『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』『アントマン』『ファンタスティック・フォー』の全米公開も控え、コミックの実写映像化はますます花盛り! とはいえ、ハデな話題が目立つのはやはりスーパーヒーロー系作品が多いので、今回はそれ以外の“非ヒーロー系”とでも呼べるコミックのアメリカでの実写化最新動向をちょっとまとめてみました(何かヌケがあったらゴメンナサイ!)。ここ最近のめぼしいニュースはというと……
●テレビ●
○『プリーチャー(Preacher)』……ガース・エニス/スティーブ・ディロンによる1990年代の伝説的名作コミック。長年映像化が噂されていたが、セス・ローゲンや『ブレイキング・バッド』のサム・キャトリンらによる製作でパイロット版制作決定。主要キャストも着々と決まって、ついに来年テレビ放送なるか?
○『ルシファー(Lucifer)』……あの『サンドマン』のスピンオフ作品。ひとまず映画『アンダーワールド』のレン・ワイズマン監督でテレビのパイロット版制作決定。
○『ラザラス(Lazarus)』……映画にもなった『ホワイトアウト』やバットマン作品のライターとして知られる小説家グレッグ・ルッカと、マイケル・ラークによる2013年創刊のディストピア系SFコミック。テレビシリーズ化の企画進行中。
○『ザ・ディサイプルズ(The Disciples)』……『30デイズ・ナイト』のスティーブ・ナイルズによる、5月創刊予定のSFホラーコミックを、ウェス・クレイヴンがいちはやくテレビ化に乗り出したとのこと。
●映画●
○『ザ・クロウ(The Crow)』……もっぱら1990年代の映画シリーズでおなじみですが、原作者ジェイムズ・オバーがクリエイティブ・コンサルタントを務めるリブート映画が、今春撮影開始予定とのニュースが。
○『クロノノーツ(Chrononauts)』……『キック・アス』『キングスメン:ザ・シークレット・サービス』のマーク・ミラーによるタイムトラベル・バディもの。先月創刊したところを、早くも米ユニバーサルが映画化権取得。
○『オフィサー・ダウン(Officer Downe)』……『ベン10』などのアニメからスーパーヒーロー・コミックまで、幅広く活躍するライター、ジョー・ケイシーによるカゲキな警官アクション。テレビドラマ『サン・オブ・アナーキー』のキム・コーツ主演、スリップノット(!)のショーン・クラハン監督で撮影を開始したとのこと。
○『アイ・キル・ジャイアンツ(I Kill Giants)』……以前、小学館より日本版も発売されたジョー・ケリー/ケン・ニイムラによるポップなコミック。『ハリー・ポッター』のクリス・コロンバス製作で映画化企画進行中。
○『ザ・スカルプター(The Sculptor)』……かつて日本でも『マンガ学』が話題になったコミック作家スコット・マクラウドによる、芸術家の創作をテーマにした久しぶりのフィクション。ソニー・ピクチャーズが映画化権を獲得。
○『クラッシュ・ライアン(Crash Ryan)』……1980年代にマーベル傘下のエピック・コミックスで発表されたオリジナル・コミック。別次元の1930年代を舞台にした航空アクション・コミックの映画化権を、とあるプロデューサーが取得。
○『ホークス・ハンターズ(Hoax Hunters)』……コミック雑誌『ヘヴィ・メタル』のコミックブック市場参入第1弾として、イメージ・コミックスから移籍した超常現象ハンターもの。マーベルの『エージェント・オブ・シールド』に関わっている脚本家を迎え、映画化進行中。
……と、さまざまなレベルでいろんな企画が動いているようです。そして、現在のこうした流れの先駆者といえば、やはりフランク・ミラーの名を欠かすわけにはいきません。そんな彼の代表作の最終巻――つまり『シン・シティ4』が、先月下旬に発売されました! 本巻にはシリーズ最大のボリュームを誇る、本邦初邦訳の長編「ヘル・アンド・バック」を収録。では、どんな物語かというと……
▲『シン・シティ4』 フランク・ミラー[作・画] 定価:本体2,000円+税 ●好評発売中!● |
マーヴやドワイトとはまた趣きの異なる――だが強い!――新キャラ、ウォーラスの活躍が満喫できる作品となっています。マヌート、大佐、デリアなど、それまでお読みいただいた皆さまにはおなじみシン・シティの住人たちも、もちろん大勢登場!
そして本作の見所として要注目なのは、なんといってもフルカラーページ! コミック本編としてはシリーズ唯一であるこの場面、内容的にもインパクト充分。ある事情によって、コミックや映画などポップ・カルチャーのキャラクターが画面狭しと入り乱れるのです。どんなキャラクターが登場するか、一部をご紹介すると……
○フランク・ミラー作品:『300 スリーハンドレッド』のスパルタ王レオニダス、ビッグ・ガイ&ラスティ・ザ・ボーイ・ロボット、『ギブ・ミー・リバティ』のマーサ・ワシントン……
○その他コミック全般:キャプテン・アメリカ、エレクトラ、ワンダーウーマン、サージャント・ロック、ヘルボーイ、新聞マンガのヘガー・ザ・ホリブル、『子連れ狼』の拝一刀と大五郎……
○映画など:ダーティハリー、ランボー、怪傑ゾロ、映画『ロボコップ』に登場した法務執行ドロイドED-209、ハットしてキャット、旧約聖書のモーセ、女の子向けドールのラガディ・アン、空山基のセクシー・ロボット……
どうしてそんなことになるのか……ぜひご覧になってお確かめください! コミック界のカリスマ、フランク・ミラーが1991年から10年近くかけて紡いできた物語もこれで完結。絵柄の変化/進化を見比べるもよし、巻末のゲスト作家によるピンナップ・ギャラリーで、当時のコミック界とミラーの勢いを偲ぶもよし。全7巻におよぶ原書を4冊にまとめた日本版『シン・シティ』、ぜひこの機会に揃えていただければと思います。
そして、フランク・ミラーらが切り拓いた道から、アメコミ業界では現在も魅力的なオリジナル作品が生まれています。小社でもマーク・ミラーの『ネメシス』、欧米でただいま最高の評価を受けているといっても過言ではないイメージ・コミックスの『サーガ』など、注目作を刊行していく予定です。こちらのほうもぜひご期待ください。
▲『ネメシス』 マーク・ミラー[作] スティーブ・マクニーブン[画] 定価:本体2,000円+税 ●4月発売予定● |
(文責:中沢俊介)