読者の皆様、こんにちは! 「アメコミ魂」ライターの乙間です。
今週のアメコミ魂は、明日発売の『X-MEN:シーズンワン』と『スター・トレック/グリーン・ランタン』をご紹介します(ちなみに7月20日は先週ご紹介した『デスストローク』を加えると、アメコミ3作品同時発売となります)。
ⓒ 2016 MARVEL |
『X-MEN:シーズンワン』も『スター・トレック/グリーン・ランタン』も今年映画が公開される作品(グリーン・ランタンはまだですが……)という共通点がありますね。
まず、1ヶ月後にはX-MEN三部作(『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』・『X-MEN:フューチャー&パスト』・本作)の完結編として、映画『X-MEN:アポカリプス』が公開されます。ホント、今から楽しみですよね。
先日、日本興収20億円を突破した『デッドプール』も『X-MEN:アポカリプス』も20世紀フォックス配給なので、デッドプールがトリビアを教えてくれる予告編も公開されています。
このシリーズは、遡ること16年前に公開されたブライアン・シンガー監督の映画『X-メン』から始まりました。いまでは「アメコミ」または「アメコミ映画」という言葉が浸透していますが、当時はまだまだ一般的に認知されていない言葉でした。「アメコミ」という言葉ですらそういう状態だったので、90年代半ばに小社の邦訳コミックが出版され、アニメが放送されていたとしても、多くの人は「X-MEN」の存在を知らなかったと思います。たぶん「エックス-メン」と読める人も少なかったはずです。たまに「バツ-メン」と呼んじゃう人もいたくらいですからね。
ですので、映画会社の方たちもこの映画をどう宣伝していくか、どう伝えていくか、色々と悩んだと思います。一般的には認知されていないとはいえ、日本でもすでにX-MENファンはいたので、コアファンの意見も無視することはできませんしね。その辺りが、本作だけ“X-メン”という表記になったのかもしれません。きっと、「エックスメン」にするか、「Xメン」にするか……など会議で話し合われていたはずです。
34歳で『X-メン』のメガホンを取ったブライアン・シンガーも今年で51歳になります。キャリアを築き上げた監督の最新作『X-MEN:アポカリプス』は8月11日(木・祝)全国ロードショーです。
実は、ひと足お先に映画『X-MEN:アポカリプス』を観させていただいたのですが、アクションシーンが満載で何度も観たくなる作品でした。しかも役者がみな若い!特に20歳のコディ・スミット=マクフィーが演じるナイトクローラーが最高でした。個人的には、前作同様、クイックシルバーのシーンが大好きで、クールなんだけどお茶目なところがこれまた最高でした。20世紀フォックス配給ですが、もちろんマーベル映画ですので、スタン・リー御大のカメオ出演もありました。今回は中盤くらいに注目です!
次に注目したいのが、全米公開が今週22日に控えた映画『スター・トレック BEYOND』(日本の公開は10月21日)。映画『スター・トレック』(2009)、『スター・トレック イントゥ・ダークネス』(2013)に続く、本作の予告編はこちらになります。
どちらも公開が待ち遠しいのですが、その間にぜひ小社のコミックを読んでお待ちください!
では、まずは『X-MEN:シーズンワン』をご紹介します。
小社では、『アベンジャーズ:シーズンワン』、『アントマン:シーズンワン』に続く、シーズンワン・シリーズ第3弾となります。ちなみに映画『ドクター・ストレンジ』に合わせて、このシリーズの日本語版第4弾にあたる『ドクター・ストレンジ:シーズンワン』も刊行が予定されているので、お楽しみに。
このシーズンワン・シリーズ共通の特徴は、各キャラクターの初期エピソードを翻案している読み切りコミックだということです。ですので、何十年も描かれているキャラクターの物語や複雑な歴史を知らなくとも、これ一冊だけで楽しめるつくりになっています。最近、X-MENやアベンジャーズ、アントマンを知った人は、まずこのシリーズから読んでいただくのもいいかもしれません。
X-MENが生まれたのは、1963年。マーベル映画ではお馴染みのスタン・リーが原作、そして、数々のキャラクターを創造した今は亡きジャック・カービーによって生み出されました。この1960年代のエピソードのいくつかを現代風にアレンジしたのが『X-MEN:シーズンワン』です。エピソードのもとは1960年代のものですが、キャラクターの設定などは映画版等に鑑みたつくりになっています。
1960年代のX-MENは今よりもシンプルでよね。チャールズ・エグゼビアことプロフェッサーXが迫害されるミュータントの子供たちのために「恵まれし子らの学園」を設立し、サイクロップス(スコット・サマーズ)、ビースト(ハンク・マッコイ)、アイスマン(ボビー・ドレイク)、エンジェル(ウォーレン・ワージントン3世)、そしてマーベルガール(ジーン・グレイ)の5人を集めて、正しい能力の使い方を教え、X-MENを結成する。さらにミュータントである磁界王マグニートーがX-MENに対抗すべくブラザーフッド・オブ・イービル・ミュータンツを結成し、X-MENと対峙する……。これが当時の基本の設定ですよね。この設定を現代風にアレンジしているのが本書ですので、意外にすんなりと物語に入ることができるはずです。
10代の男女が集う学園ものですので、当然、恋模様も描かれています。本書では、ジーンが学園に入るところから始まるのですが、彼女の恋心の変遷にも注目してください。
巻末には、本書の底本が刊行されていた2011年に『アンキャニー・X-MEN:リジェネシス』1号が試し読み的に収録されてます。1963年から始まった『アンキャニー・X-MEN』は2011年まで全544号続いたのですが、その後に始まったセカンドシリーズ(Vol.2)が『アンキャニー・X-MEN:リジェネシス』です。比較的最近のこの作品を読んでしまうと、色々と複雑になっている現実世界に一気に引き戻されてしまうのですが(笑)、これもまたアメコミの世界。ぜひ双方ともご堪能ください!
次に、スター・トレックとグリーン・ランタンが共演するという、映画ではゼッタイありえない物語『スター・トレック/グリーン・ランタン』をご紹介します。
そもそも本書を刊行するきっかけは、翻訳を担当している中沢俊介氏でした。彼はいつも版権がなかなかクリアしない作品を提案してくるのですが(笑)、編集部も以前からアメコミの『スター・トレック』シリーズには興味を持っていたので、何度か検討していたようです。どの作品を刊行するのか、編集部がなかなか一歩踏み出せなかったところに、中沢氏が本書を提案したそうです。グリーン・ランタンファンにも読んでもらえるだろうと考えたのかはわかりませんが、なかなか豪華なクロスオーバーですよね。そういえば、スター・トレックは1996年に『Star Trek / X-MEN』(未邦訳)でX-MENとも共演したことがあります。ちなみに、スター・トレックには、トレッキー/トレッカー/トレッキアンと呼ばれる熱烈なファンがいるので、その方たちがこのコミックをどう受けとめてくれるか、気になるところですね。私のような“にわかファン”は、興奮しながら読んでしまいました……。
本書を読んで思ったのですが、本書もまた、今までアメコミを読んだことがない人でもすんなり入れる作品だと感じました。欲を言えば、映画『スター・トレック』(2009)か『スター・トレック イントゥ・ダークネス』(2013)、それと映画『グリーン・ランタン』(2011)を観たことがあれば充分お話は理解できるかと思います。もし、それらの映画を観たことがない人でも……いや、そういう人はこのコミックを手に取らないかもしれないな……とにかく、映画一本作れるほどの豪華な内容となっていますので、騙されたと思ってぜひ手に取ってお読みください!
さて、肝心な内容紹介は以下になります。惑星モゴで、悪を取り締まる組織ガーディアンズ・オブ・ユニバースの一員であるガンセットが何者からリングを狙われ、追われる場面から始まります。惑星モゴとは、「グリーン・ランタン」に出てくるパワーリング(このリングをすると頭に描いたものが光で実体化する)の資格者を導き、意志を持つ惑星のことです。ガンセットは、光を放ち、どこかに消えてしまいます。そして、場面は“異なる時間”、“異なる宇宙”に移ります。そう、USSエンタープライズ号が浮かぶ宇宙です。カーク船長たちは、不思議な惑星を発見し、偵察任務を行います。そこで、屍と化したガンセットとパワーリングを発見し……いかがでしょうか? この先が気になりますよね。基本的に、物語はスター・トレックの宇宙で事件が起こっていきます。当然、グリーン・ランタンことハル・ジョーダンと、カーク船長、スポック副長たちは出会うことになるのですが……さあ、続きは明日発売の本書をお読みください!
来週は、映画での輝きが記憶に新しいワンダーウーマンが大活躍する『トリニティ バットマン/スーパーマン/ワンダーウーマン』をご紹介します。リヒャルト・ワーグナーではなく、マット・ワグナーの名作ですよ!
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この「アメコミ魂」は9月まで夏休みをいただきます。次回は9月6日(火)の更新となります。
では、また火曜日の正午に。
(文責:乙間萌生)
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