前々回のブログでも紹介させていただきましたが、じわじわと6月20日の公開が迫りつつある『300 帝国の進撃』。個人的にはエヴァ・グリーン演じるアルテミシアに惚れました! 小社より6月5日刊行予定のアートブックで予習のうえ、ぜひ皆様にもギリシアとペルシアの最終決戦に臨んでいただきたいところです。
▲『300 帝国の進撃 アートブック』 |
▲『シン・シティ1』 フランク・ミラー[作・画] 2,300円+税 ●4月23日発売予定● |
フランク・ミラーが1991年から約10年間かけて描き上げたハードボイルド・コミックの傑作で、間違いなく彼の代表作の一つ。 2005年にロバート・ロドリゲス、クエンティン・タランティーノ、そしてフランク・ミラー自身という豪華なメンバーで監督した映画が公開された時には大きな話題になったので、そちらをご覧になった方も多いと思います。
そして、続編である『シン・シティ:ア・デイム・トゥ・キル・フォー』がアメリカでは今年の夏、日本では来年公開予定となっています。
コミック版について、今回の発売のポイントとしては……
①初の全作品刊行!(※アートブックを除く)
原書TPBだと全7巻になる本作。これまでも他社さんから二度ほど日本版が刊行されましたが、全コミック作品が翻訳出版されるのは、今回が初めてになります。つまり、かつてDVDの特典としてのみ刊行された『ザット・イエロー・バスタード』をはじめとするパート・カラーの作品も、これですべて読めるのです!
②2 in 1の全4巻!(※最終巻を除く)
日本版第1巻から第3巻までは、原書2冊を1冊にまとめた、お得版です。
内訳は……
日本版第1巻=原書Vol. 1: The Hard Goodbye + Vol. 2: A Dame to Kill For
日本版第2巻=原書Vol. 3: The Big Fat Kill + Vol. 4: That Yellow Bastard
日本版第3巻=原書Vol. 5: Family Values + Vol. 6: Booze, Broads, & Bullets
日本版第4巻=原書Vol. 7: Hell and Back となります。
ちなみに、カバーを並べるとこんなかんじに……(※デザインは変更の可能性があります)
今回発売される『シン・シティ1』に収録される『ハード・グッバイ』は、映画だとミッキー・ロークが演じたならず者マーヴが活躍するエピソード。そして『ア・デイム・トゥ・キル・フォー』はタイトルから察するに、おそらく新作のキーとなるエピソード(主役のドワイトは前作のクライヴ・オーウェンからジョシュ・ブローリンに交代しましたが)。奇しくも、来たる新作映画に備えての予習&復習にピッタリの内容となっています。
また、『シン・シティ』の物語は、すべて“ベイスン・シティ”という架空の街で展開されています。なので、『ハード・グッバイ』に出てきたキャラクターが『ア・デイム・トゥ・キル・フォー』に再登場したり、同じ場面が違った視点から描かれたりしています。そんなちょっとしたお楽しみも、2 in 1形式なので見つけやすいのではないかなと。
刊行当時はアイズナー、ハーベイといったコミック賞を毎年のように受賞しまくっていた『シン・シティ』ですが、この作品の成功によって、コミック界に“犯罪もの”のジャンルが復活したと言われています。そして、そんな土壌から次世代を担う若いライターが生まれました。たとえば現在マーベル・コミックスを中心に活躍するブライアン・マイケル・ベンディスやエド・ブルベイカーは、1990年代中盤にインディーズ系の出版社で犯罪コミックの描き手としてキャリアをスタートさせたのです。かつて映画化された『ヒストリー・オブ・バイオレンス』や『ロード・トゥ・パーディション』といったコミックも、こうした流行と無縁ではないでしょう。
1980年代を通じて、バットマン、デアデビルといったキャラクターでスーパーヒーロー・コミックの可能性を追求しまくったフランク・ミラー。この時期を彼の“第1期”とするなら、オリジナル作品によってアーティストとしてさらなる飛躍を遂げた1990年代は、“第2期”といえるでしょう(すでに『RONIN』はやってましたが)。作品としてはジェフ・ダロウと組んだ『ハードボイルド』やポリティカルな『ギブ・ミー・リバティ』あたりから、『300』くらいまでがこの時期にあたります。すると、9/11を経て、映画界との関わりをますます深め、コミック作家としては次第に寡作になっていく2000年代は“第3期”となるでしょうか。
ともあれ、本作はオリジナル作品として『300』と並ぶフランク・ミラーの代表作といえます。コミック界きってのカリスマ作家による、時代を超えた傑作シリーズ、この機会にぜひ体験してみてください!
▲『デイトリッパー』 |
ではでは、本日はこのへんで失礼します。
(文責:中沢俊介)