2015年6月15日月曜日

暗黒の騎士誕生! 『バットマン:ゼロイヤー 暗黒の街』

「アメコミ魂」読者のみなさま、こんばんは!

今月の新刊は2作品ありますが、そのうち『バットマン:ゼロイヤー 暗黒の街』を今回はご紹介したいと思います!

『バットマン:ゼロイヤー 暗黒の街』
スコット・スナイダー[作]
グレッグ・カプロ[画]
定価:本体2,400円+税
●6月24日頃発売●
本書は、今年の3月に刊行しました『バットマン:ゼロイヤー 陰謀の街』の続編にあたり、DCコミックスの最新シリーズ“ニュー52”におけるバットマンの第5巻にあたります。

著者は前作に引き続き、スコット・スナイダーとグレッグ・カプロのコンビ。

原書のハードカバー版が発売された時には、『ニューヨーク・タイムズ』ベストセラー・ランキング(コミック部門)で、2週連続1位を獲得しています!

では“ニュー52”版バットマン第1巻から第4巻までの流れを、既刊のご紹介も兼ねて簡単に振り返ってみたいと思います。

まず第1巻が『バットマン:梟の法廷』になります。

本作初登場となる悪の秘密結社「梟の法廷」との謎解きは、リランチにより正体が完全な謎に包まれているという新ユニバースの幕開けにはふさわしい内容でストーリーが展開していきます。

第2巻は『バットマン:梟の街』です。

ゴッサムシティの完全支配を狙う「梟の法廷」との最終決戦!
不死身の暗殺者タロンを前に、果たしてバットマンはゴッサムを守れるのでしょうか。
ミステリー要素も存分に楽しめる一冊となっています。

そして、これら第1巻と第2巻を補足するクロスオーバー作品(サイドストーリー集)として位置づけられるのが『バットマン:梟の夜』になります。

謎の組織「梟の法廷」と対峙するバットマン。その裏側で、相棒のロビンやナイトウイング、そしてレッドフードにバットガール、キャットウーマン達は何をしていたのか? 「梟の法廷」を中心に巻き起こる事件にどのように関わっていたのか?

本作を読んではじめて、“梟”三部作が完結しますのでぜひ読んでみてください!

第3巻は『バットマン:喪われた絆』

いよいよ、誰もが知る犯罪界の道化王子ことジョーカーがゴッサムに帰ってきます。
これまでより、はるかに残虐で凶悪となったジョーカーは次々とバットマンの仲間たちを襲っていきます。
多くのヴィランたちをも巻き込んで繰り広げられる、ジョーカーの計画をバットマンは止められるのか?

“ニュー52”版バットマン初の大型クロスオーバーは読み応え十分の内容となっています。
カバーデザインにもジョーカーにちなんだ仕掛けがありますので、要チェック!

さらに、これにもまた外伝があります!

メインストーリーの裏側を描いた、『ジョーカー:喪われた絆』が上下巻にて読むことができます。
1年間の沈黙を経て、ゴッサムに帰ってきた最凶の男の標的はなんとバットマンではありません。それはバットマンにとってかけがえのない仲間たちである、ナイトウィング、ロビン、レッドロビン、レッドフード、バットガール、キャットウーマンたちだったのです。
はたして、バットファミリーの絆は如何に!?

これらの流れを受け継いで刊行されたのが、第4巻『バットマン:ゼロイヤー 陰謀の街』と今回ご紹介している第5巻『バットマン:ゼロイヤー 暗黒の街』で完結する、“ニュー52”版バットマンの誕生秘話を新しい視点で語りなおした“ゼロイヤー”へとつながります。

それでは、本書のあらすじをご紹介します。

バットマンとして活動を始めたブルース・ウェイン。しかし、彼がコウモリの翼を広げた直後、さらに深い闇が街を包み込んだ。

リドラーと名乗る悪の天才策士が、ウェイン産業から盗んだ技術を悪用してゴッサムの電力ネットワークを破壊し、全市民を暗黒の深淵へと叩き落とすと同時に、バットマンに対して挑戦状を叩きつけた!

しかも、街を脅かす敵はリドラーだけではなかった。この闇の迷宮の中心には1匹の怪物……死の医師が潜んでいた。彼の奇怪な実験によって不気味に変容した死体が次々と発見され、警察はバットマンこそが犯人だと疑い始める。

若き闇の騎士は警察からの追及を逃れつつ、リドラーの計画を解き明かし、ドクター・デスの大量虐殺を阻止しようと奮闘するが……。

前巻の『バットマン:ゼロイヤー 陰謀の街』ではレッドフード率いるギャング集団との激闘が描かれていましたが、本作は悪の天才科学者ドクター・デスや高いIQを誇知能犯リドラーがメインヴィランとして登場。

戦いの規模もさらに大きくなり、ブルース・ウェインという青年がコウモリから闇の騎士へと成長していく様は、まさに完結にふさわしい内容となっています。

ブルースが幼い頃、目の前で両親を射殺されるという悲惨な出来事によって、子どもから青年へと成長せざるを得なかったことに始まり、身分を隠し放浪していた時には青年の日常を捨てて、自ら自警団になるという決意をしました。

そして、レッドフードの猛攻によって致命傷を負った時は、ついにバットマンとして生まれ変わりここに闇の騎士が誕生しました。

その後、本書においても幾多の死と再生を体験することによって、より強い存在へと進化していく……バットマンという、アメコミ界の象徴的ヒーローの原点には壮絶なドラマがあったことを改めて思い知らされます。

過去エピソードのリメイクという枠を遙かにこえて、語られる“ゼロイヤー”シリーズ。

その壮大なストーリー展開をぜひ楽しんでいただくと同時に、リドラーが仕掛けてくる、数々の高難度なナゾナゾにぜひ読者のみなさんもバットマンと一緒に挑戦してみてください!

『バットマン:ゼロイヤー 暗黒の街』は6月24日頃、発売予定です。

それではまた次回に。


(文責:渡辺直経)