グラント・モリソンのバットマン新サーガもいよいよクライマックスに突入!……ということで、今回はただいま絶賛発売中の『バットマン:インコーポレイテッド』を紹介させていただきます。
▲『バットマン:インコーポレイテッド』 グラント・モリソン[作] ヤニック・パケット他[画] 定価:本体2,600円+税 ●好評発売中!● |
・ミスター・アンノウン……日本のクライムファイターである彼をスカウトしようとするバットマンだが、同時に恐るべきヴィラン“死神男”の魔の手も迫っていた。
・エル・ガウチョ……その正体はアルゼンチンの裕福な馬主。“誰の部下にもなる気はない”とバットマンの誘いを断るが、彼には決してバットマンに知られてはならない秘密があった。
・フード……イギリス政府の特殊工作員。世界を破滅させるほど危険な究極兵器があるという、フォークランド諸島に現れる。
・バットウィング……アフリカの王族の末裔。“ニュー52”立ち上げ時には、彼を主人公にしたシリーズも創刊された。
・ナイトランナー……パルクールの達人であるイスラム系フランス人。小社で刊行された『バットマン:ゲート・オブ・ゴッサム』には、彼のオリジンストーリーが収録。
・ブラックバット……元バットガールであるカサンドラ・ケインが改名。香港で密偵活動に勤しんでいる。
・マン・オブ・バッツ……一人息子であるリトル・レイブンをサイドキックにして、ネイティブアメリカンの居留地を守る。
……などなど、じつに国際色豊か。さらにキャットウーマン、バットウーマン、バットガール、オラクル、アウトサイダーズといったバットマン系キャラの面々はもちろん、バットマン型ロボット“ロバット”まで戦線に参加!
また、『インコーポレイテッド』とちょうど同じ頃に『ディテクティブコミックス』で連載されていた物語が『バットマン:ブラックミラー』――というわけで、当時の新生ダイナマイト・デュオも登場、つまり二人のバットマンが活躍することになります。
個人的なおすすめエピソードは、上記マン・オブ・バッツを主人公にした第7章「癒しの兵士」。貧困にあえぐアメリカの地方都市で、医者と兼業しながら、“低予算のバットマン”として自分の部族を守るマン・オブ・バッツ。しかし、麻薬を売りさばく小悪党をピックアップトラックの“バッツモービル”で探すような日々に、息子リトル・レイブンはウンザリしていた。地元でくすぶっているうちに、ティーンタイタンズにも入れない年齢になってしまうと不満を訴え、父子の溝は深まるばかりだったが……。壮大なスケールの抗争がスピーディーに描かれるなか、一見異色とも思える地に足のついた物語ですが、テーマと展開、両方の面で見事に作品全体と有機的に結びついていて、さすがモリソン!とうなりました。
グラント・モリソンはその著書『スーパーゴッズ』の中で、“……私は物語をますます圧縮させ、個々のエピソード、毎月刊行される雑誌の各号、さらにすべてのコマをイベントに仕立てようとした”……と書いています。
▲『スーパーゴッズ アメリカン・コミックスの超神たち』 グラント・モリソン[著] 定価:本体3,800円+税 ●好評発売中!● |
世界的な広がりを見せるリバイアサンとの戦いは、本書で一つの山を越えつつもまだまだ続きます。しかし、ここで気になることが一つ――そう、2011年の夏に起こったDCコミックスの一大リランチ“ニュー52”の存在です。じつは新サーガ第3部は、ニュー52を経たユニバースで続行するのです!
小社では……
・第2巻=『バットマン・インコーポレイテッド:デーモンスターの曙光』
▲『バットマン・インコーポレイテッド: デーモンスターの曙光』 ●2014年12月発売予定● ※原書イメージ |
▲『バットマン・インコーポレイテッド: ゴッサムの黄昏』 ●2015年1月発売予定● ※原書イメージ |
ではでは、今回はこのへんで。
(文責:中沢俊介)