「アメコミ魂」をご覧のみなさま、こんにちは!
関東も梅雨が明け、エアコンなしでは耐え難い日々が続いていますね。今回ご紹介するのはそんな夏にぴったりのさわやかなストーリー……ではなく、暑苦しさに定評のあるデッドプールの単独タイトルです。
『デッドプール:バック・イン・ブラック』 カレン・バン[作]サルバ・エスピン[画] 定価:本体1,800円+税 ◆好評発売中◆ |
裏表紙はこんな感じです。↓↓↓
この不気味な迫力! 実写だったら完全にホラーとして分類されますよね、これは。
内容もなかなかのスプラッタ描写があるので、そういった意味でも夏にふさわしい1冊といえます。
カレン・バンとサルバ・エスピンのタッグで描かれるデッドプール――ときいて、ピンとくる方はさすがです。
この二人が手がけた『デッドプール vs. カーネイジ』も、『デッドプール:バック・イン・ブラック』同様にエイリアン共生体が悪行の限りを尽くす作品。まだ読んでいないという方は、この機にぜひぜひご一読ください! ヴェノムなどエイリアン共生体についても体系的な知識が身につきます(?)し、どちらか一冊を知っていればもう一冊もすんなり読めるのでオススメです。やたらと赤いカバーを目印に探してください。
『デッドプール vs. カーネイジ』 カレン・バン[作]サルバ・エスピン[画] 定価:本体1,800円+税 ◆好評発売中◆ |
さて、物語が始まるのは、1984年のクロスオーバー・イベント『シークレット・ウォーズ』のあと、スパイダーマンがエイリアン共生体と決別してから。さらにその後、エイリアン共生体は自分を捨てたスパイダーマンを襲います。その襲撃はあえなく失敗に終わり、共生体は教会に身を潜めるのですが……。
多くの方は、このあとにエディ・ブロックがやってきてエイリアン共生体の宿主となり、ヴェノムが爆誕するというストーリーをご存じでしょう。しかしその前に、実は共生体とデッドプールの知られざる邂逅があったのだ――というのが、本書のあらすじです。
『デッドプール:バック・イン・ブラック』本編より |
物語冒頭の共生体さんは、なんだかヒューマン。お菓子をくれるお掃除のおじさんと仲良くなっていたりして、まるで路地裏の子猫ちゃんのようです。この人間くさい振る舞いは、宿主だったピーター・パーカーの影響を受けたためだろうと推測されるのですが……ということは、新たな宿主であるデッドプールの影響を受けるとどう変化してしまうのか……なんとなく想像がつきますね。
『デッドプール:バック・イン・ブラック』本編より |
ハイ、ご想像のとおり。顔つきも極悪具合もエグイです。
雑食ぶりもすさまじく、作中でいろんなものを食べてみせてくれますので、その辺りもお楽しみに。
また、30年以上前のシリーズをもとにしている『デッドプール:バック・イン・ブラック』には、それを思わせる遊び心がいろいろ隠されています。
『デッドプール:バック・イン・ブラック』本編より |
欄外にもたくさんの豆知識とジョークが詰め込まれているのですが、何度も書かれているのはこの「広告の後に続く」というフレーズ。往年のリーフでは、本編の間に広告ページが差し込まれる際、「Continued After Next Page(次ページ広告の後に続く)」という当然のひとことが欄外に記載されていたそうです。これはその決まり文句を再現した演出だとのことで、当時を知るファンはきっと懐かしい気持ちになるのでしょうね。
とにかく何度でも読み込める、厚さに対して情報量の多いオトクな一冊です。スパイダーマンやクレイヴンのほか、最後には意外な人物も登場するので、結末まで気を抜かずにお楽しみください!
そしてもうひとつご紹介するのは、こちらもデッドプールが登場するビッグタイトル!
『スパイダーマン/デッドプール:プロローグ』です。
スパイダーマンは8月に主演映画の公開が決まっており、弊社のコミック刊行も続く超大物かつ旬なヒーローのひとり。こちらもぜひこの夏に読んでおきたい一冊です。
『スパイダーマン/デッドプール:プロローグ』 ジョー・ケリー他[作]アーロン・クダー他[画] 定価:本体2,400円+税 ◆好評発売中◆ |
おしゃべり上手なスパイダーマンとデッドプール、待望のチームアップ!
待望の競演がついに始まる――まずはその前に、彼ら凸凹コンビの過去のブロマンスを読んでおこう! というのが本作のコンセプト。泣く子も黙るふたりのスターによる、これまでの未邦訳共演作をぎゅっとまとめた一冊です。
底本となっている『Spider-Man/Deadpool Vol. 0: Don't Call It A Team-Up』に収録されている『DEADPOOL(2008)#19-21』と『DEADPOOL(2012)#10』は、弊社からすでに『デッドプール:モンキー・ビジネス』および『デッドプールVol.2:ソウル・ハンター』として刊行されているので、気になる方はこちらをチェックしてください。
『デッドプール:モンキー・ビジネス』 ダニエル・ウェイ[作]カルロ・バルベリー他[画] 定価:本体1,800円+税 ◆好評発売中◆ |
『デッドプールVol.2:ソウル・ハンター』 ジェリー・ダガン、ブライアン・ポゼーン[作] スコット・コブリッシュ他[画] 定価:本体1,800円+税 ◆好評発売中◆ |
どちらも大人気作なので、熱心な読者の多くはすでに2冊ともお持ちのことと存じます。でも大丈夫! 『スパイダーマン/デッドプール:プロローグ』を購入しても重複するお話はありませんので、どうぞ安心してお求めください。
本作はケーブルやウィーゼルなど、さまざまなキャラクターが登場するのも楽しみな点ですが、邦訳が待たれていた『デッドプール・アニュアル』#2が収録されているのも大きなポイント。
『スパイダーマン/デッドプール:プロローグ』本編より |
ずっとスパイダーマンのスーツを着てみたかったデッドプール。夢が叶ってよろこぶさまはとってもかわいらしいのですが、デッドプールが着たあとのスーツを着ると思うと、やっぱりなんていうか、なぜなのかはうまく言えないですけど、わりとすごく嫌ですよね。
『スパイダーマン/デッドプール:プロローグ』本編より |
実際、スパイディもこう言っていますし……↑↑↑
そのほか、ピーター・パーカーの学生時代にデッドプールがタイムスリップしたり、日本人俳優も出演したあのハリウッド映画よろしく、夢の階層をふたりで下りていったり、“ママ・ジョーク”で対決したりします。ちなみにママ・ジョーク(=Yo mama)とは、日本でいうところの「お前の母ちゃんデベソ」的な、お母さんの悪口にオリジナリティを持たせて対決するもののこと。いい年をした世界的ヒーローが真剣にこれをやりますので、ぜひご覧ください。
全編にわたって、スパイダーマンへのデッドプールの歪んだ愛情と、スパイディのいいやつぶりがうかがえます。読了したあかつきには、これまで以上にふたりを好きになってしまうこと間違いなし!
ふたりの活躍する過去作品を集めた本作は、このシリーズにとってまさに“プロローグ”。『スパイダーマン/デッドプール:プロローグ』にも携わったジョー・ケリーをライターに迎えた『スパイダーマン/デッドプール vol.1(仮)』では、いよいよ彼らの新たなストーリーが描かれます。
『スパイダーマン/デッドプール:ブロマンス』 ジョー・ケリー[作]エド・マクギネス[画] ◆9月20日頃発売予定◆ |
というわけで、近く刊行予定の『スパイダーマン/デッドプール:ブロマンス』もお楽しみに!
次回は『バットマン:エピローグ』と『ハーレイ・クイン:ブラック・ホワイト&レッド』について熱く語ります。どちらもついに最終巻をリリースした人気シリーズですので、こちらも要チェックですよ。
それではごきげんよう。 来週の更新もお楽しみに!
(文責:鈴木)
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