2020年5月12日火曜日

厚みはなくても濃密な内容! 初心者もおススメ、薄いアメコミをご紹介!



アメコミ魂をご覧の皆さま、こんにちは。

ゴールデンウィークが明け、急に暑くなってきましたね。最近では気温が30度近い日もあり、もう夏が来たのかと錯覚してしまいます。今年の夏はマスクをしないといけなくなるのでしょうか……。

以前『おうち時間に大ボリュームのアメコミはいかが?』という記事にて、ページ数が多い(分厚い)アメコミをご紹介させていただきました。今回はその反対にページ数の少ない(薄い)アメコミをご紹介させていただければと思います!

▐ 80ページに詰め込まれた悪夢 『バットマン:キリングジョーク』


最初にご紹介するのは、皆さんもうお馴染み(?)の大人気タイトル『バットマン:キリングジョーク 完全版』です。


▲『バットマン:キリングジョーク 完全版』書影

2010年に刊行してから2020年4月までに14回も重版を重ねてきた、大人気の名作タイトルです。ページ数は80ページと、ShoPro Booksの邦訳コミックスの中では一番の薄さを誇ります。しかし、内容はとんでもなく濃密なタイトルです。


▲ページは一番少ないですが、
上製本なので実は96ページの兵法入門より厚みがあります。


ライターは『ウォッチメンや『プロメテア』でお馴染みの、鬼才アラン・ムーア。DCコミックスのヴィランの中で、最も有名ともいえるジョーカー。彼は一体どのようにして生まれたのか。アラン・ムーアによって描かれる犯罪界の道化王子のオリジンは、まさに必見です。


モノクロのようなページとカラーページで描かれる、ジョーカーの過去と現在。売れないコメディアンであった彼は、どのような過去からジョーカーに成り果てたのか。アメコミ初心者の方にもぜひ読んで頂きたい名作です。





また、この売れないコメディアンが犯罪界の道化王子へと変貌するという内容は、昨年公開された映画『ジョーカー』の下敷きにもなったはずです。映画で興味を持ったという方や、ジョーカーが好きになったという方にもぴったりの作品です。


▐ デップー先生、作家デビュー?『デッドプールの兵法入門』


お次にご紹介するのは、これまた大人気を博したタイトル『デッドプールの兵法入門』です。

▲『デッドプールの兵法入門』書影

一目ではアメコミとはわからないのではないか、と思えるような斬新なカバーアート。感じられる古代中国味、崖から孫子をけり落とす我らがデップー。96ページとShoPro Booksの邦訳アメコミでは2番目に薄いものになりますが、デッドプールのとんでもない暴れっぷりで、そんなことも感じさせない濃密な内容です。


開幕早々、古代中国で孫子をサクッと殺害するデップー。そこで彼は後の世界でベストセラーになる兵法書『孫子』のテキストを発見します。




こいつで一発ベストセラーを出して一儲け! と企むデップーは早速大手出版社にこの企画を持ち込みますが、帰ってきた返事はNO。既にベストセラーになっている『孫子』の新訳なんて何の価値もない、と一蹴されてしまいます。





そこでデップーがひらめくのは「本を出版したときに世界で戦争が起きてればうれんじゃね?」というはた迷惑なアイデア。そして「全世界が戦争に巻き込まれるためには、神に戦争を起こしてもらえばいいな?」ということでロキをそそのかしてアスガルドを征服。そこから人間界まで巻き込んで大戦争が始まってしまいます! 




果たしてこの迷惑な戦争の行方は? そしてデッドプールは無事にベストセラー作家になれるのか? アメコミに詳しい方も、そうでない方も楽しめるおススメタイトルです。


▐ デップ―先生、新たなシンビオートの誕生『スパイダーマン:ヴェノムVS. カーネイジ』


最後にご紹介するタイトルは、最近映画の公開日も決まり話題となったキャラクターが登場する『スパイダーマン:ヴェノムVS. カーネイジ』です。


▲『スパイダーマン:ヴェノムVS. カーネイジ』書影

こちらもページ数は96ページと短いですが、ページをめくるたびにクレイトン・クレインの美麗なアートに圧倒されます。最近、映画『Venom: Let There Be Carnage (ヴェノム: レット・ゼア・ ビー・カーネイジ)』の全米公開日が2021年6月25日に決まったというニュースもあり、ヴェノムとカーネイジに注目が集まったのではないでしょうか。本書ではそんな二体のシンビオートを存分に堪能することが出来ます。




物語はヴェノムとカーネイジ、二体の凶悪なシンビオートが戦いから始まります。熾烈な戦いから離脱したカーネイジは、その先でパットという警官に遭遇。カーネイジは彼を幼生の宿主に選びます。




自らに寄生したシンビオートの破壊衝動に抗う、正義感の強いパット。そして彼に寄生した共生体を始末しようと企むヴェノムとカーネイジ。3体の強力なシンビオートの争いを、我らがスパイディは食い止めることが出来るのか? ぜひその目でご確認ください。


ここまで紹介したアメコミは、実はどれも重版している人気タイトルです。薄いからといって内容が薄いなんてことは決してなく、その中に魅力的なストーリーやアートが詰め込まれています。先日刊行した『ワンダーウーマン:ヒケテイア』もですが、初心者でも読みやすい名作が多くあるので、ぜひチェックしてみてください。


それでは、本日はここまでです。
来週もよろしくお願い致します。


(文責:比嘉)
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