2018年6月26日火曜日

マーベル1キュートな生き物、デッドプール・ザ・ダック爆誕!

アメコミ魂をご覧の皆さま、こんにちは!
今日ご紹介するコミックは、巷で「何これ、超かわいい♥」と評判の『デッドプール・ザ・ダック』です。

いまやマーベルきっての人気者「デッドプール」と、マーベル1悩み多き「ハワード・ザ・ダック」のクロスオーバー作品(?)といえば、旦那さん、こりゃ見逃すわけにはいきませんぜ。

スチュアート・ムーア[作]
ヤコポ・カマーニ[画]
定価:本体2,000円+税
●2018年06月20日頃発売●

この作品は、アメリカで2017年1月から3月にかけて発売されたコミックの邦訳版で、作家はスチュアート・ムーア(作)とヤコポ・カマーニ(画)のコンビとなってます。

スチュアート・ムーアは、1996年にDCコミックス/バーティゴの編集者としてアイズナー賞を受賞し、作家としても『シビル・ウォー』の小説版を執筆するなど幅広く活躍する作家さんです。
一方のヤコポ・カパーニといえば、小社刊『ホークアイvs.デッドプール』の作画を担当していたのでお馴染みの読者さんもいらっしゃることでしょう。

物語の設定としては、2016年にはじまった「オールニュー・オールディファレント」シリーズ真っただ中で、デッドプールがアベンジャーズの一員となり、またスパイダーマンとも人気デュオを形成、さらには自分のチーム「マークス・フォー・マネー」を切り盛りして…と大活躍している頃のお話です。

そんな引っ張りだこのデップーさんが、片やハワードと合体してたなんて、いつの間に!?という感じです。

おっと、思わず口を滑らせてしまいましたが、そう、本書最大の見どころは、デッドプールとハワード・ザ・ダックが合体♥しちゃうことなんです。

合体といっても、違うことを想像した方はごめんさない。そっちじゃないんです。
…といっても、カバー表紙を見れば、誤解しないですね^^;
はい、文字通り二人の肉体が一つになっちゃうんです。

さあ、一体全体なんでそんなことになってしまったのか、見てみましょう。


ハワードさん、マジ半端ないっす


お話は、デッドプールがシールド・エージェントのメアリー捜査官から「とある名の知れた異星人」の捕獲を頼まれるところからスタートします。

メアリー捜査官は本書が初登場の人物ですが、それもそのはず、これまでシールドの受付担当で現場に縁がなかったからだそうです。
見た目もキャラもごくごくフツーですが、本書で彼女はなかなか良い味を出してるので要注目です。

さてページをめくると場面は一転、ハードボイルドな風貌の割にシニカルでペシミスティックなアヒル、ハワード・ザ・ダックの登場です。

「この世界のどんづまりで、俺は何やってんだ」と、世の男性が共感しそうな渋いセリフとともに登場するハワード・ザ・ダックは、この物語のもう一人の主人公です。

…はい、確かに彼は主人公…のはずです。

ですが、「どこに行こうと自分は脇役にすぎないんじゃないか」「だったら主役は誰だ」と、やたら自分が主人公かどうかに拘ります。この拘りは何でしょう?

続けて、「映画に出ても、興行収入や批評家受けがバッチリな奴なんて、…嫌いだ」と意味深なセリフ。

そうです、ハワード・ザ・ダックといえば、"映画史上最大の失敗作"と名高い(?)1986年映画『ハワード・ザ・ダック/暗黒魔王の陰謀』に触れないわけにはいかないでしょう。

あのSWシリーズやインディ・ジョーンズを手掛けたジョージ・ルーカス監督が製作総指揮をとったにも関わらず、最低の映画を選ぶゴールデンラズベリー賞(ラジー賞)で最低作品賞・最低脚本賞・最低視覚効果賞・最低新人俳優賞(アヒルの着ぐるみを着て奮闘した6人の諸君)の4部門を見事受賞。当時、世の話題をかっさらた映画の主人公が、我らがハワード・ザ・ダックなんです。

…副題含めたタイトルだけ見てもB級映画感が「半端ないって!」て感じがします。
(検索エンジン対策で、流行語を入れてみました。)

お客さんのレビューを見ても、「ちゃちい特撮、ぬいぐるみ丸出しのダックの作り」「この主人公、可愛くない、むしろキモい」と散々な評判だったみたいです。

ハワードのガールフレンド、ビバリー・スウィッツラーの友人フィル役を演じたティム・ロビンスは、試写の最中に「嫌な汗が出てきた」と語ったほどだそうです。ハワード、まじ半端ないって!

ちなみに、一見不名誉な"ラジー賞4部門受賞"ですが、この賞自体が一種のユーモアで、本当につまらない映画だけじゃなく、出来は素晴らしいがマニアックすぎて一般受けしない作品に与えられることもあるそうです。
例えば、第1回最低主演男優賞を受賞したニール・ダイアモンドは同じ作品(『ジャズ・シンガー』)でラジー賞とゴールデングローブ賞を同時受賞したりしています。

さて、『ハワード・ザ・ダック/暗黒魔王の陰謀』はどっちなんでしょう?

そして、そんなハワード・ザ・ダックを、映画『デッドプール』シリーズが世界中で大ヒットしているデッドプールと共演させるなんて、マーベルもドSですね^^;


まだまだあるぞ、ハワードの痛いエピソード


そんな不憫なハワードですが、さらに詳しく見てみると、物語の中でも外でもトラブルに巻き込まれ、同情せずにはいられないキャラクターなことが分かってきます。

彼の初出は1973年にホラー雑誌『フィアー』#19で、沼地の怪人マンシングを主人公とした物語の「脇役」として登場しました。別の次元から人間の世界にやってきて、早くも次の号で足を滑らせて虚無の彼方に落ちていった……とホントどうでもいいぞんざいな扱われ方ですね、ありがとうございます。

現実世界でも、ディズニー社から「なんかドナルド・ダックにソックリじゃね?」と訴えられたりもしてます。「いやいや、アヒルのキャラ全部がドナルド・ダックに似てるって言われても…」と思ったのですが、1976年刊行の『ハワード・ザ・ダック』#1のカバーイラストを見たら、「そっくり…」と思わずつぶやきました。
ハワードさん、パネェっす…

All Marvel characters and the distinctive likeness(es) thereof are Trademarks & Copyright © 1976 Marvel Characters, Inc. ALL RIGHTS RESERVED.

さらに同時期、キャラクター考案に関わった作家のスティーブ・ガーバーとマーベルの間でハワードの著作権帰属をめぐって裁判になり、最終的にはマーベルに著作権が帰属するということで落ち着きました。

物語の中では、「ハワード=アヒル」ということで"丸焼きにされる"キャラになっていて、今年1月に発売された『デッドプール:トゥー・スーン?』(小社刊)では、夫デッドプールを励まそうとアヒル料理をふるまうためシクラーに丸焼きにされそうになったり、さらに『デッドプール/パニシャー・キルズ・マーベルユニバース』ではデッドプールに丸焼きにされちゃいます。

他にもアメリカ政府によるスーパーヒーロー活動を規制するシビル・ウォーでは、ハワードは超人登録法に従うことを選びますが、いざ登録しようとしたら、ヒーロー(超人)として認識されていなかったというまさかの残念なオチに直面します。

ちなみに、ハワードの主な能力はカンフーならぬクワック・フーを嗜むことです。その実力は、ハワードよりはるかに大きい相手にも対等に渡り合えるほど強いそう。

さらに多少の魔術も使え、かつてドクター・ストレンジからいくつかの呪文を教わり、さらに本格的なトレーニングの申し出も受けたことがありますが、断ったそうです。


楽しい掛け合いとキュートなキャラのオンパレード


……と、知れば知るほど興味深いハワード・ザ・ダックのキャラクターですが、『デッドプール・ザ・ダック』の紹介から大分話が逸れてしまいましたね、失礼しました。

どこまで話しましたっけ?
「とある名の知れた異星人」を捕まえるって話ですね。

その「名の知れた異星人」とは、ロケット・ラクーンです。

ロケット・ラクーンが「ラビーズ」と呼ばれる宇宙狂犬病にかかってしまい、暴れていたんです。

そして、ハワードの近くでデッドプールがロケット・ラクーンに噛まれたことで、冒頭紹介したデップーとハワードの「合体」が生じたのでした。

このように肉体はかわいく合体しましたが、その肉体に入った精神はデッドプールのものです。ハワードは守護霊獣として常にデッドプール・ザ・ダックの肩のあたりにいて、デッドプール・ザ・ダックの中にいるデッドプール(…ややこしい…)と可笑しな掛け合いを繰り広げます。

一つの体をめぐる、攻撃的でいい加減なデップーと悲観論者のハワードの会話の掛け合いが、本書を楽しむ一番のポイントでしょう。

さらにこの二人に絡むように、個性豊かで楽しいキャラたちが続々登場してきます。
冒頭紹介したメアリー捜査官をはじめ、マーベル・ユニバースでちょいちょい出てくる悪徳企業ロクソン社のバソルト警備長、掃除人ヤコフ、そしてもちろんロケット・ラクーン。

そして最後に黒幕として登場するヴィランが、本書をさらに楽しくキュートなものにしてくれてます。
その正体は、本書を手にしたときの楽しみとして取っておきましょう。

一つだけ予備知識としてご紹介しておくと、このヴィランはハワード・ザ・ダック最大の宿敵で、かなり惚れっぽい性格です。先ほど紹介したハワードのガールフレンドのビバリー・スウィッツラーに一目惚れして、無理やり結婚させた過去もあります。

そんな彼の行動と憎めない性格、その個性的な風貌にひっかけたデッドプール・ザ・ダックの駄洒落を楽しんでいただけたら、本書を紹介した私としても本望でございます。

以上、今週のアメコミ魂はこの辺りで。来週またお会いしましょう。

(文責:小出)

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