▲『アベンジャーズ:シーズンワン』 ピーター・デイビッド[著] アンドレア・ディ・ヴィト他[画] 定価:本体2,000円+税 ●10月29日発売予定● |
今回、ご紹介するタイトルは『アベンジャーズ:シーズンワン』です!
内容は、マーベルが誇る伝説のスーパーヒーローチーム“アベンジャーズ”が結成された直後の、知られざる秘話が明らかになるというストーリーになっています。
本書は2012年に公開された映画で、“アベンジャーズ”を知ったファンを原作コミックにも誘導するというコンセプトから誕生しました。
どこから読み始めれば良いか迷ってしまうアメコミですが、そういったコンセプトから組み立てられた分かりやすいストーリー展開と初期エピソードを収録しているという点では、特に初心者にとってはベストな一冊となっているのではないでしょうか。
主に登場するキャラクターは、キャプテン・アメリカ、アイアンマン、ソー、ハルクといった創立メンバーで構成され、ヴィランもロキ、レッド・スカル、ミスター・ハイドが大暴れします。
ではそんな人気ヒーローたちが勢揃いする、本書のあらすじを紹介します。
結成間もないアベンジャーズは、謎の存在によって知らぬ間に操られていたのだった。その陰謀者は、チーム間に不信の種を蒔き、アベンジャーズの団結を乱そうとしていた。ハルクはチームから追放され、アベンジャーズはいっそう疑心暗鬼にとりつかれていく……。マイティ・ソーは“地球侵略を企む異星人”なのか? キャプテン・アメリカは“稀代の詐欺師”なのか? そして、アイアンマンは“敵のスパイ”なのか?
アベンジャーズは、黒幕の正体を暴く前に自滅してしまうのか!? それとも、アベンジャーズの誰かがその企みを見破るのだろうか……物語は予想だにしない方向へと進んでいく――
このワクワクするような展開は、序盤から中盤にかけてはキャプテン・アメリカ、アイアンマン、ソーそれぞれの視点でストーリーが進行し、後半はアベンジャーズとしてチームで大活躍するという斬新な構成となっており、きっと一気に読み進められることでしょう。
派手なアクションも満載で、キャプテン・アメリカ VS レッド・スカル、アイアンマン VS ミスター・ハイドといったスーパーヒーローとヴィランの戦いや、ソー VS ハルクといった夢の対決も見逃せません!
そしてストーリーの最後には日夜、様々な悪と戦っているスーパーヒーロー同士の会話とは思えないオチもあって、そのギャップも楽しめます。
また、巻末には貴重な資料ページも収録しています。本書の作者であり、80年代から活躍を続けているベテラン・コミックライターのピーター・デイビッドによるアウトライン(あらすじ)と、アーティストのアンドレア・ディ・ヴィトのキャラクター設定画が掲載されています。ペンシルで描かれたこれらの設定画は各キャラクターの容姿がよく分かるように描かれており、ファンにとってはこちらもお楽しみいただけると思います。
それらのペンシル画をよく見てみると、各キャラクターのコスチュームは、映画版とコミック版をミックスした独自のデザインになっていることも興味深いです。まぁ、ハルクは変わらずそのままですが……(笑)
なかでも、最もその見た目に大きな変化があるのは、アイアンマンでしょう! 初期の原作コミックでは鉄人28号を思わせるようなシルエットで、目の部分に空いたスリットから外を見ているというコスチュームでした。それが本書では、みなさんもよくご存知の赤と金でカラーリングを施したメカニカルな外観と、カメラを搭載したHUD(ヘッド・アップ・ディスプレイ)が備わっており、かっこいいアイアンマンが描写されています!
そんな視点で見てみるのも、新しい発見があって面白いですね。
▲『ホークアイ:マイライフ・アズ・ア・ウェポン』 マット・フラクション[作] デイビッド・アジャ他[画] 定価:本体2,000円+税 ●好評発売中!● |
「アメコミ魂」の読者さんはご存知かと思いますが、あらためてご説明すると、ホークアイとは本名クリント・バートン、弓矢に関しては第一級の腕前を誇るアベンジャーズの一員です。
ホークアイについては、今年8月に刊行しました『ホークアイ:マイライフ・アズ・ア・ウェポン』でもチェックしてみてください。
そしてブラック・ウィドウとは本名ナタリア・アリアノワ・ロマノワ。超人血清のおかげで、若さを保っていられるスパイです。
そんな二人がラトベリアという地で超危険な任務に就くという内容です。緊迫したミッションが進行していくなかで、ところどころにある、“バートン節”に思わず笑ってしまいます。是非、注目してみてください。
ヴィランは、本作が初登場のゾディアックというチーム。元ヒドラ・エージェントや、元ギャングなど、名もなきヴィランたち12人からなる集団で、12星座に由来するパワーをそれぞれ持っているという特徴があります。そのうち、どの星座に由来するパワーの敵が本作には登場するのでしょうか!?
本書を読んで、子どもの頃、強くてかっこいいスーパーヒーローに憧れたことを思い出しました。大人になった今、そんなヒーローもいつも強いばかりではなく、時には悩んだり、仲間を疑ってしまったりする、どこか人間臭いところもきちんと描かれているところを理解した時、彼らをより身近な存在に感じることができたような気がします。
アメコミ愛読者の方はもちろん、初心者の方には入門書として最適な本書をお楽しみいただければと思います。
それではまた次回に。
(文責:渡辺直経)