6月からアメコミ魂の執筆メンバーに加わりました、太田と申します。
初回ですので簡単に自己紹介させていただきますと、私は入社以来3年間、アメコミの編集とは別の仕事をしてきまして、アメコミを手に取って見る機会すらなかった、アメコミ初心者です。
そのため、どんな作品がどんな方々に支持されているのか、全くイメージできませんでしたので、まずは読者のみなさんから頂いたおハガキを読ませていただきました。すると、自分と同世代の20代女性の読者が多いこと多いこと! みなさんが果たしてどんなきっかけでアメコミに出会い、アメコミにハマったのか、それが気になって仕方がありません!
映画を見て…
イラストが気に入って…
周りにアメコミ好きがいて…
スーパーヒーローに憧れて…
きっかけは色々だと思いますが、「アメコミ魂」を読んで…が、きっかけになる人が少しでも増えるよう、私なりの言葉で作品の魅力をお伝えできたらと思っております!
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さて、本日ご紹介するのは、いま世界でもっとも注目を集める新世代コミック!
『サーガ1』です。
『サーガ 1』 ブライアン・K・ヴォーン[作] フィオナ・ステイプルズ[画] 定価:本体1,800円+税 ●好評発売中!● |
【種族間の争いの中で繰り広げられるドラマ】【宇宙をまたにかけて展開するSFファンタジー】といった本作の世界観は“「スター・ウォーズ」と「ゲーム・オブ・スローンズ」の融合”とも評されるほどで、「アメコミ魂」読者のみなさんの中にも、邦訳版を心待ちにしていただいていた方は多いのではないでしょうか。
その人気を裏付けるように、
2013年 ハーベイ賞6冠 アイズナー賞3冠
2014年 ハーベイ賞4冠 アイズナー賞3冠
と、アメリカ2大コミック賞を2年連続で複数部門受賞!
また、SF・ファンタジー作品におくられるヒューゴー賞(2013年グラフィック・ストーリー部門)までも受賞したという、なんとも華麗な受賞歴です。このことから、読者の支持だけでなく、コミック界の専門家の間でも、評価が高い作品であることがうかがえます。
原作者はブライアン・K・ヴォーン。『Y:ザ・ラスト・マン』(バーティゴ・レーベル/DC)を手がけた人気コミック・ライターでありながら、あの『LOST』や『アンダー・ザ・ドーム』などのテレビドラマのプロデューサーとしても知られており、現在アメリカで最も高い評価を受けているライターとも言われています。
そして、作画を担当するフィオナ・ステイプルズは、カナダ出身で、アメコミ界では珍しい女性の新世代アーティストとして注目を集めています。日本のマンガの影響も受けてきたというその画風は、ワイルドかつ妖艶なイラストの中にも、ポップなタッチや色使いがあり、そして時にはハッと息をのむほどリアルな描写も…!
世界が注目するふたりがタッグを組んだ本作、ストーリーとイラスト、どちらへの期待も裏切らない大満足の内容になっています!
それでは、気になる内容を少しご紹介します。
銀河最大の惑星ランドフォールに住む“羽人”と、その衛星リースに住む“角人”。その二つの種族の間では、全宇宙を巻き込んだ戦争が続いていました。そんな中、“羽人”アラーナと、“角人”マルコは、最激戦地となっているクリーヴという惑星で出会い、恋に落ちます。兵役をのがれて駆け落ちしたふたりの間には、ほどなく“羽”と“角”の両方を持つ、愛娘ヘイゼルが誕生。
しかし、敵対する種族間での恋愛が許される訳もなく、さらに二人の間に子どもヘイゼルが生まれたと気づいた両陣営は、フリーランサー(賞金稼ぎ)や、ロボット・キングダムのアンドロイド王子に依頼し一家を追います。安息の地を求めて、クリーヴから広い宇宙への脱出目指す一家の前に次々と試練が…!
「たとえ全宇宙を敵に回しても、つらぬきたい愛がある……!」
繰り返し訪れるピンチに、戦いで鍛え抜かれた強さと、家族への愛をもって立ち向かうアラーナとマルコ。幽霊のベビーシッターやアンドロイド王子、悩めるフリーランサーに嘘つき猫など、一家を取り巻くキャラクターたちの際立つ個性が、ストーリーに一層の深みを与えています。
壮大なSFでありながら家族の絆も描いた本作は、スーパーヒーローものでないアメコミには抵抗のあるみなさんにも、是非お手に取っていただきたい一冊です!
また、本書のもうひとつのポイントとして、物語が娘ヘイゼルのナレーションで進行するという点があります。もちろん、赤ちゃんが話しているわけではなく、成長したヘイゼルが過去を振り返るように、両親のことや、人生の教訓めいたこと、また時に意味深なことを語りながらストーリーが進んで
いくのですが、その達観したかのような大人びた口調が、『サーガ1』ではまだ幼いヘイゼルの、
今後の壮絶な人生を想像させて、続きが気になる!
アメリカで異例の大ヒットを記録している新世代コミック『サーガ』を、みなさんもぜひ体験してみてください!
それでは、また次回お会いしましょう。
(文責:太田素子)