2015年2月16日月曜日

バットマンがキュートに変身! 『リル・ゴッサム1』

みなさん、こんにちは。

ダークナイトキュート活躍する、話題のコミックの日本版がいよいよ刊行!……というわけで、今回は226ごろ発売予定『バットマン:リル・ゴッサム1』をご紹介させていただきます。

『バットマン:リル・ゴッサム1』
ダスティン・グエン[作・画] デレク・フライドルフス[作]
定価:本体1,800円+税
●2月26日頃発売●
本作はアメリカで201210から翌年12月までデジタルコミックとして発表されたシリーズ(のちに通常のコミックブックとしても発売)の、単行本第1巻。内容はさまざまな祝日をテーマにした短編集で、12話収録の本書を読むと“リル版”ゴッサムシティの1年を楽しめるという、“バットマン暦”とでも呼べる作品です。どんな祝日が取り上げられているかというと……

ハロウィン1031日)→第1話は、いまや日本でもすっかりおなじみになった諸聖人の日。見所はなんといっても仮装! DCのさまざまなキャラの衣装を着た人々(なかには本物も?)で、ゴッサムの通りが溢れかえります。ぜひすみずみまでチェックを!

感謝祭/サンクスギビング・デイ11月の第4木曜日)→感謝祭といえば七面鳥の丸焼き。そしてバットマン系のヴィランで、といえば……。

クリスマス・イブ1224日)→この年のゴッサムはホワイトクリスマス。となると、登場するのはもちろんミスター・フリーズ! このシリーズのフリーズ、ヴィランながら、なんだかほっとけないいじらしさがあります。

大晦日/ニューイヤーズ・イブ1231日)→主役はキャットウーマンポイズン・アイビー、そしてハーレイ・クイン“ゴッサム・シティ・サイレンズ”。お騒がせトリオの年越し女子会は、やっぱり無事にすむはずもなく……。

バレンタインデー214日)→なんと、ジョーカーゴッサム1のモテ男!? ジャスティス・リーグの面々も登場します。

旧正月1月下旬~2月下旬)→アジア系のお祭りということで、アウトサイダーズのカタナが登場して、ダミアンとコンビ結成! 若き日のアルフレッドのサイドキック姿(グリーン・ホーネットのカトー風)も見られます。

聖パトリックの祝日317日)→日本ではあまりなじみがありませんが、アイルランドにキリスト教を広めた聖人を称える祝日です。またの名を緑の日。アメリカで“グリーン”とも呼ばれるドル紙幣が、ゴッサムの銀行から次々に盗まれますが、その背後には……?

イースター/復活祭4月頃の日曜)→キリストの復活を記念する祝日に犯罪を企むのは、『不思議の国のアリス』ネタのヴィランを集めた、マッドハッター率いるワンダーランド・ギャング

4月の雨が5月の花を咲かせる”→この回は、“苦しいことの後には、いいことがある”といった意味の慣用表現にちなんでいます。そして、再びミスター・フリーズが登場! 彼の妻ノーラをめぐる、楽しくもせつないエピソードになっています。

シンコ・デ・マヨ55日)→こちらも日本ではあまりなじみがありませんが、メキシコ系アメリカ人のお祭りです。そんな日にベインが企んでいた悪事とは? メキシコがテーマなだけに、ベインもルチャドール的な仲間を引き連れて登場です。

母の日5月第2日曜日)→ヒーロー好きの少年コリン・ウィルクスは、ある事件がきっかけで自身も怪力ヒーロー“アビューズ”に変身できるようになります。養護施設で育った彼が母親を知らないと聞いた、友達のダミアンは……。

父の日6月第3日曜日)→父親であるゴードン本部長と一緒にディナーを食べようと、レストランに出かけたバーバラ。すると、そこにはもう一組の親子が……。さらに、ウェイン邸でもバットファミリーが集まって父の日を祝おうとしますが……。

本書の作者はダスティン・グエン[作・画]とデレク・フライドルフス[作]。もともとはペンシラーとインカーのコンビで、本作以前は1990年代のアニメ版『バットマン』でおなじみのポール・ディニ脚本による『ディテクティブコミックス』『バットマン:ストリーツ・オブ・ゴッサム』といったシリーズを担当していました。そのせいでしょうか、ポール・ディニ色のようなものが案外強く感じられるのも特色かなと。たとえば、シンコ・デ・マヨ母の日のエピソードに出てくるダミアンの友達コリン・ウィルクスは、上記『ストリーツ・オブ・ゴッサム』で初登場したキャラクターです。また、ダスティン・グエンは新作オリジナルコミック『ディセンダー』(ライターはジェフ・レミア)が、創刊前にソニー・ピクチャーズによって映画化権が取得されて話題になった、今後要注目のアーティストでもあります。

バットファミリーはもちろん、ジョーカーミスター・フリーズベインといったおなじみのヴィランも“リル化”して、ゴッサムシティでてんやわんやの大騒ぎを繰り広げるこの作品、日本ではなかなか紹介される機会の少ないコメディ系コミックに、新しいアプローチで成功した注目作です。メインのユニバースでは重厚でシリアスな物語を身上とするバットマンだけに、いっそう心癒されます……。
本作には2もあります。日本の“水無月”をテーマにした回では東京湾巨大ロボット怪獣が戦ったり、ゴッサムシティのコミコンを舞台にした回があったりと、まだまだ愉快なエピソードが盛りだくさん! さらに、5にはフィギュアメーカーのコトブキヤさんより、『バットマン:リル・ゴッサムミニフィギュア』も発売される予定です(詳しい情報はこちらに)。立体とコミック、両方で展開する“リル”ワールドにぜひご期待ください! 

ところで、“かわいいアメリカン・コミック”といえばもう一つ。100年以上前の作品ながら、華麗かつ緻密な絵柄で後世に絶大なインパクトを残した、かわいくも偉大な名作コミックストリップがあります。そう、昨年小社から日本版が発売された、『リトル・ニモ 1905-1914です。そして、そんな作品を翻訳された海外コミック紹介の第一人者、小野耕世さんが、『リトル・ニモ』の魅力を語る講演会が開催されます。
▲『リトル・ニモ 1905-1914』
ウィンザー・マッケイ[著]
定価:本体6,000円+税
●好評発売中●
『マンガとアニメの天才、ウィンザー・マッケイ~『リトル・ニモ』の魅力に迫る~』
【日時】201537日(土)14:0016:00 (当日の受付開始は1330~)

【会場】千代田区立日比谷図書文化館 地下1階 日比谷コンベンションホール(大ホール)

【参加費用】1,000

【申込方法】電話(0335023340)、Eメール(college@hibiyal.jp)、来館(1階受付)いずれかにて、①講座名(または講演会名)、②お名前(よみがな)、③電話番号をご連絡ください。
小野耕世(おのこうせい):漫画評論家、翻訳家。海外コミックの翻訳出版、研究、紹介の第一人者。国士館大学21世紀アジア学部客員教授、日本マンガ学会理事を務める。2006年に第10回手塚治虫文化賞特別賞を受賞。
小野耕世さんといえば、先日、18回文化庁メディア芸術祭で長年にわたる海外コミックの啓蒙活動が評価され、「功労賞」を受賞されました。その小野耕世さんの最新翻訳書『リトル・ニモ』についての講演会です。ぜひ、この機会に足をお運びください!

ではでは、今日はこんなところで失礼します。 


(文責:中沢俊介)