トランスフォーマー』シリーズの監督として有名なマイケル・ベイプロデューサーとして製作“破壊王”の異名を持つマイケル・ベイが、どんな新しいタートルズを魅せてくれるのでしょう!?

本書でも、監督ジョナサン・リーベスマンをはじめ、ヒロイン「エイプリル・オニール」役のミーガン・フォックス、そして何か影のある実業家「エリック・サックス」を演じるウィリアム・フィクトナーなど、映画の重要人物たちがそれぞれの作品に対する想いを語ってます。全米では公開から2週連続での興行収入No.1を獲得、早くも続編の製作が決定しているとも伝えられています。超期待の最新作がまもなく日本上陸です!

映画『ミュータント・タートルズ』公式サイト
http://www.turtles-movie.jp/

いかがでしたか?

いつものコミックレビューとはちょっと趣が異なりますが、本書の魅力をしっかりとお伝えできたでしょうか。『ミュータント タートルズ』をより深く味わいたい方や、「あの時のストーリーはどういう内容?」なんて疑問をずっとお持ちの方には自信を持ってオススメします!

最後にひとつ、お知らせです。

アメリカで刊行された原書は、『ミュータント タートルズ』第1号のコミックブック復刻版、ポスター、当時のファンクラブレターやポストカードなどの付録が同梱もしくはページに貼り付けされていました。邦訳版である本書は、日本のタートルズファンの方により理解を深めていただくための普及版としてできるだけ価格を抑えるため、それらの付録は付属しない仕様とさせていただきました。中でもコミックブックの第1号は『ミュータント タートルズ』の中でも最も重要なエピソードですので、いずれみなさんに読んでいただけるようにできたら……! と強い意志を持っております。

応援いただけましたら幸いです。

 それではまた!


(文責:石割太郎)

2014年12月15日月曜日

バットマン・インコーポレイテッド、新章突入!

みなさん、こんにちは!

『バットマン・インコーポレイテッド:デーモンスターの曙光』の発売が迫ってきました! そう、10月に発売された『バットマン:インコーポレイテッド』に続く、グラント・モリソンによる“バットマン新サーガ”第三部第2巻です。
▲『バットマン・インコーポレイテッド:
デーモンスターの曙光』
グラント・モリソン[作]
クリス・バーナム他[画]
定価:本体2,200円+税
●12月19日頃発売●
第1巻では、“バットマン会社”を設立したブルース・ウェインが世界各国の“バットマン的なヒーロー”を集めて、謎の秘密結社“リバイアサン”と熾烈な戦いを繰り広げました。ゴッサムシティを飛び出して、世界各国はもちろん宇宙電脳空間にまで戦いの舞台を広げた前巻に対して、本書では焦点をぐっと絞って、戦いの中心をゴッサムシティに据え、テーマとしてはブルース・ウェインと息子ダミアン・ウェインの関係が掘り下げられています。

……ということで、今回は『デーモンスターの曙光』の予習代わりに、小社刊行コミックを中心にして、ダミアンのこれまでの歩みを簡単に振り返ってみたいと思います。
『バットマン・アンド・サン』
(新サーガ第一部第1巻)

▲『バットマン・アンド・サン』
定価:本体2,600円+税
●好評発売中●
ダミアン・ウェインは、ブルース・ウェインタリア・アル・グール(バットマンの宿敵ラーズ・アル・グールの娘)のあいだの子供です。初登場は1987の描きおろしグラフィック・ノベル『バットマン:サン・オブ・デーモン』。ですが、その時の彼はまだ生まれたばかりで、名前も付けられていませんでした。しかもその後、ブルースとタリアの子供はいわゆる“黒歴史”として、ほぼ忘れられた存在になってしまったのです。

そんな設定を発掘し、“ダミアン”という名前で蘇らせたのがグラント・モリソン2006『バットマン』誌のメインライターに就任したモリソンは、彼のランの幕開けとなる655でさっそく(まずはシルエットとして)ダミアンを登場させました。つまりダミアンは、モリソンのバットマン新サーガを象徴するキャラクターなのです。
小社より刊行された『バットマン・アンド・サン』には、上記第655号以降のエピソードが収められています。また、本編に加えて冒頭にはグラフィック・ノベル『サン・オブ・デーモン』も収録されて、ダミアンのルーツがまるごとわかる1冊となっています。また、ぜひご注目いただきたいのが巻末を飾る第666(!)号。こちらのエピソードでは、ブルースの死後、ダミアンがバットマンを引き継いだ未来の様子を垣間見ることができます。

こうして登場したダミアン・ウェイン。父親を知らないまま、暗殺者集団“リーグ・オブ・アサシンズ”に育てられた彼は、父親に憧れながらも殺人をいとわず、バットファミリーの闖入者として波乱を巻き起こします。とくに当時ロビンだったティム・ドレイクとの因縁はかなりのもので、クロスオーバー『バットマン:ラーズ・アル・グールの復活』(新サーガ第一部第2巻)で、死から蘇ろうとするラーズの新たな依り代候補として二人一緒に命を狙われたりもしました。

『バットマン:バトル・フォー・ザ・カウル』
▲『バットマン:
バトル・フォー・ザ・カウル』
定価:本体2,000円+税
●好評発売中●
それまで、どちらかというとタリアと行動を共にすることが多かったダミアンですが、ブルース・ウェインの“死亡”を経て、『バトル・フォー・ザ・カウル』が始まる頃にはゴッサムシティでバットファミリーの一角を担うようになります。そして次期バットマンの座を巡る争いが描かれた本書で、ついにダミアンは(なりゆきとはいえ)ロビンの衣装を身にまとったです(以前もそれっぽい衣装を着ていたことはあるのですが)! 本書以降、当時ロビンだったティム・ドレイクは“レッドロビン”になります。

『バットマン&ロビン』(新サーガ第二部第1巻)
▲『バットマン&ロビン』
定価:本体3,800円+税
●好評発売中

本書では、とうとう新ロビンになったダミアンと、新たなバットマンの“新生ダイナミック・デュオ”の活躍が満喫できます。グラント・モリソンいうところの“情け容赦ないロビンと快活なバットマンという逆転した関係性”(モリソン著『スーパーゴッズ』より)は兄弟のようでもあり、ちょっと微笑ましさすら感じさせます。ここまでダミアンの動きを追いかけていると、“あの問題児が、よくぞここまで成長を”……なんて感慨も。邦訳版アメコミでは、なかなか味わえない読書体験ではないかなと思います。

※ちなみに、別次元“エルスワールド”の物語では、ダミアン以前にブルースとタリアの子供が登場したことがあって、名作『キングダム・カム』では、そんなキャラクターの一人である“イブン・アル・ズファッシュ”の姿を見ることができます。

さて、こんな流れを前提に新サーガ第3部が始まったのですが、ここまで触れていなかった事柄が一つ……。じつは、前巻『バットマン:インコーポレイテッド』と本書『バットマン・インコーポレイテッド:デーモンスターの曙光』のあいだには、DCコミックス全体を巻き込んだ一大リランチ“ニュー52が起こっているのです。そのため、『デーモンスターの曙光』ではキャラ設定のいくつかに変更が見られたりします。ですが読み始めると、不思議と違いは気にならず、むしろますます激しさを増すリバイアサンとの戦いに圧倒され、ブルースダミアンという父子の絆に心を揺さぶられ、ページを繰る手が止まらなくなってしまいました。前巻とは一転して舞台を限定し、キャラクターの感情に焦点を当てているからでしょうか(具体的な違いは、翻訳者の高木亮さんが解説してくださっています)
スタート以来、さまざまに趣向を凝らして読者を楽しませてくれたグラント・モリソンの“バットマン新サーガ”、年明けの1月には、最終巻である『バットマン・インコーポレイテッド:ゴッサムの黄昏』が発売される予定です。クライマックスに向けていよいよ盛り上がる物語をどうぞお見逃しなく!

ではでは、今日はこんなところで失礼します。



(文責:中沢俊介)

2014年12月8日月曜日

映画公開を前に「アントマン」を徹底解剖!

「アメコミ魂」読者のみなさま、こんばんは!

今回ご紹介するタイトルは『アントマン:シーズンワン』です!

スパイダーマンやキャプテン・アメリカ、ソー、アイアンマンといったマーベルを代表するスーパーヒーローに比べるとその認知度は少し低いかもしれませんが、このアントマン、なんと来年に映画化が決定しているとのことです!
※原書イメージ
▲『アントマン:シーズンワン』
トム・デファルコ[作]
オラシオ・ドミンゲス[画]
定価:本体2,000円+税
●1月28日頃発売予定●

そこで、今回はこのアントマンに焦点を当てた作品である、『アントマン:シーズンワン』の内容に少しふれながらご紹介したいと思います。

「アメコミ魂」の読者さんはご存知かもしれませんが、あらためて“アントマン”を紹介したいと思います。本名ヘンリー・“ハンク”・ピム、天才科学者。彼が発明した「ピム粒子」によって身体のサイズを自在に変え昆虫を操ることができるパワーを持つヒーローです。

体のサイズを縮小してしまうと、力もそれに伴い弱まってしまうのではないかと思われがちですが、そこは力が強化され、体のサイズを縮小できるという能力になります。また、昆虫を操る方法は彼が着用する、サイバネティック・ヘルメットを通して昆虫と会話ができ、昆虫に命令を下して敵を攻撃させることができます。

そして、なんとハンクアベンジャーズの創立メンバーの一人でもあります!
そんなアントマンの誕生秘話に迫る、本書のあらすじをご紹介します。

妻を殺害され、非難される父を持ち、ライバルからはずかしめられて、安い賃金で働かされる科学者ハンク・ピム――。この男こそが、アベンジャーズのオリジナルメンバーであり、アントマンとして活躍する以前のハンクの姿である……。彼は一体どのようにして、苦悩を乗り越えアントマンという地球上最も強いヒーローの一人として立ち上がったのだろうか?

このように、悲劇に見舞われ、不安定な精神状態のなか、同じく科学者であった亡き妻が残してくれた発明品である、昆虫とコミュニケーションする装置というアイデアをかたちにし、ヒーローとなっていく過程が描かれております。

そして、そんな彼を取り巻く本書の登場人物も簡単にご紹介します。

ウォーレン・ピム
 ハンクの父親で、頑固なガミガミ屋だが、内心ではいつも息子を気にかけている。

エッグヘッド
 天才科学者にして、国際的科学企業エッグヘッド・イノベーションズ社の社長。
 ハンクの発明した「ピム粒子」に注目し、彼を科学者としてエッグヘッド社に招く。

ビリー・フォスター
 若き科学者。エッグヘッド社でハンクの助手として働く気のいい青年。

有能なビリーと実験を繰り返しながら、「ピム粒子」の実用性と妻の発明品をかたちにしていくハンク。そこには、正義感あふれるヒーローの誕生を見ることがきます。

アリとコミュニケーションを取るという能力も、とてもユニークで、羽アリの背中に乗って移動したり、何百という数の大群で襲いかかるという攻撃方法も可能です。
そして、あちこちに生息しているという特徴を利用し、特定の人物を探すときも、そのイメージを近いアリから遠方のアリへと次々に伝達していくことで、容易に行うことができます。
セキュリティが厳しい場所への潜入も、虫の大きさでは遮られることなく進入できます。

このように、アリや昆虫を自由に操れるという能力、実はかなり強力であることが分かります。

また、アントマンというヒーローですが、ハンクは初代であり、アントマンと名乗ったヒーローは二人目として、スコット・ラングがいます。彼は娘の命を救うために、初代からコスチュームを盗み、体のサイズを縮小し、アリを操るという同じ能力で活躍しました。

一時はファンタスティック・フォーに参加しており、その後アベンジャーズに加入しました。彼はチームの主要メンバーではあったものの、精神錯乱状態になったスカーレット・ウイッチが仲間を攻撃した際に、爆発に巻き込まれて死亡してしまいます。

ハンク自身はと言えば、「ピム粒子」を使ってジャイアントマン、イエロージャケット、二代目ワスプなどど改名し複数の名前を名乗り、初代ワスプであるジャネット・バン・ダインと様々な苦難を乗り越えた末、二人は結婚します。しかし、ハンクの不安定な精神状態が原因で、離婚することになります。

自らの発明品をもとに、アントマン以外のさまざまなヒーローとしても活躍するハンク
ぜひ本書をお手に取っていただき、彼のオリジンである、アントマンとしての誕生秘話を目撃してください!

さらに本書の巻末には、メインエピソードに加え『アベンジャーズ・アカデミー』#1も収録されています。

アベンジャーズ・アカデミーとは、アベンジャーズ設立メンバーであるハンク・ピムが、チームの伝統を受け継ぐべく創設した地球最強の次世代チームであります。
ピムはベテラン勢を率いて、明日を担う若者たちを導いて行くというストーリーになっており、様々な能力を持った若者がキャプテン・アメリカやソーに続くヒーローを目指す姿が描かれております。

こちらも、メインストーリーの『シーズンワン』とはまた異なった雰囲気を楽しんでいただければと思います。

『アントマン:シーズンワン』2015年1月28日頃、発売予定です。ただいま絶賛予約受付中!
映画公開より一足先に、この一風変わったスーパーヒーローに注目していきましょう!

それではまた次回に。


(文責:渡辺直経)

2014年12月1日月曜日

最強ラクガキング逆輸入! 寺田克也画集、発売!

こんにちは。

今日から12月です! 「今年もあと364日……」なんて言ってたのはそんなに前な気もしませんが、1年すぎてしまうのは早いですね。

11月刊行のShoPro Booksラインナップ『シン・シティ2』のみ、と少々寂しかったのですが、この12月はアメコミ『バットマン』『スパイダーマン』だけでなくもう1つ、月初から大注目作品が控えています。

「アメコミ魂」の名の通り、アメコミの話題が多いこのブログですが、今回はちょっと嗜好を変えて、アメリカから上陸する画集をご紹介です。そう、今週12月6日(土)ごろShoPro Booksより発売、寺田克也先生の最新画集『DORAGON GIRL & MONKEY KING』です!!

日本のポップカルチャーと世界を繋ぐ

「KATSUYA TERADA」をご存じですか?

寺田克也(てらだかつや)
ゲームキャラクターの3Dポリゴン表現黎明期に、セガ『バーチャファイター』のキャラクターデザインを手がけたことで知られる。ハードボイルドな世界観に根強いファンが多い『探偵 神宮寺三郎シリーズ』(ワークジャム)や、押井守氏製作の映画『BLOOD THE LAST VAMPIRE』(Production I.G)などのキャラクターデザインのほか、月刊「ウルトラジャンプ」にて連載のフルカラーコミック『西遊奇伝 大猿王』(集英社)の作者としても知られている。
自身が“ラクガキ”と呼ぶ創作スタイルから広がるイラスト表現は根強いファンの支持を受けている。その評価は日本国内に留まらず、海外でも人気のアーティストである。本書『DORAGON GIRL & MONKEY KING』で序文を綴っている映画監督 ギレルモ・デル・トロも寺田ファンの1人であり、大ヒットした映画『パシフィック・リム』の日本版ポスターではそのイラストワークに寺田を指名したほどである。
今年11月~12月にかけては、アメリカ・ロサンゼルスで個展『Return of the hot pot girls』を開催。海外でも積極的に活動を行う寺田は、もはや全世界にファンをもつアーティストである。
▲『DORAGON GIRL & MONKEY KING』
寺田克也[著]ギレルモ・デル・トロ[序文]
定価:本体4,000円+税
●12月5日発売予定●
世界を股にかけて活躍している寺田先生、そのスタイルを“ラクガキ”と呼ぶように、思いつくままにイラストを描きその世界観を広げていくことが特徴です。日本で活躍する多数のマンガ家やクリエイターたちと親交があることや、ジャンルを問わず幅広く活躍していることから、コアなファンだけでなく、先生の作品を目にしていることも多いでしょう

そんな寺田作品を楽しむには、これまでに刊行された画集に『寺田克也全部』(講談社)や『ラクガキング』(アスペクト)ほか、多数あります。そして2013年には京都国際マンガミュージアムで企画展『寺田克也ココ10年展』が開催されました。この時に刊行された、図録でありご自身のコメンタリーブックもである『寺田克也ココ10年』(パイ インターナショナル)は先生の足跡を辿る1冊です。

これらの画集に続く、最新の画集が本書『DORAGON GIRL & MONKEY KING』なのです。

原書をお持ちの方にもオススメする理由とは!

今回ShoPro Booksより刊行する『DORAGON GIRL & MONKEY KING』は、アメリカのダークホース・コミックス社で出版した『Doragon Girl and Monkey King: The Art of Katsuya Terada』の邦訳版です(ダークホース・コミックス社は寺田先生の『西遊奇伝 大猿王』のアメリカ版コミックスも刊行しています)。アメリカでは2014年夏に発売されており、洋書として日本国内へも入ってきていますので、原書をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

ですが!

単なる翻訳しただけの出版ではありません! すべてが変更されているわけではありませんが、これまでの画集『カバー・ガールズ』(ワニマガジン社)や『寺田克也全部』に収録されたイラストは、まだ書籍では収録されていない画稿に差し替えたり、一部のイラストは構成を改訂しています。また原書収録のものも含めて、先生自らのコメントもボリュームUP、寺田克也ファンなら押さえておきたいイラストの初出情報も追加しています。

個展やオリジナルTシャツなどでも作品を発表している、寺田先生の最新イラストを楽しめるのは本書だけ!

タイトルにもなっている「MONKEY KING」は、ご存じ『西遊奇伝 大猿王』から。本書の表1側にドドンと収まっています。一方、もう一つ「DORAGON GIRL」は、「MONKEY KING」とは対照的なイラスト。特徴的な肩のほかにも“龍”を感じさせるモチーフです。
いずれもこの画集のために描き起こしたイラストです。

日本版ならではのポイントはココだ!

実は日本版の表紙は、原書と異なるオリジナルのレイアウトになっています。このデザインは寺田先生と共にお仕事をされてきたデザイナーの大岡寛典氏が仕上げた逸品。寺田作品のイメージを掴んでいる大岡氏だからこそ、デザイン作成の打合せは一発で決定でした!

キラリと輝くシルバーのタイトルが重厚な印象を生み出しているカバー。そのカバーを外してみると、また別の重厚感のある表紙が出てきます。ぜひカバーも外して楽しんでいただきたいですね。

恐らく皆さん気になるのはそのサイズ。もちろん原書とほぼ同じサイズで、A4版より一回り大きいです。また原書の時点で「文句なし!」とお話ししていた先生ですが、日本版では大岡氏と印刷の色あいを確認&調整し、先生の描かれたオリジナルの色を極力再現出来るようにとしました。カバーのカッコよさと追加の要素だけじゃなく仕上がった本書、ファンの方ならずとも絶対に満足していただけることでしょう。

あなたの本棚に並べて欲しい1冊です

寺田克也先生は「まるで絵を描くために生まれてきた人のよう」と評す方もいるくらい、とにかく「絵が上手い!」のです。お気に入りの1枚を探すもよし、これまでのコレクションの中の1つに加えるもよし。描き込まれたイラストたちを、ぜひじっくりと味わっていただけたらと思います。

絵師「寺田克也に興味を持たれた方は、この機会に下記のWEBSITEもぜひご覧ください!

寺田克也先生のWEBSITE 
『terra's book』 http://cacazan.com/
ブログ
『terra's book blog』 http://terrasbook.blogspot.jp/

 

【イベント告知】

2014年12月14日 日曜日

寺田克也先生『DRAGON GIRL & MONKEY KING』刊行記念サイン会


寺田克也先生自画像
日時:12月14日(日) 14:00スタート
会場:西武池袋本店書籍館4Fリブロコミック売場特設会場
ご予約・お問い合せ:03-5949-2906
『DRAGON GIRL & MONKEY KING』刊行を記念して、寺田克也先生のサイン会を開催いたします。
サイン会参加整理券は、上記対象書籍お買い上げの方、先着50名様に配布いたします。

整理券は、上記サイン会対象書籍を「リブロ池袋本店書籍館4Fコミック売場」にてご入金のうえご予約をいただいた時、お電話にてご予約のうえ代金をお支払い時、または発売後コミック売場にてお買い上げいただいた時にお渡しいたします。
サイン会参加ご希望の方は、リブロ池袋本店書籍館4Fコミック売場にて、係員にお申し付けください。

※サインと一緒にイラストをお入れする予定です。(絵柄の指定はご遠慮ください)
※サインと一緒にお客様のお名前を必ず入れさせていただきます。
※参加整理券はなくなり次第配布を終了いたします。

詳しくは「リブロ池袋本店」イベントページをご確認ください。

このほかにも一部書店の店頭にて、イラストのパネル展を開催予定です。
ご期待ください!

それではまた。


(文責:石割太郎)

2014年11月24日月曜日

映画『シン・シティ 復讐の女神』にそなえて……。

みなさん、こんにちは!

映画『シン・シティ 復讐の女神』がいよいよ2015年1月10日公開決定! マーヴハーティガン、そしてミホ……あの強烈なキャラクターたちがスクリーンに帰ってくる……しかも、今度はD!! さらにレディー・ガガや、300〈スリーハンドレッド〉~帝国の進撃~』のアルテミシア役も記憶に新しいエヴァ・グリーンも出演!!! ということで、今日は1126日(水)発売予定『シン・シティ2』をご紹介させていただきます。

▲『シン・シティ2』
フランク・ミラー[作/画]
定価:本体2,300円+税
●11月26日発売予定●
今回発売される第2巻にも、前巻と同じく二つの作品が収録されています。

①「ビッグ・ファット・キル」……恋人シェリーにしつこくつきまとう男、ジャッキー・ボーイを痛めつけて追い返したドワイト。だが、それは彼の元恋人ゲイルが束ねる娼婦街“オールド・タウン”を狙う、街の顔役ウォレンクィストとの熾烈な抗争の幕開けに過ぎなかった……!
2005年の映画版第1作『シン・シティ』では、ジャッキー・ボーイを演じたベニチオ・デル・トロの怪演が強烈でした。また、名作コミック300〈スリーハンドレッド〉』原型とでもいうべきイメージが見られるエピソードでもあります。

②「ザット・イエロー・バスタード」……退職間際の老刑事、ハーティガンは連続幼女殺人犯を追っていた。ナンシーという少女をからくも守ったハーティガンだが、犯人は街を牛耳るロアーク上院議員の一人息子だった。無実の罪を着せられ、すべてを奪われた彼は、8年後、ようやく刑務所から出てくるが……。
映画版第1作では、額に大きな向こう傷をつけたブルース・ウィリスが、毒々しい黄色の“イエロー・バスタード”と戦ってましたね。そして新作映画のために考えられたオリジナルのエピソード「ナンシーズ・ラスト・ダンス」は、この物語のその後を描いています。

……と、映画版第1作の主要エピソードのうち二つ収録されていて、公開の迫る新作映画の予習にもピッタリの内容! ちなみに、映画『復讐の女神』の原題はSin City: A Dame to Kill For。つまり、第1巻収録の「ア・デイム・トゥ・キル・フォー」が主要エピソードの一つになっていますので、未読の方はぜひチェックを! (第1巻の内容についてはこちらをご覧ください)

▲『シン・シティ1』
フランク・ミラー[作/画]
定価:本体2,300円+税
●好評発売中!●
ところで、『シン・シティ』といえば、映画版でも原作コミックでも、個々のエピソードの時系列が前後していることで知られていますが、これまで刊行された原作の時系列をざっくり整理してみると、以下のようになります。

○第2巻 ② 「ザット・イエロー・バスタード」 

●第1巻 ② 「ア・デイム・トゥ・キル・フォー」 

●第1巻 ① 「ハード・グッバイ」 

○第2巻 ① 「ビッグ・ファット・キル」

またマーヴドワイトミホといった主要キャラだけでなく、ちょっとした脇役がエピソードをまたがって登場するのを見つけるのも、読者の楽しみの一つ。たとえば……

ケイディの店……カウガールの扮装で投げ縄を操るダンサーが名物の、あやしい酒場。店内のあちこちで起こる出来事が、さまざまなエピソードに結びついている。

モートとボブ……日本版コミック第1巻「ア・デイム・トゥ・キル・フォー」に登場した刑事コンビ第2巻「ザット・イエロー・バスタード」では、二人の前歴が……。

といったポイントに注目してみると、作者の脳内に広がる“シン・シティという街”そのものが、さらに実感できるかなと。

本書収録の作品がアメリカで最初に発表されたのは、1994年~1996あたり。いまではコミック作家としてほぼ開店休業状態のフランク・ミラーですが、当時は他にもダークホース・コミックスで原作者として“マーサ・ワシントン”シリーズ(作画:デイブ・ギボンズ)『ビッグ・ガイ&ラスティ・ザ・ボーイ・ロボット』(作画:ジェフ・ダロウ)を手がけて、非常に精力的でした。

しかも『シン・シティ』については、本書以外にもさまざまなフォーマットでいくつもの短編を発表していたのです! そんな作品群を集めたのが、短篇集「ブーズ、ブローズ&ビュレッツ」次回発売『シン・シティ3』に収録されて、ついに日本初登場となります。映画『シン・シティ』のオープニングを飾った、ジョシュ・ハートネット主演の「カスタマー・イズ・オールライト」や、映画『復讐の女神』で描かれる「ジャスト・アナザー・サタデーナイト」の原作もそちらに収録されています。これで映画版に使われた原作がすべて読めることに!
▲『シン・シティ3』
●近日発売予定●
もう一つの収録作は、こちらも本邦初翻訳「ファミリー・バリューズ」「ア・デイム・トゥ・キル・フォー」「ビッグ・ファット・キル」で大活躍したドワイトミホの、その後を描いた長編です。とくに白装束ローラーブレードを着用して華麗に舞うミホの勇姿はファン必見! ぜひご期待ください。

ではでは、今回はこのへんで。


(文責:中沢俊介)

2014年11月17日月曜日

その一瞬を手にしたい……スパイダーマン、待望の邦訳!

「アメコミ魂」読者のみなさま、こんばんは!

今回ご紹介するタイトルは『スパイダーマン:ワン・モーメント・イン・タイム』です!
▲『スパイダーマン:ワン・モーメント・イン・タイム』
ジョー・カザーダ[作]
パオロ・リベラ[画]
定価:本体2,000円+税
●12月19日頃発売予定●
本書は、メリー・ジェーンが突然ピーターの部屋に訪ねてくるところから始まり、二人で『スパイダーマン:ワン・モア・デイ』で起きた、過去を振り返るという展開で進行していき、そのときのエピソードを補足するサイドストーリーとなっています。

そして、一つだけ未だに解決されていない疑問である「コミック史上、最大のイベント」だったピーターとメリー・ジェーンが結婚しなかった経緯が描かれています。「アメコミ魂」の読者さんはご存知かもしれませんが、『スパイダーマン:ワン・モア・デイ』をおさらいすると、永遠に続くはずだったピーターとMJの愛は、悪魔メフィストによって一瞬にして終わりを告げます。

これは、メフィストが二人の弱みにつけ込み、メイおばさんの命と引き換えに“二人の結婚”をなかったことにするという取引を持ちかけ、二人はそれに応じてしまうことで、歴史が改変されてしまうという内容です。ただし、このピーター・パーカー/スパイダーマンの人生に一つのピリオドが打たれる物語は、決して終点ではなく、通過点に過ぎません。

なぜならば、『スパイダーマン:ブランニュー・デイ』という新設定による再スタートにつながるからです! 『ブランニュー・デイ』以降の主な設定変更としては、ピーターとMJが結婚していないこと、スパイダーマンの正体は世間の人々に知られていないこと、ピーターはクモ糸を出すときに手首から直接出すのではなく、ウェブシューターを使う、死んだハリー・オズボーンが復活していることなどがあります。
▲『スパイダーマン:ブランニュー・デイ 1』
ダン・スロット他[作]
フィル・ヒメネス他[画]
定価:本体2,100円+税
●好評発売中!●
このように、スパイダーマンを語る上できわめて重要な『ワン・モア・デイ』から『ブランニュー・デイ』へとつながるミッシングリンクを埋めるのが、本作品となります。
▲『スパイダーマン:ワン・モア・デイ』
J・マイケル・ストラジンスキー[作]
ジョー・カザーダ[画]
定価:本体1,900円+税
それでは、本書のあらすじをご紹介します。

メイおばさんの命を救うために、自分たちの結婚を諦めたメリー・ジェーンとピーター・パーカー。ついに、結婚式当日の出来事が語られる……
メリー・ジェーンがメフィストにささやいた内容とは? メイおばさんはどのようにして生き返ったのか? そしてメリー・ジェーンとピーター・パーカーの関係を決裂させた出来事とは?

『ワン・モア・デイ』で語られることのなかった数々の謎の答えが、今ここに明らかとなる!

うーん。やはり気になる内容ですよね。
ストーリーもところどころに旧作の引用があったり、『ワン・モア・デイ』の場面が出てくることで上手く過去エピソードとの関連が紐付けられており読みやすい工夫がなされています。

さらに注目したいのが、各章のサブタイトルです。本書は全4章から構成されていますが、それぞれの章が結婚式における欧米の慣習である“サムシング・フォー”にちなんでつけられています。“サムシング・フォー”とは、結婚式で花嫁が身につけると幸せになれるという4つのものをさします。そして、各章をそれらに当てはめて読んでみると、ストーリーもそのコンセプトに合っているような気がしました。

個人的な解釈ではありますが、簡単に触れますと……

・第1章:サムシング・オールド 
“なにか一つ古いもの”ということにかけて、ストーリーではピーターのMJとステイシーに対する恋愛感情の葛藤を描いています。

・第2章:サムシング・ニュー 
“なにか一つ新しいもの”では、MJがピーターに今まで語ることのなかった新しいエピソードがフューチャーされています。

・第3章:サムシング・ボロー 
“なにか一つ借りたもの”としては、スパイダーマンの正体が自分であるということを、世間から忘れさせたいという願望を抱くピーターがドクター・ストレンジの力を借りる場面となっています。

・第4章:サムシング・ブルー
聖母マリアのシンボルカラーである青、つまりは“純潔”をあらわす意味ですが……最終章は是非、ご自分の目でお確かめください。サブタイトルにぴったりのストーリーとなっております!

各章のトビラには収録作品のカバーアートも入っていますので、そちらも合わせてお楽しみいただけます。中でも、第2章のトビラになっているカバーアートはウェディングケーキの上に、スパイダーマンとMJの人形がデコレーションされているのですがケーキをカットしているナイフに血痕のようなものが付着しているという、二人の愛の運命を象徴しているものになっておりかなりのインパクトを受けました。

巻末には、バリアント・カバーのアートギャラリーも収録しており、こちらはもう一人の主役であるMJにフォーカスしたものになっています。

スパイダーマンの華麗なアクションシーンはもちろんですが、やはり本作が面白いところは、ピーター・パーカーという一人の男としての苦悩であったり、メリー・ジェーンのスーパーヒーローと結婚するということの重圧を、それぞれの視点でドラマチックに描いているところだと思います。

恋人や家族と過ごす時間が増える、年末のホリデイシーズンにぴったりの一冊となりました。『スパイダーマン:ワン・モーメント・イン・タイム』、発売は12月19日頃を予定しています。女性の方にも、是非読んでいただきたい、いつもとはまた違ったスパイダーマンをお楽しみいただければ幸いです。

最後に今週末開催されます、『リトル・ニモ』に関するイベントをご案内させていただきます。
詳細につきましては、下記をご確認ください。

〈からだと文化〉ウィンザー・マッケイ マンガとアニメの天才

アメリカのマンガ・アニメーションの父として知られ、今年没後80年を迎えたウィンザー・マッケイ。
現代の視覚文化の成り立ちを考える上で、きわめて重要な位置を占めるその多彩な仕事をめぐり、「見る」ことと「からだ」をテーマに発表と討論を行います。

【日時】2013年11月22日(土)13:00~17:00
【会場】学習院大学 西2号館501教室(東京・目白)
http://www.gakushuin.ac.jp/mejiro.html
【主催】学習院大学人文科学研究科身体表象文化学専攻
【共催】学習院大学文学会
【申込】不要 ※当日時間までに会場にお越し下さい。
【受講料】無料
【内容】
■第1部:発表
夏目房之介(テーマ:マンガ「リトル・ニモ」をめぐって)
細馬宏通(タイトル:アニメーション「リトル・ニモ」「恐竜ガーティ」の奥行きと身体性)

■第2部:討論・質疑応答
夏目房之介、細馬宏通、佐々木果(司会)

「アメコミ魂」では、過去に『リトル・ニモ』に関する記事を掲載しました。こちらもチェックしていただき、ご興味のある方は、是非会場まで足を運んでいただければと思います。
過去のブログ記事はこちら

それではまた次回に。


(文責:渡辺直経)

2014年11月10日月曜日

バットマン会社設立! 魅惑のモリソン・ワールド再び。

みなさん、こんにちは!

グラント・モリソンバットマン新サーガもいよいよクライマックスに突入!……ということで、今回はただいま絶賛発売中『バットマン:インコーポレイテッド』を紹介させていただきます。
▲『バットマン:インコーポレイテッド』
グラント・モリソン[作]
ヤニック・パケット他[画]
定価:本体2,600円+税
●好評発売中!●
これまで小社では、2006バットマンのメインライターに就任したグラント・モリソンの手がけた、一連のストーリーラインを追いかけてまいりました。第1部:①『バットマン・アンド・サン』、②『バットマン:ラーズ・アル・グールの復活』、③『バットマン:ブラックグローブ』、④『バットマン:R.I.P.第2部:①『バットマン・アンド・ロビン』、②『バットマン:ブルース・ウェインの帰還』、③『バットマン:ブルース・ウェインの選択』……といったタイトルが現在までに刊行されているのですが、『バットマン:インコーポレイテッド』によって、ついに最終章である第3部の幕が開くのです!本書では、死から蘇ったブルース・ウェインが、“バットマン”というシンボルのもと世界中のヒーローを独自に組織化し、謎の秘密結社“リバイアサンに立ち向かいます。ゴッサムシティから世界へと活躍の場を広げ、各国の“バットマン的なヒーロー”をスカウトして回るバットマン。では、どんなヒーローが姿を見せるかというと……

ミスター・アンノウン……日本のクライムファイターである彼をスカウトしようとするバットマンだが、同時に恐るべきヴィラン“死神男”の魔の手も迫っていた。

エル・ガウチョ……その正体はアルゼンチンの裕福な馬主。“誰の部下にもなる気はない”とバットマンの誘いを断るが、彼には決してバットマンに知られてはならない秘密があった。

フード……イギリス政府の特殊工作員。世界を破滅させるほど危険な究極兵器があるという、フォークランド諸島に現れる。

バットウィング……アフリカの王族の末裔。“ニュー52”立ち上げ時には、彼を主人公にしたシリーズも創刊された。

ナイトランナー……パルクールの達人であるイスラム系フランス人。小社で刊行された『バットマン:ゲート・オブ・ゴッサム』には、彼のオリジンストーリーが収録。

ブラックバット……元バットガールであるカサンドラ・ケインが改名。香港で密偵活動に勤しんでいる。

マン・オブ・バッツ……一人息子であるリトル・レイブンをサイドキックにして、ネイティブアメリカンの居留地を守る。

……などなど、じつに国際色豊か。さらにキャットウーマンバットウーマンバットガールオラクルアウトサイダーズといったバットマン系キャラの面々はもちろん、バットマン型ロボット“ロバット”まで戦線に参加!

また、『インコーポレイテッド』とちょうど同じ頃に『ディテクティブコミックス』で連載されていた物語が『バットマン:ブラックミラー』――というわけで、当時の新生ダイナマイト・デュオも登場、つまり二人のバットマンが活躍することになります。

個人的なおすすめエピソードは、上記マン・オブ・バッツを主人公にした第7章「癒しの兵士」。貧困にあえぐアメリカの地方都市で、医者と兼業しながら、“低予算のバットマン”として自分の部族を守るマン・オブ・バッツ。しかし、麻薬を売りさばく小悪党をピックアップトラックの“バッツモービル”で探すような日々に、息子リトル・レイブンはウンザリしていた。地元でくすぶっているうちに、ティーンタイタンズにも入れない年齢になってしまうと不満を訴え、父子の溝は深まるばかりだったが……。壮大なスケールの抗争がスピーディーに描かれるなか、一見異色とも思える地に足のついた物語ですが、テーマと展開、両方の面で見事に作品全体と有機的に結びついていて、さすがモリソン!とうなりました。

グラント・モリソンはその著書『スーパーゴッズ』の中で、“……私は物語をますます圧縮させ、個々のエピソード、毎月刊行される雑誌の各号、さらにすべてのコマをイベントに仕立てようとした”……と書いています。
▲『スーパーゴッズ
アメリカン・コミックスの超神たち』
グラント・モリソン[著]
定価:本体3,800円+税
●好評発売中!●
同じ頃に刊行された本書では、まさにその言葉どおり、これまで以上に高密度ハイテンションな物語が堪能できます。巻末のボーナスページや、翻訳者の高木亮さんによる別紙解説設定面のフォローも充実。“バットマンの会社って……?”と思った方も、どうぞお気軽に本書をお試しください! 多種多様なキャラクターが世界を駆け巡り、電脳空間から宇宙までを舞台に戦いを繰り広げる、カバーの印象そのままにカラフルハイクオリティな作品です。

世界的な広がりを見せるリバイアサンとの戦いは、本書で一つの山を越えつつもまだまだ続きます。しかし、ここで気になることが一つ――そう、2011年の夏に起こったDCコミックスの一大リランチ“ニュー52の存在です。じつは新サーガ第3部は、ニュー52を経たユニバースで続行するのです!

小社では……
第2巻『バットマン・インコーポレイテッド:デーモンスターの曙光』
▲『バットマン・インコーポレイテッド:
デーモンスターの曙光』
●2014年12月発売予定●
※原書イメージ
第3巻『バットマン・インコーポレイテッド:ゴッサムの黄昏』
▲『バットマン・インコーポレイテッド:
ゴッサムの黄昏』
●2015年1月発売予定●
※原書イメージ
……という形で、“ニュー52版インコーポレイテッド”を追いかける予定です。鬼才ライター、グラント・モリソンが7年がかりで紡いだ物語は、DCユニバースの変革を経て、どのように完結するのか? この前代未聞の展開にぜひご注目ください!

ではでは、今回はこのへんで。


(文責:中沢俊介)

2014年11月4日火曜日

ShoPro Books海外コミックス 20周年記念 大感謝祭

こんにちは。

二日連続の更新となります。昨晩はイベントのリポートが間に合わず失礼いたしました。昨日の記事はこちらになります。

それでは、さっそく11月2日(日)に開催した『ShoPro Books 海外コミックス20周年記念 大感謝祭』のリポートをはじめたいと思います。後半にある近刊情報もあわせてご覧ください。

ShoPro Books 海外コミックス
20周年記念 大感謝祭への道

まずは本イベントが開催されるまでのことを簡単に……。

8月某日
登壇者の山本富洋さんと橋爪透さん、そして会場の新宿ネイキッドロフトさんにイベントの打診をする。

9月某日
橋爪透さんと新宿にて打合せ。打合せのなかで、ご自身がパーソナリティを務めるFM西東京の「ラジバタ2」とのコラボ企画として、イベントの公開収録を提案される。正直、ちょっと趣旨がズレちゃうかなあとも思ったが(笑)、元上司の提案だったので承諾する(結果、ラジバタ2の皆さんのおかげで楽しいイベントができました。ありがとうございました)。

10月4日 朝10時
ローソンチケットにて前売券(予約)開始。10月31日までが予約受付期間だったが、なんとか、その2週間前には「完売」とのお知らせが……身内ばかりのイベントだったので、正直、ご来場していただけるか不安はあったものの、まずはひと安心。

10月某日
山本富洋さんと神保町で打合せ。山本富洋さんと橋爪透さんが対面するのは約10年ぶり。ぶっつけ本番で特に下打合せは必要ないとのこと。本番でのチームプレーに期待。

10月某日
橋爪透さんと「ラジバタ2」の皆さまと新宿で打合せ。本イベント第一部の模様は「ラジバタ2」でも視聴できるので、ぜひチェックしてください!
▲イベント来場者全員に配布したプレゼント

10月31日
当日お越しいただいた皆様に配布するプレゼントを用意。DCコミックスのリーフ3冊、缶バッヂ3個、シール、しおり、そして11月下旬から配布する小社のカタログの0号版(100部限定)をセットにする。そのほか、プレゼント抽選会用のプレゼントの準備やプレゼン用の資料作成を夕方より開始。すべての作業が完了する頃には、もう朝に……。 なお、同封されていた数種類の缶バッジは、このようなファンイベントをおこなうと知ったDCコミックス社の担当者のご好意により、先日直接いただいたものです。皆さま、マーベルばかり読まないで、DCも読みましょう! もちろん邦訳版で(笑)。

そして、ついに本番当日!
▲11月2日の神保町は神田古本まつり

11月2日
15:30
会社に到着。

当日の神保町は「神田古本まつり」の真っ最中。人込みで歩けないほど賑わっていた。用意した大量のプレゼントを運ぶため、中沢氏と私が会社に立ち寄る。荷物の確認をして、いざ、新宿ネイキッドロフトさんへ。

16:30
会場に到着。

スタッフと登壇者が順次会場に入り、機材の確認や進行の確認をおこなう。第一部に登壇される山本さん、橋爪さん、フリーアナウンサーの西村さん、サウンドクリエーターの中村さん、そして翻訳家の中沢氏は楽屋にて本番前の打ち合わせ兼ねた談笑を。山本さんや橋爪さんの懐旧談に花が咲く。山本さんも橋爪さんも心なしかこのイベントを楽しみにしているようだった。

18:00
開場。
▲特製カクテルはシャンパン風!

次々とお客様が来場する。三連休の中日のご予定にこのイベントを選択していただき、本当にありがとうございました。新宿ネイキッドロフトさん特製の今回のオリジナルカクテルは「S-MANからのお祝い! シャンパン風カクテル」。ブラジルのお酒とアメリカのお酒をブレンドしているとのこと。南米出身のアメコミ作家さんも最近多いのでナイスなカクテルではないか! その日は、美味しくてついつい7~8杯ほどいただきました……(反省)。


さあ、いよいよ、開演の時間です!
ShoPro Books 海外コミックス
20周年記念 大感謝祭

【日時】 2014年11月2日(日) 18:00開場 19:00開演 22:15閉演
【前売券】1,300円 【当日券】1,500円(飲食別) ※要1オーダー
【会場】新宿ネイキッドロフト
【出演者】
《第一部》
山本富洋(編集者/元ShoPro社員、初代編集責任者)、橋爪透(「ラジバタ2」パーソナリティ/翻訳家/元ShoPro社員、二代目編集責任者)、西村華奈穂(「ラジバタ2」パーソナリティ、フリーアナウンサー、ナレーター、MC、シナリオライター)、中村隆之(「ラジバタ2」パーソナリ ティ、サウンドクリエーター)、中沢俊介(翻訳家/ライター/編集者)
《第二部》
ShoPro Books編集部(山本将隆、渡辺直経、澤田美里、石割太郎、ブライアン中沢)
【来場者数】:51名+関係者若干名

19:00
開演。
▲読者の皆様と乾杯をする小社編集の渡辺

私と渡辺が登壇し、まずは20周年のご挨拶を。渡辺が乾杯の音頭をとり、読者の皆さまと20周年を祝した「乾杯」をさせていただきました。ありがとうございました。

第一部の話がよくわかるようにと、「ShoPro Books 海外コミックス20年の軌跡」と題し、私から簡単に20年の歩みをお話させていただきました。以下はその内容になります。
(注)年月は発行月ではなく発売月です。

1993年1月
小学館プロダクションが、米国マーヴル・エンターテインメント社とライセンス契約を締結
「マーヴル・スーパーヒーローズ・キャラクター発表会」を新宿スペースゼロで開催
1994年4月
「X-メン」テレビ放送開始(テレビ東京系全国ネット)
1994年5月
『アンキャニィ・X-メン』発売
『アメイジング・スパイダーマン』発売
1994年11月
『X-MEN 1: X-MEN VS MAGNETO』(全17巻刊行)発売
『コナン・ザ・バーバリアン』発売
1995年4月
小学館プロダクションが、米国ルーカスフィルム社と
スター・ウォーズ商品化権におけるエージェント契約を締結
1995年10月
『スター・ウォーズ 1:新たなる希望』発売
『~2:帝国の逆襲』『~3:ジェダイの復讐』発売
1995年12月
『バットマン/パニッシャー』(マーヴル・スーパーコミックス・シリーズ)発売
1996年4月
『マーヴルクロス(MARVEL X)』創刊(全17巻刊行/毎月20日発売)
1996年8月
『スーパーマン/バットマン 1』(全3巻刊行)発売
1996年9月
『マーヴル・コミックス・アート』発売
1997年
『エイジ・オブ・アポカリプス 1』(全3巻刊行)発売
『X-メン:オンスロート 1』(全4巻刊行)ほか発売
1998年
『マーヴルズ』『キングダム・カム』発売
『バットマン:ダークナイト・リターンズ』ほか発売
1999年
『バットマン:ブラック&ホワイト』発売
『ヘルボーイ:チェインド・コフィン[縛られた棺]』ほか発売
2000年
『バットマン:アーカム・アサイラム』発売
『バットマン:ウォー・オン・クライム』『スター・ウォーズ:ボバ・フェット』発売
『X-メン・ザ・ムービー パワーガイド』『バットマン:マッドラブ』ほか発売
2002年6月
『スター・ウォーズ:エピソード2/クローンの攻撃』発売
2003年7月
『バットマン:ブラック&ホワイト2』発売
2005年6月
『スター・ウォーズ:エピソード3/シスの復讐』発売
2006年
2月『ヒストリー・オブ・バイオレンス』発売
4月『Vフォー・ヴェンデッタ』発売
2007年
5月『300〈スリーハンドレッド〉』発売
6月『ルネッサンス』発売
2009年
2月『WATCHMEN ウォッチメン』発売
8月 『X-MEN ウルヴァリン:オリジン』『バットマン:ダークナイト』発売
2010年
『バットマン:キリングジョーク 完全版』『マーベル・キャラクター大事典』
『アイ・アム・アイアンマン』『バットマン:アーカム・アサイラム 完全版』
『ヘルボーイ:壱』『ヘルボーイ:弐』『キングダム・カム 愛蔵版』『氷河期』
『キック・アス』『アンカル』など発売
2011年
『ファン・ホーム ある家族の悲喜劇』
『X-MEN:ファーストクラス 明日に架ける橋』『闇の国々』(全4巻刊行)
『DCスーパーヒーローズ』など発売
2012年
『バットマン・アンド・サン』『スパイダーマン:ワン・モア・デイ』
『アベンジャーズ:プレリュード』『アルティメッツ』
『ジャスティス・リーグ:誕生 (THE NEW 52!)』など発売
2013年
『バットマン:梟の法廷 (THE NEW 52!)』『デットプール:マーク・ウィズ・ア・マウス』
『スーパーマン:アースワン』『バットマン:アースワン』
『パシフィック・リム ビジュアルガイド』『マーベルズ』
『パシフィック・リム:イヤー・ゼロ』など発売
2014年
『シン・シティ 1』(全4巻刊行予定)『ホークアイ:マイライフ・アズ・ア・ウェポン』
『スパイダーマン:ブルー』『バットマン:ノーマンズ・ランド 1』(全4巻刊行予定)
『デッドプール:スーサイド・キングス』『バットマン:インコーポレイテッド』
『アベンジャーズ:シーズンワン』など発売

2014年11月2日現在まで海外コミックス刊行点数 219作品
うち、アメリカン・コミックス197作品バンド・デシネ他22作品
今後ともご愛読のほどよろしくお願い申し上げます。

「20年の歩み」を簡単にご紹介した後、第一部が公開収録を兼ねている旨の説明と第一部の登壇者をご紹介し、いよいよ第一部が始まりました。


19:15
〈第一部〉
初代&二代目編集責任者が語る
SHOPRO WORLD COMICS
▲小社アメコミの立ち上げに携わった山本富洋氏(右から二番目)と橋爪透氏(中央)。右端は翻訳家の中沢俊介氏
SHOPRO WORLD COMICSの初代編集責任者の山本富洋さん、二代目編集責任者の橋爪透さん(ラジバタ2)、フリーアナウンサーの西村華奈穂さん(ラジバタ2)、サウンドクリエーターの中村隆之さん(ラジバタ2)、そして「アメコミ魂」でもおなじみの翻訳家の中沢俊介さん(読者代表)の5名が登壇。中沢氏は今日のイベントに照準を合わせ、髭を蓄え、髪の毛も伸ばしていたらしいです(笑)。

「ラジバタ2」MCの西村さんによる小気味よい仕切りで第一部が始まりました。まずは、あらためて山本富洋さんと橋爪透さんの両名による乾杯のご発声があったのですが、橋爪さんが「……20周年記念大感シャイ~……」と発声を二回も噛むというアクシデントもありましたが(笑)、無事にスタートすることができました(中村さんがボソッと「さっきリハーサルしたんですけどね……」という鋭いツッコミもありましたね)。第一部の模様(発声の部分はカットされているかもしれませんが……)は、下記にある「ラジバタ2」で視聴できますので、ぜひアクセスしてみてくださいね。二回に分けて放送される予定だそうで、おそらく第一部のほとんどが使われるかと思います。また放送エリア外でもインターネットで聞けるそうですのでお楽しみに。

FM西東京84.2MHz「ラジバタ2」
11月8日(土)/11月15日(土)
夜9時30分より放送予定(パソコン・スマホで全国で聴けます)

「アメコミ魂」で第一部の内容をすべて紹介しようかと思ったのですが、「ラジバタ2」の放送日前に紹介してしまうと、ちょっと彼らに申し訳ないので、ここではほんの一部だけを紹介いたします。

Q. 山本さんや橋爪さんの時代には、このようなトークイベントは開催したのですか?
A. このようなイベントはたくさんあって裏方で参加することはありました(が、自分たちが主役でというのはなかったですね)。

Q. “小プロ”がアメコミ邦訳版の出版を始めたきっかけは?
A. 当時から“小プロ”はキャラクタービジネスを展開しておりましたが、日本でのビジネスを考えていたマーヴル・コミックス社から声がかかり、“小プロ”がマーヴルのキャラクターを預かることになりました。その一環として、アメコミ邦訳版を出版したという流れだったかと思います。我々がアメコミを出版する15年くらい前に光文社さんからアメコミ邦訳版は出版されていました。それ以降はちょっと沙汰止みだったのですが、おそらくマーヴルはキャラクタービジネスという枠組みで展開しようという戦略のなかで我々に声をかけたのだと思います。

Q. お二人のアメコミとの出会いは? お二人は仕事をする前からアメコミ読者だったのですか?
A. (山本)私はいま66歳になるのですが、子供時代は秋田書店さんの『少年少女冒険王』に掲載されていた福島鉄次さんの『沙漠の魔王』を読んでいて、それはフルカラーのアメコミ的な作品だったのですが、今思えば(アメコミが好きになったのは)その刷り込みがあったからだと思います。その後はテレビ放送されていた実写版の『スーパーマン』に触れて、桑田次郎さんのバットマンなども読んでおりました。また、私はアメリカのイラストレーターであるフランク・フラゼッタが好きで、振り返ると、そこがアメコミとの接点だったのかなと思います。
A. (橋爪)僕は英語が好きだったので、英語の勉強の一つとしてアメコミを読んでいたという感じですね。ただ今のように簡単に入手できるものではなかったので、銀座の洋書店であるイエナ書店とかで買って読んでいました。でも、スーパーヒーローコミックスではなく、アーチーコミックスとかを読んでいました。それが最初の出会いでしたね。

まだまだトークは続く……(以降は「ラジバタ2」で)。


20:45
第一部終了。

当初の予定より15分ほど押してしまいましたが、きっと山本さんや橋爪さんもトークがはずんで、楽しんでいたからだと思います。ここで15分の休憩をはさみます。今回は物販がなかったので、見るものがなかったかもしれませんが、また何かの機会のときには考えたいと思います。


21:00
〈第二部〉
現役編集部員が語る
これからのShoPro Books

今年に入って、編集部のメンバーも半分交代しました。また、このように現役部員が集まってイベントをおこなうのも初めてです。お聞き苦しい点もあったかもしれませんが、何卒ご容赦のほどよろしくお願い申し上げます。

さて、皆さまがいちばん気になっている「近刊ラインナップ情報」ですが、こちらは最後にまとめてありますので、そちらをご覧ください。今後の方向性やさらには各編集担当者による推薦コミックスの紹介もさせていただきましたので、参考までにイベントでお伝えした内容を記しておきます。

◆新刊コミックスのご紹介◆ (小社ホームページに掲載済)
10月発売 (絶賛発売中)
『アベンジャーズ:シーズンワン』
定価:本体2000円+税
地球最強のスーパーヒーローたちが、一人では対抗できない強敵を倒すために団結!

『バットマン:インコーポレイテッド』
定価:本体2600円+税
鬼才グラント・モリソンが手掛けたバットマン新サーガ第三部始動! 各国のクライムファイターをバットマン候補として育成する!

『ルーヴルの亡霊たち』
定価:本体3,000+税
カリスマ的人気を誇るBD界の奇才エンキ・ビラルが、ついにルーヴルシリーズに登場!

11月26日頃発売
『シン・シティ 2』(全4巻)
定価:本体2,300円+税
映画『シン・シティ』の原作である『ビッグ・ファット・キル』と『イエロー・バスタード』を完全収録!!

12月19日頃発売
『スパイダーマン:ワン・モーメント・イン・タイム』
定価:2,000円+税
あの問題作に秘められた謎が明らかになる! 結婚を控えていたメリー・ジェーンとピーター・パーカー。だが運命は二人を引き裂こうとしていた……。『ワン・モア・デイ』と『ブランド・ニュー・デイ』のミッシングリンクを埋める重要作!

『バットマン・インコーポレイテッド:デーモンスターの曙光(しょこう)』
定価:本体2,200円+税
『バットマン・インコーポレイテッド』の続編! グラント・モリソンによるニュー52シリーズ新サーガ第二弾!

1月28日頃発売
『アントマン:シーズンワン』
定価:本体2000円+税
アベンジャーズ創立メンバーにして最小ヒーロー!

2月25日発売
『キック・アス3』
大ヒット映画原作コミック。『キック・アス3』の原作コミックが早くも登場!

2015年発売
『シン・シティ 3』
映画『シン・シティ:ア・デイム・トゥ・キル・フォー(原題)』原作を収録!!

『シン・シティ 4』
日本語版『シン・シティ』ついに完結! 最終巻はシリーズ最長編!

『バットマン:リルゴッサム1』
かわいいゴッサム・キャラが全員集合! 話題沸騰の作品「リルゴッサム」がついに日本上陸!

◆編集部 推薦コミックス◆
『ジャスティス・リーグ:誕生 (THE NEW 52!)』
ジェフ・ジョーンズ[作] ジム・リー[画]
定価:本体2,000円+税 2012年12月発売
今までの設定を再構築(リランチ)した新シリーズ“ニュー52”の「ジャスティス・リーグ」誌第一巻の本作は、アメコミ初心者の方にも入りやすく、そして読みやすい作品の一つですので、推薦させていただきました。またスーパーマン、バットマン、グリーンランタンなどのおなじみのキャラクターが出てくるストーリーなので、DCコミックスを今まで読んでいなかった方にも推薦したいですね。現在は、『ジャスティス・リーグ:魔性の旅路』『ジャスティス・リーグ:アトランティスの進撃』と第3巻まで続いておりますので、今からでも追いかけやすく、お友達にもおススメしやすいコミックだと思います。(山本)

『デッドプール:マーク・ウィズ・ア・マウス』
ヴィクター・ギシュラー[作] ボン・ダゾ[画]
定価:本体2,800円+税 2013年9月発売
我々は読者のご意見を積極的に取り入れているほうだと思っているのですが(期待はずれであったらごめんなさい)、デッドプールはその最たるもので、読者の支持がなければ、出版はなかったといっても過言ではありません。ページ数はそこそこあるのですが、数あるデッドプール作品のなかでも、読み切り作品としても読むことができ、またデッドプールの面白さ、カッコよさがよく出ている作品だと思っています。現在、6刷で大変好調な作品の一つです。今後もデッドプール作品を刊行いたしますが、まずはこの作品を手にとっていただければと思っております。(山本)

『バットマン:アンダー・ザ・レッドフード』
ジャド・ウィニック[作] ダグ・マーンキ、ポール・リー、シェーン・デイビス、エリック・バトル[画]
定価:本体3,200円+税 2013年12月発売
小社は、バットマンの関連作品を多く刊行しているので(というのが言い訳のように聞こえるかもしれませんが)、当初、この作品の発売は予定しておりませんでした。しかし、こちらもまた読者の熱い要望により、出版を決めた作品になります。『バットマン:デス・イン・ザ・ファミリー』で二代目ロビンことジェイソン・トッドは非業の死を遂げるのですが、『バットマン:ハッシュ』でその姿を見せ、流れ的に本作は絶対刊行すべきだというご意見が数多く寄せられていたことを記憶しております。もちろん、一連の物語の流れはありますが、本作だけでも充分面白いお話になっており、読み応えも充分ですので、機会があればぜひ読んでいただきたいと思っております。(山本)

『アベンジャーズ:シーズンワン』
ピーター・デイビッド、ブライアン・マイケル・ベンディス[作]
アンドレア・ディ・ヴィト、ジョン・ブラン、ナイジェル・レイナー、マイク・ボウデン、ウォルデン・ウォン、マーク・バグリー[画]
定価:本体2,000円+税 2014年10月発売
私は、この部署に異動して数ヶ月しか経っていないので、担当したコミックスはまだ少ないのですが、この作品をぜひ推薦させてください。本作は、映画『アベンジャーズ』で得たファンをコミックスに繋げていこうという明瞭なコンセプトで描かれたもので、セリフも現代風で読みやすく、初心者の自分でもすんなり作品に入り込むことができました。アメリカに住んでいた頃は、私も同級生と一緒にアメコミを読んでいたので、スーパーヒーローに憧れていました。アメコミのヒーローたちは、強くてカッコいいだけではなく、悩んだり苦しんだりと人間くさい面もあり、親近感を覚えました。そんなヒーローに憧れていた頃の自分に戻りながら編集した作品ですので、ぜひご一読ください。(渡辺)

『ファン・ホーム ある家族の悲喜劇』
アリソン・ベクダル[著]
定価:本体2,500円+税 2011年3月発売(市場在庫のみ)
バンド・デシネにしようか、アメコミにしようか、いろいろ迷ったのですが、自分としても思い入れがあり、なんとしてでも推したい作品でしたので本書を選ばせていただきました。本書は2006年にアメリカで刊行されたノンフィクション・コミックで、発売当時から話題となり、その年のベストコミックにも挙げられた作品になります。本書は、レズビアンを公言されている著者の自伝的な物語なのですが、同じく同性愛者で、事故とも自殺ともいえないなくなり方をした父親との関係を、共通の趣味である文学を通じて回想的に綴っていく作品です。コミックではありますが、重厚な文学作品を一冊読み終えたくらいの充実感を味わえる作品です。また切ない読後感もたまりません。残念ながら重版はかかっていないので、在庫僅少で手に入りにくいと思いますが、見つけたらぜひ手に取ってください!(澤田)

『スパイダーマン:ブルー』
ジェフ・ローブ[作] ティム・セイル[画]
定価:本体2,000円+税 2014年7月発売
私もこの部署に配属となってまだ半年ですので、担当作品は少ないのですが、少ないなかでもこの作品を選ばせていただきました。本作は、ジェフ・ローブ&ティム・セイルという黄金コンビが描いた名作であり、スパイダーマンのレギュラーシリーズとはまた違った風合いのある物語に仕上がっています。グウェンとピーターの淡い恋模様が綴られており、本書を読んだ後に映画『アメイジング・スパイダーマン2』を観たり、『スパイダーマン:ステイシーの悲劇』を読むとよりいっそう切なくなります。本書のアンケートはがきの返りを読んでいますと、「本書をはじめて読んだ」という方が多く、スパイダーマン作品の入り口の一つとして、これを機に手に取っていただければと思います。(石割)

◆ShoPro Books LINEUP 2015◆

「アメコミ魂」読者の皆さんにとって、おそらくこの記事が一番気になるところかもしれませんね。すでにご来場いただいた皆様がSNSに投稿して、周知の事実となっているかもしれませんが、お約束どおり、イベントでアナウンスした今後の海外コミックスの近刊ラインナップをお知らせいたします。まずお知らせするのは刊行作品の「追加情報」です。まだ予約を受け付けてない作品ばかりですが、予約開始時に再度アナウンスさせていただきます。次に、これはまだどこにも載せていない情報ですが、「本邦初公開」の情報になります。こちらに関しては、小社ホームページにもまだ掲載できない段階ですので、あくまで情報の一つとしてご覧ください。どれもまだ発売時期が未定となっておりますが、2015年中には刊行したいと考えております。

■追加情報① タイトル&発売月の発表
12月発売予定
『DRAGON GIRL & MONKEY KING』(寺田克也画集)
定価:本体4,000円+税
ダークホース・コミックス社より発売されている同名作品の日本語版に日本語版だけのオリジナル要素を加えた作品として出版予定。鋭意制作中です。ご期待ください。

■追加情報② 仮題&発売月の発表
2015年1月発売予定
『ミュータント タートルズ大全』
価格未定
2014年に生誕30周年を迎えた「ミュータント タートルズ」の歴史を紐解くファン必読のビジュアルブック。2015年には実写映画も控えており、そのタイミングに合わせて刊行することにいたしました。序文はTMNT原作者のピーター・レアードが書いています。これはまさにファン必携のガイドブックになると思います。

■追加情報③ 仮題の発表
2015年発売予定
『トランスフォーマー:オール・へイル・メガトロン』
価格未定
正式アナウンスからずいぶんと時間が経ってしまい、かつ発売日も変更となり、皆様には大変ご迷惑をおかけいたしました。諸々の調整がつきましたので、何とか来年早々には刊行したいと思っております。ミュータント・タートルズ同様、トランスフォーマーも2014年に生誕30周年を迎えました。なんとか30周年で刊行したかったのですが、大変申し訳ございませんでした。発売までもうしばらくお待ちください。

■追加情報④ 原題&発売月の発表
2015年2月発売予定
『Batman Incorporated: Gotham's Most Wanted(原題)』
価格未定
この作品で、『バットマン・アンド・サン』から始まったグラント・モリソンによる一連のバットマン・サーガはいったん終了いたします。この原書のカバーアートを見ていただくとおわかりになると思いますが、『バットマン:R.I.P.』の表紙をモチーフにしたその姿がダミアンに……ご期待ください。

■追加情報⑤ 仮題&発売月の発表
2015年2-3月発売予定
『デッドプール:デッド・ヘッド・リデンプション』
価格未定
多方面で盛り上がっているデッドプール。『デッドプール:マーク・ウィズ・ア・マウス』、『デッドプール:スーサイド・キングス』に続き、第三弾を来年早々に刊行いたします。過去2作品を読んだ方はもちろん、はじめてデッドプールを読もうとしている方にも最適なコミックですので、こちらもぜひご期待ください。

■追加情報⑥ 仮題&発売月の発表
2015年3月発売予定
『スチームパンク・バイブル』
価格未定
実は2年前くらいから企画に上がっており、ちょこちょこと話をしていたのですが、ようやく発売が見えてまいりました。豊富な図版と詳細な解説で綴られるスチームパンク・バイブルです! お楽しみに。

■本邦初公開
下記の情報は、先に述べたようにまだ企画段階のものです。やや勇み足にはなりますが、ある程度の目処がつきましたので、読者の皆様にいち早くお知らせいたします。ただし、あくまで「予定」ですので、今後の展開によっては予定のまま終わってしまうことがあるかもしれません。その旨ご理解いただければ幸いです。引き続きご声援のほどよろしくお願い申し上げます。この段階では詳細な説明は割愛し、あえて作品名(原題)のみ記させていただきました。

BATMAN Vol.4: ZERO YEAR - SECRET CITY
BATMAN Vol.5: ZERO YEAR - DARK CITY (THE NEW 52!)
JUSTICE LEAGUE: TRINITY WAR
FOREVER EVIL (THE NEW 52!)
BATMAN/SUPEMAN Vol.1:CROSS WORLD (THE NEW 52!)
THE FLASH Vol. 1: MOVE FORWARD (THE NEW 52!)
SHAZAM! Vol. 1 (THE NEW 52!)
QUANTUM AND WOODY
SAGA

イベントでは、“SHAZAM!”と“SAGA”をお伝えしたときの反響が大きかったかと思いますが、どの作品も以前少し匂わせていたので、「驚愕」とまではいかなかったかもしれませんね。おそらく皆様は「マーベル作品はどうした?」と思ってらっしゃるかもしれませんが、こちらのほうも動いておりますので、ご報告はまたの機会にできればと思っております。

この発表の後、あくまで「妄想」ということで、いくつかのタイトル案をお伝えしましたが、まだ何も動いていないものですので、ここでの発表はひかえたいと思います。イベントでの雑談ということで、ご容赦ください。


22:00
プレゼント抽選会

20周年にちなんで20名様分のプレゼントをご用意。数は少なかったかと思いますが、当選された方は大事に使ってくださいね。プレゼントは下記のようなものを用意させていただきました。ご提供いただいた皆様、ありがとうございました。
▲プレゼントを渡す編集部紅一点の小社・澤田

■ShoPro Books賞(2名様)
アメコミ販促グッズ(非売品)
『デッドプール:スーサイド・キングス』ポスター、『バットマン:喪われた絆』ポスターなどの絶対手に入らないセット。

■今年はバットマン75周年で賞(4名様)
75周年記念ケープ&ARTFX+バットマンNEW52
フィギュアは壽屋さんの提供。

■ブライアン賞(1名様)
BATMAN:DEATH OF THE FAMILY BOOK & MASK SET(さらに『バットマン:喪われた絆』のセット)
こちらも缶バッヂ同様、DCコミックス社からの提供になります。

■ベデちゃん賞(1名様)
BD作家サイン入りミニ色紙3枚セット
ベデ担当の小社澤田の提供。実は会場に「ベデくん」もいらしゃっていました!

■鉄ちゃん賞(1名様)
鉄道グッズ+スーパーマン/バットマンポケットタオル
自他ともに認める鉄ちゃんの小社石割の提供。「アメコミ関係ないじゃん!」と会場でウケてました。
▲鉄ちゃん賞の当選者を笑顔で選ぶ小社編集・石割

■さあ、何が出るで賞?(1名様)
『ラジバタ2』パーソナリティの橋爪さん私物……中身はヘルボーイの時計とスター・ウォーズのフィギュアでした。

■ちょっと休憩しま賞(8名様)
高額なプレゼントばかりだと息切れしてしまうので(笑)、非売品のジャスティス・リーグ試し読み小冊子を。

■壽屋さん、最高で賞(1名様)
ARTFXバットマン ブラックコスチューム
決して何も要求してなかったのですが(笑)、「イベントで使ってください」とそっと贈っていただいたもの。1万円近くもするこの賞品がいちばんの目玉に。壽屋さん、いつもありがとうございます。

■きっと手に入らないで賞(1名様)
スター・ウォーズ絶版コミックス&書籍&図書カード
絶版とはいえ古書店さんで入手はできると思いますが、 販促用で過去につくったこの図書カードはきっと手に入らないでしょうね……当選された方、おめでとうございます。


22:15
終演。

皆さま、本当にご来場ありがとうございました。
今後ともShoPro Booksを末永くご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます。

今週の「アメコミ魂」は以上になります。


(文責:山本将隆)