10月に入り、空を見ると気づけば宵闇……という季節になりました。「闇」といえば「闇の騎士」バットマンの出番ですね!(ちょっと強引?!)
今回ご紹介するのは、少し前の2012年に刊行した『キャットウーマン:ホエン・イン・ローマ』。「バットマンシリーズ」の本筋とは異なり、サブキャラクターであるキャットウーマンにスポットを当てたサイドストーリーです。
▲『キャットウーマン:ホエン・イン・ローマ』 ジェフ・ローブ[作] ティム・セイル[画] 高木 亮[訳] |
カバーはフランスのイラストレーター、ルネ・グリュオーの作品へのオマージュで描かれたイラストで仕上げられています。このイラストとともに語られるストーリーは、人気クリエイターコンビのジェフ・ローブとティム・セイルが手がけたものです。
カバーと本編とを描いている人が違う…なんてアメコミも多いのですが、こちらは1冊丸ごとティム・セイルのイラストを楽しめます。
実際に出版された順序としては『スパイダーマン:ブルー』が2002年、この『キャットウーマン:ホエン・イン・ローマ』が2004年となっています。
▲『スパイダーマン:ブルー』 ジェフ・ローブ[作] ティム・セイル[画] 高木 亮[訳] |
――ゴッサムシティでおきたある事件の最中、
マフィア一家であるファルコーネの屋敷へバットマンが赴く時には
必ずキャットウーマンの姿があった。
しかしある時を境に、キャットウーマンは姿を消す。
彼女はなぜファルコーネ一家の周囲に現れたのか?
その答えは本書を読めば明らかになるだろう――
本書は、『バットマン』のサブキャラクターであり、ヒロインの1人でもある「キャットウーマン」の1人称で語られます。紫のスーツに身を包んだ「キャットウーマン」と、本当の姿である美女「セリーナ・カイル」が、訪れたローマで自らのルーツを辿る中で出会う仲間と敵。この作品中のみで登場するキャラクター「クリストファー・カスティロ」と共にストーリーは進んでいきます。
それまでに本筋で登場してきたキャラクターが加わるとちょっとわかりにくくなってしまうものですが、「バットマン」と「ジョーカー」は直接ストーリーには関わらないため、ストーリーはこの1冊で完結します。DCコミックスの看板タイトル『バットマン』のキャラクターを知る、ということでこれまた強引ではありますが、「アメコミ次の1冊」として選んでいただくのにもオススメしたいと思います。
……と、今回ここまで紹介してきたのにはちょっとした理由があります。
先日の『スパイダーマン:ブルー』への読者アンケートでは、ティム・セイルのイラストが初めての方を含めてとても好評だったんです。マーベルの“カラー3作品”はまだ邦訳の予定がないのは恐縮なのですが、既刊で似たような雰囲気を味わえる作品といえば!ということで白羽の矢が立ちました。イラストからコミックを読み始めるのだっていいと思います!
このほかの彼らコンビの作品としては、弊社の邦訳コミックでは同じDCコミックスの『スーパーマン・フォー・オールシーズン』が刊行中! こちらも心温まるストーリーですので、機会あればぜひ手にとっていただけたらと思います。
さて、弊社10月刊行のアメコミでは『バットマン・インコーポレイテッド』も控えています。全世界に広がる犯罪組織に対抗するため、バットマンはバットファミリーや世界各地のヒーローたちと協力しながら巨大な悪と戦う!……のですが、その中にはもちろん「キャットウーマン」の姿も。本書のストーリーでは見られない、バットマンと男女の関係?!にもご注目ください(笑)
それではまた次回!
(文責:石割太郎)