2018年7月24日火曜日

見どころ満載!『バットマン:アイ・アム・ベイン』

アメコミ魂をご覧の皆さま、こんにちは!
本日ご紹介するコミックは、見どころ満載の一冊です。『アイ・アム・ゴッサム』『アイ・アム・スーサイド』と続いた"アイ・アム三部作"の最終巻となる『バットマン:アイ・アム・ベイン』です。

トム・キング[作]
デイビッド・フィンチ他[画]
定価:本体2,300円+税
●2018年7月19日頃発売●

収録作品は、表題作"I AM BANE"(邦題:「ベイン襲来」)に加え、バットマンがキャットウーマンにプロポーズする、バットマン史に残るロマンチックな一章"EVERY EPILOGUE IS A PRELUDE"(邦題:「終章、そして序章」)、2017年アイズナー短編部門受賞の珠玉の一篇「忠犬」、そして古典的ホラー・ヒーロー、スワンプシングの嘆傷を描いた「勇者と沃土」と、いずれも好編揃いとなってます。

どのエピソードも面白く、さらにお値段の割にページ数も多く、バットマン好きもそうでない人にもぜひお薦めしたい一冊です。

ではさっそく内容を見ていきましょう!


『バットマン:アイ・アム・ベイン』の見どころ


本書は、スコット・スナイダー[作]とグレッグ・カプロ[画]のコンビで"名作"といわれたTHE NEW 52!バットマンの続編といえるシリーズ(DC REBIRTHシリーズ)作品です。

担当作家は、元CIA対テロ・センター勤務という異色経歴の持ち主で気鋭脚本家のトム・キングと、『フォーエバー・イービル』(小社刊)など重厚な絵柄に定評のあるデイビット・フィンチで、DCリバースの中でも旗艦と位置付けられる本シリーズを任されるだけあって、期待に違わぬ出色となっています。

特にデイビット・フィンチのアートは躍動感と重量感を併せ持ち、バトルシーンの多い本書にふさわしい筆致を披露していると思います。べインの血管の浮き出た隆々とした筋肉、殴ったときの血しぶき、ヴェノムを脳に注入した瞬間の筋肉が膨張する様など、バットマン誌にふさわしいクオリティといえます。

ストーリー的には、本書はTHE NEW 52!の続編とはいえ、特にTHE NEW 52!シリーズを読んでなくても理解できる内容になっています。

しかし、DC REBIRTHシリーズ第1巻となる『アイ・アム・ゴッサム』、第2巻『アイ・アム・スーサイド』の内容は知っていると、本書をより楽しめると思います。
そこで、簡単に前二巻の粗筋をご紹介しておきます。

『アイ・アム・ゴッサム』


デューク・トーマスを新たなサイドキックに従え、ゴッサムの守護者として活動を続けるバットマンの前に、彼に憧れヒーロー活動を始めたメタヒューマン、ゴッサムとゴッサムガールの兄妹が現れた。

驚異的な身体能力、不死身の肉体、超視力を持つ彼らを、バットマンは自らの後継者として育てていくことを考え始めた矢先、神の正気すら奪うことのできるサイコ・パイレートと、彼を操るヒューゴ・ストレンジによって、ゴッサムとゴッサムガールの精神は破壊され、怒りの感情に支配されたゴッサムは暴走を始めた。

相手に応じて自らの力の限界を制御することができるゴッサムを、出動したジャスティス・リーグですら止められない中、ゴッサムガールがゴッサムを殺すことで終止符を打つのだった。

兄を殺したことで完全に精神に異常を来したゴッサムガールを治療するには、サイコ・パイレートの力が必要だ。
バットマンは彼女を救うため、サイコ・パイレートがいるベインの独裁国家サンタ・プリスカ島への潜入を決意した。

『アイ・アム・スーサイド』


バットマンは、政府機関タスクフォースXの長官アマンダ・ウォラーと手を組み、自らのスーサイド・スクワッドを結成した。

選ばれたメンバーは、格闘技の達人ブロンズタイガー、もう一つの人格スカーフェイスの支配下にあるベントリロクイスト、かつてベインの元から脱出したことのあるパンチ、パンチの恋人ジュエリー、そして危険な怪盗キャットウーマンの5人だ。

単身空からサンタ・プリスカに侵入したバットマンは一度はベインに捕まり、かつてベインが17年間を過ごした地下牢に叩き込まれるが、容易く抜け出し、ベントリロクイストとキャットウーマンを裏門から招き入れた。
一方ブロンズタイガーとパンチとジュエリーの三人は、ベインへの面会と称して正門から堂々と施設内部に侵入した。

奮闘の末、洗脳が効かないベントリロクイストの特性を利用して、最終的にバットマンはベインからサイコ・パイレートを奪還することに成功するのだった。

「ベイン襲来」

続いて本書本編のストーリーをご紹介します。

ゴッサムを襲撃したベインは、ディック・グレイソン、ジェイソン・トッド、ダミアン・ウェインの三人をバットケイブに吊るし、キャットウーマン、ブロンズタイガー、デューク・トーマス、ゴードン本部長を誘拐し、バットマンに対しサイコ・パイレートとの交換取引を持ち掛けた。

しかしバットマンとキャットウーマンの計略で、逆に腹心の部下トロッグ、ゾンビ、バードを倒されてしまう。

万策尽きたベインは、サイコ・パイレートを取り戻すために、彼が収監されるアーカム・アサイラムに単身侵入することを余儀なくされる。

しかしこれもバットマンの計画の一部だった…!

アーカム・アサイラムで待っていたのは、バットマンに協力するマクシー・ゼウス、トゥーフェイス、ソロモン・グランディ、アミグダラ、スケアクロウ、ミスター・フリーズ、ファイヤーフライ、ブラックスパイダー、フラミンゴ、マンバット、ザーズ、マッドハッター、ドクター・フォスフォラス、ハッシュ、カッパーヘッド、そしてリドラーといった凶悪ヴィラン達だったのだ。

ベインがサイコ・パイレートとバットマンがいる部屋に辿り着くには、立ちはだかるヴィラン全てを倒さなければならない…!!

…そう、バットマンはヴェノムで増強されたベインと直接戦う不利を考え、アーカム・アサイラムのヴィラン達とベインを戦わせることで、ベインを消耗させて戦いを有利に運ぼうと考えたのです。

この作戦を聞いて、ピンとくる方もいらしゃるでしょう。

1993年に発表された『Knightfall』でベインがバットマンを倒したときに取った作戦への意趣返しです。

『Knightfall』でベインは、バットマンと直接戦っても負けると考え、ジョーカー、スケアクロウ、リドラー、ポイズン・アイビー、マッドハッター、ベントリロクイスト、ファイヤーフライ、ザーズ、アミグダラといったアーカム・アサイラムのヴィラン達を解き放ちバットマンに対処させることで、バットマンを精神的にも肉体的にも弱らせ、最後ベイン自らウェイン邸に乗り込みバットマンの背骨をへし折ったのです。

このようにバットマンを唯一倒した男であるベインの優れた点は、単に強靭な肉体と戦闘力を持つだけでなく、知性も非常に優れている点にあります。

そこで今回、バットマンは入念な準備をした上でベインと対峙することにしたのです。
その結末がどうなったかは、ぜひ本書を手に取ってご覧ください。

"アイ・アム~"に込められた意味

本シリーズの特徴の一つは、その印象的なサブ・タイトルです。

vol1が『アイ・アム・ゴッサム』、vol2が『アイ・アム・スーサイド』、そして本書vol3が『アイ・アム・べイン』です。
このタイトルに込められた意味は何でしょうか。

字面を見れば、それはバットマン以外の実在するキャラクター(ゴッサム、スーサイド・スクワッド、べイン)を指しています。しかし、バットマン誌のタイトルである以上、これらは逆にバットマン自身を指していると考えてよいでしょう。

つまり、まず"ゴッサム"は、THE NEW 52!から続くテーマである"バットマン=ゴッサム、ゴッサム=バットマン"、まさにバットマンのオルターエゴ(分身)であり、アイデンティティ(行動原理)を指すと思います。

続いて"スーサイド"(自殺)は、バットマンの戦い方です。つまり、墜落する飛行機からゴッサムシティと乗客を守るために飛行機の屋根に飛び乗って操縦したり、ゴッサムガールを救うために独裁国家サンタ・プリスカに侵入したりと、まさに命を捨てるかのようなバットマンの戦い方を指していると思います。

そして"べイン"とは、バットマンの生き方を指すと思います。
本書において、"べインの人生=バットマンの人生"を明確に示すシーンがあります。
雨のゴッサムシティで二人が最初に対決するシーンです。母親を失った二人の少年が苦難を乗り越え、仲間を作り、やがて最強のライバルの存在を知るまでの二十数年が、走馬燈のように対比して描かれます。
一見全く違う人生を歩む二人ですが、まさに瓜二つです。

しかし、本質は瓜二つですが、環境においては大きな断絶があります。
片や裕福なお坊ちゃん、片や文字通り地獄の底から這いあがった男。その大きすぎる環境の違いにより、二人が相容れることはやはり不可能なのでしょう。
本書において似たもの同士の二人は、不可避的に決定的な対決の場に引き寄せられるのです。

「終章、そして序章」

このように、"アイ・アム三部作"における裏テーマは、"バットマン=ゴッサム""バットマン=スーサイド""バットマン=べイン"です。そしてそのテーマにおいて描写されるのは、祝福でなく悲劇です。

その哀しい現実は、「ベイン襲来」における戦いのクライマックスで叙述されるブルース・ウェインの母マーサ・ウェインの語り、および全てが終わった後、「終章、そして序章」で描かれる、正気を取り戻したゴッサムガールとバットマンの会話において描かれます。

ここでバットマンは、はっきりと「好きでバットマンをやっているわけじゃない」「バットマンとしての生き方は、私にとって幸せじゃない」と述べます。

なぜ幸せじゃないのか?それはバットマンが「恐れを抱いている」からです。

それに対しゴッサムガールは、「わたしたちは恐怖と戦える」「あなたは何がしたいの?」とバットマンに問いかけます。

この重要な問いかけが、バットマンの何かを吹っ切らせたのでしょう。

この後、ブルース・ウェインはバットマン史に残るであろう重要な行動に出ます。

キャットウーマンへのプロポーズです。

あらゆるバットマンファンに届けたいこの感動的なシーンを見るだけでも、本書は一読の価値があります。


その他の見どころ


バットバーガー

本書冒頭でブルース・ウェインが歴代ロビンたちとランチ・ミーティングをする場所が、なんと「バットバーガー」なるファーストフード・ショップです。

どうやら最近ゴッサムシティにできたバーガーショップらしく、店員はバットマンやワンダーウーマンのコスチュームを着て、メニューは「NIGHT-WINDS(ナイトウィングの手羽先)」「KGBLT(KGビーストのBLTサンド)」、チキンナゲットならぬ「ROBIN NUGGET」、シーザーサラダならぬ「IVY SALAD NOT POISON(毒なし)」、内装もバットマンにちなんだデザインになっていて、おそらく脚本家のトム・キング一流の遊び心だと思われます。

さらにポテトは「Jokerize(ジョーカー化)」できるらしく、緑と赤と白のフレーバーを加えられるそうです。

それにしても、執事に育てられた堅物のブルース・ウェインは、ファーストフード店には超絶場違いで、完全に浮いてます。
ブルース・ウェインがナイフとフォークでハンバーガーを食べようとする様子は、本書冒頭の見どころの一つ(?)ですので、ぜひお楽しみに!

アイズナー賞短編部門受賞作「忠犬」

巻末に収録されている二つの読み切り短編の一つ「忠犬」は、私が特に好きな作品ですが、最初読んだときはお恥ずかしながら意味が分かりませんでした。

簡単に粗筋を紹介すると、ジョーカーが棄てたエースという名の狂犬を、アルフレッドが引き取って、躾(しつけ)するという内容です。

わずか8ページの作品で、最初何が面白いのか分からなかったのですが、最後のページの最終コマでようやく意味が分かり、今では読み返すたびにニヤニヤしてしまいます。

脚本家は本編同様トム・キングです。
上で紹介した「バットバーガー」メニューの小ネタだったり、次にご紹介する「勇者と沃土」の原題が2008年から2011年までカートゥーンネットワークで放送されたバットマンのアニメシリーズ「The Brave and the Bold」をもじった「The Brave and the Mold」であることを考え合わせると、おそらくトム・キングという作家は大変ウィットに富んだ人物なのでしょう。

もしかしたら、彼はバットマン誌にユーモアの要素を持ち込んで、これまでと少し違ったバットマン像を作り上げてくれるかもしれませんね。

「勇者と沃土」

本書最後の短編です。

主人公はスワンプシングという1971年にレン・ウェインとバーニー・ライトソンによって生み出されたキャラクターです。
不朽の名作『ウォッチメン』のアラン・ムーアのアメリカ・デビュー作として描かれたことがあり、また1982年に『怪人スワンプシング/影のヒーロー』、1989年に『怪人スワンプシング』と2度も映画化された往年のカルトホラー・ヒーローです。

スワンプシングの上記の特徴を意識してか、この作品も演出の面で色々と工夫が施されています。

古いサイレント映画のようなクラシックなチャプタータイトルのロゴ、『ウォッチメン』を想起させる均等な9分割のコマ割りと、バナー状の横長5コマのコマ割りを整然と並べて見せることで、作品全体がレガシーな雰囲気を帯びています。

また本章は、本章がUSで発表される2か月前(2017年4月)に他界したバーニー・ライトソンに捧げる作品ともなってます。

古典的キャラであるスワンプシングという主題と相まって、本書の最後を飾るにふさわしい重厚な作品といえるでしょう。


…以上、長文になってしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。見どころ満載の本書の魅力が伝われば幸いです。
今週のアメコミ魂はこのあたりで。また来週お会いしましょう!

(文責:小出)

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2018年7月17日火曜日

今週発売『スペクタキュラー・スパイダーマン:イントゥ・ザ・トワイライト』

アメコミ魂をご覧の皆さま、こんにちは!
毎日うだるような暑さで体調など崩されていないでしょうか?
こんな日は街の上をクモ糸でスイングできたらさぞ気持ちいいでしょうね。

今日取り上げるコミックスは、ニューヨークの街を軽やかにスイングする"親愛なる隣人"スパイダーマン個人誌です。

チップ・ズダースキー[作]
アダム・キュバート他[画]
定価:本体2,300円+税
●2018年07月19日●


アメリカで大好評の「スペクタキュラー・スパイダーマン」シリーズ


スパイダーマン個人誌といえば「アメイジング・スパイダーマン」が主要誌ですが、本誌は2017年8月からスタートしたセカンド・タイトル、「ピーター・パーカー:スペクタキュラー・スパイダーマン」#1-6(プラス#0)をまとめたシリーズとなります。

久々の"スペクタキュラー~"誌となる本シリーズは、2017年5月にフリーコミックブックデイ(※)でマーベルが配布した「特別号」に10Pにわたって収録されたイントロダクション(#0)に始まり、創刊号は23万部以上を売り上げ月間ランキング1位(年間ランキング4位)を獲得するなど、本国アメリカで大いに盛り上がりを見せているシリーズとなっています。

※フリーコミックブックデイとは…

毎年5月の第一土曜日に全世界のアメコミショップで開催され、お店に行くだけでアメコミがタダで何冊も貰えるという、アメコミファンのお財布にやさしいイベントです。

元々は、アメコミファンの裾野を広げ、大人から子供までアメコミファンが年に一度地元のアメコミショップに集まって交流を深めようという目的で、DCコミックス、マーベル・コミックス、ダークホース・コミックス、IDWパブリッシング、BOOM!スタジオ、ダイナマイト・エンターテインメント、イメージ・コミックスなどメジャーからマイナーまでのアメコミ出版社と、アメリカ全土のコミックショップ2,300店以上が協力して実現した企画です。

日本・東京でも秋葉原のブリスターコミックスさんや池袋のヴァースコミックスさんが参加されてますので、来年の5月第一土曜日によかったら足を運んでみてはいかがでしょうか。


「スペクタキュラー・スパイダーマン」誌の歴史


スパイダーマンの"スペクタキュラー~"シリーズとしては、1976~1998年の第1期(#1~263)と、2003年~2005年の第2期(#1~27)に続く、今回が第3期になります。

(※なお、2017年に始まった第3期では当初#1からナンバリングされていましたが、第7号以降は、第1期・第2期と号数を通算し、#297~とナンバリングされており、本国アメリカでは2018年7月現在#307まで続いています。)

「アメイジング・スパイダーマン」以外のスパイダーマン誌としては、スパイダーマンとマーベルヒーロー達がチームアップする「Marvel Team-Up」というシリーズが1972年にありましたが、「スペクタキュラー・スパイダーマン」は3番目のスパイダーマン個人誌として登場しました。

創刊のきっかけですが、当時マーベル・コミックスの経営にも携わっていたスタン・リーが「スペクタキュラー・スパイダーマン」初代脚本家となるジェリー・コンウェイに、「アメイジング・スパイダーマン」の脚本を手掛けてほしいと打診しましたが、レギュラー脚本家としてレン・ウェインが既にいたことからジェリー・コンウェイは断りました。

そこでスタン・リーは、よりスパイダーマンのキャラクター性とピーターの日常生活にスポットを当てた新たなオンゴーイング・シリーズとして「スパクタキュラー・スパイダーマン」の創刊を決意したそうです。


2017年版「スペクタキュラー・スパイダーマン」のコンセプト


現在「アメイジング・スパイダーマン」誌においては、ピーター・パーカーはトニー・スタークばりに巨大IT企業パーカー産業のCEOを務める大金持ちとなっています。

しかし昔ながらのスパイダーマンファンにとっては、何をやっても誤解され、運に見放されたニューヨークの平凡な青年であるピーター・パーカーを懐かしむ気持ちもあります。

そんなファンの要望に応えるべく、"親愛なる隣人"であるスパイダーマン(ピーター・パーカー)への原点回帰を図ったのが、本書「スペクタキュラー・スパイダーマン」シリーズといえます。

本書において、設定自体は「アメイジング・スパイダーマン」と共通で、ピーター・パーカーはパーカー産業のCEOで、スパイダーマンは(表向き)ピーター・パーカーに雇われたボディーガードとなっています。

しかし、本書ではそういった面にあまり触れず、主に描かれるのは、何をやっても少し裏目に出る"パーカー・ラック"の持ち主で、善行をしても"公共の敵ナンバーワン"と誤解される一人の青年、そう我々にとって馴染み深い"親愛なる隣人"なのです。

初期設定に忠実な本シリーズは、昔ながらのスパイダーマンファンにとって親しみやすい内容である一方、スパイダーマンをまだよく知らない新しい読者がこれから入るのにも最適な一冊といえるでしょう。


ヒューマン・トーチ


本書の楽しみの一つとして、「Marvel Team-Up」ばりに様々なマーベルヒーローたちが出てくる点です。

本書を通じてスパイダーマンがコンビを組むのが、ファンタスティック・フォーのヒューマン・トーチです。
年齢が近い若者同士、一緒に映画を見る約束をしたり(結局すっぽかされますが…)、カフェでお茶したり(ピーターのデートをこっそり覗き見するためですが…)と、ピーター・パーカーを"普通の青年"として描くのに欠かせない役柄を演じています。

ヒューマン・トーチことジョニー・ストームは、ニューヨークで実姉のスー・ストームに育てられ、16才のときに、実姉とその婚約者、操縦士の4人で宇宙飛行をした際に超能力を手に入れ、ファンタスティック・フォーを結成しました。

主な能力は、飛行能力と自身の体を発火させ炎を操る能力で、「人間たいまつ」と呼ばれます。
性格はやんちゃなプレイボーイで、本書で披露するピーター・パーカーとの絶妙なコンビで読者を楽しませてくれてます。


他にも出てくる大物ヒーローたち


本書では他にも大物マーベルヒーローが続々と登場してきます。
しかも単なるカメオ出演ではなく、ある程度ストーリーにがっちりと組み込まれている点が読者には嬉しいところです。

アントマン

冒頭スパイダーマンがコソ泥を捕まえる際、ウェブフォームが壊れてピンチ(?)になったところを助けるのが、アントマンです。

アントマンといえば、8/31公開映画『アントマン&ワスプ』で今一番熱いマーベルヒーローですが、アントマンが登場する邦訳コミックスは意外と少ないので、どんなキャラクターか知るのに本書で予習してみるのは如何でしょう?

ブラックウィドウ

MCUで人気のロシア出身女性スパイです。
本書では、夜のビル屋上で突然スパイダーマンを狙撃して襲います。果たしてその理由は?

アイアンハート

本書時点でトニー・スタークに代わって活動する女性アイアンマンです。初登場は『インビンシブル・アイアンマン:ウォーマシン(仮)』で、小社から邦訳版が9/20頃発売予定ですので、もしお財布に余裕があればぜひ予約していただけたら嬉しいです。

▲※原書書影に掲載の女性はメリー・ジェーンで、アイアンハートではありません。

独力でアイアンマンのパワードスーツを開発してしまうほどの天才少女で、上記コミックスでは自分のヒーローネームを何にするか友達に相談する場面が大変微笑ましいです。

カルナク

成人の際テリジェンミストを浴びることで超人的な能力を獲得するインヒューマンズのロイヤルファミリーの一人。格闘術の達人であり、あらゆる人や物の弱点を見抜く目を持っています。

2018年3月に日本でも放送されたドラマ『インヒューマンズ』をご覧になった方は覚えていらっしゃることでしょう。

ドラマの原作ともいうべき1998年刊行のアイズナー賞受賞コミックス『インヒューマンズ』は、小社から同じく2018年3月に刊行され、その中でもカルナクは印象的な役割を演じてますので、こちらも良かったらチェックしてみてください。



デイリー・ビューグル誌元発行人ジェイムソンとの対決


本書では、キングピン、バルチャー、ティンカラーといったスパイダーマンファンにお馴染みの旧敵たちが登場します。
しかし中でもスパイダーマン最大の"天敵"といえば、デイリー・ビューグル誌発行人ジェイムソンではないでしょうか?

1963年の「アメイジング・スパイダーマン」#1から登場し、ことあるごとにスパイダーマンを目の敵にしてきた人物です。
一時ニューヨーク市長の座に就いたこともありましたが、現在は無職で「脅威と迷惑」というスパイダーマンの自警活動を非難する個人ブログを運営しています。

本書でスパイダーマンはついにジェイムソンと対決します!

…対決といっても決闘ではなく、60分一本勝負の独占インタビューにスパイダーマンが応じるのです。
双方の思惑が合致して実現する独占インタビューですが、その結末は要注目です。


以上、今週のアメコミ魂はこの辺りで。最後までお読みいただきありがとうございました。来週の更新もお楽しみに!

(文責:小出)

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2018年7月10日火曜日

邦訳『バットマン』シリーズを時系列で読む!



「アメコミ魂」読者のみなさん、こんにちは!

すでに小社の「海外コミックス カタログ 2017-2018」をお持ちの方や小社のTwitterFacebookをよくご覧になっている方はご存知かもしれませんが、今日は改めて邦訳『バットマン』レギュラー・シリーズの読む順番をお知らせしたいと思います。

来週19日木曜日には、リバースシリーズ“I am”三部作の第3巻『バットマン:アイ・アム・ベイン』が発売され、来月23日には、リバースシリーズにおけるバットマン誌のもう一つの冒険譚『オールスター・バットマン:エンド・オブ・アース』が発売されますので、このタイミングで時系列を整理しておきたいと思います。

邦訳アメコミは、ナンバリングされていないタイトルが多いので、どういう順番で読めばいいのかわからなくなってしまうことがあります。しかも、たくさん刊行されているシリーズであれば尚更ですよね。これから『バットマン』を読もうと思っている読者さんも、途中までは読んでくれていた読者さんも、このリストを活用していただければと思います!


『バットマン』シリーズを読む


現在、小社より刊行した邦訳版のバットマン関連誌は、約50タイトルございます。機会があれば、全体タイトルについて言及していきたいと思いますが、今回は、大型リランチとなった「ニュー52」から始まるレギュラー・シリーズを時系列で整理しておきましょう。



上記の流れになるのですが、文字が小さくて読みにくいかと思いますので、下記に転記します。

●ニュー52シリーズはここから始まるーー梟の法廷編
1)『バットマン:梟の法廷(THE NEW 52!)』
2)『バットマン:梟の街(THE NEW 52!)』
2-2)『バットマン:梟の夜(THE NEW 52!)』

●宿敵ジョーカー登場!ーー喪われた絆編
3)『バットマン:喪われた絆(THE NEW 52!)』
3-1)『ジョーカー:喪われた絆〈上〉(THE NEW 52!)』
3-2)『ジョーカー:喪われた絆〈下〉(THE NEW 52!)』

●バットマンの起源に迫る!ーーゼロイヤー編
4)『バットマン:ゼロイヤー 陰謀の街(THE NEW 52!)』
5)『バットマン:ゼロイヤー 暗黒の街(THE NEW 52!)』

●ニュー52シリーズのクライマックス!
6)『バットマン:真夜中の事件簿(THE NEW 52!)』
#)『バットマン:エターナル〈上〉(THE NEW 52!)』
#)『バットマン:エターナル〈下〉(THE NEW 52!)』
7)『バットマン:エンドゲーム(THE NEW 52!)』
*#)はバットマン生誕75周年イベントの大型企画コミックになりますが、時系列的にはここに入ります。

●失踪したバットマン……物語は終幕へ
8)『バットマン:スーパーへヴィ』
9)『バットマン:ブルーム』
10)『バットマン:エピローグ』

●新章突入! 新たな冒険譚が始まるーーリバース編
11)『バットマン:アイ・アム・ゴッサム』
12)『バットマン:アイ・アム・スーサイド』
13)NEW『バットマン:アイ・アム・ベイン』(7月19日頃発売)

『バットマン:アイ・アム・ベイン』
トム・キング[作] デイビッド・フィンチ、ダニー・ミキ[画]
7月19日頃発売
定価:本体2,300円+税
 ●リバースシリーズのもう一つのバットマン誌『オールスター・バットマン』
『オールスター・バットマン:ワースト・エネミー』
NEW『オールスター・バットマン:エンド・オブ・アース』(8月23日発売)

『オールスター・バットマン:エンド・オブ・アース』
スコット・スナイダー[作] ジョック、フランチェスコ・フランカビラ他[画]
8月23日頃発売
定価:本体2,300円+税

小社のDCコミックスの邦訳コミックスは100タイトルを超えるのですが、その半分を占めているのがバットマン関連作品です。それだけ「バットマン」は日本の読者さんに受け入れられているんだなと感じます。今後もぜひバットマン作品を応援してくださいね!

最後に、来週19日(木)に『バットマン:アイ・アム・ベイン』と同時発売となるマーベル作品もお知らせします。こちらも人気作です! ぜひ2冊ともご一読ください。

『スペクタキュラー・スパイダーマン:イントゥ・ザ・トワイライト』
チップ・ズダースキー[作] アダム・キュバート[画]
7月19日頃発売
定価:2,300円+税


では、また来週!

(文責:田中太)

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2018年7月3日火曜日

2人のスパイダーマンって…誰と誰??

アメコミ魂をご覧の皆様、こんにちは!
本日ご紹介する書籍は、2人のスパイダーマンが次元を超えて初めて出会う物語『スパイダーメン』です。

ブライアン・マイケル・ベンディス[作]
サラ・ピチェッリ[画]
定価:本体2,100円+税
●2018年6月20日頃発売●


「2人のスパイダーマン??」「次元を超えて??」
……どういうこと?

「スパイダーマンといえば、ピーター・パーカーじゃないの?」「何この黒いコスチュームの人?」
……疑問だらけです。

これを理解するには、まずはマーベルの「アルティメット・ユニバース」から理解する必要があります。
……アルティメット・ユニバース?? もう訳分かりませんね^^;

ですが、ご安心ください。

この機会に「アルティメット・ユニバース」「アルティメット・スパイダーマン」について詳しく調べてみました。本書を読む前にこれだけ知っていれば、色々な疑問にくじけずに本書を最後まで読めることでしょう!

やや長文になりますが、ぜひ最後までお付き合いくださいませ。


アルティメット・ユニバースとは?


マーベル多元宇宙について


マーベル・ユニバースは一つではありません。我々のよく知るマーベル・ヒーローが活躍するいわゆる"正史"と呼ばれるメイン・ストリーム(「アース616」)とは別に、スパイダー・グウェンがいる「アース65」、スパイダーハムがいる動物の世界「アース8311」、マーベル・シネマティック・ユニバースの世界「アース199999」などが存在し、多元宇宙(マルチバース)構造となってます。
ちなみに、私たちが住むこの現実世界は「アース1218」という設定です。

こういった多元宇宙の中でも、正史に次いで奥行きある幅広い世界を構築しているのが、本書の舞台になっているマイルズ・モラレス版スパイダーマンが活躍する「アルティメット・ユニバース」(「アース1610」)です。

アルティメット・ユニバースが生まれたわけ


なぜこのような多元宇宙が生まれたのでしょうか。

それは、1939年からマーベルの正史世界が何十年にもわたって脈々と積み重ねられた結果、一方で設定が複雑になりすぎて新規読者が入りずらくなり、一方で築き上げた設定に縛られストーリーがマンネリ化してきたことにより、90年代にコミック市場が大きく低迷したためです。

この状態を打破するため、マーベルは既存の正史世界を残しつつ、「マーベルのヒーローが実際に今、現実にいたらどうなるか」というテーマを突き詰め、よりリアリティのある娯楽性の高い作品レーベルとして世に送り出したのが「アルティメット・ユニバース」です。

この取り組みは成功を収め、特にそのリアリティのある世界観やビジュアル、深みのある人物描写、読者を飽きさせないテンポよい展開は、『アベンジャーズ』などのマーベル・シネマティック・ユニバースに多大な影響を与え、今日のマーベル人気への貢献度は大といえるでしょう。

そして、2000年に始まった「アルティメット」シリーズの第一弾としてリリースされたのが『アルティメット・スパイダーマン』です。


スパイダーマン史の概略


このアルティメット・スパイダーマンは、正史と同じくピーター・パーカーを主人公として始まりましたが、シリーズが進むにつれ少しずつ正史とは異なる歴史を辿っていくことになります。

それはおそらく、正史版スパイダーマンにおいてファンの共感を得られなかった出来事や、時代に合わない設定を刷新したためだと思われます。

アルティメット・スパイダーマンを理解するには、正史世界のスパイダーマン史の概略だけでも知っていると、その違いが分かりより楽しめます。

そこで、まずは正史スパイダーマンにおいて、いつどんな出来事が起こったのか、歴史を紐解いていきたいと思います。

正史世界(アース616)のスパイダーマン


●『アメイジング・ファンタジー』#15(1962年)
ニューヨーク・ミッドタウンで親戚のメイおばさんとベンおじさんに育てられた高校生のピーター・パーカーは、見学に行った研究所の実験中に特殊なクモに噛まれ、特殊な能力を得てスパイダーマンとなる。
さらに、自作の「ウェブ・シューター」とコスチュームを着て、テレビ出演して人気者になる。
しかし、たまたま見逃した強盗がベンおじさんを殺害したことにより、「大いなる力には大いなる責任が伴う」ことを学ぶ。
この記念すべきエピソードは、小社刊『ベスト・オブ・スパイダーマン』に掲載されてますので、機会がございましたらぜひご覧ください。


●『アメイジング・スパイダーマン』#2(1963年)
ピーターは、スパイダーマンの能力を生かしヴィランの写真を撮り、「デイリー・ビューグル」社に写真を売ってお金を稼ぎ始める。

●『アメイジング・スパイダーマン』#28(1965年)
ピーターがミッドタウン高校を卒業。

●『アメイジング・スパイダーマン』#31(1965年)
ピーターがエンパイア・ステート大学に入学。同級生のグウェン・ステイシーやハリー・オズボーン、マイルズ・ウォーレン教授らと知り合う。

●『アメイジング・スパイダーマン』#42(1966年)
ピーターがメリー・ジェーンと初めて顔を合わせる。

●『アメイジング・スパイダーマン』#90(1970年)
グウェンの父であるジョージ・ステイシー警部が、スパイダーマンとドクター・オクトパスの戦いに巻き込まれ殉職。

●『アメイジング・スパイダーマン』#121(1973年)
グウェン・ステイシーが、スパイダーマンとグリーン・ゴブリンの戦いの最中に首の骨を折って死亡。

●『アメイジング・スパイダーマン』#149(1975年)
グウェンを恋慕していたマイルズ・ウォーレン教授である怪人ジャッカルが、スパイダーマンのクローン体を作り本物と戦わせる。敗れたクローン体は消滅した(と思われた)。

●『アメイジング・スパイダーマン』#185(1978年)
ピーターがエンパイア・ステート大学を卒業。

●『アメイジング・スパイダーマン』#257(1984年)
メリー・ジェーンが、スパイダーマンの正体を昔から知っていたとピーターに告白。

●『アメイジング・スパイダーマン』#258(1984年)
スパイダーマンが別の惑星で手に入れた強力な黒いスーツが、エイリアン共生体「シンビオート」であることが判明し、決別する。裏切られたと感じたシンビオートはスパイダーマンに復讐を誓う。

●『アメイジング・スパイダーマン』#290-292(1987年)
ピーターはメリー・ジェーンにプロポーズし、最初ためらっていたMJも結婚を決意する。

●『アメイジング・スパイダーマン・アニュアル』#21(1987年)
ピーターとメリー・ジェーンが結婚。

●『アメイジング・スパイダーマン』#298(1988年)
スパイダーマンから離れたシンビオートが元新聞記者のエディ・ブロックと融合してヴェノムが誕生。

●『アメイジング・スパイダーマン』#344(1991年)
ヴェノム共生体の一部が連続殺人鬼クレタス・カサディと融合してカーネイジが誕生。

●『ウェブ・オブ・スパイダーマン』#118(1994年)
『アメイジング・スパイダーマン』#149で死んだと思われたクローン体、ベン・ライリーがピーターの前に現れ「スカーレット・スパイダー」としてヒーロー活動を開始する。以後2年に及ぶ「クローン・サーガ」開幕。

●『スペクタキュラー・スパイダーマン』#226(1995年)
実はベン・ライリーの方が本物で、ピーター・パーカーの方がクローン体だったと判明する!

●『スペクタキュラー・スパイダーマン』#229(1995年)
ピーターは引退を決意し、スパイダーマンの座をベンに譲る。

●『スパイダーマン』#75(1996年)
やはりピーターが本物でベンがクローン体だったという真実が明らかとなる。ベンはピーターをかばって死亡。「クローン・サーガ」完結。

●『ニューアベンジャーズ』#1(2005年)
スパイダーマンがアベンジャーズの正規メンバーとなる。トニー・スタークはピーターを自らの後継者として育てようと決意する。

●『シビル・ウォー』#2(2006年)
トニー派としてピーターは超人登録法に賛成し、政府側につく。15才からスパイダーマンをやっていたとマスコミの前で公表。
なお、この公表および後のトニー・スタークとの決裂によるMJとメイおばさんの警護解除を一因として、メイおばさんがキングピンが雇った殺し屋に狙撃され重傷を負う。

●『アメイジング・スパイダーマン』#544-545(2007-2008年)
大型クロスオーバー・イベント「ワン・モア・デイ」開始。メイおばさんを救うため、ピーターはMJとの「愛」と引き換えに大悪魔メフィストと取引をする。これによりMJとの結婚、メイおばさんの負傷、「世間に正体を明かしたこと」などの出来事が消滅する。
この一連の出来事は、邦訳版『スパイダーマン:ワン・モア・デイ』(小社刊)で読むことができます。


●『アメイジング・スパイダーマン』#546(2008年)
世界中の人々はスパイダーマンの正体を知らない状態に戻った。ピーターは独身に戻りメイおばさんと暮らし始め、独身に戻ったMJも西海岸で一人暮らしを始める。
設定を変更した"新しい"スパイダーマンシリーズは、邦訳版『スパイダーマン:ブランニュー・デイ1~3』(小社刊)にまとめられてます。


●『スパイダーメン』#1-5(2012年)
異次元のスパイダーマンであるマイルズ・モラレスと出会う。(*本書)
正史世界であるアース616とアース1610が初めてクロスオーバーした歴史的事件となる。

●『アメイジング・スパイダーマン』#682-687(2012年)
ドクター・オクトパスが臨終の時を迎える。

●『アメイジング・スパイダーマン』#698-700(2012-2013年)
ピーターとオクトパスの肉体が入れ替わり、ピーターは末期状態のオクトパスの肉体のまま命を落とし、ピーターの体に入ったオクトパスが生き残るという結末を迎える。アメイジング・スパイダーマン誌一旦終了。

●『スペリオル・スパイダーマン』#1-31(2013年)
ピーターの体に入ったドクター・オクトパスが新たなスパイダーマンとして活動開始。様々な装備を開発し、パーカー・インダストリーズを設立。数々の戦いの後、ドクターオクトパスは自分よりピーター・パーカーこそスパイダーマンとして優れていると認め、肉体をピーターの精神に明け渡し消滅。

●『アメイジング・スパイダーマン』#1-18(2014-2015年)
新シリーズがリランチ。#9-15では、様々な次元のスパイダーマンが集結、共闘する「スパイダーバース」イベントが行われる。

●『アメイジング・スパイダーマン』#1-32(2015-2017年)
さらに新シリーズがリランチ。スパイダーバースから帰還したピーターは、パーカー・インダストリーズを巨大企業へと成長させ、ピーターとしてもスパイダーマンとしても大成功を収め今に至る。

……いかがでしょうか。50年に及ぶスパイダーマンの歴史のほんの概略ですが、私自身こうやって整理してみると、正史世界のスパイダーマンを大分理解できたように感じます。

続いてアルティメット・ユニバースのスパイダーマン史をご紹介します。

アルティメット・ユニバース(アース1610)のスパイダーマン


【初代スパイダーマン】

●『アルティメット・スパイダーマン』#1-7(2000-2001年)
15才のピーター・パーカーは、オズボーン産業が遺伝子改良を施したクモに噛まれ、クモに似た超能力を手に入れ、スパイダーマンとしての活動を始める。ベンおじさんが強盗に殺される。

●『アルティメット・スパイダーマン』#13(2001年)
ピーターは密かに恋心を抱くメリー・ジェーンに自分の正体を告白する。

●『アルティメット・スパイダーマン』#14(2001年)
ピーターが通う高校にグウェン・ステイシーが転校してくる。

●『アルティメット・スパイダーマン』#28-32(2002-2003年)
グウェンの父親ジョン・ステイシー警部が死亡。ジョンの元妻は娘を引き取ることを拒否したため、グウェンはパーカー家で居候を始める。

●『アルティメット・スパイダーマン』#33-39(2003年)
ピーターの父親が開発していた特殊スーツが、大学生のエディ・ブロックと融合してヴェノム誕生。

●『アルティメット・スパイダーマン』#54-59(2004年)
グウェンがスパイダーマンの正体に気づく。

●『アルティメット・スパイダーマン』#60-65(2004年)
カート・コナーズ博士がピーターのDNAを使ってカーネイジを作り出す。グウェンがカーネイジに生命力を吸い取られて死亡。

●『アルティメット・スパイダーマン・アニュアル』#1(2005年)
メリー・ジェーンと別れたピーターが、X-MENのキティ・プライドと交際開始。

●『アルティメット・スパイダーマン』#97-105(2006-2007年)
ドクターオクトパスがピーターのDNAを使って複数のクローン体を作り出す。グウェンとカーネイジのハイブリッド体がクローンとして復活。ピーターはメイおばさんに自分の正体を明かす。

●『アルティメット・スパイダーマン』#123-128(2008-2009年)
ヴェノムがカーネイジの共生体を吸収・融合。それによりグウェンは普通の人間に戻る。

●『アルティメット・スパイダーマン』#155(2011年)
ピーター16才の誕生日を迎える。

●『アルティメット・スパイダーマン』#156-160(2011年)
「アベンジャーズvs.ニュー・アルティメッツ」事件に巻き込まれ重傷を負ったスパイダーマンは、ゴブリンら宿敵たちに襲撃を受け、最後ゴブリンと相討ちになり、メイおばさんたちに見守られつつ息を引き取る。


【二代目スパイダーマン】

●『アルティメット・コミックス:オールニュー・スパイダーマン』#1-5(2011-2012年)
ピーター死亡の11か月前、マイルズ・モラレス少年はオズコープ研究所から盗み出された遺伝子改良されたクモに噛まれ、ピーターと同じ超能力を手に入れる。数か月後、ピーターが死亡する現場を目撃したマイルズは、彼の遺志を継いでスパイダーマンになることを決意する。シールドのニック・フューリー長官から黒いコスチュームを与えられる。

●『スパイダーメン』#1-5(2012年)
マイルズは異次元から来たピーター・パーカーと出会う(*本書)

●『アルティメット・コミックス:オールニュー・スパイダーマン』#13-18(2012-2013年)
マイルズはメイおばさんとグウェンから、ウェブ・シューターを手渡される。キャプテン・アメリカがアメリカ臨時大統領に就任するとともに、マイルズはアルティメッツ(アルティメット・ユニバース版アベンジャーズ)に加入する。

●『アルティメット・コミックス:オールニュー・スパイダーマン』#19-22(2013年)
マイルズとヴェノムの戦闘中、マイルズの母親リオが警官の放った流れ弾に当たって死亡する。マイルズはスパイダーマンとしての活動から引退する。

●『アルティメット・コミックス:オールニュー・スパイダーマン』#23-28(2013年)
母の死から1年、14才になったマイルズは再びスパイダーマンのコスチュームを着る決意をする。

●『マイルズ・モラレス:アルティメット・スパイダーマン』#1-7(2014-2015年)
死んだはずのピーター・パーカーが生きていることが発覚。ピーターはスパイダーマンの座をマイルズに託し、メリー・ジェーンとともに旅立っていく。

●『アメイジング・スパイダーマン』#9-14(2015年)
異世界のスパイダーマンが一同に会するクロスオーバー・イベント「スパイダーバース」にマイルズも参加。

●『マイルズ・モラレス:アルティメット・スパイダーマン』#8-12(2015年)
アース616の地球とアース1610の地球が衝突して、二つのユニバースが一時的に消滅する。この場面は『デッドプールVol8:オール・グッド・シングス』(小社刊)でも描かれていた。

●『シークレット・ウォーズ』#1-9(2015-2016年)
アース616の地球とアース1610の地球が衝突したことによって複数の異世界が融合して一つになる。これによりマイルズは正史世界の住人となり、正史世界に2人のスパイダーマンが存在することとなった。

●『スパイダーマン/デッドプール』#2(2016年)
正史世界でピーターとマイルズ(それとデップー)が共闘する。詳しくは『スパイダーマン/デッドプール:ブロマンス』(小社刊)をご覧ください。



……以上になります。ふぅ、膨大な歴史に目がくらみますね。調べる方もかなり大変でしたよ……。

というのは本当は嘘で、実はアルティメット・スパイダーマンの歴史については、訳者の高木亮氏による本書封入解説にこれ以上ないくらい詳しくまとめられていたんです。私はそこから抜粋しただけでした(๑≧౪≦)
(これでも、ほんの一部です。)

細かい文字で6ページに渡って、アルティメット・ユニバースからアルティメット・スパイダーマンの歴史まで網羅したこの解説書を読むだけでも、本書は一見の価値ありです。

以上、今週のアメコミ魂はここまでとさせていただきます。最後までお読みいただきありがとうございました!来週またお会いしましょう。

(文責:小出)

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