アメコミ魂をご覧の皆さま、こんにちは!
毎日うだるような暑さで体調など崩されていないでしょうか?
こんな日は街の上をクモ糸でスイングできたらさぞ気持ちいいでしょうね。
今日取り上げるコミックスは、ニューヨークの街を軽やかにスイングする"親愛なる隣人"スパイダーマン個人誌です。
チップ・ズダースキー[作]
アダム・キュバート他[画]
定価:本体2,300円+税
●2018年07月19日●
▮ アメリカで大好評の「スペクタキュラー・スパイダーマン」シリーズ
スパイダーマン個人誌といえば「アメイジング・スパイダーマン」が主要誌ですが、本誌は2017年8月からスタートしたセカンド・タイトル、「ピーター・パーカー:スペクタキュラー・スパイダーマン」#1-6(プラス#0)をまとめたシリーズとなります。
久々の"スペクタキュラー~"誌となる本シリーズは、2017年5月にフリーコミックブックデイ(※)でマーベルが配布した「特別号」に10Pにわたって収録されたイントロダクション(#0)に始まり、創刊号は23万部以上を売り上げ月間ランキング1位(年間ランキング4位)を獲得するなど、本国アメリカで大いに盛り上がりを見せているシリーズとなっています。
※フリーコミックブックデイとは…
毎年5月の第一土曜日に全世界のアメコミショップで開催され、お店に行くだけでアメコミがタダで何冊も貰えるという、アメコミファンのお財布にやさしいイベントです。
元々は、アメコミファンの裾野を広げ、大人から子供までアメコミファンが年に一度地元のアメコミショップに集まって交流を深めようという目的で、DCコミックス、マーベル・コミックス、ダークホース・コミックス、IDWパブリッシング、BOOM!スタジオ、ダイナマイト・エンターテインメント、イメージ・コミックスなどメジャーからマイナーまでのアメコミ出版社と、アメリカ全土のコミックショップ2,300店以上が協力して実現した企画です。
日本・東京でも秋葉原のブリスターコミックスさんや池袋のヴァースコミックスさんが参加されてますので、来年の5月第一土曜日によかったら足を運んでみてはいかがでしょうか。
毎年5月の第一土曜日に全世界のアメコミショップで開催され、お店に行くだけでアメコミがタダで何冊も貰えるという、アメコミファンのお財布にやさしいイベントです。
元々は、アメコミファンの裾野を広げ、大人から子供までアメコミファンが年に一度地元のアメコミショップに集まって交流を深めようという目的で、DCコミックス、マーベル・コミックス、ダークホース・コミックス、IDWパブリッシング、BOOM!スタジオ、ダイナマイト・エンターテインメント、イメージ・コミックスなどメジャーからマイナーまでのアメコミ出版社と、アメリカ全土のコミックショップ2,300店以上が協力して実現した企画です。
日本・東京でも秋葉原のブリスターコミックスさんや池袋のヴァースコミックスさんが参加されてますので、来年の5月第一土曜日によかったら足を運んでみてはいかがでしょうか。
▮ 「スペクタキュラー・スパイダーマン」誌の歴史
スパイダーマンの"スペクタキュラー~"シリーズとしては、1976~1998年の第1期(#1~263)と、2003年~2005年の第2期(#1~27)に続く、今回が第3期になります。
(※なお、2017年に始まった第3期では当初#1からナンバリングされていましたが、第7号以降は、第1期・第2期と号数を通算し、#297~とナンバリングされており、本国アメリカでは2018年7月現在#307まで続いています。)
「アメイジング・スパイダーマン」以外のスパイダーマン誌としては、スパイダーマンとマーベルヒーロー達がチームアップする「Marvel Team-Up」というシリーズが1972年にありましたが、「スペクタキュラー・スパイダーマン」は3番目のスパイダーマン個人誌として登場しました。
創刊のきっかけですが、当時マーベル・コミックスの経営にも携わっていたスタン・リーが「スペクタキュラー・スパイダーマン」初代脚本家となるジェリー・コンウェイに、「アメイジング・スパイダーマン」の脚本を手掛けてほしいと打診しましたが、レギュラー脚本家としてレン・ウェインが既にいたことからジェリー・コンウェイは断りました。
そこでスタン・リーは、よりスパイダーマンのキャラクター性とピーターの日常生活にスポットを当てた新たなオンゴーイング・シリーズとして「スパクタキュラー・スパイダーマン」の創刊を決意したそうです。
▮ 2017年版「スペクタキュラー・スパイダーマン」のコンセプト
現在「アメイジング・スパイダーマン」誌においては、ピーター・パーカーはトニー・スタークばりに巨大IT企業パーカー産業のCEOを務める大金持ちとなっています。
しかし昔ながらのスパイダーマンファンにとっては、何をやっても誤解され、運に見放されたニューヨークの平凡な青年であるピーター・パーカーを懐かしむ気持ちもあります。
そんなファンの要望に応えるべく、"親愛なる隣人"であるスパイダーマン(ピーター・パーカー)への原点回帰を図ったのが、本書「スペクタキュラー・スパイダーマン」シリーズといえます。
本書において、設定自体は「アメイジング・スパイダーマン」と共通で、ピーター・パーカーはパーカー産業のCEOで、スパイダーマンは(表向き)ピーター・パーカーに雇われたボディーガードとなっています。
しかし、本書ではそういった面にあまり触れず、主に描かれるのは、何をやっても少し裏目に出る"パーカー・ラック"の持ち主で、善行をしても"公共の敵ナンバーワン"と誤解される一人の青年、そう我々にとって馴染み深い"親愛なる隣人"なのです。
初期設定に忠実な本シリーズは、昔ながらのスパイダーマンファンにとって親しみやすい内容である一方、スパイダーマンをまだよく知らない新しい読者がこれから入るのにも最適な一冊といえるでしょう。
▮ ヒューマン・トーチ
本書の楽しみの一つとして、「Marvel Team-Up」ばりに様々なマーベルヒーローたちが出てくる点です。
本書を通じてスパイダーマンがコンビを組むのが、ファンタスティック・フォーのヒューマン・トーチです。
年齢が近い若者同士、一緒に映画を見る約束をしたり(結局すっぽかされますが…)、カフェでお茶したり(ピーターのデートをこっそり覗き見するためですが…)と、ピーター・パーカーを"普通の青年"として描くのに欠かせない役柄を演じています。
ヒューマン・トーチことジョニー・ストームは、ニューヨークで実姉のスー・ストームに育てられ、16才のときに、実姉とその婚約者、操縦士の4人で宇宙飛行をした際に超能力を手に入れ、ファンタスティック・フォーを結成しました。
主な能力は、飛行能力と自身の体を発火させ炎を操る能力で、「人間たいまつ」と呼ばれます。
性格はやんちゃなプレイボーイで、本書で披露するピーター・パーカーとの絶妙なコンビで読者を楽しませてくれてます。
▮ 他にも出てくる大物ヒーローたち
本書では他にも大物マーベルヒーローが続々と登場してきます。
しかも単なるカメオ出演ではなく、ある程度ストーリーにがっちりと組み込まれている点が読者には嬉しいところです。
■アントマン
冒頭スパイダーマンがコソ泥を捕まえる際、ウェブフォームが壊れてピンチ(?)になったところを助けるのが、アントマンです。アントマンといえば、8/31公開映画『アントマン&ワスプ』で今一番熱いマーベルヒーローですが、アントマンが登場する邦訳コミックスは意外と少ないので、どんなキャラクターか知るのに本書で予習してみるのは如何でしょう?
■ブラックウィドウ
MCUで人気のロシア出身女性スパイです。本書では、夜のビル屋上で突然スパイダーマンを狙撃して襲います。果たしてその理由は?
■アイアンハート
本書時点でトニー・スタークに代わって活動する女性アイアンマンです。初登場は『インビンシブル・アイアンマン:ウォーマシン(仮)』で、小社から邦訳版が9/20頃発売予定ですので、もしお財布に余裕があればぜひ予約していただけたら嬉しいです。
▲※原書書影に掲載の女性はメリー・ジェーンで、アイアンハートではありません。
独力でアイアンマンのパワードスーツを開発してしまうほどの天才少女で、上記コミックスでは自分のヒーローネームを何にするか友達に相談する場面が大変微笑ましいです。
■カルナク
成人の際テリジェンミストを浴びることで超人的な能力を獲得するインヒューマンズのロイヤルファミリーの一人。格闘術の達人であり、あらゆる人や物の弱点を見抜く目を持っています。2018年3月に日本でも放送されたドラマ『インヒューマンズ』をご覧になった方は覚えていらっしゃることでしょう。
ドラマの原作ともいうべき1998年刊行のアイズナー賞受賞コミックス『インヒューマンズ』は、小社から同じく2018年3月に刊行され、その中でもカルナクは印象的な役割を演じてますので、こちらも良かったらチェックしてみてください。
▮ デイリー・ビューグル誌元発行人ジェイムソンとの対決
本書では、キングピン、バルチャー、ティンカラーといったスパイダーマンファンにお馴染みの旧敵たちが登場します。
しかし中でもスパイダーマン最大の"天敵"といえば、デイリー・ビューグル誌発行人ジェイムソンではないでしょうか?
1963年の「アメイジング・スパイダーマン」#1から登場し、ことあるごとにスパイダーマンを目の敵にしてきた人物です。
一時ニューヨーク市長の座に就いたこともありましたが、現在は無職で「脅威と迷惑」というスパイダーマンの自警活動を非難する個人ブログを運営しています。
本書でスパイダーマンはついにジェイムソンと対決します!
…対決といっても決闘ではなく、60分一本勝負の独占インタビューにスパイダーマンが応じるのです。
双方の思惑が合致して実現する独占インタビューですが、その結末は要注目です。
以上、今週のアメコミ魂はこの辺りで。最後までお読みいただきありがとうございました。来週の更新もお楽しみに!
(文責:小出)
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