2020年6月17日水曜日

名作ぞろい! クラシック作品はいかが?【DC編】


アメコミ魂をご覧の皆さま、こんにちは。

梅雨入りもしたようで、最近は雨の日も多くなってきましたね。しかし、晴れるととても暑い……梅雨と真夏が同時に攻め込んできた気分ですね。


最近は読者の皆さまに、本国で刊行されたタイトルをあまり間をあけずに翻訳してお届けできるようになってきました。そのこともあり、最近の刊行タイトルは比較的近年に刊行されたものが大部分を占めています。しかし、アメコミは長い歴史を持つもので、昔の作品にも名作がたくさんあるのです。今回はShoPro Booksのアメコミの中から、比較的クラシックなタイトルをご紹介できればと思います。

▐ 言わずと知れた名作DARK KNIGHT バットマン:ダークナイト』


▲『DARK KNIGHT バットマン:ダークナイト』書影



最初にご紹介するのは言わずと知れた名作『DARK KNIGHT バットマン:ダークナイト』になります。こちらに収録されている『バットマン:ダークナイト・リターンズ』は1986年の作品。もう30年以上もたちますが、いまだにアメコミ界の大傑作として名高い作品です。

ゴッサムシティからバットマンが消えて10年55歳のブルース・ウェインは危険なスポーツとアルコールに浸る日々を送っていました。しかし、ゴッサムシティが悪化の一途をたどると、己の魂の呼びかけに突き動かされ、バットマンとして復活を決意します。バットマンの復活は、東西冷戦期の混迷のなかでさまざまな波紋を投げかけることに……。そして彼の復活は、あの道化王子の復活も意味しています。バットマンの存在はゴッサムシティにとって救世主となるのか、それとも混乱を招く脅威となるのでしょうか。

最近刊行した『スーパーマン:イヤーワン』は本書の前日譚にあたるお話。『ダークナイト・リターンズ』では老齢のバットマンとスーパーマンの対決が描かれましたが、こちらでは若かりし二人の対決が描かれます。

▲『スーパーマン:イヤーワン』より

30年もの時がたってもなお広がりを持つ、フランク・ミラーの描く世界にぜひ飛び込んでみてください。


▐ まさにアメコミ界の金字塔『ウォッチメン』


▲『ウォッチメン』書影

続いて紹介するのは、ShoPro Booksのアメコミで最も人気のあるタイトル『ウォッチメン』です。こちらは1986年から87年まで連載された作品です。1986年に刊行されたアメコミには3つの不朽の名作があると言われており、その一つがこの『ウォッチメン』とされています。(残り二つは先ほどご紹介した『バットマン:ダークナイト・リターンズ』で、もう一つはアート・スピーゲルマンの『マウス』とされています)

1985年、核戦争の危機が目前に迫る東西冷戦下のアメリカ。この世界は私たちの世界とほとんど変わりはありません……スーパーヒーローが存在することを除いては。そんな世界で、かつてのヒーローたちが次々と消されていく事件が発生します。これはヒーロー抹殺計画のはじまりなのでしょうか――? スーパーヒーローが実在する、もう一つのアメリカ現代史を背景に、真の正義とは、世界の平和とは、人間が存在する意味とは何かを描いた不朽の名作です。

今年の12月は続編である『ドゥームズデイ・クロック』も刊行します。『DCユニバース:リバース』において、『ウォッチメン』の世界とDCユニバースのつながりが示唆されました。果たしてこの二つの世界がどのように交わり、DCユニバースにどのような影響を与えることになるのでしょうか。『ドゥームズデイ・クロック』に備えて『ウォッチメン』を読んでみてはいかがでしょうか。

▲『DCユニバース:リバース』より


▐ ジョーカー様の世界にようこそ!『スーパーマン:エンペラー・ジョーカー』



▲『スーパーマン:エンペラー・ジョーカー』書影

次にご紹介するのは、『スーパーマン:エンペラー・ジョーカー』になります。この作品は、2000年にスーパーマン系列誌をまたいで掲載されたクロスオーバーイベントをまとめたものです。2000年というと最近のような気もしますが、もう20年も前になるのですね。

あらすじはこちら

――初めに、ジョーカー様が天と地を創造した――

ゴッサムシティでは、今日もいつも通りの日常が繰り返されていた。
世界一危険な犯罪者スーパーマンがアーカム・アサイラムから脱獄。
それを捕まえるため空を駆けるのは、世界一の英雄ビザロ! ……ってちょっと待って!?
この世界は私たちの知る世界と違う。
なんたって創造神がジョーカー様なのだから!
そう、神の力を得たジョーカーが、世界を混沌としたものに改変してしまったのだ。
元の世界の記憶なんて誰も持っていない!
ジョーカーに逆らうことができるのは1人だけ!
スーパーマンは鋼の意志で、世界の皇帝ジョーカーを打ち破ることはできるのか!?


内容が内容だけに、テンションを上げてご紹介したいこの作品。ジョーカー以外は元の世界の記憶を持たず、ロイスはスーパーマンを他人としか認識せず、ジャスティス・リーグの面々もコミカルなヴィランと化したこの世界。スーパーマンはたった一人で、神に等しい力を持つジョーカーに挑まなくてはいけません。


▲ヴィランとなってしまった
アクアマン、ワンダーウーマン、フラッシュ

この作品ではなんといってもジョーカーのとんでもない力が魅力的。ダークサイドすら逆らえないその力は、まさに宇宙の皇帝といっても過言ではありません。また、ジョーカーとバットマンの関係性などにも注目したいところです。



▐ ワンダーウーマンの悲劇が幕を開ける『ワンダーウーマン:ヒケテイア』


▲『ワンダーウーマン:ヒケテイア』書影

『ワンダーウーマン:ヒケテイア』は本国では2002年に刊行された作品です。ワンダーウーマン誌をはじめ、多くの作品を担当する有名ライター、グレッグ・ルッカによるワンダーウーマン初担当作品。ぺージ数は96ページと少ないながらも、紡がれるお話は濃密なものになります。

自らの故郷「セミッシラ」より外界に出てきたワンダーウーマンは、故郷とこの世界の違いに慣れつつありました。そんな彼女の元に、突如ダニエルという女性が助けを求めに現れ、ワンダーウーマンに対し古代ギリシアの儀式「ヒケテイア」の嘆願を行います。この儀式により、ワンダーウーマンはダニエルを守る使命を帯びることになってしまいます。しかし、彼女には殺人の罪が……。


▲ワンダーウーマンへヒケテイアを行うダニエル


人を殺めてしまったダニエルは、ゴッサムシティの守護者であるバットマンに追われています。ワンダーウーマンは儀式によって課せられた使命のため、友人であるバットマンとも争うことになります。この儀式の前には、友人も罪も関係がありません。そして待ち受ける結末とは……? ぜひ本書で見届けてくださいね。


他にも、1980年代の作品である『Vフォー・ヴェンデッタ』、1987年の『バットマン:キリングジョーク』などのアラン・ムーア作品や、1996年の『キングダム・カム』、2001年の『ジョーカー:ラスト・ラフ』など、多くの名作があります。クラシック作品は単体で読んでも楽しめますし、アメコミは過去作品を知っていると、にやりとできる部分もあるかと思います。これからアメコミを読む方にも、既に結構読まれているという方も、ぜひ手に取ってみてくださいね。


それでは、今回のアメコミ魂はここまでです。
次回の更新もお楽しみに。


(文責:比嘉)
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