今夜は冬至。1年で一番、太陽が出ている時間の短い日です。しかも今年は新月と重なる19年に1度の「朔旦冬至」だそうですね。さらにまもなく年の瀬。海外では今週から「クリスマス休暇」としてお休みに入るオフィスが多いようです。
……というのも、ShoPro Books刊行物のアメコミやその他いろんな翻訳書に関して、先週末までに確認&回答をいただいたモノが多かったんです。
そんなクリスマス直前のアメコミ魂は、つい先週まで監修確認をお願いしていたShoPro Books 1月の新刊『ミュータント タートルズ大全』をアメ魂読者のみなさんへ最速でご紹介します!
▲『ミュータント タートルズ大全』 アンドリュー・ファラゴ[著] ピーター・レアード[序文] 定価:本体3,900円+税 ●2015年1月28日ごろ発売予定● |
1990年代、2007年、そして最新の2014年4月、と日本でもテレビアニメが放送されてきた『ミュータント タートルズ』。映画やオリジナルビデオアニメも発売されており、「タートルズ」を知る方は少なくないでしょう。
本書の刊行を発表して以来、タートルズファンの方からの大きな期待を感じています。
それぞれにみなさん思い出の「タートルズ」があるのではないでしょうか。
ただ、何年かごとに放送されたアニメシリーズや映画版がどのように関連のあるストーリーだったか、また登場するキャラクターの違い、そして世界観...etc、熱心なファンサイトや様々なWEBページを見ても、タートルズ世界の全容を理解することはなかなかに困難でした。
そんなタートルズ世界を1冊にまとめ上げたのが本書『ミュータント タートルズ大全』。原書は2014年に刊行された『Teenage Mutant Ninja Turtles: The Ultimate Visual History』、その邦訳本です。
著者は、サンフランシスコにある美術館「カートゥーン・アート・ミュージアム」でキュレーターを務めるアンドリュー・ファラゴ。アニメ・コミックに関する様々な媒体への寄稿や、マーベル・コミックスでライターを務めたりと幅広く活躍しています。本書は氏の並々ならぬ情熱を感じる1冊となっています。
1984年、ニューハンプシャー州ドーバーで起こった奇跡の誕生から始まり、アニメ化や商品の大ヒット、そして映画化、とどんどん広がっていった『ミュータント タートルズ』。
各年代の代表的なイラストや、熱狂的なブームを作った立役者たちのインタビューなどふんだんに収録され、単なる歴史解説というだけでなく「タートルズ」について第1級の研究資料といっても差し支えないでしょう。
自費出版で始まったタートルズ
『ミュータント タートルズ(原題:Teenage Mutant Ninja Turtles)』は1984年5月に、アメリカのイベント「ポーツマス・ミニコン」で自費出版されたコミックブックから誕生しました。
原作者は、本書の序文を綴っているピーター・レアードと、ケビン・イーストマン。二人は自分たちのオリジナルコミックを作る過程で「タートルズ」を思いつき、そのストーリーをコミックブックにしたのが始まりです。『ミュータント タートルズ』は、デビュー直後から口コミでその人気に火が点き、直販の自費出版コミックブックながら5万部もの事前注文があったとか。日本とアメリカでは書籍の流通システムが異なるので一概に比較はできませんが、同人誌即売会で発表した創作コミックから始まり、二人で直接制作&販売していたと考えると5万部というその数に驚きます。『バットマン』=DCコミックス、『スパイダーマン』=マーベル、というように「出版社が生み出したキャラクター」の多いアメコミ界では、どこの出版社にも所属しないキャラクターが大成功した例はかなり珍しいようです。
本書ではピーター・レアードとケビン・イーストマンが出会うまでに遡り、二人が始めたコミックブック作りと、偶然の衝動から生まれた「タートルズ」誕生秘話まで迫ります。
キャラクター人気の隆盛と凋落を経て
「カワバンガ!」のセリフも大ヒットしたテレビアニメ、3作が製作された映画も大ヒット、と全世界を一世風靡した『ミュータント タートルズ』でしたが、1990年代後半にはタートルズにとって冬の時代がやってきます。立て直しを図るテレビ番組での試行錯誤、ファンの評価が割れた新しいコミックシリーズ、原作者二人の間の不一致……など、この時期の複雑な出来事も本書では触れられています。決して「いいこと」だけを集めた本ではなく、研究資料と呼びたい理由はココでもあります。
原作者、ピーター・レアードによって2000年代の復活を果たした『ミュータント タートルズ』。現在「タートルズ」の権利はニコロデオンに移っていますが、そこに至るまでの経緯や、IDWから展開されるコミック新シリーズについてもその関係者たちの熱い情熱を読むことができます。
31年目に入るタートルズ、最新映画も見逃すな!
2014年は最新のテレビアニメシリーズ『ミュータント タートルズ』が日本でも放送されました。
さらに2015年2月7日(土)には、最新映画『ミュータント・タートルズ』が公開されます。映画『ミュータント・タートルズ』は、『トランスフォーマー』シリーズの監督として有名なマイケル・ベイがプロデューサーとして製作。“破壊王”の異名を持つマイケル・ベイが、どんな新しいタートルズを魅せてくれるのでしょう!?
本書でも、監督ジョナサン・リーベスマンをはじめ、ヒロイン「エイプリル・オニール」役のミーガン・フォックス、そして何か影のある実業家「エリック・サックス」を演じるウィリアム・フィクトナーなど、映画の重要人物たちがそれぞれの作品に対する想いを語ってます。全米では公開から2週連続での興行収入No.1を獲得、早くも続編の製作が決定しているとも伝えられています。超期待の最新作がまもなく日本上陸です!
映画『ミュータント・タートルズ』公式サイト
http://www.turtles-movie.jp/
いかがでしたか?
いつものコミックレビューとはちょっと趣が異なりますが、本書の魅力をしっかりとお伝えできたでしょうか。『ミュータント タートルズ』をより深く味わいたい方や、「あの時のストーリーはどういう内容?」なんて疑問をずっとお持ちの方には自信を持ってオススメします!
最後にひとつ、お知らせです。
アメリカで刊行された原書は、『ミュータント タートルズ』第1号のコミックブック復刻版、ポスター、当時のファンクラブレターやポストカードなどの付録が同梱もしくはページに貼り付けされていました。邦訳版である本書は、日本のタートルズファンの方により理解を深めていただくための普及版としてできるだけ価格を抑えるため、それらの付録は付属しない仕様とさせていただきました。中でもコミックブックの第1号は『ミュータント タートルズ』の中でも最も重要なエピソードですので、いずれみなさんに読んでいただけるようにできたら……! と強い意志を持っております。
応援いただけましたら幸いです。
それではまた!
(文責:石割太郎)