今回ご紹介するタイトルは『バットマン・インコーポレイテッド:ゴッサムの黄昏』です!
▲『バットマン・インコーポレイテッド: ゴッサムの黄昏』 グラント・モリソン[作] クリス・バーナム[画] 定価:本体2,400円+税 ●1月28日頃発売● |
こちらの邦題には、“黄昏”という言葉を用いて前巻の“曙光”と対比させるというコンセプトです。
ここで本書までの復習も兼ねて、最終章を簡単に振り返ってみたいと思います。
『バットマン:インコーポレイテッド』 定価:2,600円+税 ●小社より絶賛発売中● |
その戦いの舞台はゴッサムシティから世界各国、または宇宙にまでスケールアップしており、これほどまでに大規模な展開は、実に物語のクライマックスにふさわしい内容です。
さらに“リバイアサン”との戦いは家族の絆が関係していることもあり、これまでとはまた違った奥深さがあります。
『バットマン・インコーポレイテッド: デーモンスターの曙光』 定価:2,200円+税 ●小社より絶賛発売中● |
“リバイアサン”との戦いの舞台を世界からゴッサムシティに移し、ブルース・ウェインと息子のダミアン・ウェインとの絆に焦点を当てた内容になっています。
それは、息子ダミアンこそが、“リバイアサン”を統率するタリアとブルースの間の愛の結晶であるからです。
破壊神と化したタリアの攻撃は一層激しさを増し、バットマンにとって大切なものをすべて奪い去り、さらにはダミアンすらも奪おうとします。
母親と父親、その両者の板挟みとなったダミアンの思いとは?
ゴッサムシティか? 息子か? この究極の選択に、バットマンはどうするのか……。
アクションとミステリーとサスペンスの三拍子が揃ったストーリーで、読み応えのある作品になっています。
そして、完結にあたる本書ではバットマンとタリアの戦いはクライマックスを迎えます。
大勢のリバイアサン軍を率いたタリアは、とうとうゴッサムシティを支配してしまいます。
そこでダミアンも、ロビンとして父親を守ろうと、ナイトウィングとともに宿命のライバルと対決することに! その宿命のライバルとは一体!?
それから、いよいよバットマンとタリアの最終決戦が行われます! その行く末は!?
ぜひ本書をお手に取っていただき、その結末を目撃してください! 戦いに幕を閉じることとなる、衝撃的な出来事にきっと読者のみなさまも驚かれることでしょう。
バットマンと宿敵タリアの間には息子がいたという衝撃的な事実で、スタートしたグラント・モリソンの新サーガ。
ダミアンは、母であるタリアに世界を制するよう育てられましたが、悪の帝国の後継者という地位を拒否し、ブルースに引き取られヒーローとしての道を学び始めます。
本書の巻末には、グラント・モリソンによる後書きが収録されていますが、その中にはこの一連のストーリーはバットマンの物語であると同時に、ダミアンの物語でもあったとあります。
新サーガの主要テーマである、“親子関係”を明確に象徴する、息子ダミアンの成長こそが物語により深みを与えている要因なのかもしれません。
そのサーガの壮大なドラマを簡単に振り返ることができる一連の流れも巻末に収録していますので、この機会に過去作品もチェックしてみてください。
また、メインエピソードの後は数話のサイドストーリーも収録しております。
その中でも、原書のBATMAN INCORPORATED #11にあたるエピソードの“幕間:掌の小鳥”では、『バットマン:インコーポレイテッド』にも登場した、治次郎ことバットマン・ジャパンの活躍が描かれています。
彼の相棒は、スーパーヤングチームという、日本に存在するスーパーヒーロー集団のクレイジー・シャイ・ロリータ・キャナリーという、身長15cmほどで背中に翼のあるセーラー服を着た女性です。
コスチュームがセーラー服という設定がいかにも、日本をイメージしていますね。
このストーリーは、5人組の暴走族が東京都内で大騒動を引き起こしているという場面から始まり、ところどころに外国から見た日本が描写されています。
台詞のなかに“ハチ公像”や“浅草寺”、“東京タワー”といったワードが出てくるところも注目してみてください。
そのほか、エル・ガウチョを初めとしたインコーポレイテッドの国際色豊かなヒーローの短編エピソードを集めた、“バットマン・インコーポレイテッド・スペシャル”も収録されており
本タイトルとはまた違った雰囲気を楽しむことができます。
『バットマン・インコーポレイテッド:ゴッサムの黄昏』は1月28日発売予定です。
長大なサーガの完結を、是非お見逃しなく!
それではまた次回に。
(文責:渡辺直経)