今年は(『LEGOムービー』以外)スクリーンではDCのスーパーヒーローたちにお目にかかれないのですが、『ARROW/アロー』以降、アメリカではテレビドラマのほうが好調なようで、『フラッシュ』『コンスタンティン』『プリーチャー』と次々と新番組の制作が発表されています。日本でもぜひ放送してほしいものです。
そんなラインナップのひとつとしてアメリカで今秋放送予定になっているのが『ゴッサム』。そう、あのゴッサムシティを舞台に、おなじみのキャラクターの若き日々を見せるドラマ、らしいのです。まだ“本部長”になる前の、若き日のジム・ゴードンと相棒ハービー・ブロック、両親を殺されたばかりの幼いブルース・ウェインと彼を支える執事アルフレッド……いわゆるスーパーヒーローものとは違うノリになりそうですが、楽しみですね。
そして、“ゴッサム”といえば……小社で今月25日に発売されるのが『バットマン:ゲート・オブ・ゴッサム』!
▲『バットマン:ゲート・オブ・ゴッサム』 スコット・スナイダー他[作] トレバー・マッカーシー[画] 1,850円+税 ●6月25日発売予定● |
ストーリーを考えたのは、スコット・スナイダーとカイル・ヒギンズ。スナイダーは先月発売された『バットマン:ブラックミラー』も大好評な、いまやDCの大黒柱ですが(くわしくはこちらのブログを)、ヒギンズのほうも、なかなか興味深い経歴を持っています。
▲『バットマン:ブラックミラー』 |
そんな二人が考えた物語は、ゴッサムシティ誕生にまつわる謎に迫るゴシック・アクション。19世紀末と現代が交錯する作品世界は、シャープな描線(アーティストはトレバー・マッカーシー)と独特の色使いもあいまってスチームパンク的な雰囲気をかもし出しています。またハッシュ(トーマス・エリオット)、ペンギン(先述のドラマ『ゴッサム』では英国男子ふうのイケメンに……!)といったヴィランがゴッサムの歴史と有機的に結びついているのもお見事! ページ数的にはコンパクトですが、多彩な人間模様と長大な時間軸をはらんだ、読み応えのある作品になっています。
……それにしても、実在するわけでもないのに人の想像力を刺激してやまない架空の都市ゴッサムシティ。モデルになっている場所はニューヨーク、ニュージャージー、シカゴなどその時々によってさまざまですが、アラン・ムーアが街の起源を考えたり、ティム・バートン版『バットマン』では美術監督アントン・ファーストによるセットがアカデミー賞を受賞したり、市井の人々を描いた数多くのスピンオフ・コミック(なかでも『ゴッサム・セントラル』は名作!)が生まれたりしています。そしてついに街の名前を冠したテレビドラマが始まるまでに至ったわけです。
セントラルシティ(フラッシュ)、コーストシティ(グリーンランタン)、スターシティ(グリーンアロー)、そしてもちろんメトロポリス(スーパーマン)……DCユニバースに数ある街の中でも別格の存在感を誇るゴッサムシティ。その魅力を知るのにうってつけの作品でもある『バットマン:ゲート・オブ・ゴッサム』、オススメです!
さて、今月は本作と同時に『ジャスティス・リーグ:アトランティスの進撃』が発売されますが、来月からはバットマンのニュー52シリーズも刊行再開です!
▲『ジャスティス・リーグ:アトランティスの進撃』 2,000円+税 ●6月25日発売予定● |
ではでは、今日はこのへんで。
(文責:中沢俊介)