2018年5月22日火曜日

大人気『スパイダーマン/デッドプール』シリーズ最新刊にして完結編、本日発売!!

「アメコミ魂」をご覧のみなさま、こんにちは!
本日いよいよ、人気シリーズ『スパイダーマン/デッドプール』の第4弾(vol.3)となる『イッツィ・ビッツィ』が発売されます。

ジョー・ケリー[作]
エド・マクギネス[画]
定価:本体2,100円+税
●2018年5月23日頃発売●

vol.3といいつつ、こちらvol.1『ブロマンス』の続刊になります。
大事なことなのでもう一回いいます。
『イッツィ・ビッツィ』は『ブロマンス』の続刊です!


"スパデプ"シリーズの整理


小社"スパデプ"シリーズはこれまで、vol.0『プロローグ』(2017年7月)、vol.1『ブロマンス』(2017年9月)、vol.2『サイドピース』(2018年2月)と邦訳本を刊行してきましたが、『プロローグ』は過去の共演作を再収録したオムニバス・アンソロジー『サイドピース』は様々な作家陣による読み切り短編集という性格でした。

ですので、続き物のストーリー作品としては『ブロマンス』と『イッツィ・ビッツィ』が一続きに繋がっており、かつ、ジョー・ケリーとエド・マクギネスの作家陣が送る物語としては完結編になります。

ではまずはvol.1『スパイダーマン/デッドプール:ブロマンス』のストーリーを簡単におさらいしましょう。


デッドプールがピーター・パーカーを殺した!?

大好きなスパイディの正体がピーター・パーカーだと知らないデップーが、ピーターが非人道的な人体実験を行っていると誤解し、ピーター・パーカー殺害依頼を受けて彼を殺します(マジで!?)

しかし誤解に気付いたデップーは辺獄に行きピーターを生き返らせます。
そして、事件の黒幕ミステリオと彼を裏で操る新たな強敵、ペイシェント・ゼロの隠れ家をスパイダーマンとともに襲撃しました。

ペイシェント・ゼロは本シリーズ初登場のヴィランで、得意分野は遺伝子操作やDNA接合です。そんな彼が謎の美女にスパイディーとデップーの血液を輸血しているシーンで前巻は終わりました。

あ、それから大事なことを書き忘れましたが、最後から2P目で、デップーが元のイケメン顔に戻りました。
……理由は不明です。

以上を踏まえて、『イッツィ・ビッツィ』の見どころをご紹介していきます。

なお、本ブログでは本書のネタバレを少し含みます。とはいえ本当のクライマックスは伏せますので、まだ本書を買おうか迷ってる方は本ブログをぜひ参考にしてみてください。


アメコミあるある


冒頭、新たなヴィラン・チームが登場します。その名も"ヘイトフル・ヘキサッド"



野性味あふれるというか、動物そのものなヴィランたち!
私にとって初見のキャラです。

しかし、アメコミあるあるですが、本書封入の解説書を見ると、私が知らないだけで実はそれぞれ歴史あるキャラたちだったりします。
フムフム。勉強になります。
この後スパデプ相手にどんな立ち回りを見せるのか、展開に胸膨らみます。

と思ってページをめくると突然「2日前の夜」へ。
アメコミあるあるですね^^;

シクラーとデップーが夫婦喧嘩!どうやら最近のデップーは良い人すぎて、魔女のシクラーからすると物足りないようです。


価値観の相違、すれ違い、離婚の危機!?
前巻でもその気配がありましたが、いよいよ夫婦生活に破たんの兆しが見えます。
二人の結婚生活はどうなってしまうのか!?

……と思ってページをめくると「再び今日」。
アメコミあるあるな、この「付いてこれる奴だけ付いてこい!」的な展開の速さ、私は嫌いではありません。

さて話は戻ってヘイトフル・ヘキサッドとのバトルですが、見た目とは裏腹にスパイディとデップーに一方的にやられるヘイトフル・ヘキサッド……だけじゃなく、突然何者かに惨殺されてしまいます。
……どうやら彼らは、本書初出の超重要キャラの登場を盛り立てるモブキャラにすぎなかったようです。
そう、その真打キャラとは、スパイディとデップーの血を引く彼らの娘(む…娘!?)、"イッツィ・ビッツィ"なんです!


初見参!イッツィ・ビッツィ


このイッツィ・ビッツィ、本書発売前から一部ファンの間で「デップーとスパイディの間に娘ができる!?」と話題になっており、一体どんなキャラなのか、私も楽しみでした。

彼女の姿は本書冒頭の見どころで、アメコミ初心者によるブログと言えどもこれを見せたら「おい、ネタバレいい加減にせいよ!」と怒られそうで躊躇しますが、これを見せないと話がここで終わってしまうので、見せます!

※ネタバレですので、見たくない人はここでスマホのスクロールを止めて、戻るボタンを押してくださいね!


"小さなクモさん(イッツィ・ビッツィ)、雨どいを登っていったよ…"


"雨がふって…"


"…クモさん、流された"


と、歌を口ずさみながら不気味に登場する彼女を風貌は……


コチラ!

















インパクト大!

想像していたのとなんか大分違います。

腕が6本に目が6つは蜘蛛のDNAなんでしょう。
(お父さんより蜘蛛要素が多いのは隔世遺伝?)
カタナ2本をしょっているのはデップー要素ですが、コレ遺伝とは関係ないですよね。
金髪モヒカン、青い肌は誰に似たのでしょうか?

ちなみに全体の風貌も相当グロいですが、赤いマスクの下はもっとグロいです。


ページがカラーだとグロい絵がさらに強調されるのもアメコミあるあるです。

イッツィ・ビッツィは、先ほど『ブロマンス』の粗筋の最後で紹介した謎の美女が変貌した姿です。

▲元の姿はコチラ(下で寝ている女性)

すごい変わりようですね。

ちなみに「イッツィ・ビッツィ」とは元々アメリカの童謡の題名(『ITSY BITSY SPIDER』)で、YOUTUBEで検索したら出てきます。
こんな歌です。



かわいらしい曲ですね。
しかし、本書のイッツィ・ビッツィは似ても似つかぬ雰囲気です。

そしてその戦闘力も見た目に違わず超強い!
スパイダーマンの俊敏性とデッドプールの殺傷能力を併せ持つんですから、そりゃ強いわけです。
二人がまったく歯が立ちません。


「正義」とは?「悪」とは? 深いテーマ性


『スパイダーマン/デッドプール』の魅力って、皆様ぶっちゃけどう感じていらっしゃいますか?
もちろん感じ方は人それぞれですが、私個人的には、対照的な性格の二人が織りなす漫才のようなハチャメチャなノリが、単純に楽しい!てところだと思うんです。

ですが、本書はそれだけじゃない!

ここで本ブログ第二のネタバレ的トークに入りますが、本書中盤辺りから、「正義」とは何か「悪」とは何かという結構深いところをグイグイ攻めて来るんです。

本書で二人はイッツィ・ビッツィという最強の敵に遭遇します。しかも彼女は彼らの血を分けた存在でもあるんです。
いつもみたいに、二人で冗談言い合いながら戦って勝てる相手じゃなく、相手を本気で殺す気で立ち向かわなければとてもじゃないけど勝ち目はありません。

こういうとき、いつもだったらデッドプールが「悪い奴らは皆殺しすればいいじゃん♥」って軽口叩くのに対して、スパイダーマンが「絶対ダメだ!」って止めるはずですよね。

ですが本書では、スパイダーマンの方が「彼女を殺さなければ、罪のない多くの人たちに犠牲が出る、だから僕が殺さなきゃ」と思いつめ、それに対してデッドプールが「スパイディ、おまえはそんな奴じゃない。どんな理由があろうと人を殺すなんて間違えてる!」と説得します。


これってまるで、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』でスーパーヒーローの活動を国際政府組織の監視下に置いて規制しようとする「ソコヴィア協定」に対し、本来人一倍個人主義なトニー・スタークが賛成し、学級長タイプで愛国心旺盛なスティーブン・ロジャースが反対するという反転を見ているようで、"スパデブ"が単に笑えて楽しいだけのコミックスじゃないんだなと居住まいを正す気持ちになりました。


果たして黒幕は?


さらに本書は、『ブロマンス』で暗示された多くの謎・伏線に対し、最後の方で怒とうのごとく回収していきます。
デッドプールとスパイダーマンを深く憎むペイシェント・ゼロの正体は? 憎む理由は?
さらにその裏には、さらなる巨悪の思惑が隠されてるのかもしれません。

"スパデプ"シリーズをvol.3まで読んで思うのは、ジョー・ケリーの見事な脚本によりストーリーも超スゲー!という点です。

「アメコミ魂」の記事でシリーズ作品を紹介するときに、よく「本書は前作を読んでなくても理解できます!」的なことを言うことが多い気がしますが、本書については、「ぜひ、vol.1『ブロマンス』を読んでから本書を見て下さい!」とお伝えしたいです。
……そして、理由は言いませんが、vol.0『プロローグ』も読んだ方がきっと深いカタルシスを味わえることでしょう。


アイアンスパイダースーツ登場!?


最後に個人的に「うおぉっ」と興奮したのが、イッツィ・ビッツィとの最終決戦に挑むスパイダーマンのスーツが超クール・超ハイスペックだった点です。


あたかも『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』でスパイダーマンが身に着けていたアイアンスパイダースーツみたいです。
この最新式スーツをまとったスパイダーマンvs.イッツィ・ビッツィvs.デッドプールの三つ巴バトルシーンは必見です!

なお、ジョー・ケリー&エド・マクギネス版スパデプ完結編にふさわしく最後、感動的なラストシーンもあります。
見どころたくさんの『スパイダーマン/デッドプール:イッツィ・ビッツィ』、2018年イチオシタイトルなんじゃないでしょうか。ではまた来週!


……来週は『デッドプール2』映画公開記念に『デッドプール:エンド・オブ・エラー』をご紹介する予定です。こちらもお楽しみに!
 

(文責:小出)

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