2017年8月1日火曜日

"ニュー52"バットマン完結。そして物語は"リバース"へ



「アメコミ魂」をご覧のみなさま、こんにちは!

今日から8月、いよいよ夏本番ですね! 毎日暑い日が続きますが、みなさまこの夏のご予定はもう立てられましたか? 夏といえばサーフィン! 私は毎日、部屋の中でネットサーフィンに明け暮れる毎日です。

そこで、今回取り上げる書籍の評判をネットで検索してみたところ、ある読者のご家庭ではこんなやり取りあったようです。

「○○ちゃん、アマゾンからなんか薄いアメコミが届いたわよー」

「えー、アメコミが薄いわけないじゃん……って薄っ!

……みたいな、本の薄さに言及されてる書き込みがチラホラ。

本日ご紹介する作品は、そんな薄くて、夏のアウトドアの持ち運びにも便利な『バットマン:エピローグ』です。

スコット・スナイダー他[作]グレッグ・カプロ他[画]
定価:本体2,000円+税
◆好評発売中◆

本書は120頁と、アメコミにしては確かに薄めですね。

同時期に刊行された小社『バットマン:エターナル<下>(THE NEW 52!)』(584頁)と比べるとその差は歴然!


ですが、小社刊行アメコミの中には、もっと薄い本もあるんです。

ここで、小社アメコミ"薄い本ベスト3"をご紹介します!

1位.『バットマン:キリングジョーク 完全版』(2010年1月刊行)⇒80頁
2位.『バットマン VS. スーパーマン:ベストバウト』(2016年3月刊行)⇒92頁
3位.『デッドプールの兵法入門』(2015年9月刊行)⇒96頁

ちなみに、この三冊とも重版のかかった人気タイトルなんですよ。


薄い本の次は厚い本も気になるのが人情ですので、 "厚い本ベスト3"もご紹介すると、

1位.『バットマン:エターナル<上>(THE NEW 52!)』(2017年1月刊行)⇒600頁
2位.『バットマン:エターナル<下>(THE NEW 52!)』(2017年7月刊行)⇒584頁
3位.『バットマン:ノーマンズ・ランド1』(2014年9月刊行)⇒544頁

となってます。バットマンが見事1・2・3独占!

こうやって見ると、薄い方も厚い方も、1位、2位はバットマン関連本なんですね。

今回ご紹介する『バットマン:エピローグ』は、そんなバットマン関連本の中でも、ニュー52最終章を飾るエピローグ本ということで、絶対に見逃せない重要タイトルとなってます。


『バットマン:エピローグ』


本書は全部で4つの短編を収録してます。

最初のエピソードは、『フューチャーズ・エンド:未来への遺産』です。


舞台は5年後の世界。5年後にしては、随分と傷つきボロボロになったブルース・ウェインが、"ある実験"をしています。実験の目的は、バットマンが永遠に存在して活動を続けること…。しかしそのためには、"ある物"が足りません。それを入手するためにバットマンは、痛み止めと興奮剤で40分間の活動時間を得て、目指す目的地への侵入を試みる、というストーリーです。"エピローグ"の第1話にふさわしい、人生の終幕を感じさせるエピソードとなってます。


二つ目のエピソードは、『過去にむしばまれた館』です。


現在より少し前、『バットマン:スーパーへヴィ』から『バットマン:ブルーム』にかけての頃のエピソードで、ブルース・ウェインがまだ記憶を取り戻す前の頃を描いた作品です。『バットマン:エターナル』でブルース・ウェインは財産を失い、彼の屋敷は精神科病院アーカム・アサイラムの移転先にされてしまったのですが、本話の中でジェリ・パワーズは、屋敷をブルースのために取り戻し、アーカム・アサイラムの囚人を他所に移送します。そして、最後に残った最も危険な三人の囚人を移送する…という話です。


三つ目のエピソードは、『ゴッサムは』です。


本書収録の他のエピソードは外伝ですが、この『ゴッサムは』は、ニュー52の本編です。つまり『梟の法廷』から続くニュー52版バットマンのまさにフィナーレを飾るエピソードになります。

ところでみなさま、『梟の法廷』の冒頭のシーン、覚えていらっしゃいますか?

――土曜日の『ゴッサム・ガゼット』紙には"ゴッサムは"という小さなコラムが掲載されている。無作為に選ばれた市民が"ゴッサムは…"の続きを3単語以内で完成させるという企画コラムだ。――

というナレーションから、全ての物語は始まりました。

そこでは、

「ゴッサムはクソ」
「ゴッサムは呪われている」
「ゴッサムは殺人的」


など、ネガティブなワードのオンパレードでした。

しかし、ニュー52版バットマンの変遷の後、12巻後の本書でそのアンサーはどう変わったのでしょうか…?

「担当を任された当時、送られてくる答えはどれも暗く、絶望的だった。」
「でも最近…とくにここ数年、答えがどんどん明るくなってるんだ。」

ゴッサム・ガゼット紙の担当記者はこう語ります。

ここ数年といえば、まさに『梟の法廷』以降です。

ニュー52シリーズを通したバットマンの戦い――秘密結社「梟の法廷」と暗殺者「タロン」、宿敵ジョーカー、そして「ミスター・ブルーム」との死闘。過酷な戦いの末にバットマンとゴッサム市民が何を成し遂げたのかが分かります。

そして本エピソードの最後のページ、未明のゴッサムをバックに語られる短いナレーションが、全てを物語ります。その内容は、みなさまご自身の目で、ぜひ本書を手にとってご確認ください。



本書最後のエピソードは、『リスト』です。


この話も、本書巻末を飾るにふさわしい、象徴的なエピソードとなってます。

ほんの22ページと短いエピソードの中で、ブルース・ウェインの全てが語られているといっても過言ではありません。ブルースの両親が殺された2週間後から物語は始まり、ブルース失踪中の日本、カナダ、ユーゴスラビアでの修行の日々、そして現在を舞台とした戦いが、一冊のリストを軸に語られます。

『ゴッサムは』がニュー52シリーズの総括なら、この『リスト』は、ブルース・ウェインの人生の総括といえます。

以上、駆け足で『バットマン:エピローグ』をご紹介しました。

薄い本なのでブログも短めということで、今週はこの辺で失礼したいと思います……













……と思ったら、

「今回はバットマンだけだと短いので、ハーレイ・クインも取り上げてもらっていいですか?」と、まさかの追加指令!?

ということで、急きょ、こちらもニュー52シリーズ最終巻となる『ハーレイ・クイン:ブラック・ホワイト&レッド』もご紹介します。


『ハーレイ・クイン:ブラック・ホワイト&レッド』


アマンダ・コナ―、ジミー・パルミオッティ[作]
チャド・ハーディン他[画]
定価:本体2,100円+税
◆好評発売中◆

といいつつ、実は私まだハーレイをちゃんと読んだことがなくて……

で、慌てて『ハーレイ・クイン:ホット・イン・ザ・シティ』から読み始めたところ、

何これ、超面白いじゃーん!!

この「アメコミ魂」のこの記事この記事とか読んでいて、「なんか楽しげだなー」とは思ってましたが、ここまで面白いとは(゚∇゚ ;)

オオオオオッッッ

すっかりハーレイの虜になりました。

彼女の魅力は、陽気なユーモア、元気ハツラツな性格、少女のような健康美に尽きます(肌は青白いですが……)。

日本のアニメで例えるなら、『ルパン三世』の峯不二子のようなセクシーさではなく、『アンパンマン』のドキュンちゃんのようなキュートさとでも言うんでしょうか。

その割に、軽はずみにハンマーで男の頭をカチ割っちゃう的な凶暴&サイコパスな一面もあるんですが、ハーレイなら猟奇的殺人シーンもなぜか明るく爽やかな気分にさせてくれます。言葉遊びやユーモアあふれるセリフまわし、ナレーションも楽しいですしね。

本書の原書サブタイトル『BLACK, WHITE, AND RED ALL OVER』もひねりが効いてます。日本語で書くと「黒くて白くて"レッド"なモノ、なーんだ?」というなぞなぞになります。

それって何か分かりますか?






答えはこの下に。↓↓








もうちょい下です。↓↓↓









「新聞」です。


英語で「レッド=赤」と、「レッド=read=読まれる」をかけた言葉遊びになってるんです。

英語圏では古典的な言葉遊びだそうです。でも、それを本書のタイトルにもってきてるということは、さらにひねって、「ハーレイ・クイン」を指しているんだと思います。

なぜなら、ハーレイは、青白い肌(ホワイト)に赤(レッド)と青っぽい黒(ブラック)の髪の色ですから。その証拠に、本書の第1話『新しい日、新しい敵』(↓)のハーレイの髪の青い部分は、青というより黒になってますし、表紙(↑)のハーレイも、黒と白と赤です。

▲『新しい日、新しい敵』のハーレイ・クイン

本書の内容ですが、ハーレイに惚れたおっさん(=レッドツール)が、ハーレイの気を引こうと大枚はたき、観覧車デートして、教会でサプライズ結婚式をあげ、そして最後、夜の海でいいムードになります。

……というとなんか普通の恋愛ストーリーですが、もちろんハーレイの恋愛が普通の恋愛になるわけありません。デート(?)の最中、レッドツールもハーレイも周囲の人間を殺しまくり!! 歪んだ愛のカタチですね

そんなドタバタが読んでて楽しいんですが、残りあと1ページまで読み進めてハタと「あれ、これってニュー52の最終巻だよな」と気づいて、不安になるのが一切フィナーレ感がない事です。最初から最後までフィナーレ感満載だった『バットマン:エピローグ』と大違い。。


…と思ったら、最後のページの、最後のコマの、ハーレイの最後のセリフ↓で、


『…最終号だからのんびりしましょ。新しい事件は来月のお楽しみ』

このとってつけたような雑なフィナーレ感ww。

最後までハーレイらしい終わり方でした。

追伸:
読み返したら、最後から2ページ目の最後のコマで、わざとらしくさりげなく、なんとリバースへのつなぎもしてました!


『再生(リバース)の光景を上から見ましょ』

そして、この腕を伸ばしたポーズはどこかで見覚えが……
(↓下の書店ポスターにもあるリバース・キービジュアルをご参照ください・笑)

芸が細かいのか雑なのか……最後まで楽しませてくれる、ハーレイ・クイーン最高DETH!


リバース(REBIRTH)の紹介


せっかくハーレイがリバースにも言及してくれたので、最後にリバースの紹介を少ししたいと思います。

私なんかより詳しくご存じの方も多いと思いますが、DCユニバースは2011年の「フラッシュポイント」によって世界が大きく改変され、2011年9月以降"ニュー52"シリーズとして展開されてきました。
そして2016年6月、それまでのニュー52の世界観を引き継ぎながら"新章突入"したのが"リバース (REBIRTH)"です。

リバース書店ポスター

小社からも、以下のようにリバースシリーズ続々刊行予定となってます。

【8月2日頃】
『DCユニバース:リバース』
【8月23日頃】
『ワンダーウーマン:ザ・ライズ 』
『スーパーマン:サン・オブ・スーパーマン』
【9月6日頃】
・『ジャスティス・リーグ:エクスティンクション・マシン 』
・『ハーレイ・クイン:ダイ・ラフィン 』
・『バットマン:アイ・アム・ゴッサム 』
【10月3日頃】
・『スーサイド・スクワッド:ブラック・ヴォールト』
・『オールスター・バットマン:ワースト・エネミー』
【11月7日頃】
・『バットマン:アイ・アム・スーサイド』
【11月14日頃】
・ジャスティス・リーグ:アウトブレイク』

最初の6タイトルについては、購入特典として『原書カバーイラストICカードステッカー』をプレゼントします! 詳しくはこちらのページをご覧ください。


リバースシリーズ、乞うご期待!!

今週のアメコミ魂はこの辺りで締めさせて頂きたいと思います。

来週取り上げる作品は、8月25日公開映画が話題の『ワンダーウーマン:ベストバウト』ですので、映画の予習にぜひチェックしてください。お楽しみにーー!!

(文責:小出)


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