2020年2月13日木曜日

少女を巡って騎士と道化師が対決!『バットマン:ダーク・プリンス・チャーミング』



アメコミ魂をご覧の皆さま、こんにちは!
2月も早いものでもう中盤ですね。個人的にはつい先日年が明けた気分なのですが……。
また、先日のアカデミー賞では『ジョーカー』が主演男優賞と作曲賞を受賞しましたね! アカデミー賞の結果を受けて、またホアキン・フェニックスの名演技をスクリーンで見たくなった人は多いのではないでしょうか。



▲『バットマン:ダーク・プリンス・チャーミング』書影

こちらの作品は『バットマン:ヨーロッパ』とともに昨年のバットマンデーに併せて刊行したタイトルです。カバーのアートからは、どことなく普段のアメコミとは異なる雰囲気を感じられるのではないでしょうか。

実はこの作品は、バンド・デシネ(フランスの漫画)作家である、エンリコ・マリーニが作画を担当した作品なのです。今までのアメコミアーティストにはなかなか見られない、独特な美しさを持つアートと、彼の紡ぐストーリーはまさに必見です。

そんな本作の簡単なあらすじはこちら。


バットマンことブルース・ウェインの前に現れた、謎の少女アリーナ。
 少女とブルースの関係に目を付けた”犯罪界の道化王子”ジョーカーは、自身の歪んだ計画のためにアリーナを誘拐する。
バットマンはかつてないほどの焦燥と怒りを抱きながら、少女を救うべくゴッサムの闇へと飛び込んでいく。
 謎の少女を巡り、歪んだゲームの舞台上で対峙するバットマンとジョーカー。
二人が激突する時、物語は予想外の結末へと向かっていく……


バットマンとジョーカーの対決を、オリジナルのキャラクターを中心に描いたスト―リーとなっております。現行の世界とは異なるエルスワールド物の読み切り作品なので、初心者にもおすすめの作品です。


▐ オリジナルキャラクター、アリーナとアーチー


この作品では、本作オリジナルキャラクターのアリーナという少女が物語のカギを握っております。バットマンことブルース・ウェインの娘であるという疑惑を持つ彼女は、その理由からジョーカーに攫われてしまいます。


しかし、自分を誘拐したジョーカーに対して「怖くないわ。バットマンが来るから」と啖呵を切ったり、ジョーカーの部下であるこれまたオリジナルキャラクターのアーチーに対しても蹴りを入れるなど、幼いながらも強い一面を持っている様子。




そして彼女の容貌ですが、目の部分に生まれつきのあざがついています。また服装は緑色のワンピースのような服と、白と赤紫のボーダーの服と、どことなくジョーカーに似た色合いの格好をしています。そして目の色も同じ緑色。そんな彼女の姿も注目のポイントです。

▲アリーニのスケッチ

そしてもう一人のオリジナルキャラクター、アーチー。彼は何度も自殺未遂を図っては失敗に終わり生き続けているといった男です。そんなこともあってか、ジョーカーに脅されても全く怯える様子もなく、逆にジョーカーに気に入られてしまいます。そんな彼にもぜひ注目して頂きたいとと思います。


▲ジョーカーの手下、アーチ―

▐ マリーニによって描かれるキャラクターたち


この作品で特に注目していただきたい部分は、なんといってもマリーニの描くキャラクターたちの姿です。カバーアートにも大きく描かれているバットマンは、現行の『バットマン』誌とは異なり、胸元のコウモリも黄色の縁取りがなくなり、より暗さが増しています。


▲バットマン

ゴッサムシティに降り立つ姿も暗く描かれており、バットマンの持つ陰鬱な雰囲気が最大限に描かれていると思います。そして何よりこの作品内で彼はほとんど笑うことがありません。表に現れる感情は怒りや焦りといったものが多く、描かれている姿とよく合っているように思えます。





それに対してジョーカーは赤紫色のサスペンダー付きのベストに蝶ネクタイを装備しており、とてもおしゃれに描かれています。またジャケットも着用している場面もあり、そのかっこよさはジョーカーファンにはたまらないのではないでしょうか



▲ジョーカー、おしゃれですね……!

また、ジョーカーはバットマンに対して表情が豊かに変わります。怒ったり笑ったり驚いたりと、残酷さとかっこよさを持ちながらコミカルな部分もあり、大変魅力的に描かれています。






そんなジョーカーの隣にいるハーレイ・クインも、とてもキュートに描かれており、髪型も角のようになっていてとても可愛らしく感じられます。またアリーナにストックホルム症候群とリマ症候群の間違いを指摘されたりと、少し抜けているみたいです。


▲ハーレイ、少しむくれている様子

『バットマン:ブライド・オア・バーグラー』では神経学の博士号を4つ持っていると記述されたハーレイですが、ここではそこまで賢くはない様子。作品ごとに微妙にキャラクターの特性が違って描かれるのは、アメコミの面白いところだと思います。

もちろんキャラクターだけではなく、マリーニの描くゴッサムシティにも注目です。普段より昏さをもった街の様子を楽しめますよ。

バンド・デシネ界の鬼才が描いたバットマンの物語。ぜひお手に取ってみてくださいね。


▐ 猫の日に発売!『マーベル・ミャオ』


最後に、来週の猫の日2月22日(土)に刊行予定の『マーベル・ミャオ』をご紹介いたします。こちらの書籍ですが、先日見本誌が上がってまいりました。

▲『マーベル・ミャオ』見本誌

表紙からもうかわいらしさ前回のこの一冊。スパイダーマンに肉球パンチ(?)を繰り出しているのは本作の主人公、キャプテン・マーベルの飼い猫チューイ。そんな可愛らしいチューイに、なんと総勢50名を超えるマーベルキャラクターたちが翻弄されちゃいます!アメコミに詳しいあなたも、詳しくないあなたも、あのヒーローたちと一緒にチューイの可愛さに癒されてはいかがでしょうか。

▲キャプテン・マーベルとチューイのお話、可愛い

それでは本日の記事はここまでです。
次回の更新もよろしくお願いします。

(文責:比嘉)
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