2014年7月14日月曜日

ジョーカー、ついに登場! 『バットマン:喪われた絆』

みなさん、こんにちは!

ついにヤツが帰ってくる!

というわけで、今回は729発売予定『バットマン:喪われた絆(THE NEW 52!)』をご紹介させていただきます。
▲『バットマン:
喪われた絆(THE NEW 52!)』
スコット・スナイダー[作]
グレッグ・カプロ他[画]
定価:2,000円+税
●7月29日発売予定●
『デス・オブ・ザ・ファミリー』という原題で知られるこの作品で、ついにバットマンの宿敵ジョーカーがニュー52のユニバースに本格復帰します! じつはジョーカーは、2011年のニュー52立ち上げ時、『ディテクティブコミックス』の創刊号に登場したきり、消息不明になっていました。そして、約1年後、雑誌『バットマン』のほうで、堂々の復活を果たすことになったのです(ここらへんの流れの詳細は、翻訳者である高木亮さんによる巻末解説をお読みください)

そんな記念すべき復活劇を手がけたのは、『バットマン:梟の法廷』をはじめとするニュー52バットマン“梟”シリーズから続投の黄金コンビ

まずライターはスコット・スナイダー。最近小社より発売された『バットマン:ブラックミラー』『バットマン:ゲート・オブ・ゴッサム』も好評な、ニュー52バットマンのメインライターです。思い返せば、『ブラックミラー』でディック・グレイソン版バットマンと対決したジョーカーも、出番は短いながらも強烈なインパクトを残しました。しかし今回はある意味主役として、それを上回る活躍(?)が堪能できます。

バットマン最大最凶の宿敵ということで、これまで数多くのジョーカー譚が描かれてきました。そして小社でも『バットマン:キリング・ジョーク完全版』(アラン・ムーア/ブライアン・ボランド)『ジョーカー』(ブライアン・アザレロ/リー・ベルメホ)『バットマン:笑う男』(エド・ブルベイカー/ダグ・マーンキ)などを出版しています。さまざまな作家がそれぞれの解釈でジョーカーを描いてきたのですが、スコット・スナイダー版ジョーカーのポイントはバットマンへの常軌を逸した“愛”なのかなと。ニュー52をまたいでも揺るがないジョーカーのバットマンへの“愛”が、どんなとてつもない事態を巻き起こすか……ぜひご覧になってお確かめください!
▲『ジョーカー』
定価:2,400円+税
●好評発売中●
ペンシラーはグレッグ・カプロ。日本ではそれほど知名度がありませんが、アメリカでは個人名義の画集が発売されるほどの実力派です。かつて日本版が出ていたトッド・マクファーレン『スポーン』でも、じつはある時期から本編のペンシルは大部分カプロが手がけていました。あれからずいぶん時間が流れ、彼の絵柄も変化&進化しています。日本人にとっても親しみやすい造形センスと、アメコミらしい重量感ある描き込み、そして豊かな表情……当時の『スポーン』ファンの皆様にも、まだまだ若々しい、いまのカプロをぜひ見ていただきたいです!

また、各エピソードの間にちょっとした短編が差し挟まれているのですが、そちらの作画を担当してるのが、ジョック! そう、『ブラックミラー』のコンビが再現されているのです。『バットマン』といえば、現在のバットマン系列の主力雑誌。というわけで、アート面でも見どころ満載の1冊となっています。

▲『バットマン:ブラックミラー』
定価:2,600円+税
●好評発売中●
さらに、登場キャラクターも出し惜しみなしの豪華キャスト

前回の“梟”シリーズでは、新生ユニバース立ち上げにふさわしく、新たな敵役として秘密結社“梟の法廷”を登場させて見事成功を収めましたが、そろそろお馴染みのキャラクターの活躍も見たくなるのがファン心理というもの。そんな期待に応えたのか、バットファミリーはもちろん、主要ヴィランも勢ぞろいしています。それも、ジョーカーがバットマンのために考え出したおぞましくも大掛かりなシナリオの一部として……。どのような形で登場するのかは本編を読んでのお楽しみですが、とにかく、読み進めていくうちに、さしたる能力も持ち合わせていないはずのジョーカーの恐ろしさがひしひしと伝わる展開になっています。

ちなみに、待望のジョーカー復活を祝って、本書のカバーはちょっと特殊な仕様にさせていただきました。ご購入いただいたら、ぜひカバーをめくってみてください。使い方次第で、あなたもジョーカーになれる、かも……。

さて、『喪われた絆』は、バットマン系列各誌にまたがるクロスオーバー・イベントとして展開されました。キャットウーマン、ハーレイ・クイン、バットガール、ナイトウィング、レッドフード、レッドロビン、そしてロビン……。ジョーカーと出会うことで彼らに何が起こったのか、それぞれの雑誌で描かれたのです。そんなエピソードを編集してまとめたのが『ジョーカー:喪われた絆』。日本版では原書を上下巻の2冊に分けて『バットマン:喪われた絆』も含め、三部作として順次刊行していきます。
▲『ジョーカー:
喪われた絆〈上〉(THE NEW 52!)』
●8月発売予定●
まず来月は『ジョーカー:喪われた絆〈上〉(THE NEW 52!)』。さまざまな作家によって描かれるジョーカー……どうぞお楽しみに!

ではでは、今日はこんなところで。


(文責:中沢俊介)

2014年7月7日月曜日

絵本のような名作『スパイダーマン:ブルー』を紹介

こんにちは。

今日は7月7日、七夕です……が全国的に空模様がイマイチのよう。
それどころか、7月としては過去最大級の台風がやってきているとかで
織姫と彦星は残念ながら来年まで逢えそうにないですね。

そんな、はじまったばかりの7月ですが今月はShoPro Booksから久々のマーベル作品『スパイダーマン:ブルー』をお届けします。
『スパイダーマン:ブルー』
ジェフ・ローブ[作]
ティム・セイル[画]
高木 亮[訳]
2,000円+税
●7月29日発売予定●
「名作」といわれる『スパイダーマン:ブルー』スパイダーマンファンの方だけでなく、初心者の方にも手にとっていただきたいこの作品を発売前ですがその内容をご紹介します!


あらためての“おさらい”

1962年に誕生した『スパイダーマン』、主人公はご存知「ピーター・パーカー」
彼は“ガリ勉パーカー”と言われるほど学校の中でも影が薄く、さえない青年だった訳ですが、スパイダーマンとして活躍するうちに、いろいろな人との関係が広がっていきます。

現在までのベースとなるストーリー、あらすじのおさらいは小社刊『ベスト・オブ・スパイダーマン』を読んでいただくのが一番です。未読の方は、アメコミ魂「『ベスト・オブ・スパイダーマン』を読んでみた話」もあわせてご覧ください。

◆誰もが知る2人のヒロイン

本書のヒロイン「グウェン・ステイシー」「メリー・ジェーン(MJ)」
ファンの方にはもうおなじみですがグウェンといえば『スパイダーマン』のストーリーに欠くことのできないピーター・パーカー初めての恋人。またメリー・ジェーンは、後日ピーターと結婚することになる女性でその初登場からピーターを振り回す自由すぎる女性、です。

本書は、大人になってMJと結婚したピーターがまだ若かったころ(=初期のエピソード)を思い出しながらグウェンに語りかける、という形で展開していきます。
※2002年の作品なので、現代のピーターとMJは夫婦になっています。

本書各章のサブタイトルはジャズのスタンダードナンバーから取られていたりティム・セイルの描くアートは1960年代のスパイダーマンを髣髴とさせる、など全編に渡ってノスタルジーを感じさせる仕上がりとなっています。ピーターが語りかけるように紡ぐ各章のモノローグも過去を振り返るスタイルで、よりその雰囲気を強くしています。

また、ハリー・オズボーンフラッシュ・トンプソンなどの友人たちに加えグリーン・ゴブリンをはじめ、ライノバルチャーといった敵も登場し、古くからおなじみのキャラクターがその花を添えています。

◆タイトル「ブルー」に秘められた熱い想い

『スパイダーマン:ブルー』は、2002年から2003年にかけて刊行された6本のミニシリーズ単行本にしたものです。作者はジェフ・ローブティム・セイルのコンビで日本でもマーベルやDCコミックの作品で人気のあるクリエイターです。

特に2001年から2003年のマーベル作品『デアデビル:イエロー』『スパイダーマン:ブルー』『ハルク:グレイ』はいずれも各キャラクターの初期の時代のストーリーを描いたものとして知られています。

それぞれ、その色にまつわるジャケットデザインとそのタイトルとストーリーとが関連するようなイメージになっているのは「さすが!」というところでしょうか。
(『デアデビル:イエロー』『ハルク:グレイ』は現在のところ未邦訳です)

本書の場合は“物悲しい”「ブルー」がそのイメージです。

◆友達…片思い…そして

単なる同級生でしかなかったハリー・オズボーン思わぬことから親しくなったピーター。その友人である、ブロンドの髪が魅力的な女性「グウェン」ピーターは心を奪われます。次第にその距離が近づいている……かと思いつつ決定的ではない2人。

一方でメイおばさんを通じて紹介された「メリー・ジェーン(MJ)」。その自由奔放なキャラクターにぐいぐいと押されてしまうピーター思わせぶり? 気になる相手? ただ振り回されているだけ? と読者もMJに引っかき回されているような感じではないでしょうか。

バレンタインデーの夜、パーティをぶち壊した怪人クレイブンと戦ったスパイダーマン。部屋に戻ってきたピーターを待っていたのは、いったい誰だったのか……。

ピーターと同じように、ドキドキしながらページをめくっていただきたいです!

◆このお話の先はといえば

本書では、ストーリー冒頭にブルックリン橋が描かれています。映画『アメイジング・スパイダーマン2』をご覧になった方もご存知のとおりグウェンがその命を落とした場所、です。

この場所を舞台としたお話は『スパイダーマン:ステイシーの悲劇』へと繋がっていくのですが、こちらは8月刊行予定なので、また改めてご紹介することにいたしましょう。

それではまた!


(文責:石割太郎)