待望の日本版もそろそろ店頭に出そろった頃、ということで、今回は『トランスフォーマー:オール・ヘイル・メガトロン』をご紹介させていただきます。
▲『トランスフォーマー:オール・ヘイル・メガトロン』 シェーン・マッカーシー他[作] グイド・グイディ他[画] 定価:本体3,800円+税 ●好評発売中!● |
そんなトランスフォーマー、じつはアメコミとしても非常に人気のあるタイトルなのです! トイやテレビアニメに負けない歴史を持っているアメコミ版トランスフォーマー。これまでアメリカやイギリスで数多くの作品が刊行されてきましたが、その中でもかねてから日本版を求める声が高かったのが、今回ついに発売された『オール・ヘイル・メガトロン』。それでは、どんな物語かといいますと……
ロボット生命体トランスフォーマーたちは長年にわたって、正義の戦士サイバトロンと悪の軍団デストロンに分かれて熾烈な戦いを繰り広げていた。 だが、ある日ついに決着がつく。勝ったのは……悪だった。地球で破壊の限りを尽くす、破壊大帝メガトロン。じつは悪の勝利の影には、ある恐ろしい秘密があった。壊滅的な打撃を受け、惑星セイバートロンに幽閉されたサイバトロンと総司令官コンボイは再び立ち上がることはできるのか? そして人類の運命は……!?
あらすじを読んで、“あれっ?”(または“おっ!”)と思った皆様、さすがです!
今回の『オール・ヘイル・メガトロン』、イメージ源になっているのがトランスフォーマー・シリーズの原点であるジェネレーション1(G1)、とくにテレビアニメ『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』を中心にした世界観なのです。なので、本作につきましては、キャラ名などはG1系の呼称にて統一させていただきました。では次に、どんなキャラクターが登場するかというと(カッコ内に英語名を表記)……
○サイバトロン戦士(オートボット)
・コンボイ(オプティマス・プライム):総司令官。リーダーの証であるマトリクスの所有者。
・バンブル(バンブルビー):情報員。小柄ながら勇敢で、人間にも好意的。
・チャー(カップ):戦士。長い戦いを生き抜いた、経験豊かな歴戦の勇者。
○デストロン軍団(ディセプティコン)
・メガトロン:破壊大帝。全宇宙を支配するデストロン帝国の建造を目指す。
……これでも、ごくごくほんの一部!
たとえば、2014年の映画『トランスフォーマー/ロストエイジ』に登場し、俳優の渡辺謙が声を担当した侍トランスフォーマー、ドリフトも本書が初登場となるのでお見逃しなく。また、映画版とG1アニメ版どちらのファンにもおなじみ“ウィトウィッキー”姓を名乗る人間が、それらとは違った立場で物語にからんでくるのも要注目です。
アメコミとしてのトランスフォーマーは、まずあのマーベル・コミックスにて、トイやアニメと同じ1984年に始まりました。その後、カナダの出版社ドリームウェーブ・プロダクションズで新たなシリーズが2002年に立ち上げられたのですが、会社の倒産によって3年足らずで中断。そこで宙に浮いたコミック化権を得たIDWパブリッシングが、2005年からトランスフォーマー・コミックの出版を開始しました。
そして創刊から3年ほど経った2008年、IDW版は一つの転機を迎えます。それまでのストーリー展開をひと段落させ、新規読者を呼び込むために物語の仕切り直しを図ったのです。こうして生まれたのが『オール・ヘイル・メガトロン』――ということで、まさにアメコミ版トランスフォーマーへの新たな入口にピッタリ! 総ページ数500ページに及ぶ本書は、本編はもちろん、外伝も収録した完全版となっています。
現在も『モア・ザン・ミーツ・ジ・アイ』と『トランスフォーマーズ』(最近『ロボッツ・イン・ディスガイズ』から誌名変更)という二つの雑誌を中心に、順調に続いているIDW版トランスフォーマー。すでに10年近い歴史を持ち、G1系の他にも映画版、G1以外のアニメ版を元にしたコミック、そして他社作品のリイシューなど、魅力的なタイトルはまだまだあります。本書が、豊かな広がりを持つトランスフォーマー・アメコミの日本での新たな出発点になれるように、応援のほど何卒よろしくお願いいたします!
それでは、今日はこんなところで。
(文責:中沢俊介)