先月『デッドプール Vol.1:デッド・プレジデント』(以下、Vol.1)を刊行し、本日『デッドプール Vol.2:ソウル・ハンター』(以下、Vol.2)が発売になりました!
ということで、今回はVol.1とVol.2の見どころをつるべ打ちでお届けしたいと思います。
『デッドプール Vol.1:デッド・プレジデント』 ジェリー・ダガン、ブライアン・ポゼーン[作] トニー・ムーア[画] 定価:本体1,800円+税 ◆好評発売中◆ |
「マーベル・ナウ!」とは、マーベル・コミックスが2012年秋に立ち上げた新ブランドで、従来のキャラクターや作品の設定を引き継ぎつつ仕切り直したシリーズのことです。
このシリーズの立ち上げにともない、デッドプールを含めたマーベルの主要キャラクターがリニューアルされました。デッドプールを例に取ると、それ以前にあった多重人格設定がなくなり、代わりに脳内に別のキャラクターが居候しているという設定が与えられている……という感じです。
個々のキャラクターの歴史が古く、設定が複雑化しているために手に取りづらいという難点がアメコミにはありますが、このシリーズのおかげで、これから読み始めたい人でも手に取りやすくなったはずです。
お話をデッドプールに戻します。
まずは『デッドプール Vol.1:デッド・プレジデント』のあらすじから。
魔術をかじったSHILED隊員マイケル。国の行く末を憂う彼が、歴代アメリカ大統領をこの世に蘇らせて世直しをしようと企みます。ところが、いざ大統領たちが蘇ってみると、全員ゾンビ化した上に凶暴になっており、たちまち国は大混乱。とはいえ、歴史上の偉人たちを無残に殺せないということで困り果てたSHIELD隊員プレストンが、事態の収拾をデッドプールに依頼するのですが……。動物園からホワイトハウス、オクタゴン、果ては成層圏にまで戦火が広がり、アメリカ各地が内戦状態に。はたしてデッドプールはアメリカを救えるのか!?というのが物語のあらましになります。
多少の設定変更もなんのその。本作でもデッドプールの〝冗舌〟な魅力はもちろん健在です。
バイオレンスとギャグをギュウギュウに詰め込んだストーリーを作り上げたのは、ジェリー・ダガンとブライアン・ポゼーンのコンビ。ダガンはコミックだけでなくテレビ業界でも活躍するライターです。一方、ポゼーンは俳優、コメディアン、声優として活躍してきた人物。どちらもコミック専従のライターではございませんが、そんな彼らだからこそ、笑いと暴力をギリギリのバランスで両立できたのかもしれません。
また、トニー・ムーアが手がける表情豊かなアートワークにも注目です。あの『ウォーキング・デッド』(イメージ・コミックス)を手がけたことでも知られる彼こそ、ゾンビ大統領軍団、ゾンビっぽい素顔のデッドプールが暴れ回る本作にふさわしいといえるでしょう。
ちなみに、トニー・ムーアといえば、小社刊行の『ヴィクトリアン・アンデッド シャーロック・ホームズVS.ゾンビ』のトビラ画でもアートを担当していました(ここだけの話ですが、もし本書にご興味があれば、早めの購入をお勧めいたします!)。
ジェフ・ダロウの手による徹底的に細部が描き込まれたカバーアート(写真左)にも注目です。『ハードボイルド』(ダークホース・コミックス)でも見せた、モブ(群衆)の一人ひとりの表情まで伝わるようなアートワークに、きっと脱帽するハズです。本書には、彼が手 がけたカバーアートも数点収録していますので、ぜひお手にとって確かめてください。
さて、続けて『デッドプール Vol.2:ソウル・ハンター』です。
Vol.2では、前作よりもさらにオカルト色が増します。デッドプールが悪魔ベティスと契約したことが事の発端となります。その契約とは、悪魔と取引をした人々の魂を回収すること。前作にも登場した魔術を使うSHIELD隊員マイケル。実は彼は、過去に悪魔と取引をしたことで魔術を手に入れたのでした。思いもよらぬ事情から友人を標的にしなくてはならなくったデッドプール。どうにかしてベティスとの契約を反故にするために、マイケルたちと奇策を練ります。それはベティスの上司、魔王メフィスト(別名:ルシファー)にその策略を密告し、地獄送りにすることなのですが……。
『デッドプール Vol.2:ソウル・ハンター』 ジェリー・ダガン、ブライアン・ポゼーン[作] スコット・コブリッシュ、マイク・ホーソーン[画] 定価:本体1,800円+税 ◆好評発売中◆ |
引き続き脚本を手がけたダガン&ポゼーン・コンビによるハチャメチャな展開は、前作からさらにパワーアップしています。とくにラストの魔法合戦は見物です。
ハルクなどのヒーローに変身して攻撃を仕掛けてくるベティス(カバーのストーリー紹介でハルクの名前を挙げた理由がコレです)と、それに冗談と銃弾で応戦するデッドプール。最終的には魔法使いとして成長したマイケル、メフィストも巻き込んだ大混戦に発展します。
本書の冒頭には80年代初頭風のデッドプールのエピソードが挿入されています。アートワークを手がけているのは、『デッドプールの兵法入門』(小社刊)のアーティスト、スコット・コブリッシュ。当時の雰囲気を上手くパロディ化した楽しいエピソードに仕上がっています。
このエピソードは全編コメディなのですが、後の展開に関わる伏線という側面もあるのでお見逃しなく! 冒頭のレトロタッチのコメディで後のエピソードの伏線を張るという構成は、続く『デッドプール Vol.3:グッド・バッド・アンド・アグリー』でも踏襲されています。
ここまで『デッドプール Vol.1:デッド・プレジデント』と『デッドプール Vol.2:ソウル・ハンター』の見どころを駆け足でご紹介してきましたが、いかがでしたか?
来月はデッドプール史上、一、二を争うシリアスな物語『デッドプール Vol.3:グッド・バッド・アンド・アグリー』を刊行いたしますので、こちらもご期待ください!
(文責:山口大介)