2017年3月14日火曜日

業火を纏うアンチヒーロー“ゴーストライダー”の単独誌!

「アメコミ魂」をご覧の皆さま、こんにちは!

今日はホワイトデーですね。バレンタインデーにチョコをもらえた男性諸君はきっちりお返しましょう!

さて、本日ご紹介するのは、好評発売中の『ゴーストライダー:破滅への道』です。

ガース・エニス[作]、クレイトン・クレイン[画]
定価:本体2,100円+税
◆好評発売中!◆

アメコミファンの方はご存知! ゴーストライダー!! だと思いますが、恥ずかしながら私も担当するまでは映画は見たことあるけど…… という程度だったので、まずは基本情報からゴーストライダーの魅力を紐解いていければと思います。

本書は2005年から翌年にかけて、マーベル・ナイツから発売された全6号のミニシリーズを邦訳したものです。バイクのスタントマンだったジョニー・ブレイズが末期ガンを患った恩人の命を救うため悪魔メフィストと契約し、復讐の精霊ゴーストライダーとなり、地獄で苦しんでいるところからストーリーが始まります。

本書では常にゴーストライダーの格好をしていますが、他の作品では普段は人間の姿をしており、ゴーストライダーに変身している間のみ、頭は燃えさかるドクロとなり、不死身に近い身体になります。その能力は悪魔をも燃やすことができる地獄の業火(ヘルファイヤー)や乗っているバイクにヘルファイヤーを纏わせたヘルサイクルで敵と戦います。

ゴーストライダーは歴史の長いヒーローで、時代によって、呼ばれ方が変わったり、宿主の人間が代わったりしますが、一番有名なのが本書に登場するジョニー・ブレイズのゴーストライダーだと思います。

今年は記念すべき映画1作目の『ゴーストライダー』が公開されてから10周年のアニバーサリーイヤーでもあるのですが、この映画のゴーストライダーもジョニー・ブレイズのお話です。
映画ではニコラス・ケイジがゴーストライダーを演じ、ゴーストライダーの誕生から悪魔メフィストに翻弄されながら、悪魔ブラックハートというメフィストの息子と戦います。

また、映画は『ゴーストライダー2』が2013年に日本でも公開されていますが、ニコラス・ケイジがゴーストライダーを演じていること以外はストーリー上の繋がりもなく、設定も異なる部分があります。『ゴーストライダー2』では悪魔メフィストが地上で活動するための完全な肉体を得るため人間の女に産ませたダニーという少年を捕らえ、自らの生贄にしようとします。ゴーストライダーは悪魔メフィストの企みをダニーの母親であるナディアや神父モローと協力し、阻止しようとするというストーリーです。もちろんアメコミとも部分的に違った設定になっています。

マーベルのアメコミとしてのゴーストライダーが初めて登場したのは『ゴーストライダー』#1(1967年2月号)です。白馬に乗って白装束で戦う西部劇ヒーローでファントムライダー(本名:スレイド・カーター)と呼ばれていましたが、さらにその前の1940年代にマガジン・エンタープライジズで考案されたキャラクターが本当の元祖ゴーストライダーとなります。

映画とコミックスの違いはありますが、共通してあるのはゴーストライダーのアンチヒーローとしての闇の深さと外見と内面のかっこよさ、そして男なら一度は経験するヒーローならではの超クールなバイク! という魅力に溢れています。

これを機に映画もコミックスもチェックしてみてください!


さて、基本情報はこのくらいにして、ここからは本書のストーリーにふれていきたいと思います。

本書のみどころは大きく分けて2つあります! ストーリーと超美麗なアートです。

悪魔を倒すという単純なストーリーかと思いきや読み進めていくうちに天国と地獄、地上に住むそれぞれのキャラクターの思惑が絡み合い、隠された秘密も散りばめられており、最後には…… おっと、詳しくは本書をお読みいただければわかりますが、本当に読み応えのある内容になっております。

今回はメインストーリーである悪魔カザンの誕生とカザンを追う者を紹介します。

悪魔カザンは長きに渡る天国と地獄の冷戦を地獄の勝利で終わらせるために、地上に冥界の扉を開こうと石油王グスタフと取引し、地上に姿を現します。


天国と地獄からは悪魔カザンの企みを止めるために追跡者が放たれます。それが天使ルツと悪魔ホスです。




さらに、天使マラキはある個人的な理由で悪魔カザンを止めるために独自に追跡者を放ちます。


道中でそれぞれの追跡者はぶつかり合いながら悪魔カザンがいるテキサスを目指します。


※すごいところから気持ち悪い触手が出ています。はじめてみたときは思わず「気持ち悪っ!!」と叫んでしまいました。


※生身の人間を振り回して殴り合うというクレイジーな戦い。

果たして、ゴーストライダーは悪魔カザンを捕らえ自由を手にすることができるのか…… というストーリーです。

イラストの美麗さは説明するまでもない美しさですね。

ここに書いたストーリーはあくまで本筋で、物語の中で、登場人物に深い過去があったり、半分人間、半分悪魔であるゴーストライダーならではの言葉に人間という存在を考えさせられる魅力に溢れる作品です。


最後に個人的に大好きなキャラクター“バットビュー”の紹介です。


元は人間でしたが、悪魔ホスの逆鱗に触れ、顔面を自らのケツに埋め込まれるという改造をされた謎の生き物です。
言葉も『ンンフゥ』しか話せない、なんともキュートでクレイジーなキャラクターです。
死んでるのか生きてるのかわかりませんが、こんな死に方は絶対したくないですね。笑

現代社会を生きるのは辛く地獄のような毎日だと感じることもあるかもしれませんが、本物の地獄は本書の中にあります。

本書を読んで、人間の闇の奥深さに触れてみてはいかがでしょうか。

最後までお読みいただきありがとうございました。

同時発売となった『ワンダーウーマン:アースワン』と明日3月15日発売予定の下記のタイトルも改めてこのブログで紹介します!

グラント・モリソン[作]、ヤニック・パケット[画]
定価:本体2,200円+税
◆好評発売中!◆

ジェフ・ジョーンズ[作]、ジェイソン・ファボック[画]
定価:本体2,500円+税
◆3月15日頃発売予定!◆

トニー・S・ダニエル他[作]
タイラー・カークハム他[画]
トム・モリー他[彩色]
定価:本体2,100円+税
◆3月15日頃発売予定!◆

ジェイソン・ラトゥーア[作]
ロビー・ロドリゲス[画]
定価:本体2,100円+税
◆3月15日頃発売予定!◆

それではまた次回お会いできることを楽しみにしております!

(文責:関谷怜也)