2014年11月10日月曜日

バットマン会社設立! 魅惑のモリソン・ワールド再び。

みなさん、こんにちは!

グラント・モリソンバットマン新サーガもいよいよクライマックスに突入!……ということで、今回はただいま絶賛発売中『バットマン:インコーポレイテッド』を紹介させていただきます。
▲『バットマン:インコーポレイテッド』
グラント・モリソン[作]
ヤニック・パケット他[画]
定価:本体2,600円+税
●好評発売中!●
これまで小社では、2006バットマンのメインライターに就任したグラント・モリソンの手がけた、一連のストーリーラインを追いかけてまいりました。第1部:①『バットマン・アンド・サン』、②『バットマン:ラーズ・アル・グールの復活』、③『バットマン:ブラックグローブ』、④『バットマン:R.I.P.第2部:①『バットマン・アンド・ロビン』、②『バットマン:ブルース・ウェインの帰還』、③『バットマン:ブルース・ウェインの選択』……といったタイトルが現在までに刊行されているのですが、『バットマン:インコーポレイテッド』によって、ついに最終章である第3部の幕が開くのです!本書では、死から蘇ったブルース・ウェインが、“バットマン”というシンボルのもと世界中のヒーローを独自に組織化し、謎の秘密結社“リバイアサンに立ち向かいます。ゴッサムシティから世界へと活躍の場を広げ、各国の“バットマン的なヒーロー”をスカウトして回るバットマン。では、どんなヒーローが姿を見せるかというと……

ミスター・アンノウン……日本のクライムファイターである彼をスカウトしようとするバットマンだが、同時に恐るべきヴィラン“死神男”の魔の手も迫っていた。

エル・ガウチョ……その正体はアルゼンチンの裕福な馬主。“誰の部下にもなる気はない”とバットマンの誘いを断るが、彼には決してバットマンに知られてはならない秘密があった。

フード……イギリス政府の特殊工作員。世界を破滅させるほど危険な究極兵器があるという、フォークランド諸島に現れる。

バットウィング……アフリカの王族の末裔。“ニュー52”立ち上げ時には、彼を主人公にしたシリーズも創刊された。

ナイトランナー……パルクールの達人であるイスラム系フランス人。小社で刊行された『バットマン:ゲート・オブ・ゴッサム』には、彼のオリジンストーリーが収録。

ブラックバット……元バットガールであるカサンドラ・ケインが改名。香港で密偵活動に勤しんでいる。

マン・オブ・バッツ……一人息子であるリトル・レイブンをサイドキックにして、ネイティブアメリカンの居留地を守る。

……などなど、じつに国際色豊か。さらにキャットウーマンバットウーマンバットガールオラクルアウトサイダーズといったバットマン系キャラの面々はもちろん、バットマン型ロボット“ロバット”まで戦線に参加!

また、『インコーポレイテッド』とちょうど同じ頃に『ディテクティブコミックス』で連載されていた物語が『バットマン:ブラックミラー』――というわけで、当時の新生ダイナマイト・デュオも登場、つまり二人のバットマンが活躍することになります。

個人的なおすすめエピソードは、上記マン・オブ・バッツを主人公にした第7章「癒しの兵士」。貧困にあえぐアメリカの地方都市で、医者と兼業しながら、“低予算のバットマン”として自分の部族を守るマン・オブ・バッツ。しかし、麻薬を売りさばく小悪党をピックアップトラックの“バッツモービル”で探すような日々に、息子リトル・レイブンはウンザリしていた。地元でくすぶっているうちに、ティーンタイタンズにも入れない年齢になってしまうと不満を訴え、父子の溝は深まるばかりだったが……。壮大なスケールの抗争がスピーディーに描かれるなか、一見異色とも思える地に足のついた物語ですが、テーマと展開、両方の面で見事に作品全体と有機的に結びついていて、さすがモリソン!とうなりました。

グラント・モリソンはその著書『スーパーゴッズ』の中で、“……私は物語をますます圧縮させ、個々のエピソード、毎月刊行される雑誌の各号、さらにすべてのコマをイベントに仕立てようとした”……と書いています。
▲『スーパーゴッズ
アメリカン・コミックスの超神たち』
グラント・モリソン[著]
定価:本体3,800円+税
●好評発売中!●
同じ頃に刊行された本書では、まさにその言葉どおり、これまで以上に高密度ハイテンションな物語が堪能できます。巻末のボーナスページや、翻訳者の高木亮さんによる別紙解説設定面のフォローも充実。“バットマンの会社って……?”と思った方も、どうぞお気軽に本書をお試しください! 多種多様なキャラクターが世界を駆け巡り、電脳空間から宇宙までを舞台に戦いを繰り広げる、カバーの印象そのままにカラフルハイクオリティな作品です。

世界的な広がりを見せるリバイアサンとの戦いは、本書で一つの山を越えつつもまだまだ続きます。しかし、ここで気になることが一つ――そう、2011年の夏に起こったDCコミックスの一大リランチ“ニュー52の存在です。じつは新サーガ第3部は、ニュー52を経たユニバースで続行するのです!

小社では……
第2巻『バットマン・インコーポレイテッド:デーモンスターの曙光』
▲『バットマン・インコーポレイテッド:
デーモンスターの曙光』
●2014年12月発売予定●
※原書イメージ
第3巻『バットマン・インコーポレイテッド:ゴッサムの黄昏』
▲『バットマン・インコーポレイテッド:
ゴッサムの黄昏』
●2015年1月発売予定●
※原書イメージ
……という形で、“ニュー52版インコーポレイテッド”を追いかける予定です。鬼才ライター、グラント・モリソンが7年がかりで紡いだ物語は、DCユニバースの変革を経て、どのように完結するのか? この前代未聞の展開にぜひご注目ください!

ではでは、今回はこのへんで。


(文責:中沢俊介)